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テストレポート
モンハンワイルズを快適にプレイできるGPUはどれだ? 新旧25種類のグラフィックスカードでベンチマーク対決してみた
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そこで本稿では,カプコンが公開した無料の公式ベンチマークソフト「モンスターハンターワイルズ ベンチマーク」(以下,モンハンワイルズ ベンチ)と,グラフィックスカード25製品を使い,どのGPUなら快適にプレイできるかを確認してみたい。
カプコン内製のREエンジンを使用。各社の超解像度技術にも対応
モンスターハンターワイルズは,ゲームエンジンに同社独自の「REエンジン」の最新版を採用する。これは「バイオハザード RE:4」や,シリーズ前作である「モンスターハンターライズ」などを踏襲したものだ。使用するグラフィックスAPIはDirectX 12で,美しいグラフィックスを実現している。もちろんモンハンワイルズ ベンチも,グラフィックス周りの仕様は,ゲーム本編と同じだ。
さらに,モンハンワイルズ ベンチでは,NVIDIAの超解像度技術である「DLSS 3.7」に対応しており,GeForce RTX 50シリーズやGeForce RTX 40シリーズを使用すると,フレーム生成も利用可能だ。ただ,GeForce RTX 30シリーズまでのGPUはDLSSフレーム生成は利用できない。
また,AMDの超解像度技術である「FidelityFX Super Resolution 3.1」(以下 FSR 3.1)や,Intelの超解像度技術の「XeSS 1.3」にも対応。FSR 3.1を選ぶと,Radeon RX 6000シリーズ以降のGPUや,AMD製以外のGPUでもフレーム生成を利用可能だ。各社の超解像度技術を積極的に利用する点は,今どきのPCゲームらしいポイントと言えよう。
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ベンチマークは,主に4つのパートで構成されている。最初はゲーム本編冒頭部のカットシーンから始まり,続いて「セクレト」に騎乗して「隔ての砂原」を移動するシーンへと続く。そして「風音の村 クナファ」を散策するシーン,最後に食事をするシーンで終わる。ベンチマーク実行中の画面にはフレームレートがリアルタイムで表示され,それに合わせてスコアと平均フレームレートが変動していく仕組みだ。
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なお,全体で6分弱と比較的長めのベンチマークが終了すると,総合スコアと平均フレームレートが表示されるが,最小フレームレートや1パーセンタイルフレームレートは測定されない。
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なお,カプコンによるスコアに対する指標は,以下のとおり。
- 20000以上:非常に快適にプレイできます
- 13000〜19999:快適にプレイできます
- 10250〜12999:問題なくプレイできます
- 7000〜10249:設定変更を推奨します
- 5200〜6999:設定変更が必要です
- 5199以下:動作困難です
この指標どおり,快適にプレイするためには1万3000以上が必須で,ハイエンド市場向けGPUであれば,2万以上を目指したいところだ。
レイトレーシングやフレーム生成を有効にしたスコアも確認
それではテスト環境について説明していこう。冒頭でも述べたとおり,25製品のGPUでモンハンワイルズ ベンチを実行する。テスト環境は表のとおりで,テストするGPUには,現行世代とひとつ前の世代を選んだ。GeForce RTX 50シリーズだけは,出たばかりということで,現行世代にはGeForce RTX 40シリーズを選んでいる。
CPU | Core i9-14900K(P-core 定格クロック3.2GHz, |
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マザーボード | ASRock Z790 Steel Legend Wi-Fi (Intel Z790, |
メインメモリ | Corsair VENGEANCE RGB DDR5 (DDR5 |
グラフィックスカード | GeForce RTX 5090 Founders Edition (グラフィックスメモリ容量32GB) |
GeForce RTX 5080 Founders Edition (グラフィックスメモリ容量16GB) |
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Gainward GeForce RTX 5070 Ti Phoenix (GeForce RTX 5070 Ti,グラフィックスメモリ容量16GB) |
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GeForce RTX 4090 Founders Edition (グラフィックスメモリ容量24GB) |
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GeForce RTX 4080 SUPER Founders Edition (グラフィックスメモリ容量16GB) |
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GeForce RTX 4080 Founders Edition (グラフィックスメモリ容量16GB) |
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Palit Microsystems GeForce RTX 4070 Ti Gaming OC (GeForce RTX 4070 Ti,グラフィックスメモリ容量12GB) |
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GeForce RTX 4070 SUPER Founders Edition (グラフィックスメモリ容量12GB) |
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GeForce RTX 4070 Founders Edition (グラフィックスメモリ容量12GB) |
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GeForce RTX 4060 Ti Founders Edition (グラフィックスメモリ容量8GB) |
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MSI GeForce RTX 4060 VENTUS 2X BLACK 8G OC (GeForce RTX 4060,グラフィックスメモリ容量8GB) |
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Palit Microsystems GeForce RTX 3090 Gaming OC (GeForce RTX 3090,グラフィックスメモリ容量24GB) |
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GeForce RTX 3080 Ti Founders Edition (グラフィックスメモリ容量12GB) |
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GeForce RTX 3080 Founders Edition (グラフィックスメモリ容量10GB) |
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GeForce RTX 3070 Ti Founders Edition (グラフィックスメモリ容量8GB) |
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GeForce RTX 3070 Founders Edition (グラフィックスメモリ容量8GB) |
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ZOTAC Technology ZOTAC GAMING GeForce 3060 Twin Edge OC (GeForce RTX 3060,グラフィックスメモリ容量12GB) |
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Palit Microsystems GeForce RTX 3050 StormX OC (GeForce RTX 3050,グラフィックスメモリ容量8GB) |
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Radeon RX 7900 XTリファレンスカード (グラフィックスメモリ容量20GB) |
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Radeon RX 7800 XTリファレンスカード (グラフィックスメモリ容量16GB) |
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ASUS TUF Gaming RX 7700 XT OC Edition (Radeon RX 7700 XT,グラフィックスメモリ容量12GB) |
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Radeon RX 7600リファレンスカード (グラフィックスメモリ容量8GB) |
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Radeon RX 6800 XTリファレンスカード (グラフィックスメモリ容量16GB) |
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Radeon RX 6800リファレンスカード (グラフィックスメモリ容量16GB) |
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MSI Radeon RX 6600 XT GAMING X 8GB (Radeon RX 6600 XT,グラフィックスメモリ容量8GB) |
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ストレージ | CFD CDDS-M2M1TEG1VNE(NVMe,1TB) |
電源ユニット | CoolerMaster V1200 Platinum(定格1200W) |
OS | Windows 11 Pro 24H2 |
チップセットドライバ | Intel チップセットINFユーティリティ |
グラフィックスドライバ | RTX 5070 Tiのみ:GeForce 572.43 Driver |
それ以外のGeForce:GeForce 572.24 Driver | |
Radeon:AMD Software: Adrenalin Edition 25.2.1 |
使用したグラフィックスドライバは,GeForceが「GeForce 572.24 Driver」と,Radeonは「AMD Software Adrenalin Edition 25.2.1」だ。GeForce Driverは最新版ではないが,これはテストを行った時期によるものだ。また,「GeForce RTX 5070 Ti」)のテストを追加したため,RTX 5070 Tiだけドライバが異なる。
AMD Softwareは,テスト時点での最新版であると同時に,AMDがモンスターハンターワイルズへの対応を謳ったものだ。
さて,ベンチマークの設定だが,「Options」の「GRAPHICS」タブにある「グラフィックスプリセット」には「ウルトラ」「高」「中」「低」「最低」「カスタム」が用意されている。今回は,最も処理負荷が高いウルトラを選んだ。
なお,ウルトラプリセットではDLSSやFSRが有効になっている一方で,レイトレーシング(※グラフ内ではレイトレ)とフレーム生成は無効になっている。そこで今回は,以下の3パターンでベンチマークを実行した。
- ウルトラプリセット:レイトレーシング「高」,フレーム生成「オフ」
- ウルトラプリセット:レイトレーシング「高」,フレーム生成「オン」
- ウルトラプリセット:レイトレーシング「オフ」,フレーム生成「オフ」
なお,GeForce RTX 30シリーズではDLSSを使用するとフレーム生成が利用できない。そこでGeForce RTX 30シリーズに限り,フレーム生成をオンにする場合は,「アップスケーリング(超解像技術)」の項目を「AMD FSR」に変更している。
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先述のとおり,モンハンワイルズ ベンチでは1パーセンタイルフレームレートの類は測定していない。そこで,フレームレート計測ツール「CapFrameX」(Version 1.7.4)により,ベンチマーク実行中の1パーセンタイルフレームレートを測定した。CapFrameXが示す平均フレームレートと,モンハンワイルズ ベンチの結果で示される平均フレームレートはほぼ同等だったので,1パーセンタイルフレームレートも信用できると判断したわけだ。
選択した画面解像度は,3840×2160ドット,2560×1440ドット,1920×1080ドットの3種類。ただ,モンハンワイルズ ベンチでは,フルスクリーンモードがない。そのためWindowsのディスプレイ解像度をテスト解像度を変更したうえで,モンハンワイルズ ベンチの「スクリーンモード設定」から「ボーダーレスウインドウ」を選択している。
フレーム生成を利用するとスコアが低下
結果はフレームレートを重視したい
本稿のグラフ内では,モンハンワイルズ ベンチを「MHW ベンチ」と表記することを断ったうえで,テスト結果を見ていこう。グラフ1〜3は,ウルトラプリセットにレイトレーシング高設定を加えたスコアをまとめたものだ。モンハンワイルズ ベンチにおいて,描画負荷が最も高い状態のテスト結果と言っていい。
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3840×2160ドットで,スコア1万3000以上を実現するためには,GeForce RTX 40シリーズではRTX 4070が必要なのに対して,GeForce RTX 30シリーズはRTX 3080以上と,世代が古いほどハードルはかなり高くなっている。また,Radeonでは,RX 7800 XT以上にならないと1万3000を超えられない点も注目しておきたい。
スコアが2万を超えたのは,GeForce RTX 40シリーズはRTX 4080以上,RadeonはRX 7900 XTのみと,かなり限られる。
2560×1440ドットでは,RTX 3070で1万3000を超えており,RX 7700 XTやRX 6800でもスコアを2万を上回るなど,GPUに対するハードルはかなり下がった。
1920×1080ドットまで下げると,描画負荷はかなり減り,RTX 4060やRTX 3060,RX 6600 XTでも1万3000を超えてきた。モンハンワイルズに合わせてなるべく安価なGPUを選ぶのであれば,このあたりが妥当な選択肢になりそうだ。
また,価格対性能比という点では,1920×1080ドットでスコア2万超えを果たしたRTX 4060 TiやRX 7700 XTにも注目しておきたい。
グラフ4〜6は,ウルトラプリセットにレイトレーシング高設定での,平均フレームレートと1パーセンタイルフレームレートをまとめたものだ。
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平均フレームレートだけでなく1パーセンタイルフレームレートも,スコアをほぼ踏襲する形になっている。3840×2160ドットのGeForce RTX 50シリーズやRX 7900 XTの結果に注目すると,スコア2万以上という評価は,平均フレームレートが60fps以上で,1パーセンタイルフレームレートが40fps以上とほぼ同義であることが見えてくる。
また,スコア1万3000以上という評価は,3840×2160ドットのRTX 3080 TiやRX 7800 XTの結果からすると,平均フレームレートが40fps以上で,1パーセンタイルフレームレートが20fps以上であるようだ。
続いてグラフ7〜9は,ウルトラプリセット,レイトレーシング高設定の状態で,フレーム生成を有効にした状態のスコアとなる。
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ここで注目したいのは,フレーム生成を有効にすると,ほとんどのGPUにおいてスコアが下がっている点だ。最もスコアの落ち込みが大きいのはRTX 4060 Tiで,フレーム生成オフ状態と比べて,45〜53%程度まで下がっている。Radeon勢もスコアは下がっているのだが,その落ち込みは最大でも約30%であり,FSRのほうがスコアが下がりにくい印象を受ける。そうなると,2560×1440ドット以下であれば,RX 7900 XTがRTX 4080 SUPERやRTX 5080を超えた点は評価できる。
フレーム生成を行うことで,何か負荷が発生し,それでスコアが低下してしまうのもしれない。モンハンワイルズ ベンチにおいて,フレーム生成を有効にした状態でスコア指標を見ても,あまり意味がないようだ。
フレーム生成を利用している場合は,スコアよりも平均フレームレートと1パーセンタイルフレームレートを重視したい。グラフ10〜12は,ウルトラプリセット,レイトレーシング高,フレーム生成オンにした場合のフレームレートをまとめたものだ。
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グラフ4〜6と見比べると分かるが,多くのGPUで,フレームレートはきちんと伸びており,フレーム生成の効果が見て取れる。なかでもRTX 5090は,1920×1080ドットで平均フレームレートが1.9倍に上昇するなど,フレーム生成の効果はかなり大きい。
その一方で,RTX 4060 TiやRTX 4060,RTX 3050,それにRX 6600 XTなどでは,解像度によっては平均フレームレートが下がっている結果もある。とくにグラフィックスメモリ容量8GBのGPUでは,フレーム生成の効果があまり見られない。フレーム生成を利用するのであれば,グラフィックスメモリ容量にも注意が必要のようだ。
フレーム生成を有効にした結果は,Radeon上位モデルの伸びが優秀だ。とくにRX 7900 XTは平均フレームレートが1.8〜1.9倍も増えており,1パーセンタイルフレームレートも約2倍にまで向上している。とくに2560×1440ドットでは,エントリー以上向けのGPUであるRX 7600やRX 6600 XTでも,平均フレームレート40fps以上,1パーセンタイルフレームレート20fps以上を満たしている点は立派と言えよう。
そして,レイトレーシングもフレーム生成も使わない,ウルトラプリセットだけのスコアが,グラフ13〜15となる。
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レイトレーシングの負荷がないので,全体的にスコアが向上している。3840×2160ドットで2万を超えたGPUは,9製品もある。1万3000以上へ条件を下げると7製品が加わるので,このあたりが3840×2160ドットで快適にプレイできる線引きとなるだろう。また,1920×1080ドットでは,RTX 3050を除いたすべてのGPUが1万3000を超えているので,レイトレーシングを使用しないのであれば,GPUに対するハードルはかなり下がる。
グラフ16〜18は,ウルトラプリセットにおける平均フレームレートと1パーセンタイルフレームレートをまとめたものだ。
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おおむねスコアと似た傾向を示すが,平均フレームレートは110fps付近で頭打ちになるようだ。解像度が下がるにつれてGeForce RTX 50シリーズやRTX 4090の差はかなり縮まっている。そのため,1920×1080ドットではGeForce RTX 50シリーズの優位性はあまりなく,3840×2160ドットといった高解像度でこそ,強みを発揮できるわけだ。
最後にログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いて,ベンチマーク実行中におけるシステム全体の最大消費電力を計測した結果がグラフ19となる。
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RTX 5090が突出して900Wに迫る勢いを見せており,GeForceの上位モデルは700Wを超えるものも珍しくない。好成績を残している半面,消費電力もかなり大きい。
モンハンワイルズの描画負荷は相応に大きい。4KでプレイするならハイエンドなGPUが必須
テスト結果から分かるとおり,モンスターハンターワイルズを3840×2160ドットにおいて最高画質で快適にプレイするには,GeForce RTX 50シリーズを始めとした高性能なGPUを用意したい。しかし,2560×1440ドットや1920×1080ドットならば,そこまで高いハードルではないので,使用しているGPUに合わせて選択すれば十分プレイできるだろう。
また,フレーム生成を利用するとスコアが低下する点は,ベンチマークソフトでは指標を分けるといった改善を望みたい。ただ,フレーム生成の利用を前提とするのであれば,Radeonもひとつの選択肢として候補に挙がるだろう。
今回のテスト結果が,「モンスターハンターワイルズの発売に備えてPCをアップグレードしたい」という人の参考になれば幸いだ。
モンスターハンターワイルズ 公式Webサイト
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- ライター:宮崎真一
- テストレポート
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