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Intel,初の6C12TモデルなどノートPC向け第8世代Coreプロセッサを発表。デスクトップPC向け下位モデルの拡充も
- ノートPC向けH-Series:
Coffee Lakeマイクロアーキテクチャ採用。6コア12スレッド対応モデルを含む - ノートPC向けU-Series:
Coffee Lakeアーキテクチャ採用,初のTDP 28Wモデル - デスクトップPC向けS-Series:
Coffee Lakeマイクロアーキテクチャ採用。TDP 65Wの通常電力モデルおよびTDP 35Wの低消費電力モデル
ついに6コア12スレッド対応を果たしたCoffee Lake-H
というわけでまずは見どころの多いH-Series(以下,Coffee Lake-H)からだが,ノートPC向け初のCore i9となる最上位モデル「Core i9-8950HK」,そしてCore i7およびXeon E2000Mシリーズの合計5製品が6コア12スレッド対応となる。従来どおりの4コア8スレッド対応モデルも存在するが,これらもCoffee Lakeマイクロアーキテクチャを採用するということなので,6コア中2コアが無効になっている可能性はあるだろう。
具体的なラインナップは表1のとおりだ。
Intelは従来から「Turbo Boost Technology 2.0」(以下,TBT 2.0)を採用していたが,TVBは,TBT 2.0を前提としつつ,熱的条件が許す場合に最大クロックを1ビン(bin,クロック周波数の単位。Coffee Lake-Hの場合は200MHz)引き上げることができるそうだ。
Intelは「TVBで最大クロックに達する条件はCPUの温度」と明言していたので,ノートPC側の冷却能力によって最大クロックへ達する頻度は変わるということも十分に生じうる。
なお,表1に並べた7製品のうち,ゲーマー向けノートPCなどがターゲットになる一般向けは,Core i9-8950HKと「Core i7-8750H」「Core i5-8300H」の3製品。残る4製品は企業向けという扱いになる。
「Core i7-8850H」では「制限付きながらコアクロック倍率ロックフリーになっていて,高い性能を求める企業に最適」とIntelは述べていたが,「制限付きの倍率ロックフリー」が具体的にどういう意味かは明らかになっていない。
Xeonの2モデルはECCメモリに対応しており,信頼性が重視されるワークステーション用途に向くというのがIntelのスタンスだ。
Coffee Lake-Hで採用するのは(デスクトップPC向けCoffee Lake-Sと同世代になる)Intel 300シリーズチップセットだが,最新世代のモバイル向けチップセットでは従来よりも高いI/O性能を獲得できているという。
なかでも注目したいのは「PCI ExpressおよびThunderbolt 3のアクセス遅延低減」で,PCI Expressのアクセス遅延低減は,ゲーマー向けノートPCのような単体GPUを搭載するシステムで,「前世代と比べて極めて高いフレームレート」(Intel)を得るのに寄与しているそうだ。
また,Intel 300シリーズチップセットが無線LANコントローラ「Intel Wireless-AC 2x2 160MHz」に対応することも,I/O周りの強化としてIntelはアピールしていた。いわく,その帯域幅は1733Mbpsに達し,Intel製無線LANコントローラとして初めて1Gbps超えの帯域幅を実現できるとのことである。
TDP 28WモデルはU-Series初のCoffee Lakeに
最大の特徴は,長い呼称からも読み取れるとおり,統合型グラフィックス機能としてIrisブランド最上位の「Iris Plus Graphics」を採用するところ。Iris Plusシリーズということで,グラフィックス処理用の高速DRAM「eDRAM」をオンパッケージで組み合わせた実装となる。
なお,同じCoffee Lake世代ということもあって,300シリーズのチップセットに対応する点や,1733MbpsのIEEE 802.11acに対応する点などといったところは,Coffee Lake-Hと変わらない。ただし,Coffee Lake-HがサポートするTVBやPCI Expressの最適化をCoffee Lake-Uはサポートしない。
デスクトップPC向けCoffee Lake-Sプラットフォームでは下位モデルが登場
具体的なラインナップは表3,4のとおりで,CPUは「Standard Power」(標準電力版)となるTDP 60WモデルのCore i5が3製品,「Low Power」(低消費電力版)となるTDP 35WのCore i7・i5・i3が6製品だ。
「Core i7-8700T」はTDP 35Wながら6コア12スレッド対応となるので,マルチスレッド性能の高い低消費電力ゲームPCを作りたいと考えているユーザーの注目を集めそうである。
“下方向”に向けたCPUラインナップの拡充に合わせ,従来は「Intel Z370」しか選択肢のなかったCoffee Lake-S向けチップセットも新たに「Intel H370」「Intel H310」「Intel Q370」「Intel B360」の4製品が加わった。
残るIntel H310はかなり特殊な仕様なので,コンシューマ向けの小型PC向けに特化したものではないだろうか。
Optane Memoryは新たにDドライブ以降をサポート
Optane Memory関係でも大きなアップデートがあった。今回発表になったCoffee Lake世代のCPUはすべてがディスクキャッシュ用高速ストレージであるIntelの「Optane Memory」をサポートするのだが,(Intel H310を除く)Intel 300シリーズと組み合わせた場合,Dドライブ以降をOptane Memoryで高速化できるようになったのだ。
従来はCドライブのみが対象だったため,そもそもCドライブがSSDの場合は恩恵を受けられなかったが,ゲーマー向けノートPCで多く見られる「SSD+HDD」の構成では,Optane Memoryで高速化したDドライブにゲームをインストールすれば,ゲームデータの読み出し時間を劇的に速くできる,というわけである。
ちなみにIntelはこの拡張に合わせ,「第8世代CoreプロセッサとOptane Memoryを組み合わせたシステム」のための特別なバッジプログラムを開始し,普及を促す方針を明らかにしている。
具体的には,「+」(プラス)マーク付きの特別なバッジを対応システムに与えるとのことだが, Coffee Lake-H搭載のゲーマー向けノートPCで「+」バッジ付きの製品が出てくるのはまず間違いないだろう。
最後に,「第8世代Coreプロセッサ搭載のゲーマー向けノートPC」をいくつか写真で紹介しておきたい。ほぼ間違いなく日本でも販売されるはずなので,ゲームをノートPCでプレイしたい人達は,各社の動向を要チェックだ。
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Intel公式Webサイト
Intelのプロセッサ情報データベース(英語)
- 関連タイトル:
第8世代Core(Coffee Lake,Kaby Lake)
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