インタビュー
いま明かされる「ロスト」の仕様――“喜怒哀楽”を喚起し,プレイヤーの記憶に残るゲーム体験を提供する「Wizardry Online」について,二人のプロデューサーに聞いた
キャラクターロストの真実その1:
キャラクターを失っても全体の進行度は
失われない「ソウル」というシステム
4Gamer:
さて……本作の特徴ともいえ,たびたび話題に上がっているキャラクターのロストですが,実際のところ,どこまで失われて,どこまでを次のキャラクターに継承できるんでしょうか。真面目な話,私個人は「ホントにロストしまくる」のなら,そのシステムに大いに反対なのです。
岩原氏:
なるほど。では順を追って説明します。
ゲーム本編に簡単なストーリーがあるのですが,ロストに伴って物語を一から読み直すのは苦痛ですから,ストーリーの進行度は継承します。
4Gamer:
苦痛なくらい長いんですか?
岩原氏:
そこまでではないですが,例えばレベル30でロストしたときに,そこまでのストーリーをもう一度見せられるのは大変だろう,と。
どうしても最初からやり直したいという人のために,まったく一からやり直せる「ソウルデリート」というものも用意しています。これはソウルも消してしまうので,もう一度ゲームを始めるにはソウルネームから入れ直しとなります。
前田氏:
つまりソウルで管理している部分と,キャラクターで管理している部分が別々にあるんです。全体の進行や,ダンジョンの途中に用意されている「リドル」(なぞなぞ)のほとんどはソウルで管理していますから,キャラクターがロストしても記録が残ります。
4Gamer:
逆にソウルデリートせずに,新キャラクターでストーリーを一から進めることはできますか?
前田氏:
それはできません。
4Gamer:
ということは,ストーリークエストのフラグが立った状態で新キャラが作られるわけですよね。そうなると,ストーリーに伴うクエストがクリア済みなので,クエストがなくてレベル上げが大変になりませんか。
岩原氏:
本作では,ストーリーをクリアして得られる経験値は,それほど多くないんですよ。
前田氏:
あとは,ソウルに紐付いた「倉庫」があります。キャラクターがロストしたとき,持っていた装備は失われますが,倉庫にストックしておいたアイテムは失われません。そうやって残しておいた強い装備を使って次々にモンスターを倒したほうが,レベルアップは早いですね。
4Gamer:
装備にレベル制限はないんですか?
前田氏:
レベルやソウルランクで制限のある装備もあれば,制限されていないものもあります。
4Gamer:
しかし,レベル1のキャラクターが村正やカシナートを装備できるわけじゃないですよね。
岩原氏:
倉庫にはお金も預けられますし,同じロングソードでも店売りのものとダンジョンで手に入れたものでは能力が違ったりします。そういう意味では,一番最初に作ったキャラクターよりも確実に強い状態で始められますから,想像するよりもかなり楽なはずですよ。
前田氏:
プレイヤー自身も,ある程度はゲームの進め方を理解していますしね。
4Gamer:
それは確かにそうですね。……あ,話がちょっと食い違ってる理由が分かりました。昨今のオンラインRPGは,クエストを進めてレベルを上げるのが一般的ですよね。だからそういう前提で話してしまったんですけど,Wizardry Onlineは,そういうタイプではない,と。
岩原氏:
そうですね。戦闘で敵を倒して経験値を稼いでいくタイプです。
4Gamer:
Mob狩りで黙々とレベルを上げられる?
はい。あとWizardry Onlineの場合,クエストは2種類あって,一つはメインストーリーを追いかけるものです。そしてもう一つは「ミッション」と呼ばれるもので,こちらは「このモンスターを何匹倒して来い」といった内容となっており,これは繰り返し何度も挑戦できます。
前田氏:
もちろんミッションを受ける受けないは,プレイヤーの自由です。受けないまま,普通にモンスターを倒して育成することもできます。
岩原氏:
ともあれ,メインのストーリーは世界観をなぞっていくようなもので,「冒険の裏側で,世界はこんなになっていました」といった内容ですから,キャラクターの成長に大きく関わる存在ではありません。繰り返し挑戦できなくても,キャラ育成において問題はないです。
まあクエストによっては,「ウチの飲んだくれの亭主が迷宮に行ったまま帰って来ない。何とかしてくれ」と頼まれて,行ってみたら……というものもありますが。
4Gamer:
そういう場合洋ゲーだと,現場に行ったらたいてい亭主の死体が転がってますよね(笑)。
岩原氏:
ええ,そういう展開もあります。そういう意味では,洋ゲーっぽい要素のほうが強いかもしれませんね(笑)。
とはいえ,グラフィックス面はもっと力を入れたい部分ではあります。その代わり,ゲーム面に特化してこだわっていますから,やり込んだ結果,飽きてしまうようなことはないんじゃないでしょうか。遊べば遊ぶほど,次々に「こんなこともできるんだ」という部分が見つかるはずです。
キャラクターロストの真実その2:
「魂の天秤」によって
ロストするかどうかはプレイヤー次第
4Gamer:
さて,キャラクターロストが本作の重要な要素だというのは分かりますが,実際ロストしてしまったとき,モチベーションを維持するのが大変になりそうです。というか,高レベルでロストしたら,普通に考えたらゲームやめますよ。ほかに遊ぶ作品は山ほどありますし。
岩原氏:
おっしゃることはよく分かります。
4Gamer:
なので,Wizardry Onlineのサービスが続いてほしい私としては,逆にそのシステムに反対なんです。そのリスクを背負ってまで入れるシステムではありません。入れるにしても,かつてのリセット技のような「救済措置」を作るべきです。
いろいろな質問の前に大前提を聞いておきたいのですが,そもそも,本当にロストするんですか?
岩原氏:
するかしないか,という話であれば,ロストはします。本当にロストしたときは,「LOST」の表示になったキャラクターをプレイヤー自身が消すという悲しい作業が待っているだけです。
発表会でも,大御所の遠藤雅伸さんが「リセットボタンは必要」と発言していましたが,実際,社内でも常に議論がありますし,ここは葛藤する部分ですね。
4Gamer:
本当の意味でのコアプレイヤーであれば,ロストを含めて楽しめるのかもしれないし,ロストしない仕様ではWizardryとは違うと感じるかもしれません。
しかし今回はターゲットがコアWizファンということですし,おそらくはその多くは30〜40代でしょう。無限に時間があるように思っていた学生のころであればいざ知らず,ちまちまと何か月もかけて育てたキャラクターがロストしたときに,果たしてその先を続けるモチベーションを保てるのかという疑問が生じます。
あとそもそも,これは調査したわけじゃないので体感に過ぎないんですけど,本当に「ロスト」させながらWizardryをプレイした人って,どれくらいいるんでしょうか。自分も含めて,正直怪しいと思っています。どこかにフォローアップする手段が必要に思えるのです。
岩原氏:
そこまで熱く語られてしまっては,言っていなかった情報を言うしかなさそうですね。
……実は,ロストするかしないかは,プレイヤー次第なんですよ。
4Gamer:
そりゃそうでしょう,と一瞬思ってしまいましたが,違う意味っぽいですね。……プレイヤー次第,といいますと?
岩原氏:
本作では,キャラクターが死または灰の状態になると,「魂の天秤」というシステムが呼び出されます。
4Gamer:
お?
岩原氏:
このシステムは,キャラクターの魂と引き換えに(ゲーム内の)お金やアイテムを犠牲にすることでロストの危険を回避できるというもので,具体的には蘇生率を変化させます。蘇生率は画面に表示されますから,100%になるまで手持ちのアイテムなりお金なり何でもかんでも捧げれば,キャラの消失を避けることは可能なのです。逆にお金や装備を失いたくないという人は,低い確率のまま蘇生に挑戦することもできます。
つまり,常に蘇生率を100%に保つことは可能なんですよ。その代わり,対価として何かを失うわけです。むろん,レベルが上がれば上がるほど,100%に近づけることが大変になってきますけど。
4Gamer:
蘇生100%は,旧Wizardry的には邪道ですけどね(笑)。まぁでもそれならだいぶ安心しました(*)……野暮ったい質問なんですが,魂の天秤を前にして,ゲーム内通貨もない,アイテムもないという場合に,リアルマネーを使うことはできますか? その場で蘇生率をリアルマネーで買うような。
(*)クラシックWizardryに「100%」の確率はない。20面ダイスを振ってアクションの成否を決めて,1であった場合を無条件で失敗とした名残で,多くのものの成功率は,最大95%である。
前田氏:
今のところ,できません。将来的には,何か用意するかもしれませんが。
岩原氏:
うーん,ロストしたキャラクターを復活させる有料アイテムを用意するようなことが,ある意味,リセットボタンにあたるのかと考えていたのですが,それよりも天秤にリアルマネーを使う方が分かりやすいですかね?
4Gamer:
ええと,私個人の見解に過ぎませんが,「一度ロストしたキャラクター」は絶対に復活させるべきじゃないと思うんです。なので,そういう有料アイテムは反対です。そのロストか否かは個人の意志にある程度委ねられるべき選択であって,今のお話のように,ロストの前に「天秤」があって,そこでどうにかして100%の蘇生率にできる(=プレイヤーの絶対にロストさせたくないという意志が働く余地がある)のならば,そこにリアルマネーを突っ込んででも生き返らせたいと思う人も多いんじゃないでしょうか,と思いまして。というか,私は正直にそう思っていますが。
岩原氏:
なるほど……確かにそういう側面はあるかもしれませんねえ。参考にします。
ではせっかくですのでもう少し説明しておくと,まずキャラクターが死ぬと「魂」状態になります。その状態で誰かに蘇生呪文をかけてもらうか,魂状態でダンジョンの各地に設置された「守護者の像」と呼ばれる復活ポイントにたどり着くことで,魂の天秤を呼び出せます。
4Gamer:
そのあたりは一般的な仕様ですね。
岩原氏:
ところが。
4Gamer:
やっぱり……。
岩原氏:
魂状態では,ほかのプレイヤーやモンスターを素通りできるのですが,ダンジョンに1種類だけ,魂を浄化「してしまう」モンスターが存在します。そのモンスターに触れられると,魂は死体の位置まで戻されたうえ,魂のポイントのようなものが一つ減り,蘇生率も下がります。魂状態だからといって安心していると,どんどん蘇生率が下がってしまうかもしれないわけです。
4Gamer:
……まったくひどい仕様ですね(笑)。
岩原氏:
はい(笑)。逆に魂状態なら,死体と同一フロアであればどこにでも行けます。魂のうちに未踏エリアを探索する,といったこともできます。もちろん,常に魂を浄化されてしまう可能性が付きまといますが。
4Gamer:
ということは,レベル1で最初に死んで魂となって,さんざんフロア探索してから本格的に挑戦,なんてことも。
岩原氏:
不可能ではないですが,魂ではダンジョンの途中にある「ゲート」を越えることができないんです。
4Gamer:
あ,そうか。せいぜい途中までが限界ですね。残念。
ちなみに,魂じゃないと見えない幽霊のNPCやアイテムもあります。幽霊NPCがクエストを持っていることもあるかもしれません。
4Gamer:
おお? それはまた洋ゲーっぽい凝った作りですねえ。魂状態に価値を持たせるのは面白い試みです。
岩原氏:
まあ,魂状態でキャラクターの死体をクリックすると守護者の像までワープできるのですが,そうすると今度は装備が破損するんです。
前田氏:
破損度が上がるだけで装備自体が失われることはありませんが,結構な度合いで壊れます。そしてお約束ですが,序盤は修理代も馬鹿になりません。
岩原氏:
普通に戦っているだけでもボコボコ破損度が上がりますから,もちろん壊れるまでに得られる儲けから考えるとかなり安めのバランスですが,結構お金がかかるんですよ。
4Gamer:
まぁそんな気はしてましたが。
岩原氏:
……そういえば常々思っているんですが,スライムがお金を持っているのって変ですよね。
4Gamer:
ええ。クリーピング・コイン(※)ならともかく。
(※)ただのコインの山のモンスター。コインなのに火を吐くが,非常に弱い。忍者で攻撃するとたまに首を刎ねる。……首?
岩原氏:
そこでWizardry Onlineでは,モンスターがあまりお金を落とさない仕様にしました。その代わり,アイテムがたくさん出ます。
4Gamer:
ジャンクアイテム?
岩原氏:
ええ。壊れた剣のような,ジャンク品を街に持って帰って,それを換金するわけですね。
むろんインベントリは有限ですから,ジャンク品でいっぱいになったら一度街に帰って換金するなり,処分するなりしなければなりません。そのあたりが冒険の一区切りとなることでしょう。
4Gamer:
そうやって,定期的な帰還を促す,と。
岩原氏:
ジャンク品とはいっても,鑑定してみたら非常にいいアイテムだったということもありますし,金銭的な価値はゴミみたいなものでも,魂の天秤にかけてみたら「非常に重い」アイテムで,蘇生率がハネ上がる……こともあるかもしれません。まあ,いろいろ自分で試してみてくださいということで。
4Gamer:
そのあたりの探索と究明は楽しそうですね。
岩原氏:
要するに,本当の意味でロストすることは,それほど多くないんですよ。蘇生率20%,しかし何もかけるものがない……という状態までいくと,ロストしてしまうことはあるかもしれませんが。
たとえPKされて死んでも,そこから復活するかどうかはプレイヤー次第なんですね。PKされるようなところにいた自分も悪い,と。
PKは犯罪なので衛兵に見つかると牢獄へ
しかし衛兵のいない場所なら罪に問われない
4Gamer:
また重要なトピックが出ました。それではPKについて教えてください。今のお話からすると,PK可能な場所と不可能な場所があるということですよね。
岩原氏:
PKはどこでもできます。ただし,街中でやると衛兵がすっ飛んでくるので,狙った1人を倒す前に牢獄にぶち込まれるかもしれません。
4Gamer:
かつての「Ultima Online」のように,見つからなければOK?
岩原氏:
ええ。そしてダンジョン内には衛兵がいないので,PKが発生する可能性が高いです。
4Gamer:
ダンジョンはMOタイプという発表でしたが,自分やパーティメンバー以外のプレイヤーがいる可能性もあるということですね。プチMMOでしょうか。
前田氏:
ええ。ダンジョンはMOというより,人数が制限されたMMOタイプといった方が近いですね。MOタイプといってもインスタンスダンジョンとは違い,完全にクローズドな状態にはできないんです。
岩原氏:
一つのダンジョンに30人前後が入れますから,4人パーティなら6〜7組くらいはいてもおかしくないです。
ただ,ゲームを進めるほど階層が分かれるので,ほかのパーティと遭遇する可能性はグッと低くなります。そういう状態で仮にほかのパーティと出会ったら,互いに身構えるでしょうね。「こいつらPKかもしれない」って。
4Gamer:
“赤ネーム”みたいに,外から見てPKかどうか判断できる基準はありますか。
前田氏:
犯罪者は赤ネームというかキャラ表示自体が赤になりますよ。ただしダンジョン内には衛兵がいないため,いくらPKをしても犯罪にはなりません。
4Gamer:
なるほど。ダンジョン内でPKをするぶんには,赤ネームにならないんですね。
ちなみに犯罪者になった場合,街には入れるんですか?
岩原氏:
犯罪者が街に入ると,衛兵に追いかけられることになり,捕まれば牢獄に入れられます。
しかし犯罪者のために「スラム街」が用意されています。ここには衛兵がいないので,スラム街の中は赤ネームの犯罪者ばかりになることでしょうね。
4Gamer:
UOのバッカニアーズ・デンみたいだ。
前田氏:
犯罪者を示すポイントは時間の経過で減少するので,ゼロになるまでスラム街で息を潜めていれば,また普通の街にも入れるようになりますよ。
岩原氏:
犯罪者同士のPKなら罪に問われませんから,そこで殺し合いが発生することもあるでしょうね。
4Gamer:
本作でPKをするメリットは何でしょう?
岩原氏:
PKした相手の所持品や装備をルートできます。ただルートは一つ一つにとても時間がかかる――少なくとも1個1分とか――仕組みなので,すべての所持品が一瞬で奪われるということはありません。PKされた側も,そのあいだに蘇生するとか,助けを呼ぶなどの対抗手段を取ることができます。
4Gamer:
装備の良し悪しは外見上で分かるものですか? それが分からないと,一か八かのPKじゃリスクが大きすぎるといいますか。
岩原氏:
ある程度,外見で判断できますよ。ただ,PKしてルートしようとインベントリを開くと,アイテムの種類は判別できても詳細までは分からないようになっているんです。
4Gamer:
……? あー,なるほど! 「?剣」とか「?鎧」とか?
岩原氏:
ええ,まさにそんな感じです。先ほど話したとおり,アイテムのルートには時間がかかりますから,カシナートの剣を持ってたので期待してKillしてルートしたらダミーのロングソードだった,なんてこともあるでしょう。
まあPKについては,いろいろ成立させるべく画策しているのですが,実際に機能するかどうかは,正直分かりません。
前田氏:
こればっかりは,実際にプレイヤーの動向を見て,微調整していく必要があります。
4Gamer:
微調整で済みそうですか?
岩原氏:
具体的に決まりを増やしたりすることも考えられますね。
前田氏:
ただし,PKシステムを完全に撤廃するようなことは考えていません。
4Gamer:
しかしわざわざWizardryの名を冠したゲームにPKを入れる必要性ってあったんでしょうか。
岩原氏:
別にプレイヤーを殺せるシステムが入れたかったわけではなく,「ハードなゲームである」ことの演出の一つなんですよ。Wizardryって,迷宮の中に人型のモンスターってたくさんいたじゃないですか。
4Gamer:
……なるほど。なんか分かった気がします。
岩原氏:
そう,言うならば「高度なAIを持った人型のモンスター」を表現するためのPKシステムなんです。Player Killできる部分はオマケと言ってもよいかもしれません。
4Gamer:
うーん,確かに「超強いNPC」だと思えば,そんなに変じゃない……かな。ルートするときにアイテム詳細は分からないっていうのも,なるほど,そういうところからきてるんですね。
岩原氏:
ええ。まぁ殺すほうも殺されるほうもプレイヤーさんなので,いろいろとシステムで縛らないといけないんですけどね。
というわけで犯罪者へのペナルティとしては,映画「バトルランナー」のようなものを考えています。犯罪者は,牢獄から10分に1回,専用のダンジョンに送られて処刑人から逃げなければならない,みたいな感じですね。そこで死んでしまうと,灰になったりロストしたり。捧げるアイテムがないですから,低い蘇生率で天秤に挑むことになるわけです。
前田氏:
PKと,それに伴うルートの最も大きなメリットは,より強い装備を手に入れられることでしょうね。もちろん自分で探してもいいのですが,他人から奪うという手も用意しておきたかったんです。
岩原氏:
これ見よがしに村正を装備していると,PKに狙われる可能性が高まるわけですよ。
4Gamer:
さすがに村正持ちだと返り討ちに遭いそうな気も。武器やレベルによっては首まで刎ねられたりとか。
ああ「首を刎ねる」といえば,Wizardry Onlineではクリティカルを食らうと首がボトッと落ちるんですよ。また大きな剣などでとどめを刺すと,胴体が真っ二つになったりもします。
4Gamer:
……CERO Zですね。しかしよく考えたら,そこまで表現したWizardryって,実は初めてな気がします。
岩原氏:
ええ,まぁPCゲームじゃないと難しいですけど,まあ,ゲーム内に登場するキャラクター達は人間じゃありませんということで! 「ヒューマン」も,ヒューマンという名の架空の種族なんです!
4Gamer:
昔プレステ版のDOOMでそう叫んでた人がいましたが,通用しますか,それ(笑)。
岩原氏:
やるしかありません……。
とにかく,「これをやれば面白いんじゃないか」という部分はたくさん用意しています。
4Gamer:
面白い要素といえば,そういえばさすがに「生産」という要素はなさそうですね。
岩原氏:
今はないですね。でも「強化」がありますよ。
4Gamer:
えー……。
岩原氏:
なんかガッカリしたような顔してますね。
4Gamer:
いや「アイテム強化」っていう要素が面白かった試しがないので……。
ちょっとじゃあ細かく説明します。
まず強化には「鍛錬」「ジェム」という2種類の方法があります。「鍛錬」は,たぶんみなさんが想像するとおりの強化で,成功するとアイテムが+1,+2……と強くなっていくものです。最大+10までいきますが,+3以降は失敗する可能性が出てきて,失敗するとアイテムごと消滅します。
4Gamer:
それできっとアレですよね。強化しやすくなる課金アイテムとかが。
岩原氏:
課金したから成功率が100%になる,というものはさすがにありません。別な方向で「鍛錬に失敗してもアイテムが消失しない課金アイテム」も考えていますけど。
4Gamer:
ん……でも課金すれば強化しやすくなるわけですね。うーん,さすがに「コア」を標榜するWizardry Onlineにはそぐわない仕様に思えるんですが。
岩原氏:
しかし,通常ゲーム内で手に入れることができる鍛錬アイテムのほうが高い成功率ですし,さらに,ボスやその他強いモンスターからレアドロップする上等な鍛錬用アイテムのほうが,成功率はもっと高いんです。
4Gamer:
なるほど。課金すれば鍛錬はちょっとは進むけど,ゲーム内で入手できる鍛錬アイテムのほうが遙かに強力であり,課金では「アイテム消失」を避けるという方向で大いに使われることを想定している,と。
岩原氏:
はい,そういう感じです。
ゲーム内で入手できる鍛錬アイテムは,どう考えてもなかなかプレイヤー同士での売買がなさらず,人の手には回らないだろうから,そこを補うための課金用アイテムという位置づけです。
4Gamer:
それならちょっと納得できます。
しかしそれ,なんでもかんでも鍛錬できるんですか? 例えばムラマサとかエクスカリバーとか。
岩原氏:
いえ。ゲーム内で「Legend」というジャンルに列せられるアイテムは鍛錬できないという方向で今は考えています。それ単体で十分強いものですから。
4Gamer:
なるほど。ではもう1種類の「ジェム」というのは。
岩原氏:
まぁ名前でなんとなく想像できるかもしれませんが,宝石を埋め込んでアイテムを強化するシステムです。
店売りのアイテムにはないのですが,ダンジョン内でドロップしたアイテムには「ジェムソケット」という埋め込み穴が,最大で三つまで付いている可能性があります。それぞれのソケットには3つの形があって,その形にあったジェムを取り付けることで,武器に様々な効果を付与できるようになります。
4Gamer:
例えばどんな効果があるんでしょうか。
岩原氏:
ヒットポイント+とか,属性強化とか,MP増加とか,あと状態異常にしたり異常状態への耐性を付けたり。
4Gamer:
それは,あとになって「こっちを付けたいなー」って思ったときに取り外しできますか?
岩原氏:
ジェムは破壊してソケットを空にすることができるので,再度付け直すことが出来ますよ。
4Gamer:
ジェムそのものはドロップのみなんですよね。
岩原氏:
そうですね。ドロップで完全なジェムを入手できることもありますし,かけらを拾い集めて一つのジェムにすることもできます。
4Gamer:
ドラクエ7の石版みたいな?
岩原氏:
まぁそんな感じです(笑)。
鍛錬とは違って,好みに応じて武器/防具にアレンジを加えられる重要な要素なので,アイテム探しやレベルアップだけでなく,ジェム探しもダンジョンに潜る楽しみの一つになると思いますよ。
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