2017年2月22日23:00,AMDは,新世代の「Zen」マイクロアーキテクチャに基づく新世代CPU「
Ryzen」(ライゼン)の最上位モデル「
Ryzen 7」を北米時間3月2日に発売すると発表した。合わせて,そのラインナップと製品概要,北米市場におけるメーカー想定売価を以下のとおり明らかにしている。
- Ryzen 7 1800X:8C16T,定格3.6GHz,最大4.0GHz,L2+L3キャッシュ容量20MB,95W TDP,499ドル(税別)
- Ryzen 7 1700X:8C16T,定格3.4GHz,最大3.8GHz,L2+L3キャッシュ容量20MB,95W TDP,399ドル(税別)
- Ryzen 7 1700:8C16T,定格3.0GHz,最大3.7GHz,L2+L3キャッシュ容量20MB,65W TDP,329ドル(税別)
※2017年2月23日追記
日本AMDからもアナウンスがあった。発売は3月3日以降順次。税別価格は上位モデルから順に5万9800円,4万6800円,3万8800円とのことだ。なので,単純計算した税込価格は6万4584円,5万544円,4万1904円となる。
発表時点におけるRyzen 7のラインナップ
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Ryzen 7シリーズは世界市場で北米時間3月2日に発売
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「X」が何を意味するのか,ブースト最大クロックよりもさらに高い動作モードとして
2016年12月に明らかとなった「Extended Frequency Range」(XFR)の値はいくつか,メモリコントローラはどうなっているのかといった,一歩踏み込んだ情報は依然として明らかになっていないため,「正式発表」直前のじらし情報開示といったところだが,それでもいくつか情報は出てきたので,本稿ではその内容をまとめてみたいと思う。
競合を強く意識し,勝ちに行くRyzen 7
米サンフランシスコ市で開催の報道関係者向けイベントで,Ryzen 7のCPUパッケージを掲げてみせたAMDの
Lisa Su(リサ・スー)CEOは,Ryzen 7を「デスクトップPC向けの最上位モデル」と紹介し,製品名の「7」が,競合の「Core i7」に対抗することを示すとした。
Lisa Su氏がRyzenのパッケージを掲げた
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Ryzen 7のダイ写真
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Su氏によると,AMDはRyzenで,Bulldozerマイクロアーキテクチャの最終仕様となる「Excavator」(エクスカヴェータ)に対して,クロックあたりの命令実行数(IPC,Instructions Per Clock)で40%の引き上げを目指したという。しかし,最終的に完成した第1世代Ryzenは,「エンジニア達の卓越したエンジニアリングによって」(同氏),Excavator比で52%高いIPCを実現できたのだそうだ。
IPCは先代Excavatorに対して+40%を目標にしていたが,最終製品では+52%を達成したという
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「我々は新しいスタート地点に立った。これからも我々の挑戦は続く」とSu氏は述べ,今後も,このRyzenをベースに,物理設計面と論理設計面の両方から,さらなる改良を行っていく姿勢を示している。
Ryzen 7 1800Xは8コアCPUの新しい王者だというスライド
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気になる性能だが,トップエンドのRyzen 7 1800Xは,同じ8コア16スレッド対応の競合製品「Core i7-6900K」(以下,i7-6900K)をマルチスレッド性能で完全に上回り,シングスレッド性能では拮抗するとのこと。北米市場におけるメーカー想定売価で1050ドル(税別)のi7-6900Kと同等以上の性能を,499ドル(税別)のプロセッサで実現できるというのは,かなりのインパクトがある。
i7-6900Kと同等以上の性能を発揮しつつ,価格は半値以下!
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i7-6800Kを圧倒しつつ,価格はi7-6800K以下だとAMD
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続いて,発表時点における主力製品とSu氏が位置づけるのが,Ryzen 7 1700Xである。こちらは,6コア12スレッド対応の競合製品「Core i7-6800K」(以下,i7-6800K)を性能面ではるかにしのぎ,i7-6900Kに迫るものでありながら,北米市場におけるメーカー想定売価で言えば,425ドル(税別)のi7-6800Kより安価というのが,AMDのメッセージとなる。i7-6800Kの予算で,i7-6900K並みの性能が得られるCPUというわけだ。
i7-7700Kより性能は高く,価格は低いとのこと
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最後にXの付かないRyzen 7 1700だが,こちらは動作クロックが上位2モデルから少し下がり,TDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)も30W下がり,上位2モデルには付属しないCPUクーラー「Wraith Cooler“Spire”」が付属する。
AMDのメッセージは,4コア8スレッド対応である「Core i7-7700K」と比べてマルチスレッド性能は1.5倍高く,それでいて価格は安価で,TDPも低いというものだ。より少ない消費電力や発熱で高い性能を得たい人向けということだろう。
発売に向けて最終コーナーを回ったRyzen
Su氏によると,Ryzen 7の発売日である3月2日以降,ASUSTeK ComputerとGIGA-BYTE TECHNOLOGY,MSI,BIOSTAR MICROTECH,ASRock(※AMDによる紹介順)から,総数82以上ものRyzen向けAM4対応マザーボードがリリース予定になっているという。
また,同日以降,AMDのパートナーとなるOEMメーカーから,Ryzen 7搭載PCも登場することになるという。中には著名なゲームPCブランドのものもあるそうだ。COMPUTEX TAIPEI 2017やE3 2017などのタイミングで,いろいろ登場するのかもしれない。
会場に展示されていた各社のRyzen 7搭載デスクトップPC。多くは北米・欧州地域や中国向けローカル製品だったが,中にはLenovoのようなグローバル企業の製品もあった
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ここまで明らかにするなら全部教えてくれよというのも読者の本音だと思うが,AMDとしては,できる限り,事前にじらして盛り上げたいということなのだろう。
北米時間3月2日になれば,性能も含め詳細が明らかになるはず。もう少しの辛抱だ。