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DHARMAPOINT初のゲーマー向けマウス「TACTICAL MOUSE」レビュー掲載
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印刷2008/08/05 18:44

レビュー

国内ブランド初のマウスは持ち方にハマるかがカギ

DHARMA TACTICAL MOUSE(DRTCM01)

Text by fumio

»  発売から半年。光学センサーを搭載したシリーズ第2弾製品の足音も聞こえてきたこのタイミングで,第1弾となるレーザーセンサー搭載モデルのレビューをお届けしたい。リフトオフディスタンス調整機能など,かゆいところに手の届く製品だが,fumio氏はどう見ただろうか。


DHARMA TACTICAL MOUSE(DRTCM01)
メーカー:DHARMAPOINT(シグマA・P・Oシステム販売)
問い合わせ先:シグマインフォメーションセンター 0120-917-498
実勢価格:7200〜8000円程度(2008年8月5日現在)
画像集#002のサムネイル/DHARMAPOINT初のゲーマー向けマウス「TACTICAL MOUSE」レビュー掲載
 2007年11月にシグマA・P・Oシステム販売のゲーマー向け周辺機器ブランドとして立ち上がった「DHARMAPOINT」(ダーマポイント)。「国内メーカー製のゲームデバイスブランド」というのはDHARMAPOINT以前から存在しているが,マウスやマウスパッド,キーボードなど,PCゲーマーを主なターゲットとしたブランドは皆無といっていい。新たにブランドを立ち上げてまで,本腰を入れて取り組んできたのは,シグマA・P・Oシステム販売が事実上,初めての例となるわけだ。

 そんな同社の第1弾製品となるレーザーセンサー搭載ワイヤードマウス「DHARMA TACTICAL MOUSE」(型番:DRTCM01,以下型番表記)を長期的に使う機会が得られたので,今回は,現役のゲームプレイヤーとして感じたことを忌憚なくまとめてみることにしたい。


日本人の手に合わせた小ぶりなデザイン

軽量で動かしやすいがデメリットも


4Gamerの比較用リファレンスとなるLogitech製マウス「MX510 Performance Optical Mouse」と並べてみると,その小ささがよく分かる
画像集#003のサムネイル/DHARMAPOINT初のゲーマー向けマウス「TACTICAL MOUSE」レビュー掲載
 海外メーカー製のゲーマー向けマウスは一般用途向けより一回り以上大きなものが多い。これは,主に欧米人の手にフィットするよう設計されているためだが,そのせいで,欧米人と比べて手のサイズが小さめな日本人からすると,持ちづらく感じられるケースが少なくなかった。

 この点DRTCM01は,国内メーカー発の製品ということで,サイズを小さくし,さらに本体側面を深くくぼませることで,手の小さい日本人でも扱いやすいようにデザインされている。
 また,ケーブル込みで110gという重さは,ゲーマー向けマウスとしても相当軽量な部類だ。ゲーム中の激しい動きに堪えられる小ぶりなマウスとなると,DRTCM01以前に選択肢はほとんどなかった。そういった現状に一石を投じたというだけでも,DRTCM01はたいへん重要な存在といえる。

ただ小型なだけではない。本体の左右側面は,えぐれるかのようにくぼんでおり,小さな手でもしっかりグリップできるようになっている
画像集#004のサムネイル/DHARMAPOINT初のゲーマー向けマウス「TACTICAL MOUSE」レビュー掲載 画像集#005のサムネイル/DHARMAPOINT初のゲーマー向けマウス「TACTICAL MOUSE」レビュー掲載

 ただ,「この形状こそが『最終回答』であって,すべての日本人ゲーマーに適している」かというと,さすがにそういうわけではなく,合わない人もいる。というか,残念なことに,筆者がその「合わない人」の一人なのだ。

再びMX510 Performance Optical Mouseと比較。マウスの背に手のひらを当てようとすると,“持ち上がった”メインボタン部がかなり窮屈になる
画像集#006のサムネイル/DHARMAPOINT初のゲーマー向けマウス「TACTICAL MOUSE」レビュー掲載
 先に掲載した別製品のレビュー記事でも触れているとおり,筆者は普段,手のひらをマウスの尻に乗せて深めに持つ,いわゆる「かぶせ持ち」をしている。しかも,親指と小指で本体両サイドを挟む(=中指をスクロールホイール,薬指を右メインボタンに乗せる)という,少なくとも多数派とはいえない持ち方をしているのだが,DRTCM01のような小型マウスでこの持ち方を試みると,相当深く握らなければ手のひらがマウスに触れず,かといって深く握ってしまうと,今度はボタン類の位置が手前すぎて,かなり窮屈に感じられてしまう。

本体右サイドの奥は,窪み(=カーブ)が強くなっている
画像集#007のサムネイル/DHARMAPOINT初のゲーマー向けマウス「TACTICAL MOUSE」レビュー掲載
 同じく「かぶせ持ち」で,本体両サイドを親指と薬指,小指の3本で挟む(中指を右クリックに乗せる),一般的な指の配置も試してみたが,これだとメインボタンやスクロールホイールを扱う指の窮屈さは解消するものの,今度は小指に窮屈さを覚えるようになる。手首側から見た右サイドの奥はカーブがきつくなっていて,指一本収めるのがやっとのため,このように感じられるのだろう。

 一方,手のひらをマウスに触れさせず,指先で本体中央付近をホールドすることの多い「つまみ持ち」だと,くぼみに指がほどよく収まって,俄然快適になる。DHARMAPOINTはDRTCM01を確かに「つまみ持ち」用としているが,「かぶせ持ち」が考慮されていないあたり,「『つまみ持ち』を推奨」というよりも「『つまみ持ち』特化型」として考えている,と述べるほうが正しそうだ。


採用する部品の品質は平均以上

とくにケーブルの完成度は秀逸


ボタンとチルトの完成度は「良好」と評していいレベルにある。ただ,本体右サイドの[MODE]ボタンは“誤爆”してしまいやすい
画像集#008のサムネイル/DHARMAPOINT初のゲーマー向けマウス「TACTICAL MOUSE」レビュー掲載
画像集#009のサムネイル/DHARMAPOINT初のゲーマー向けマウス「TACTICAL MOUSE」レビュー掲載
 本製品のファーストインプレッション記事で説明されているように,DRTCM01はスイッチ類にオムロン製品を採用しているが,さすがウリになっているだけのことはあって,ボタンのクリック感は上々。カチカチとしっかりした反応があり,「クリックしたつもりが失敗していた」などということはまったくなかった。
 チルト機能付きスクロールホイールの感触も,若干固めだが悪くない。Logitech(ロジクール)の「G5 Laser Mouse」から,ノッチとチルトを少し固くしたような感触である。

 一つだけ難点を挙げるとすれば,サイドボタンの反応が軽すぎる点だろう。
 とくに気になったのは,マウスを持ち上げるとき,本体右サイドのボタンに指が触れ,意図せず反応してしまうことが多々あったこと。ちょうど指の腹が当たる位置にボタンがあるため,「積極的に使おうと思ったときに押しやすい」といえばそのとおりなのだが,“押しやすすぎる”のも困りものといえる。専用ユーティリティソフト「ダーマコントロール」を使えば無効化できるので,大勢に影響ないといえばそれまでだが……。

ダーマコントロールの話が出たので軽く触れておくと,DRTCM01では4段階のcpi設定を最大3モード,本体に保存して任意に切り替え可能。左サイドボタンの近くにはcpiのレベルインジケータとなる4連青色LEDと,モードインジケータとなる緑/橙/赤LEDが埋め込まれている。詳細はファーストインプレッション記事を参照してほしい
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実に柔らかいケーブル。Logitech製マウスのそれにストレスを感じていたような人にとっては福音となるかも
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 また,ボタンやスイッチ類とは別に,ありがたかったのが,DRTCM01のウリの一つとなっている布巻きケーブルだ。Logitechなど,ほかのメーカーでもゲーマー向けマウスで同種のケーブルを採用した製品は少なくないが,DRTCM01は素材を生かした,非常に柔らかい仕上げが特徴。マウス操作によって曲がったケーブルが元に戻ろうとする反発力がプレイヤーの手元にまで伝わらないため,違和感なく操作できた。
 筆者は普段,ケーブルの反発力を緩和するためのケーブルアンカー(ケーブルホルダー)を使っているが,そういった製品を別途必要とさせないあたりは,国内ブランドならではの粋な計らいといえるかもしれない。


追従性能はまずまずだが

後部寄りのセンサー位置がネック


 このあたりでセンサーの話に入っていこう。テスト環境はのとおりとなる。

画像集#014のサムネイル/DHARMAPOINT初のゲーマー向けマウス「TACTICAL MOUSE」レビュー掲載

 DRTCM01はレーザーセンサーを採用しているため,端的に述べて,光学センサーを採用したゲーマー向けマウスと比べると追従性はやはり劣る。とはいえ,レーザーセンサー採用マウスのなかでは間違いなく上位の追従性は確保されており,よほど思い切り振って回したりしない限り,異常な挙動は示さない。中〜高センシティビティ設定のプレイヤーであれば問題なく使用できる範疇だ。

本体底面のデザイン。4か所に貼られたソールはPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製だ。つまりは「テフロン加工済み」である
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 むしろ筆者としては追従性能よりも,レーザーセンサーがマウス本体の中央よりやや後部に位置していることのほうが気になった。これは,本体中央付近でホールドする「つまみ持ち」ではなく,筆者のような「かぶせ持ち」プレイヤーで問題となりやすいのだが,ホールドする指よりもセンサーが手首側に来てしまうことで,手首や指先を使ったマウスの微調整が難しくなる。前出のとおり,「つまみ持ち」専用と考えればやむを得ないところだが,「かぶせ持ち」派としては残念というほかない。

 さて,ファームウェアV44から提供されたリフトオフディスタンスの調整機能にも触れておきたいと思うが,まずリフトオフディスタンスとは簡単にいうと,「センサーが設置面を認識しなくなる距離」のこと。これが短ければ短いほど,「マウスをパッドの端まで動かした後,持ち上げてパッドの中央に戻す」動作を小さくできる。持ち上げるときに生じる,ポインタのブレも軽減可能だ。このリフトオフディスタンスの短さを売りにしたマウスは過去にあったが,ユーザー側で自由に調整できるというのは,DRTCM01が初めてとなる。

ダーマコントロールのメインウインドウ。右上の[基本設定]ボタンを押すと,「設定」ウインドウが開く
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 リフトオフディスタンス調整機能を利用するには,対応するバージョンのファームウェアとダーマコントロールが必要だ。原稿執筆時点におけるダーマコントロールの最新版は,βリリースとなるVersion 2.08b。ファームウェアとダーマコントロールのアップデートは,製品マニュアルに従えば問題なく行えるので,とくに言及しないが,無事更新が終わると,ダーマコントロールの[基本設定]ボタンを押すことで開ける「設定」ウインドウから,リフトオフディスタンス調整機能を利用できるようになる。
 リフトオフディスタンスの調整は0〜5631(※単位は未公開)の範囲で1刻み。マウスの出荷状態では4638に設定されているという。スライダを動かし,[OK]ボタンを押せば適用されるという,実にお手軽な機能だが,だからといって極端な設定にすると,センサーがまったく反応しなくなるので注意が必要だ。試すときは,緊急時にすぐスライダを動かせるよう,予備のマウスを手元に置いておくことを勧めたい。

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「設定」ウインドウ。対応バージョンのファームウェアとダーマコントロールが導入されていれば,ここからリフトオフディスタンスの設定が可能になる
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「リフト機能をカット」のチェックボックスを外し,スライダを変更。最後に[OK]ボタンを押せば,設定がマウス本体に書き込まれて有効化される。極端に低い設定を行うと,容赦なく無反応になるので要注意

 とりあえず筆者の環境でいろいろな設定を試してみたところ,反応する距離は設定値によって確かに変わる。値を小さくすることで,持ち上げるときの“ブレ”が小さくなるのを確認できた。マウスパッドによっては調整次第で相性問題が緩和されることもあるので,お気に入りのパッドと相性があまりよくなかった場合は変更してみるのもいいだろう。
 実際に複数のマウスパッドで実際に試用した結果は下記のとおりだが,DHARMAPOINT製マウスパッドを含め,やや相性の悪い点が気になった。なお,テストは解像度2000cpi,レポートレート500Hzで行っている。


  • DHARMA TACTICAL PAD[HARD TYPE](DRTCPW40H):○(問題なし)
  • DHARMA TACTICAL PAD[SOFT TYPE](DRTCPW40S):△(DRTCPW40Hと比べネガティブアクセルが発生しやすい。リフトオフディスタンス設定値を下げるとさらに発生しやすくなる)
  • Icemat Purple 2nd Edition:×(一応認識するがリフトオフディスタンスを上げてもポインタがすぐ飛ぶので使用不可)
  • Razer eXactMat Control:△(ある程度高速に動かすと飛ぶ)
  • Razer eXactMat Speed:△(明らかに飛ぶことは少ないが,DRTCPW40H以上にネガティブアクセルが発生する)
  • Razer Mantis Speed:△(DRTCPW40Sに近いが,リフトオフディスタンスの調整を行ってもとくに挙動は変化せず)
  • SteelSeries QcK mass:○(問題なし)

 さて,DRTCM01を用いて「ロスト プラネット コロニーズ」(以下,LPコロニーズ)と「Warsow」をプレイしてみた。

画像集#019のサムネイル/DHARMAPOINT初のゲーマー向けマウス「TACTICAL MOUSE」レビュー掲載
 まずは普段どおりの「かぶせ持ち」を行ってみたが,これだとマウスを反対方向に切り返すときに一瞬もたついてしまうため,LPコロニーズはともかく,Warsowのような機敏なマウスさばきを要するゲームをプレイするのは困難だった。「かぶせ持ち」だと,センサー位置の都合上,肩&肘支点での操作をメインにせざるを得なくなり,どうしても反応が鈍くなるのだ。親指と小指のみで挟んで使用しても疲れを感じないほどの軽さは素晴らしいだけに悔やまれる。
 一方,「つまみ持ち」にしてみると,慣れない持ち方のためにaimはしづらかったが,激しくマウスを動かなければならないシーンでも指先で楽々切り返せるようになった。
 繰り返しになるが,DRTCM01は「つまみ持ち」でこそ真価を発揮するマウスと結論づけるのが正解だろう。


万人向けとまではいえないが

持ち方が合えばお勧めのマウス


製品ボックス
画像集#020のサムネイル/DHARMAPOINT初のゲーマー向けマウス「TACTICAL MOUSE」レビュー掲載
 まとめると,DRTCM01は全体の作りがたいへんしっかりしているうえに軽量で扱いやすく,センサーの性能も十分なものを持っている。使うかどうかはその人次第だが,マクロや解像度設定機能の充実も他社製品に引けを取らない。
 実勢価格が7200〜8000円程度(※2008年8月上旬現在)と安くはなく,また,「かぶせ持ち」派にはまったく合わないことを考えると,とにかく,自分のマウスの持ち方を確認することを勧めたい。「つまみ持ち」派には,十分にオススメできる製品だ。

 DHARMAPOINTは,DRTCM01と同じ筐体デザインを採用した光学センサー搭載製品も発表済みだが,こちらも大いに期待できそうだ。できれば次回以降は,「かぶせ持ち」派に向けた製品の発売もお願いしたいところである。
  • 関連タイトル:

    DHARMAPOINT

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