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[GDC2008#38]Unreal Engineがさらにパワーアップ。ライセンス作品も続々登場
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印刷2008/02/23 22:41

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[GDC2008#38]Unreal Engineがさらにパワーアップ。ライセンス作品も続々登場

増え続けるUnreal Technologyパートナー


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 「Mass Effect」や「BioShock」,「Tom Clancy's Rainbow Six: Vegas」など,自社開発のUnreal Engine使用ゲームが大ヒットを飛ばして意気揚々のEpic Games。この10年でリリースされたソフトは150作近くもあり,Unreal Engineはバージョンアップするごとにさらなる進化を遂げて,他社のライセンス用レンダリングエンジンを寄せ付けない。そんなEpic Gamesが,GDC08会場のブースにおいてプレス向けの説明会を開き,近況を報告した。

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Epic Gamesブース内で写真撮影に応じてくれた同社の技術アーティスト,Alan Willard(アラン・ウィラード)氏。最近のUnreal Engineの技術デモは,必ずこの人が行っている
 Unreal Engine 3の強みはクロスプラットフォームであることだけでなく,SpeedTree(IDV),Bink(RAD Game Tools),そしてFaceFX(OC3 Entertainment)など,20社を超えるゲーム開発用ツールの製作会社とパートナーシップを戦略的に組み,その幅を果てしなく広げていることだ。Unreal Engineのライセンス給与を受けているメーカーは,それらのツールメーカーからのテクニカルサポートを無料で受けれるシステムになっていることが,大きな支持を得ることに繋がっているのだと,Epic Games副社長Mark Rein(マーク・レイン)氏は語る。


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 パートナーの中でも,新加入のメンバーとしてデモが披露されたのが,MOVAの「Contour Reality Capture」という表情アニメーションツールである。これは,モーションキャプチャーアニメーションのように,マーカーを付けて筋肉の動きを感知するという仕組みではなく,化粧パックのような燐光ベースの特殊粘液を顔面に塗り,細かな顔の動きを察知するというものである。データポイントは最大で1万にも及び,表情アニメーションが非常にナチュラルなルックスで表現できるのだ。Epic Gamesブースのデモムービーでは,ロシア訛りのおじさんを使ったデモが行われていたが,怒ったり笑ったりするたびに,耳の周辺の微妙な筋肉の動きまでもがキッチリ表現されていた。


Unreal Engine 3の最新バージョンの新機能


 さて,Epic GamesがUnreal Engine 3を完成させてから,はや18か月となる。同エンジンを採用した第1作となった自社ソフト「Gears of War」の続編が,2008年11月にリリース予定であることがMicrosoftの基調講演で発表されたのは,同作のファンであればご存じだろう。
 実際には,「Gears of War 2」の詳細については,今のところはまったく発表されていないのだが,そのヒントになるのが,現在公開されているUnreal Engine 3の新機能である。
 プレス説明会で披露された画面も,「Unreal Ed for GoW2」というメニュー名が付けられていたのだが,Rein氏は「今から紹介する機能が,Gears of War 2に搭載されるとは限らない」と事前に注釈を入れている。ちなみに,デモで使用されたマップはすべてGears of Warからの借用であり,効果だけが最新のものである。

Fluid System(水面の表現)

 これまでも,すでに多くのゲームで水面表現に利用されているDynamic Surfaceだが,最新のUnreal Engineではさらに,Detailed Normal Mapを追加できる機能を搭載。腰まで水に使ったキャラクターの立てる細波が,さらに高画質でスムースに表現されている。キャラクターと水,廃車と水など,オブジェクトに接している水の部分での光の屈折を表現するため,白味が際立たせられているのもちょっとした特徴だ。海のように水の多い場所での波の動きの表現も,リアリティが増したという。

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Flocking System(群集システム)

 Gears of Warから現在までにリリースされているUnreal Engine 3系ゲームソフトでは,1画面に45体程度のキャラクター表示で限界になっていたという。これをまず2倍にすることからはじめ,次々と個体数の上限を上げていったのが現段階だ。フレームレートを30fpsに固定した場合,Gears of Warのキャラクターモデルならマップ上に最大1,000体まで表示させることが可能になっているらしい。それぞれのキャラクターは,ぶつかりそうになると間隔を取ろうと移動経路を調整するなど,パスファインディング機能も洗練されている。

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Soft Body Physics(軟体物理)

 ここでいう軟体とは,骨のない肉の塊やアメーバ,さらにはゼリーや豆腐のようなものを指す。デモでは正方形の肉塊と水銀質のゼリーが写し出され,それに向かって銃を撃つと,軟体は表面を波立たせながらゆっくりと転がっていく。キャラクターごと軟体にめり込んだりもするが,千切れるようにはできていないようだ。デモの操作を担当したEpic Gamesの技術アーティスト,Alan Willard(アラン・ウィラード)氏によると,いずれはこれを改良して,壁に当たった場合は,ゼリーのようにゆっくり崩れ落ちるような効果も追加するという。

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Destructive Environments(破壊可能な環境)

 これまでのUnreal Engineでは,破壊できる小さなオブジェクトはともかく,建物や地形のようなエンバイロンメントを破壊する効果を演出するのが,非常に難しかった。それが現バージョンでは改良されて,かなり自由に破壊シーンを表現できるようになったのだ。デモでは,室内のセメント質の壁や床に向かってマシンガンを撃つに従い,映画「マトリックス」のワンシーンのように粉々になっていくような表現が追加された。破片やパーティクルは被弾箇所から反対方向に飛び散り,やがては鉄筋がむき出しになるほどの穴が開いていた。

 Unreal Engine 3のリリース時には,「Gears of Warの先行発売で美味しいトコ取りをした」という批判が多かったためか,Mark Rein氏によると今回は,Gears of War 2がリリースされる前に,これらの効果を実装するゲームが登場する可能性を示唆した。Willard氏も,具体的にどれが実装済みなのかは詳しく説明してくれなかったものの,この中のいくつかのテクノロジーは,すでにライセンシーに提供されているバージョンに含まれていることを明かした。

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韓国で開発中のUnreal Engine 3搭載ゲーム「MStar」が初公開



 さて,説明会の最後に登場したのが,韓国のNurien Software代表Tae-Hun Kim(タイハン・キム)氏である。去年のプレス説明会では,SouthPeak Interactiveの「Monster Madness」というカジュアルなアーケードアクションゲームを紹介したEpic Gamesだが,このNurien SoftwareがUnreal Engine 3を使って製作中なのは,「MStar」というソーシャルネットワークサービスなのである。
 MStarは,主に10代の女性をターゲットにした作品で,言うなれば「韓流スターなりきりワールド」とでも表現すべきものだろうか。アイテム課金システムを通じて購買したファッションを身に着けたり,自由にカスタマイズして好みのキャラクターを作ることができる。そうして,ファッションショーやミュージックビデオのような設定でほかのユーザーと遊んだり,テレビ番組風のステージでダンスゲームやクイズゲームを楽しむことになるという。Kim氏は「3D版のマイスペースのような,個人用の空間と連携させる」と語っており,かなり意欲的なサービスになることを示唆した。

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 この作品は,今夏中には韓国でサービスインし,さらに年末までには中国への進出も予定しているという。日本市場への参入は未定とのことだが,アメリカでは2009年中のローンチを計画しているようだ。Rein氏は,「Unreal Engineを利用したゲームはみな同じルックスだと批判する声が多いけど,このMStarを見ればそんなことを言う人もいなくなるでしょう」と満足げである。
 これで説明会は終了となったが,Unreal Engineの進化が断続的に続けられていることが十分に確認できた。今後の展開にも大いに期待できそうだ。
  • 関連タイトル:

    Unreal Engine

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    Gears of War

  • 関連タイトル:

    MStar

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