インタビュー
「Wizardry Online」サービスイン2周年記念インタビュー。2014年3月までのロードマップやその後の展開について運営開発のキーパーソンに聞いた
2013年12月は「大人の社交場」,2014年1月は「弓」を実装。気になるその実態は?
4Gamer:
それでは12月の予定を教えてください。
12月は,2014年2月以降に予定している新展開の導線がスタートします。2月以降のゲームの舞台となる「ハーサント連邦」がカオス(混沌)寄りの地域なので,その前振りとしてまず「大人の社交場」というコンテンツを入れます。
4Gamer:
カオスな社交場というと,あらぬ妄想が膨らむ人もいそうですが……。
岩原氏:
全貌はまだ明かせないのですが,まずはカジノ的なコンテンツを導入します。カオスかどうかという議論はあるかもしれませんが,少なくともロウフル(秩序)という感じではないだろうと。そしてゲーム内の動向を見ながら次の拡張をどうするか決めていく予定です。
4Gamer:
それでは,新アバターについて教えてください。
まだラフデザインですが,「エグゼキューショナー」ということで処刑人をイメージしたデザインになります。12月ということで普通はクリスマスですが,「Wizardry Online」にサンタの衣装を期待する人はそうそういないでしょうから,「黒いサンタにするか」などと考えているうちにこうなりました(笑)。
全体に近代的なイメージですし,とくに女性用はセクシー寄りですが,「Wizardry Online」っぽくは仕上がったかなと思っています。
4Gamer:
新たなボイスアバターも追加されるそうですね。
岩原氏:
今回は,声優の高山みなみさんと田中敦子さんにお願いしました。お二人のボイスアバターは期間限定での提供を予定しています。ボイスアバターはすでにかなりの数が揃っていますので,しばらく追加の予定はありません。何しろ,どなたにどんなキャラクターを演じていただくかじっくり考えなければなりませんからね。
4Gamer:
それでは年が明けて2014年1月,「弓」と「矢」が実装されるとのことですが。
岩原氏:
これまで装備画面にあった弓と矢筒の部分がようやく機能します。
弓はサブウェポン扱いで,基本的な動作は魔法と同じです。敵をターゲットして弓を引き,溜めて撃つ。魔法と違うのは,この溜めで,溜めた段階に応じて威力が上昇します。
そしてもちろん,攻撃には矢を使います。矢にはさまざまな種類があり,それぞれ特殊な効果を発揮します。とくにプリーストは刃物が使えないという設定ですから,先を潰したタイプなども用意します。
4Gamer:
プリーストの例が出ましたが,基本的には全職で弓を使えると考えていいですか?
西尾氏:
そうです。
4Gamer:
矢の種類はどのくらいあるのでしょう?
西尾氏:
いろいろ考えていますが,当初は数種類というところです。のちのち増やしていきます。
4Gamer:
矢は消費するタイプですか?
はい。1回撃つごとに消費しますので,適宜NPCから購入する必要があります。また一度撃った矢の回収はできません。
岩原氏:
弓はメインウェポンと違って次々に敵を倒せるというものではありませんが,使い方によって戦術の幅が広がると思いますよ。
設定上は,2月に実装する新しい地域の文化の一つとして,これまでになかった弓が先行して登場するというイメージです。
西尾氏:
まだ調整中なんですが,エルフが弓を使うときのモーションはなかなか格好よく仕上がっています。
また頑張れば偏向射撃などもできなくはないので,ひょっとしたら我々の思いつかないような効果的な弓の使用法も出てくるかもしれませんね。
岩原氏:
弓にはスキルこそありませんが,遠距離から先制攻撃できるというメリットがあります。そこを使えば,うまく立ち回れるでしょうね。
4Gamer:
期待が高まりますね。それではモンスター・アロケーション・センターの拡張について教えてください。
岩原氏:
実装したモンスター・アロケーション・センターに対して,プレイヤーの皆さんからさまざまなご意見をいただくと思います。このタイミングでは皆様のご意見をもとに,今まで以上に喜んでいただけるような拡張を行いたいと考えています。
分かりました。それでは,アバター「和風衣装(仮)」についてお願いします。
岩原氏:
これもラフデザインですが,ちょっと間違った和風というか,異界の東洋みたいな感じを狙いました。いくつかあった案の中には修験者風のものなどもあったのですが,結局,これに落ち着きました。実際にゲームのグラフィックスに落とし込むにあたっては,さらに調整が加わります。
2014年2月から3月の展開で新たな「Wizardry Online」の世界が広がる
4Gamer:
それでは,新しい地域の登場する2014年2月の予定を教えてください。
岩原氏:
新たな町「レーヴェンアンタイル」が登場します。この町はハーサント連邦の外れに位置しており,それほど大きくはないのですが,プレイヤーの新たな拠点となります。
ハーサント連邦は,砂漠の国で,これまでの地域よりも少し文明が進んでいます。蒸気機関などもあるので少しスチームパンクっぽい雰囲気があったり,音楽も中東風のものがあったりします。
4Gamer:
結構,雰囲気が変わりそうですね。
岩原氏:
はい。今後,都市部に行くほどスチームパンク色が強くなります。レーヴェンアンタイルはハーサント連邦の外れにあるので,歯車が目立つとかその程度なのですが,それでも新しい「Wizardry Online」の世界を楽しんでいただけるんじゃないでしょうか。
4Gamer:
新ダンジョンについても教えてください。
岩原氏:
まずゲートダンジョン「混沌のシュトラーゼ」は,レーヴェンアンタイルにたどり着くまでの間に配置してあります。このダンジョンは1本道なのですが,途中にたくさんのゲートがあり,それらをすべてクリアすると,晴れてレーヴェンアンタイルにたどり着けるわけです。難度としては,序盤は初心者でもクリア可能,中盤はパーティに中級者以上のプレイヤーが必要,最後までクリアするには上級者でないと無理という感じになっています。
また,このダンジョンは,レーヴェンアンタイルに着いたあとも進入可能ですから,手軽にゲート内のモンスターと戦える狩場になるんじゃないでしょうか。
4Gamer:
もう一つのダンジョン「ミスカトニック大学分校」はどうでしょう?
岩原氏:
「Wizardry Online」の設定上,現状実装されているの地域に「ミスカトニック大学」があるので,ハーサント連邦にはその分校を出してみようかと。何かの禁書など,クトゥルー神話をご存知の方であれば,予想できるようなものも登場する予定です。
西尾氏:
またこのタイミングから,上級者以外のプレイヤーであっても,ある程度は新ダンジョンを楽しめるようになります。
岩原氏:
これまでは新ダンジョンというと,実装時点での上級者向けという感じでしたが,中級者でもある程度遊べるようにしましょうと。
4Gamer:
ちなみに「ダンジョン難易度システム」というのは,何ですか?
岩原氏:
たとえば最初のダンジョン「カリグラーゼ下水道」は,クリアしてしまうともう行く必要がなくなってしまいますよね。そこで一度クリアしたダンジョンであっても挑戦できるよう,モンスターを強くし,経験値も多めに入手できるようにする仕組みを導入します。
4Gamer:
いわゆるハードモードみたいなイメージですか。
岩原氏:
はい。キャラクター育成の場として,既存のダンジョンを再利用していただこうと。
4Gamer:
モンスターが強くなるということですが,AIが賢くなったりしますか?
西尾氏:
今のところ,AIの変更は考えていません。基本的には攻撃力や体力などが高くなります。
岩原氏:
さらに2月には,西洋ドレス風のアバターを追加します。デザインの方向性は,お見せするラフのとおりですが,決まっているのは紫っぽい色味ということだけで,それ以外はここから変わる可能性もあります。
4Gamer:
分かりました。それでは2013年3月の予定を教えてください。
岩原氏:
ハーサント連邦に伝わる技術として,「ソウルパートナー」という新たなシステムが登場します。これは一般的なオンラインRPGでいうペットに近い存在で,エルフやドワーフなどの魂を借りて,プレイヤー自身にバフを付与したり,別の能力に変えたりすることができます。
4Gamer:
魂は,どのように手に入れるのでしょう?
岩原氏:
NPCから譲り受けたり,モンスターからドロップしたりとさまざまな手段があります。効果も,バフや能力アップのようなものから,敵に攻撃を加えるものなど多彩です。ですから同じ戦士でも,ソウルパートナーが違うと戦い方も異なります。
またソウルパートナーには成長の概念があり,スキルを習得したりもします。ゲーム的には冒険が楽になるだけでなく,新たなキャラクターの育成要素が加わるわけです。
4Gamer:
ソウルパートナーの外見は,どうなりますか?
岩原氏:
プレイヤーの周囲にフワフワ漂う球体になります。ただしユーザーインターフェイス上は,魂の持ち主の姿が表示されます。
4Gamer:
魂を複数所持して,場面に応じて付け替えることはできますか?
岩原氏:
もちろん可能です。ただ,一度に持ち歩ける上限数は決まっています。また常時ソウルパートナーを出しておくと疲弊して使えなくなってしまいますので,どこで出すかも考えなければなりません。
4Gamer:
それでは,「銃」と「弾」について教えてください。
岩原氏:
弓と同じく遠距離攻撃が可能なサブウェポンです。弓と違うのは,溜めがないので常に最大の状態で攻撃ができるところです。
西尾氏:
その代わり,リロードがあるんです。銃の種類によってリロードの時間が異なりますし,連射できるものもあります。
新職業やサブ職業も登場? 2014年もさらなる広がりを見せる「Wizardry Online」
4Gamer:
しかし,こうしてロードマップをあらためてみると,新コンテンツの量がすごいことになっていますね。
岩原氏:
そうですね。これまでは既存システムの改修などを主に行っていたので大型アップデートはご無沙汰だったのですが,2013年10月以降,お話してきたように次々に新要素を導入していきます。
4Gamer:
それでは,まだロードマップにはない2014年3月以降で,何か教えてもらえることはありますか?
岩原氏:
3月までの一連の流れで実装する弓や銃をメインウェポンとする新職業を,将来的に実現する可能性があります。弓と銃は,ひとまずサブウェポンとして導入し,実際にどう使われるかを確認したいんですよ。
またアイデアレベルですが,個人的に生産職のようなサブ職業の導入も考えています。現状の「Wizardry Online」にはあまり生活感がないのですが,生産が入ると戦わずに素材を集めてひたすら何か作っているという遊び方もできるようになると思います。
ほかにも水面下でいろいろ動いてはいますし,既存システムの改修なども随時行いますが,今お話できることはそのくらいですね。今後も,ディープに遊べるという部分は崩さずに,さらなる展開を目指します。
4Gamer:
分かりました。
岩原氏:
あと,細かいところでは,首が落ちたり,胴が切れたりといった演出はもう止めてしまおうかと。
4Gamer:
え,そうなんですか?
岩原氏:
その演出のために,防具やアバターといった装備品を作る際の工数が増えてしまうんですよ。だったら演出をなくしてしまって,そのぶん多くの装備品を作ったほうがいいんじゃないかと思うわけです。しかし,この演出があるからこその「Wizardry Online」という意見もありますから,まだまだ検討を重ねる必要がありますね。
4Gamer:
それでは最後に,「Wizardry Online」の今後の展開に期待する人に向けて,メッセージをお願いします。
私は1プレイヤーとしてお客様と一緒にこっそり遊んでいるのですが,その中で,ゲームに関する的を射たご意見を聞くんです。ところが,そういったご意見の大半は,お問い合わせとして運営チームに届いていません。
もちろん本来的には私達がきちんとゲームをプレイし,皆さんのご意見を汲み上げなければならないのですが,お客様から今以上に積極的なご意見を運営チームに届けていただけると,「Wizardry Online」はよりよいゲームになると考えています。こうして2周年を迎えられたのは皆さんのおかげですので,今後もよろしくお願いします。
西尾氏:
2014年3月に向けて,「Wizardry Online」には弓と銃が登場し,戦闘の幅が広がります。また遊び全体の幅もソウルパートナーの導入により広がります。「レベル上げだけではつまらない」と考えて休眠されている方も,ぜひ新しい「Wizardry Online」をプレイしていただきたいです。
また,モンスターを作っている身としては,どうすればボスを倒せるのか,ああでもないこうでもないと盛り上がっていただけると非常にうれしいです。ブログなどで「大変だったけど,ようやく倒せた」といった報告が,開発のモチベーションに繋がったこともありました。そういう意味でも,皆さんに大変感謝しています。
岩原氏:
2周年を迎えて,チーム一同,プレイヤーの皆さんに感謝しているところではありますが,3周年はさらに盛り上げるべく,いろいろ仕込んでいます。その第一段階として,2014年3月に向けて,新しい展開を用意していますので,ぜひ楽しんでください。
4Gamer:
ありがとうございました。
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