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RTX 5090/5080に対応する「GeForce 572.16 Driver」が登場。RTX 40以前でも利用できる新機能も追加
GeForce RTX 50シリーズでは,GPUがレンダリングしたフレームをもとに,補間フレームを複数枚生成してフレームレートを大幅に向上させる「DLSS 4」に対応しているのが特徴だ。DLSS 4は,対応ゲームで利用できるだけでなく,「NVIDIA App」に加わった「DLSSオーバーライド」(後述)を利用することで,既存のDLSS 3対応ゲームのうち,75タイトル以上で利用できるという。
DLSS 4は,GeForce RTX 50シリーズの新機能なので,GeForce RTX 40シリーズ以前のGPUを利用しているゲーマーには恩恵がない。しかしNVIDIAは,GeForce RTX 50シリーズ発売に合わせて,既存技術にもアップデートを実施している。
具体的には,DLSSにおいて超解像化を行うAIモデルや,アンチエイリアシング技術「Deep-Learning Anti-Aliasing」(DLAA)のAIモデルをアップデートしたほか,「DLSS 3.5」に含まれるレイトレーシングの高画質化技術「Ray Reconstruction」(レイの再構成)をアップデートして,安定性や性能が向上したとのことだ。
これらのアップデートは,GeForce RTX 20シリーズ以降のGPUで利用できる。GPUの世代とアップデートされた技術の対応は,以下の表が分かりやすいだろう。
表で「Enhanced」とあるのは,アップデートされた既存技術だ。「New」の「DLSS Multi Frame Generation」はGeForce RTX 50専用である。なお,「DLSS Super Resolution」とDLAAの新しいAIモデルは,「Beta」となっていた。
アップデートされた技術は,デフォルトでは無効になっており,NVIDIA Appの「ドライバ設定」に加わった「DLSSオーバーライド」機能を使って,ゲームタイトルごとにユーザーが有効化する必要がある。ゲーム側がアップデートされた技術に対応すれば,DLSSオーバーライドを設定する必要もなくなると思うが,現時点では,多くのタイトルがDLSSオーバーライドを使わないと新技術に切り替わらないことに注意が必要だ。
DLSSオーバーライドには,「モデルプリセット」「フレーム生成」「Super Resolution」の3つの設定がある。先述のとおり,フレーム生成はGeForce RTX 50シリーズ専用なので,それ以外のGPUでは,グレーアウトしていて設定できない。
モデルプリセットは,フレーム生成やレイの再構成,Super Resolution(超解像)などで利用するAIモデルを選択する設定だ。それぞれを「最新」に切り替えると,アップデートされたAIモデルが利用できる。
一方のSuper Resolutionは,超解像に使用するアンチエイリアシング技術を選択する設定で,「DLAA」「ウルトラパフォーマンス」をオーバーライドできる仕様だった。
GeForce RTX 50シリーズでは,GeForce 572.16 Driverと新しいNVIDIA Appの組み合わせにより,以下の機能も利用できるようになった。
- AIベースのフレーム生成を利用して,DLSS 3非対応のDirectX 11/12世代ゲームのフレームレートを向上させる「Smooth Motion」
- AIベースの実況配信ソフト「NVIDIA Broadcast」に,第5世代Tensor Coreを試用した新しいAIエフェクト
Smooth Motionは,Radeonシリーズにおける「AFMF 2」のようなものだろう。
GeForce RTX 50シリーズの新技術に対応するゲームタイトルのアップデートも発表になっている。GeForce 572.16 Driverがサポートする主なタイトルと,アップデートにより新たに対応した技術は以下のとおりだ。
- Alan Wake 2:DLSS 4のマルチフレーム生成,RTX Mega Geometry
- Cyberpunk 2077:DLSS 4のマルチフレーム生成
- Star Wars Outlaws:DLSS 4のマルチフレーム生成
- インディ・ジョーンズ/大いなる円環:DLSS4のマルチフレーム生成,Ray Reconstruction
- ホグワーツ・レガシー:DLSS 4のマルチフレーム生成,Ray Reconstruction
Alan Wake 2やCyberpunk 2077では,DLSS 4やRay Reconstructionといった技術を用いることで,既存技術でレイトレーシングを行った場合と比べて,約9倍ものフレームレートを実現していると,NVIDIAはアピールしている。また,インディ・ジョーンズ/大いなる円環では,新技術対応に加えて,髪のリアルな表現を行う「RTX Hair」のアップデートも同時に行われているそうだ。
以上がGeForce RTX 50シリーズと,それに合わせて更新された機能に関する主な内容だが,ドライバアップデートでは恒例の,新作ゲームへの対応もGeForce 572.16 Driverで行われている。
Marvel's Spider-Man 2は,DLSS 3のフレーム生成やDLSS 3.5のRay Reconstruction,DLAA,そしてシステム内部遅延を低減する「NVIDIA Reflex」に対応するそうだ。一方のKingdom Come: Deliverance IIは,DLSSに対応しているという。
GeForce RTX 50シリーズのみの新機能と,既存GPUでも利用できる技術のアップデートが入り乱れて少し分かりにくいかもしれないが,GeForce 572.16 Driverは,GeForce RTX 50シリーズのみ恩恵が受けられるドライバというわけではないので,アップデートしておく価値があるだろう。なお,NVIDIA Appも同時にアップデートしておかないと,新しい機能が利用できないので注意していただきたい。
GeForce GTX 1000/900/700のサポート終了が見えてきた?
もうひとつ,古い世代のGPUを利用しているユーザーには若干気になる話だが,GeForce 572.16 DriverはRelease 570世代として,新たにCUDA 12.8をサポートした。そのCUDA 12.8のリリースノートにおいて,NVIDIAは,Maxwell,Pascal,Volta世代に対しては,より新しいバージョンのCUDAを提供しない予定であることを明らかにした(※当該リンクの1.5.1. Deprecated Architectures)。
つまり,GeForce GTX 1000/900/700シリーズに対しては,CUDA 12.9以降が提供されない可能性が高い。ドライバの提供とCUDAの提供は直接的には関係ないが,ドライバのメジャーリリースナンバーと,CUDAのバージョンがリンクしているのも確かだ。つまり,GeForce GTX 1000/900/700シリーズへの新ドライバの提供が,遠からず止まる可能性が見えてきたという印象だ。
ちなみに,Linux向けのオープンソース化されたカーネルドライバでは,一足先にMaxwell世代GPUのサポートが終了しており,GeForce GTX世代GPUは,サポートの終りが近づいているようだった。GeForce GTX 1000世代は,現役で利用しているゲーマーも少なくないと思うが,そろそろ新世代のGPUへの移行を考えてもいいかもしれない。
GeForce Driverをすぐにでも入手したい人は,以下に示したリンクか,NVIDIA App(あるいはGeForce Experience)のアップデート機能を利用してほしい。
→Windows 11,64bit版Windows 10用GeForce 572.16 Driver(844.56 MB)
https://www.nvidia.com/ja-jp/drivers/details/240791/
→ノートPC向けのWindows 11,64bit版Windows 10用GeForce 572.16 Driver(844.56 MB)
https://www.nvidia.com/ja-jp/drivers/details/240823/
●GeForce 572.16 Driverの対応製品
- デスクトップPC向けGeForce RTX 50シリーズ
- デスクトップPC向けGeForce RTX 40シリーズ
- デスクトップPC向けGeForce RTX 30シリーズ
- デスクトップPC向けGeForce RTX 20シリーズ
- デスクトップPC向けGeForce GTX 16シリーズ
- デスクトップPC向けGeForce GTX 10シリーズ
- NVIDIA TITAN RTX
- NVIDIA TITAN V
- NVIDIA TITAN Xp
- NVIDIA TITAN Xシリーズ
- デスクトップPC向けGeForce GTX TITAN X
- デスクトップPC向けGeForce GTX 900〜700シリーズ
- ノートPC向けGeForce RTX 40シリーズ
- ノートPC向けGeForce RTX 30シリーズ
- ノートPC向けGeForce RTX 20シリーズ
- ノートPC向けGeForce GTX 16シリーズ
- ノートPC向けGeForce GTX 10シリーズ
- ノートPC向けGeForce 900M〜800Mシリーズ
- ノートPC向けGeForce MX 500シリーズ
- ノートPC向けGeForce MX 400シリーズ
- ノートPC向けGeForce MX 300シリーズ
- ノートPC向けGeForce MX 200〜110シリーズ
●GeForce 572.16 Driverが統合するソフト(※比較対象はGeForce 566.36 Driver)
- HD Audio Driver:1.4.3.2(←1.4.2.6)
- PhysX System Software:9.23.1019
- CUDA:12.8(←12.7)
- NVIDIA Control Panel(DCH):8.1.967.0(←8.1.966.0)
●GeForce 572.16 Driverの新要素
- Alan Wake 2,Cyberpunk 2077,Star Wars Outlaws,インディ・ジョーンズ/大いなる円環,ホグワーツ・レガシーのGeForce RTX 50シリーズ向けアップデートに対応
- Marvel's Spider-Man 2,Kingdom Come: Deliverance IIに対応
- G-SYNC Compatible Displaysに19機種を追加。詳細は公式Webページを参照のこと
- NVIDIA Appの最適化に6タイトルを追加
- CUDA 12.8に対応
●GeForce 572.16 Driverで解決した問題
- G-SYNC対応ディスプレイ使用時に,フレームレートが60fpsを下回るとチラツキが発生することのあった問題
- G-SYNC対応ディスプレイ使用時に,インディ・ジョーンズ/大いなる円環でV-SYNCをオフにすると,小さなカクつき(スタッタ)が発生することのあった問題
- Ubisoft games製ゲームエンジン「Snowdrop」における安定性を改善
- 情報整理アプリ「Evernote」,テンセント製メッセージングアプリ「QQ」,ASUSTeK Computer製PC設定ツール「Armoury Crate」において,CPU使用率が本来よりも高く表示されることのあった問題
- Luxion製3Dレンダリングソフトウェア「KeyShot 2024」において,カメラ機能からアニメーションのキーフレームをロードすると,Video TDRエラーが発生することのあった問題
●GeForce 572.16 Driverにおける既知の不具合
- 通知エリアにあるGPUアクティビティアイコンの状態が,PCを再起動するまで変わらないことがある
- Blackwell世代のGPUにおいて,3Dレンダラ「V-Ray 6」の「CUDA Vpath Test」の結果が予想より低いことがある
- 関連タイトル:
GeForce Driver
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