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  • 発表日:2009/09/23
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“アレ”はいつ? 新コンセプト「ミリタリークラス」を打ち出したMSIに聞く,2009年夏〜秋の国内グラフィックスカードロードマップ
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印刷2009/07/18 10:00

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“アレ”はいつ? 新コンセプト「ミリタリークラス」を打ち出したMSIに聞く,2009年夏〜秋の国内グラフィックスカードロードマップ

石岡宣慶氏(左)と陳 明期氏(右)
画像集#002のサムネイル/“アレ”はいつ? 新コンセプト「ミリタリークラス」を打ち出したMSIに聞く,2009年夏〜秋の国内グラフィックスカードロードマップ
 2009年6月に開催されたCOMPUTEX TAIPEI 2009で,新しいグラフィックスカード戦略を示し,同時に大量の製品展示を行っていたMSI。そんな同社であれば,2009年後半の市場動向もいろいろ知っていることだろうと,今回は同社の日本法人であるエムエスアイコンピュータージャパン(以下,MSI-J)に,直近の製品ロードマップを聞きに行ってきた。
 今回は,MSI-Jのマーケティング部 部長である石岡宣慶氏と,営業部 デスクトップソリューション営業課 課長の陳 明期氏から得られた情報をまとめてお伝えしたいと思う。


「Military Class」を国内展開するMSI

〜その定義を確認


Military Classのロゴマーク。グラフィックスカードの製品ボックスでアピールされることになる
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 COMPUTEX TAIPEI 2009のレポートでもお伝えしているとおり,MSIは今後,「Military Class」(ミリタリークラス)というキーワードを,大々的に訴求していく。
 Military Classは,極めて品質の高い部材を積極的に採用することで耐熱性を上げ,高負荷環境でも長期間に亘(わた)って安心して利用できることを謳うもの。米国防総省の定める,いわゆるMIL規格のうち,「MIL-PRF-39003L」に準拠するという。

 Military Classのキーワードは,以下の3条件を満たしたグラフィックスカードにのみ与えられるとのことだ。

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1.固体ポリマー電解コンデンサ(Hi-C CAP:Highly Conductive Capacitor)
 リーク電流の低さに定評のあるタンタル(Tantalum)を用いたコンデンサ。「搭載すなわちオーバークロック耐性の向上,というわけではないが,縁の下の力持ちとして,電源周りの安定化に寄与する」(石岡氏)。

2.SSC(Solid State Choke)
 高周波フィルタとなるチョークコイルを,鉄の中に埋め込んで固めたもの。物理的に振動がなくなるので,いわゆる「コイル泣き」がまったく発生しないほか,発熱も減るとされる。「同じ巻き数なら,通常のチョークコイルと比べて通過特性は37.5%高い」とは石岡氏の弁。オーバークロック耐性の向上に効果があるとのことだ。

3.アルミ固体電解コンデンサ(Solid Capacitor)
 低発熱,高効率で,破裂や液漏れの心配がないコンデンサ。各社のミドルクラス以上のマザーボードやグラフィックスカードで,最近は当たり前に搭載されているので,MSIの独自機能というわけではないが,「最近のトレンドを見るに,固体コンデンサにはせざるを得ない」(石岡氏)という。

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MSIによるMilitary Class製品の測定結果レポート
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Military ClassとMilitary Class Conceptの違い
 実際,MSI社内の内部検証でも,Military Classのグラフィックスカードでは,カードからGPUチップへ供給される電流の揺れ(=リップル,Ripple)がリファレンスデザインのカードよりも少ない,すなわち,安定した電圧供給がなされていることが確認できているという。

 陳氏いわく,「(グラフィックスカードは)これまで,搭載するクーラーで選ばれてきたが,これからはカードの品質で選ばれるようになる」。MSI-Jでは,今後同社が出荷していくグラフィックスカードのうち,ミドルクラス以上,かつオリジナルデザインの製品では,積極的にMilitary Class仕様を採用していく意向だ。
 なお,従来モデルや下位モデルでも,三つの条件のうち2.と3.をクリアしたものは「Military Class Concept」(ミリタリークラス コンセプト)として訴求されていく予定になっている。

左がMilitary Class,右がMilitary Class Concept仕様にそれぞれ準拠した製品の一覧。同一モデルナンバー内の最上位モデル「Lightning」など,アッパークラスの製品を中心に,Military Class準拠となる。従来製品も,多くがMilitary Class Concept準拠となるようだ
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高効率の電源回路「DrMOS」採用のシングルPCB版「GeForce GTX 295」搭載グラフィックスカード「N295GTX-2D1792」。Military Class仕様が謳われている
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直近のグラフィックスカードロードマップを確認

ATI Radeon HD 4770の状況,そして次世代GPUは?


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一般的なヒートパイプと比べて60%厚いSuperPipeでは,パイプ自体を使った熱移動も行われるという石岡氏の図示
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Cyclone,そしてすでに搭載製品が流通している「Twin Frozr」クーラーは,いずれもリファレンスクーラーよりも18℃前後“冷える”とのこと。冷却能力は同等で,前者はAMD製,後者はNVIDIA製GPU搭載製品で主に採用される
 直近のグラフィックスカード製品ロードマップも整理しておこう。
 まずAMD製GPU搭載モデルからだが,COMPUTEX TAIPEI 2009の会場で展示されていた,新型GPUクーラー「Cyclone」(サイクロン)搭載モデルが,7月末以降,順次登場の予定になっている。

 Cycloneは,「N285GTX SuperPipe 2G OC」などの限定モデルで採用されていた8mm径のヒートパイプ「SuperPipe」と,6mm径のヒートパイプ,そして100mm角相当のファンを組み合わせた大型のクーラーだ。
 一般に,ヒートパイプというのは,「(銅など)熱伝導製の高い素材を用いたパイプに,熱によって揮発しやすい液体を入れ,両端をそれぞれ加熱/冷却して,液体をパイプ内で循環させることにより,熱伝導性を上げる」目的で使われるが,SuperPipeでは,太くて厚い銅製パイプそのものの熱伝導性も利用し,冷却能力をさらに引き上げているという。

これはCOMPUTEX TAIPEI 2009の会場で展示されていた「R4890 Cyclone」
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 Cycloneクーラー搭載の第1弾製品は,「ATI Radeon HD 4890」搭載のクロックアップモデル,「R4890 Cyclone OC」。COMPUTEX TAIPEI 2009の会場では「R4890 Cyclone」として展示されていたが,実際には,クロックアップモデルとして,8月の登場予定となっている。
 ただし,それに先だって,Cycloneクーラーより若干小型の「Cyclone S」を搭載した「ATI Radeon HD 4870」搭載製品,「R4870 Cyclone S 1G」が,8月上旬にも国内市場へ投入される見込み。Cycloneシリーズの名を冠した製品としては,こちらのほうが先の発売となりそうだ。

R4870 Cyclone S 1Gは開発中ということで,今回はクーラーのみを写真で紹介。ご覧のとおり,Cyclone Sは,SuperPipe仕様ではないが,全体的な構造自体はCycloneを踏襲している。なお,右端に示したのは,COMPUTEX TAIPEI 2009で「R4870-MD1G」として展示されていたもの。最終製品のイメージはこんな感じかも
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 AMD製GPUといえば,深刻な品不足の続く「ATI Radeon HD 4770」(以下,HD 4770)も気になるところだが,陳氏は「8月には潤沢に流通するようになる」と断言。MSIオリジナルデザインの製品も,8月には出荷が可能になるという見通しを示す。
 また,COMPUTEX TAIPEI 2009の会場で展示していた,GDDR3メモリを組み合わせたHD 4770カードは,8月下旬以降に市場投入の予定という。

COMPUTEX TAIPEI 2009の会場で展示されていた,オリジナルデザインのHD 4770カード「R4770 Cyclone」(左)と,GDDR3メモリが組み合わされた「R4770-MD512/D3」(右)
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 そして,なんといっても気になるのが,AMDの次世代GPUだ。
 次世代GPUに関しては,海外を中心に,「『ATI Radeon HD以降の命名ルールにそのまま倣う形で,モデルナンバーが従来より1000引き上げられる』とは限らない」という噂が流れているが,この点について陳氏は,「そろそろ製品型番が最終決定しそうだ。ある程度は伝え聞いているが,まだ話せない(笑)」と,どちらとも取れる発言で含みを持たせていた。
 Windows 7のリリースをターゲットに,AMDも製品化を急いでいるはずなので,新シリーズのモデルナンバーや登場時期が明らかになるには,もう少しだけ時間が必要かもしれない。

直近のAMD製GPU搭載製品ロードマップ
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限定版のGTX 285「SuperPipe」第3弾を予定

GT 220&G210はサウンドコントローラ内蔵?


Twin Frozr搭載グラフィックスカードの例
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 NVIDIA製GPU搭載モデルでは,「GeForce GTX 285」搭載でSuperPipe採用の限定モデル「N285GTX SuperPipe 2G OC」に,限定版第3弾の用意があり,これは8月に市場投入予定。また,8月には,「(USB接続のオーバークロックツールである)『Air Force』と同じ機能をソフトウェアで実現する」(陳氏)という専用アプリケーションが付属した「GeForce GTX 275」搭載製品「N275GTX Lightning」と,本製品に「Air Force」を同梱した限定版,また,「GeForce GTS 250」搭載で,オリジナルの大型クーラーを搭載した「N250GTS Twin Frozr」も市場投入予定とされている。

直近のNVIDIA製GPU搭載製品ロードマップ。左がハイエンド,右がミドルクラス以下だ
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もともとのスライドが見切れており,かつ,デザインも崩れているため,見にくい点はご容赦いただきたいが,MSIはGT 220とG210搭載カードを準備中。このスライドだと8月以降の登場になっているが,実際には9〜10月になるとは陳氏の弁だ
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 陳氏はさらに,未発表のGPU,「GeForce GT 220」「GeForce G210」(以下,順にGT 220,G210)搭載のグラフィックスカードも,9〜10月頃の市場投入予定であると予告する。
 GT 220とG210は最近,NVIDIAの公式Webサイトで「OEM向け」とされつつ情報が掲載されたことで話題を集めた製品。NVIDIAのデスクトップPC向けGPUとしては初めて40nmプロセス技術により製造され,かつ,初めてDirectX 10.1対応を果たすと見られているが,MSIはそんな両GPUを,自作PC市場にも投入するというわけだ。

 陳氏によると,北米市場における搭載グラフィックスカードの店頭価格はGT 220が60ドル,G210が35ドルになる見込みで,順に「GeForce 9500 GT」,「GeForce 9400 GT」をそれぞれ置き換えるとのこと。また,「サウンドコントローラを内蔵する」(陳氏)そうで,あらためてNVIDIAが公開しているリファレンスカード(と思われる製品)のイメージを見てみると,たしかにS/PDIF入力コネクタは用意されていなかった。

NVIDIAが公開したGT 220(左),G210(右)搭載カードのイメージ。最近のGeForce搭載カードでおなじみのS/PDIF入力コネクタは搭載されていない
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 ……以上,この夏は端境期かと思いきや,MSIはなかなかに意欲的な製品ラインナップを用意しているようである。
 「DirectX 11時代が年内にも幕を開ける」といっても,DirectX 10すら主流とはなり得ていないこの状況で,一気にゲームタイトルの移行が進むとは思われない。それだけに,品質重視で,長く使えるグラフィックスカードを手に入れたいというのであれば,MSIの新製品を待ってみるのも悪くなさそうだ。


おまけ:P55マザーボード


 今回はグラフィックスカードの話をしに行ったのだが,「Intel P55 Express」(以下,P55)マザーボードも見せてもらえたので,最後に写真とスライドで紹介したい。

命名ルールの変更により「Platinum」「Diamond」といった表記はなくなったが,P55の最上位モデルとなるのが「P55-GD80」。PCHやDIMMスロット用の電源部にもDrMOSを採用する,ぜいたくなモデルだ。マザーボード上にある各コンポーネントの動作電圧をチェックできる「V_Check Points」(仮名)の搭載もポイント
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店頭価格で2万円を下回る主力製品と位置づけられるのが「P55-GD65」。P55-GD80とは異なるボード設計ながら,メイン電源部へのDrMOS搭載,動作電圧チェッカーの搭載など,機能面はかなり充実した印象だ
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ATXフォームファクタ採用モデルでは最下位に置かれる「P55-CD53」。ATI CrossFireX,NVIDIA SLIとも非対応だが,USBを中心に拡張性は低くない。また,オーバークロックツール「OC Genie」の搭載もトピックといえる
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microATXフォームファクタを採用しつつ,ATI CrossFireX,NVIDIA SLI両対応の「P55M-GD45」。USB周りの拡張性が極めて高い。なお,右に示したのは今回紹介した4製品が搭載するP55 PCHで,「B1リビジョン。製品ではB2になるはず」(陳氏)
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4製品の主なスペックをまとめたスライド。違いがよく分かる。マルチGPU構成を組みたいと思っている人にとって,右のスライドは必見だろう
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