インタビュー
ブロックチェーンゲーム業界をリードする34名がコメント。2023年に興味を惹かれたニュースや,業界における課題など6個の質問に答えてもらった
グリー
Head of Business Development, web3 unit, Metaverse division
村田卓優
2023年に1,500万DLを突破したスマートフォン向けメタバース「REALITY」です。
「REALITY」は、スマートフォン1つで自分だけのオリジナルアバターを作成し、ライブ配信による交流からゲームまで楽しめるコミュニケーションプラットフォームです。アバターの姿のまま3D仮想空間内で友だちとのコミュニケーションが楽しめるほか、ライブ配信で受け取ったギフトの収益化も可能です。
<質問2>2023年のBCG業界で、最も興味を惹かれたニュースは何ですか
gumiさんが2023年6月の通期決算でノード運営事業を金融領域、アセットマメジメント事業へと事業区分名称変更をしたことです。ノード運営はトークンのステーキングを伴う事業ですし、保有トークンのアロケーションには無数の工夫が可能な事業で、金融事業の側面があります。
バリデーションはノードの運営とだけとらえていましたが、確かに同時に金融領域の事業の一端を担っているんだと、興味を引きました。日本からももっとブロックチェーンのノード運営を行う会社が増えればいいなと期待しますし、その際には我々も全力で協力したいです。
<質問3>この1年、BCG業界に変化を感じましたか。いまの業界における課題は何ですか
全く感じませんでした。様々なブロックチェーンの運営をしているので各チェーンの動向には敏感でいる自負はありますが、まだまだユーザ数が少ないため、企業がBCGに対して大きな投資が実行しにくい環境が続いているように思います。
ユーザー数を上げていくにはゲームを沢山出していくというアプローチよりもBtoBのサービスでブロックチェーンが組み込まれ、ブロックチェーン利用不可避という状況にならないとゲームのようなBtoCサービスでは広まらないのでは。引き続きBCGのインフラを整える時間が必要のようです。
<質問4>現状、日本のWeb3政策をどう評価していますか。もっと政府にサポートしてほしい部分はありますか
とても好印象で、暗号資産にかかる税制の改正をはじめ、事業者が日本で事業を進めやすい準備を進めてくれています。わざわざ海外法人を立てないと事業ができないという現実には違和感がありますし、コストも過剰にかかりますので、引き続き世界標準に合わせた政策を期待しています。
一方でWeb3に限らずエンタメ産業においては、日本企業と海外企業が同じルールで戦えているのか疑問に思うこともあります。
またエンタメ産業自体の政府からの支援は中国、韓国をはじめとした諸外国に比べて遅れており、彼らと事業者単体で立ち向かうにはハードルが高く、より海外に通用するコンテンツを作れる日本企業の育成とサポートをして頂きたいところです。
<質問5>ゲームにブロックチェーンを導入する、最大のメリットは何だと考えていますか
オーナーシップとインターオペラビリティでしょう。従来のデジタルゲームでは、ユーザーはアイテムを購入することが出来ずに、運営からレンタルしています。ユーザーの体感では購入ですが、実際は借りている状況なので運営会社が事業上採算が合わなくなると、運営の独断でサービスを停止、アイテムを回収します。
ビジネスなので採算を考えるのは当然ですが、ユーザーのかけたお金も時間も無に戻すというのが長期的にユーザーの支持を得られると思いません。ゲームの開発と運営コストは年々飛躍し、損益分岐点も上昇しており、開発も長期運営も難しさを増しており、ゲーム会社も大変です。ブロックチェーンゲームは運営にとってもユーザーにとっても良い解決法になる可能性があります。
<質問6>2024年に向けての抱負と、4Gamer読者に向けてのメッセージ
この1年でブロックチェーン事業を継続できる体制が整いました。ブロックチェーン市場に大きなゲームのリリースができるタイミングを引き続き狙っていきます。
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「REALITY」公式サイト
コナミデジタルエンタテインメント
web3事業部 部長
金友 健
ブロックチェーンを感じさせないUIUXを実現する「リセラ」
「リセラ」自体はゲームではなく、ゲーム(やサービス)に実装することでデジタルアイテム(NFT)をゲーム内で日本円を使って売買できるシステムでありマーケットプレイスです。ウォレット、ガス代、暗号資産は不要ですので、プレーヤーはこれまでのゲームと同じようにプレーを楽しみながら、入手したアイテムをゲーム内で売買できるようになります。
暗号資産交換所の口座登録なども必要ないため、ブロックチェーンに関する知識もいらず、BCGであると意識する必要すらありません。
web3はゲーム体験を変えるものですが、一般のゲームプレーヤーにはブロックチェーンのハードルが高いため、面倒な手続きをすべて仕組化することで新しい体験だけを提供したいと思い開発してきました。今後、様々なコンテンツを届けていきたいと思います。
KONAMI以外でもこういったシステムを必要とされるケースは多いのではないかと思いますので、ゲームでもゲーム以外でも手軽にNFTを提供したいあらゆるプロジェクトで「リセラ」をご利用いただけるようにしていきます。
<質問2>2023年のBCG業界で、最も興味を惹かれたニュースは何ですか
(回答なし)
<質問3>この1年、BCG業界に変化を感じましたか。いまの業界における課題は何ですか
見極めて選択、正解はひとつではない
開発者がいったん冷静になった1年だったと思います。現状を正しく分析し、取るべきアクションを再検討し、導入すべきシステムを選定しています。
その意味では、これまでで一定の事例が出てきたことと、チェーンやウォレットを含めたブロックチェーン技術に関わる専門領域に特化した会社が相当数出てきたことで、判断材料が複数あることがこれまでとは異なる1年でした。
ゲームだけでなくあらゆる業界の方と一緒にweb3の世界について議論を交わすことができていることにも、特に国内での環境が整ってきていることを感じます。
一方で課題感としては、「マスアダプション」、「Web2.5」、「RWA(リアルワールドアセット)」などに代表されるトレンドワードの強さです。
どれも本質ですし疑いようのない概念ですが、多くの人が同じタイミングで同じワードを掲げる動きが去年あたりから顕著です。これは暗号資産のトレンドにも似ているかもしれません。
自由な発想で新しいものをつくるタイミングなので、似た概念の似たサービスよりも様々な方向性で新しいサービスが生み出されていくこと、その中で本質的なものが国内から多く出てくることを個人的には期待しています。
<質問4>現状、日本のWeb3政策をどう評価していますか。もっと政府にサポートしてほしい部分はありますか
(回答なし)
<質問5>ゲームにブロックチェーンを導入する、最大のメリットは何だと考えていますか
ゲームは体験のゴールではなくなり、ゲームを通じて体験が広がっていく
今までは、デジタル上のゲームの世界と、リアルの世界は分断されていました。しかし、このふたつの世界で共通して利用できるようになるデジタルデータ、それがNFTです。
もちろん、面白いゲームをつくることが最大のポイントです。ひとつになった世界でどのような体験を設計するのか。
このお題の答えをどのプロジェクトが出すのか非常に楽しみです。
ゲーム体験を連続性のあるものにしていくと時間軸(縦)とゲーム外(横)への広がりがあり、その世界でのユーザー行動が今よりも見える化していきます。
縦横軸でのファンとしての行動レベルの貢献に対して、あらゆる報酬を設計でき、精度の高いレコメンドを出し、ニーズに沿った新たなサービスを提供することができます。
エンゲージメントはさらに高まり新たなユーザーを呼び込むクチコミも加速度的に広がっていく。ファンマーケティングが飛躍的に進化することでプロモーションの概念も変わると思っています。
<質問6>2024年に向けての抱負と、4Gamer読者に向けてのメッセージ
デジタルとリアルの融合、いよいよ世界がひとつになる
利便性の高いweb3ウォレット、国産のステーブルコイン、ユーティリティを持ったNFT、2024年はこれらが出揃う最初の年になります。ウォレットが世界をつなぐゲートになり、ステーブルコインが共通通貨になり、NFTが共通アセットになる。これによって本当の意味で世界がひとつになります。
ただし、人々は気が付いたらweb3の世界とつながっていたというのが理想です。
私たちは、「リセラ」や様々なコンテンツを通して、こうした新しい体験に触れるゲームプレーヤーを増やし、その世界を居心地の良いものにするサービス提供を目指していきます。
[TGS2023]世界をプレイヤーが作り上げるweb3ゲーム「PROJECT ZIRCON」。独自の流通システム“リセラ”でNFTのハードルも下がりそう?
KONAMIは本日(9月21日),東京ゲームショウ2023の同社ブースステージにて,Web3プロジェクト「PROJECT ZIRCON」に関する情報を公開した。ゲームの世界をプレイヤーと一緒に共創する仕組みと,NFTを意識せずに取引できそうな独自の流通システム“リセラ”にも注目だ。
コナミデジタルエンタテインメント 公式サイト
しおにく企画
代表
しおにく(澤 紫臣)
※編注:アマツの取締役/業界団体ガイドライン作成担当/自治体顧問・特任研究員/作家としてマルチに活動する澤氏。“しおにく”として、連載「それって、ブロックチェーン使わなくてもいいんじゃないですか?」を4Gamerに寄稿している。
サービスや製品ではないのですが、CESA/JOGA/MCFの3団体で、既にブロックチェーンゲーム・NFTゲームのガイドラインを作成しています。また今後も情勢に応じて改編も検討しております。ブロックチェーンゲームを実際に開発している企業の実務担当者によるもので、法解釈の観点を狭めないよう複数の弁護士の方にも関わっていただきました。消費者保護という点でも、「ゲームの企画開発担当者は法律のことがわからないし、法務担当者はゲームのことがわからない」というギャップを埋める点でも、実践的なガイドラインになっていると思います。
その前哨戦として『NFTゲーム・ブロックチェーンゲームの法制(商事法務)』を執筆させていただいておりまして、2年近く前の本かつ堅い内容ではありますが、できるだけわかりやすく記しておりますので、是非ご参照ください。
<質問2>2023年のBCG業界で、最も興味を惹かれたニュースは何ですか
ゲームに近いエンタメ分野で「NIDT(Nippon Idol Token)」が国内取引所のcoinbookとDMM Bitcoinに新規上場したことです。購入者(投資家)へトークンを長期保有するメリットをきちんと提示して、活動によって夢を見てもらうという点では、ブロックチェーンゲームも同じかと思います。
ただ、ぼくはアイドルにも一家言ありまして、アイドルがヒットするかどうかは、まずアイドルそのものの資質があってこそ。「暗号資産で資金調達でき、保有者特典があったところで、うまくいくんかいな?」という気持ちは拭いきれません。これは、お金がいくらあったところで開発運営するゲームに未来が約束されるわけではないことと一緒ですね。
ですが、どうやってファンを取り込み、盛り上げていくかの課題解決のヒントは、周辺分野から学べるはずですので、注目しています。
<質問3>この1年、BCG業界に変化を感じましたか。いまの業界における課題は何ですか
粛々と哲学をもって開発しているデベロッパーは生き残り、消費者はポンジスキームやバブル現象には騙されなくなってきた、事業者も換金を煽れなくなってきた、というところがこの1年の変化だと思います。
課題について、連載させていただいている「それって、ブロックチェーン使わなくてもいいんじゃないですか?」でジワジワと外濠を埋めさせていただいているのですが、ゲームメカニクスとマネタイズは表裏の関係で、ゲームメカニクスだけ優れていても商売にならないし、とってつけたようなNFT販売をしたところでゲームが面白くなるわけではないんですね。
そういうマトモな話をするようになって、「Web3って儲かるんでしょ? ゲーム作るにはどうしたらいい?」というぼくのところへの相談は激減しました。よいことです。
<質問4>現状、日本のWeb3政策をどう評価していますか。もっと政府にサポートしてほしい部分はありますか
あくまで私見ですが、数年前ですと暗号資産やWeb3界隈の政商にでも焚きつけられたのではないかという勢いの御仁も見られ、その特性と活用の方向性を理解しないまま「これからはWeb3だ! NFTだ!」という勇み足があったように思われます。そこから一度「Web3? 胡散臭いな、口にするのも恥ずかしい、触らんとこ」という時期を経て、昨年度あたりから政府の研究会や霞が関での冷静な調査研究が発表され「その特性に則した活用法であれば可能性はあるよね」というところに落ち着いてきたように思えます。
そのあたりの堅実さについては、2024年3月に刊行予定の「かながわ政策研究ジャーナル 第17号」にて、Web3やメタバースが自治体政策にどのように活用されるべきかという観点で調査研究レポートを執筆しております。ご期待ください。
<質問5>ゲームにブロックチェーンを導入する、最大のメリットは何だと考えていますか
特定のジャンルで用いられていた技術を、カジュアルにゲームへ落とし込むことで遊びの幅を広げるというのは、通信やGPSを例に挙げるまでもなく過去から行われてきたことです。
ブロックチェーンに関しても、企画仕様に落とし込む際に「改ざん耐性があり、遣り取りの履歴が連綿と繋がっているデータ」が存在することで遊びが楽しくなるもの・ビジネスが加速するものとは何だろうか、いつかはサービスが終了してしまうものにそれよりも"長生き"するブロックチェーンデータを用いる必然性は何だろうか、ということをクリエイターが考えるようになることは広く大きな意味でのメリットだと思います。
<質問6>2024年に向けての抱負と、4Gamer読者に向けてのメッセージ
連載「それって、ブロックチェーン使わなくてもいいんじゃないですか?」の更新ペースが長くなってしまい、続きを期待されていらっしゃる読者の皆さんに申し訳なく思っております。非常勤とはいえ公務員と経営者とクリエイターと趣味人の両立はしんどいものがあり、元気が出るのはアイドルの現場へ赴くときだけです……。
2024年は法による職務専念義務で己を規定されない世界へと戻りますので、精力的に執筆や広報的な活動をしていきたいと思います。
「NFTゲーム・ブロックチェーンゲームの法制」Amazonページ
「ブロックチェーン・ゲーム 平成最後のIT事件簿」Amazonページ
スクウェア・エニックス
ブロックチェーン・エンタテインメント事業部 事業部長
畑 圭輔
資産性ミリオンアーサー(プロデューサー 畑より)
資産性ミリオンアーサーは、NFTデジタルシールとして、2年以上の運営を行っています。デジタルシールとしてのユーティリティやワクワクを提供すべく、ホルダーの方々のお声も直接伺いながら、コンテンツや機能を拡張しております。NFT販売数も17万枚を超え、ゲーム内で発行されるNFTも日に日に増え200万枚弱となりました。コミュニティによる独自のイベントやカスタマイズされたメガシールの展示場を使ったイベントなどを開催し、NFTの価格や価値の維持、向上に共創しながら取り組んでおります。SYMBIOGENESIS(プロデューサー 玉手より)
SYMBIOGENESISは、200万文字の物語を考察する新しい遊び。宝探し。Discordで情報を交換する。などと聞くと難しそうという印象もあるかもしれませんが、オンラインマップで宝探しするオンラインゲームっていうとどうでしょうか?Web3ゲームに期待されていることは、投資、儲かるという面が前に来やすいですが、協創、活躍、参加こういうワードも良く聞くと思います。どちらも手に入れられるモノがあるというのが共通点だと思います。12月に正式オープンしたのでぜひ宝探しにご参加ください。<質問2>2023年のBCG業界で、最も興味を惹かれたニュースは何ですか
(回答なし)
<質問3>この1年、BCG業界に変化を感じましたか。いまの業界における課題は何ですか
まずもう1年が経過したことに驚いています。そして、その中での変化にも翻弄された1年でした。数ヶ月のズレで市況感がガラッと変わり、その結果BCGに対しての温度感も変わるため、リリースすべきタイミングの見極めができそうでできないので、出せる時がリリース時期なのだと感じました。
業界における課題は、運営しているからこそ感じるNFTやトークンでつながるコミュニティビルドと運営の練度だと思います。狙って作れるものではないですが、信念をもってプロダクトのコンセプトをずらさずに作り、やり続ければ必ずそこに共感してくださる人がひとり、またひとりと増えていくことが実感出来ました。当たり前のことですが、事業をやるには、ひとが必要で、ひとがいないとどんなに良いコンテンツも続きません。これに尽きると思います。
<質問4>現状、日本のWeb3政策をどう評価していますか。もっと政府にサポートしてほしい部分はありますか
事業者からの声を聞き入れ、事業環境を整備されようとしていることは伝わってきていますが、もっとスピードが必要かもしれません。新しいビジネスは前例のないことが多く、やらない、やれない理由を探すことは簡単ですが、やっていく姿勢を日本がイニシアチブをとってどんどん見せていくべきだと思います。2023年、海外の事業者は、日本のWeb3コミュニティに注目をしていましたし、日本がホットなのは間違いないと思います。
<質問5>ゲームにブロックチェーンを導入する、最大のメリットは何だと考えていますか
改竄出来ない不可逆な記録を取り入れることで信頼を獲得し、その信頼からデジタルアセットに価値が付いたことだと思います。そこには透明性があるからこそ、様々なビジネスアイディアが生まれ、デジタルアセットを保有する方も運営として参加できる機会が生まれコミュニティが形成されるようになりました。
<質問6>2024年に向けての抱負と、4Gamer読者に向けてのメッセージ
Web3事業を取り巻く環境は、まだまだ複雑な仕組みも多く、統一されたものがありませんが、逆を言えば様々なプロダクトにチャレンジ出来るからこそ、新しい体験やサービスが生まれていると思います。我々もエンターテインメントを提供する企業として、今後も新しいワクワクをお届けしていきますのでご期待ください!
「資産性ミリオンアーサー」公式サイト
「SYMBIOGENESIS」公式サイト
セガ
代表取締役副社長 Co-COO
内海州史
セガが「三国志大戦」IPの使用を許諾した『Battle of Three Kingdoms - Sangokushi Taisen -』がdouble jump.tokyoさんから2024年にリリース予定です。アーケード版とはゲーム性が異なり、戦略性が高く奥の深いデジタルトレーディングカードゲームとなっていますが、バトル自体はオートバトルなので初心者の方でも楽しめるゲームとなっています。アーケード版で好評だった美麗なイラストの武将カードをNFTとして自分で所有でき、自由に交換できるようになったことは、ブロックチェーンゲームならではの魅力だと考えています。
BCG以外では『ソニックスーパースターズ』『龍が如く7外伝 名を消した男』『ペルソナ5 タクティカ』が絶賛発売中で、年代もジャンルも幅広くどんな方にも選べる作品が揃っているので是非遊んでください。
<質問2>2023年のBCG業界で、最も興味を惹かれたニュースは何ですか
BCGではありませんが、2022年のFTX破綻以降、「クリプトウィンター」と呼ばれる冬の時代が続いていましたが、Bitcoin現物ETFの実現可能性など暗号資産市場がここ数カ月で大きく回復したことには興味を惹かれています。BCGと暗号資産は切っても切れない関係にあるので今後も注視していきたいと考えています。
<質問3>この1年、BCG業界に変化を感じましたか。いまの業界における課題は何ですか
市場は少し落ち着いてきていると感じています。高額なNFTを購入してプレイ報酬のトークンで稼ごうというPlay to Earnは減少して、遊ぶだけならばウォレットも必要ないFree to Playのゲームが増えており、モバイルアプリとしてリリースされるタイトルもあって、市場全体としてユーザーの参入障壁が昨年よりかなり下がった印象。
ただ実際にはNFTやトークンを取り扱う際にはウォレット作成やWeb3の知識が必要となることが多く、マスアダプションを実現するためには、オンボーディング部分で更なる改善が必要だと考えています。
またトークンの使用有無も含めてBCGのエコシステムの最適解も依然として見つかっていない中で、いかにユーザーが安心して遊ぶことができるサステナブルなサービスを提供できるか、またそれを可能とするインフラを整備・構築できるかが業界全体の課題だと考えています。
<質問4>現状、日本のWeb3政策をどう評価していますか。もっと政府にサポートしてほしい部分はありますか
昨年のFTX破綻を皮切りに各国政府が消費者保護の観点から規制強化に動いている中、国内においては自民党の「Web3 ホワイトペーパー」を始め、改正資金決済法によるステーブルコインの規制整備、暗号資産の課税制度の見直しなど、海外に比べるとWeb3事業を推進するための環境整備が進んでいる印象があります。
日本政府としてはこれをチャンスと捉え、新たな技術や産業の発展が阻害されないよう、柔軟且つ適切に環境を整備して欲しいと考えています。
<質問5>ゲームにブロックチェーンを導入する、最大のメリットは何だと考えていますか
ブロックチェーン技術は、ゲームアイテムの所有や交換・売買を可能にするなどデジタルアセットに資産価値を持たすことができ、本来ならばゲームの魅力を増加させるものだと考えています。
ただ、現状はその資産価値向上による「金稼ぎ」の手段としてゲームが作られてしまっているため、参加者も絞られ、greedyなイメージが先行してしまっている印象です。
セガでは、従来のゲームの枠組みを超えてインタラクティブに広がる仮想空間でユーザーが様々なエンタテインメントを体験できるような「Super Game」の創出を成長戦略の軸として考えております。
そこにブロックチェーン技術を上手く組み合わせることができれば、他ゲームや他プロジェクトのデジタルアセットがセガの「Super Game」の中で使用できるようになるなど、ユーザーやクリエイターなどのコミュニティ・経済圏が拡大され、従来のゲームにはない新たな遊びや体験を実現できる可能性があると考えております。
<質問6>2024年に向けての抱負と、4Gamer読者に向けてのメッセージ
2024年はいよいよ『Battle of Three Kingdoms - Sangokushi Taisen -』がdouble jump.tokyoさんからリリースされますので是非期待してお待ちください!
その他の取り組みについてはこの場でお伝えすることは出来ませんが、Web3の技術や仕組みが、ゲーマーや産業に対してプラスの恩恵も随分あると感じており、今後もサーチを続けていきますし、いろんなプロジェクトにも参加していきたいと思っています。2024年以降、その可能性を感じられる具体的なものが提供できればと思いますので、今後のセガの取り組みに是非ご期待ください。
「Battle of Three Kingdoms」公式サイト
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