インタビュー
「グラナド・エスパダ ルネッサンス」のコンセプトを踏まえた大規模対人戦がついに登場! 大型アップデート「覇権戦争」実装直前インタビュー
これは現在GE Rで楽しめる,党(ギルド)VS党(ギルド)による「コロニー戦」を超える大規模な抗争を描くものであり,GE R自体のスケールアップをも目指す,野心的な内容が掲げられている。
今回,4Gamerでは,GE Rの運営プロデューサーを務める中尾圭吾氏に,覇権戦争ほか,新たに実装されるコンテンツや,運営方針などについて話を聞いてきたのでじっくりご覧いただきたい。
歴史的なディテール,そして“歴史のif” が形作るGE Rの世界
覇権戦争について紹介する前に,あらためてストーリー上の背景を説明しておこう。GE Rの舞台は,私達がよく知る「世界史」をモチーフに制作をされている・・・? と思わせるほどの詳細な設定も魅力となっている。国家はもちろん,組織内の人物による権力争いや,対立関係など,政治的なディテールを知ることで,さらに楽しめるタイトルでもある。
現状に至った経緯に触れていると,とても本記事では収まらないので,ここでは大枠だけを説明しておこう。
新大陸発見からしばらくは,発見国であるオポルト主導による開拓が順調に進んでいた。しかし,当のオポルトは本国の国政難,財政難から隣国であるベスパニョーラ国と合併をすることとなった(※余談だが,ベスパニョーラについては,スペインのイメージが当てはまる)。
新大陸においても,オポルトからの開拓者たちからの反発を買わないように,新大陸の発見者であり,また,新大陸の英雄的な存在でもあるフェルッチオ・エスパダが新大陸の責任者に任命されることとなった。この目論見は見事に当たり,フェルッチオ・エスパダのもと,新大陸の開拓民感情は平静を取り戻し,開拓事業がさらに進むこととなる。
しかし,その後ベスパニョーラ国の新大陸統治の方針は一変,より強権的な「NOCC」を設立し,開拓民,ひいては新大陸への影響力を強めていく。以来,開拓民とベスパニョーラの間で長きにわたる対立の元凶とも捉えることができる。
歳月が流れ,GE Rの世界を象徴する大戦が勃発する。それが,ベスパニョーラとブリスティアによる「3年戦争」だ。ブリスティア(イギリス?)とベスパニョーラ(スペイン?!)が旧大陸(オルペシア),そして大海原の覇権を巡って大規模な戦いを重ねた結果,GE Rの世界においてはベスパニョーラが勝利を収めた。一方,新大陸では開拓民が大戦の隙を突いて蜂起し,「NOCC」を排除し,独自の体制を確立していた……。
GE Rプレイヤーお馴染みのキャラクターも登場! 続・新大陸の歴史
もちろん,こうしたベスパニョーラの方針は開拓民の強い反発を招き,大小さまざまな暴動,蜂起が起こり,そのたびにベスパニョーラの武力によって鎮圧されたのである。
当初は共和派を黙認をしていたベスパニョーラであったが,次第に共和派への圧力を強めていく。それが反発を生みいっそう共和派の勢力を拡大させることとなってしまう……というのは世界史でもよく見る流れ。
ついには共和派,ひいては新大陸・開拓民を力で押さえつけるのは不可能であると判断し,「新大陸人との和解・協力のもと,新大陸に暮らす人々の権利を守り・拡大する」ことを掲げ,新大陸と旧大陸の橋渡しを担う,中立的な組織である「王党派」が設立されることになる。さらに,ベスパニョーラ本国は,今回のアップデート「覇権戦争」のもう一人の主人公「ガブリエラ姫」を,友好の証として新大陸へと派遣するのである。
こうした成り立ちを持つ共和派と王党派の二つの組織は,急速に新大陸全土に広がり,もはや新大陸拓殖株式会社では事態の収拾は不可能であった……。
ついに新大陸を二分する派閥同士が直接対決! 陰謀(?)が渦巻くストーリー展開も
そして,その微妙な関係・バランスが,ガブリエラ姫の妹「ヴァレリア」の誘拐が明らかになったことをきっかけに,一気に悪化することになるのである。
穏健であったはずの王党派,そしてガブリエラ姫ですら,共和派が妹を誘拐したと主張,対するシモンは王党派によって濡れ衣を着せられたと完全に否定。ここに両派閥の対立は極まり,ついに「覇権戦争」の局面を迎えるに至ったのだ。メインストーリーの背後で数年をかけて展開してきたバックストーリーが動乱の時代に移行し,ゲーム内の状況にもいろいろと変化が表れそうだ。
「新大陸の政治情勢は,今や独立か共存か選択を迫られています。GE Rはそもそも「フェルッチオ・エスパダの遺産を巡る冒険」というストーリーとあわせ,政治的な対立をベースに企画されたタイトルです。過去にもさまざまな背景的なコンテンツを段階的に導入してきました。日本での運営開始から5年,ついにプレイヤー同士が新大陸の覇権を巡って直接戦うこととなったわけです。
また,これまでのストーリーの中で,高レベルプレイヤーは,ジャケン収容所に監禁されたヴァレリアを救出しています。彼女の救出劇や,ストーリーの流れを振り返ってみると,今後の展開が読めるかもしれませんね(笑)。もちろん,そういった背後に見え隠れする動きは,今後もストーリーを通じて描かれていきます。また,新大陸を巡るそういった複雑な情勢と,フェルッチオ・エスパダの遺産という根幹のストーリーがどう交わっていくのか,というのも見どころだと思います」(中尾氏)
GE R最大規模のPvPコンテンツを目指す! 「覇権戦争」とは?
ゲーム内における覇権戦争は,ワールド(サーバー)別に各派閥最大50人同士で戦う大規模対人コンテンツだ。派閥に属していない党(ギルド)のプレイヤーは,「傭兵団」として人数の少ない側に参加できる。また,使用可能なキャラクターは,1プレイヤーにつき1体のみとなる。
その具体的な内容を紹介しよう。共和派はオーシュを,王党派はリボルドウェをそれぞれ本拠地としてスタートし,相手の本拠地を目指していく。途中にある中立地帯のコインブラを中継拠点として占拠し,相手の本拠地へと攻め入るのだ。前線を押し上げながら相手の本拠地に乗り込み,大将NPC(共和派はシモン,王党派はガブリエラ姫)を倒した派閥の勝利となる。なお,制限時間は2時間程度を想定しており,時間内に大将NPC討伐に至らなかった場合は,拠点占拠などで加算されるポイントによって勝敗を決める構想だという。
「1プレイヤーにつきキャラクター1体の操作となっているのは,システムの負荷を抑えることも目的ですが,なによりもプレイヤー同士の協力プレイを促したいという意図があります。せっかく,これだけ大規模なPvPコンテンツですから,GE RのMCC(マルチ・キャラクター・コントロール)を使ってしまうと,攻撃から回復/蘇生まで一人のプレイヤーで完結できてしまいますからね(笑)。
また,覇権戦争で使用するマップは,通常使っている街をベースに,新たに作り直した専用のものを使います。普段,街にいる商人達もNPCとして戦争に参加しますよ。さらにマップに設置されている馬車や物資を利用したり破壊したりすることもできます。例えば,店頭に並べられている料理を食べると体力が回復します。逆に,それ毒を仕込んで敵にダメージを与えることもできます。そういった工作活動もポイントに反映されますから,さまざまなキャラクターに活躍の機会があります」(中尾氏)
ただ,大枠のルールは決まっているものの,覇権戦争の詳細な部分についてはまだ未確定な部分も多いという。例えば,参加人数が50名に満たなかった場合や両派閥に人数差が生じた場合の処理といった,問題が発生しそうな部分は,実装当初の仕様をそのまま継続する予定はなく,実際に遊んだプレイヤーの意見をもとに決定すると語る。
そのノウハウを活かして,覇権戦争では,当面の間テスト期間を設けて暫定的な状態で遊んでいただくことにしようと思います。そこから挙がった意見を踏まえて,あらためて正式なルールを決めていきます。一度確定しても,もちろん問題があれば,その都度見直しを図ります。戦争の開催も月2回を予定していますが,皆さんの反応によっては増減があるでしょう。また勝利報酬も未確定で,今のところ,名声の増加と,装備するとステータスが上昇する勲章などを考えています」(中尾氏)
なお,覇権戦争そのものは,アップデート当日の5月31日には実装されない。というのも,戦争に参加する資格を得るためにはいくつかクエストをクリアしなければならないからだ。なんでも,現状のプレイヤーは各派閥の一員に過ぎず,ランクアップして親衛隊として認められないと戦争には参加できないそうである。
そのため,5月31日には一連の親衛隊昇進クエスト,続く6月中旬に覇権戦争本体と段階的に実装される予定となっている。
プレイヤーからの要望に応え“イケメンキャスト”が登場。ストーリーもさらに深部へ
そのほか,覇権戦争以外に通常のアップデート同様に,新たなストーリーや新キャストとその編入にまつわるクエストも実装される。新ストーリーは前回から引き続きヴァイロン島でモントロ子爵の足跡を追う。新キャストの「リオネル」は,プレイヤーとともに島に隠された謎に踏み込んでいく。
加えて,細かいゲームバランスの調整もなされる。今回,覇権戦争で派閥があらためてクローズアップされたことから,派閥対抗コンテンツの内容にもリニューアルが加えられるとのことだ。
また,リオネルは,ベスパニョーラからヴァイロン島にやってきた人間ですから,新大陸のプレイヤーとは考え方が異なります。そんな彼がプレイヤーとともに行動していく中で,どんなドラマが展開していくのかに注目してください。
また,リオネル関連のクエストの中で登場する新ミッション『地獄の時計塔』には,名前から想像できる通り,さまざまなギミックが仕掛けられています。登場するモンスターも,機械仕掛け風になっています」(中尾氏)
5周年を迎え,今まで以上に“顔の見える運営”“プレイヤーとともに作るGE R”を目指す
これまでもGE RではインゲームでのGM主催イベントはもちろんのこと,3か月に一度,オンライン座談会を開催し,そこで上がった要望をいかにして実現するか公式サイトでアンケートを実施するといったことを実践してきた。
また,3〜4か月に一度の頻度でさまざまなルールのPvP大会イベントを開催し,それをニコニコ生放送で中継するなど視聴者参加型のイベントにも取り組んでいる。とくに,毎年7月に開催されている5周年記念オフラインイベントでは,韓国IMC Gamesのキム・ハッキュ氏をはじめ,GE Rを支えるクリエイター陣をゲストとして招くとともに,さまざまな意見をプレイヤー・ファンから吸い上げ,着実にゲームやサービスへと反映をしてきた実績がある。
そして,ここにきて新たな目的と手法を運営へと取り入れるという。2011年度はFacebookを利用して,さらに一歩踏み,プレイヤーと共に,開発・運営を企画する,という考えを明かした。
「現在,深いご意見については,オンライン座談会にて,皆さんからさまざまなご提案をいただいていますが,座談会自体の運営工数が大きいため,座談会を頻繁に行えないことや,リアルタイムで,かつ短時間しか発言の機会がないこと,また,ワールド(サーバー)ごとに温度差や傾向の違いがあり,タイトル全体で意見を共有することが難しい場合もあったりで,開発・運営企画へとスムーズに落し込むには不十分だと考えました。
Facebookを使えば,時間的な制約を受けることなく,より多くの人とより具体的な提案をしていただけるんじゃないかと考えたんです。また,提案していただいた事項は,ほかのプレイヤーさんも読め,共有できますから,そこから深い議論が生まれることにも期待しています。そして,運営チームも毎日見ることができるということで,たくさんのメリットがあります。もちろん,座談会も継続して実施していきます。ワールドごとの意見や温度感を把握できますので。個人的に座談会が好きだ,というのもありますが(笑)。
こうした試みは,5年間の積み重ね,プレイヤーの皆さんのご協力があるからこそ,できることです。GE Rがどんなゲームかを,きちんと理解している人達が意見を交わすことで,よりよい内容になっていくんじゃないでしょうか。
導入当初はさまざまな意見が飛び交うと予想されますから,最初は混乱,炎上することもあるかもしれません。しかし,これまでの座談会や,ユーザー参加型生放送番組の経験,経緯からいって,最終的には非常に有意義な議論になるのではないかと考えています。いつも通り根拠はありませんが(笑)。
こういった形で,一方的な配信を行うだけでなく,オープンかつ,ディープな内容をやり取りすることによって,本当の意味での顔が見える運営を目指していきます」(中尾氏)
「グラナド・エスパダは今年5周年を迎えます。これまで以上に,皆さんと一緒にGE Rを創っていきたい,と思っております。去年は途中途中で私達からのアクションが弱くなってしまった感が否めませんが,今年は,より積極的に動き続けていきます。詳細はあらためて発表しますが,5周年を迎えるGE Rを,今まで以上にオモシロイ展開にいたします。7月に迎える5周年記念イベントは,例年以上に充実した内容となるよう準備を進めています。
また,Facebookの件も含めて,これまで以上に皆さんのクリエイティビティがGE Rの内容に反映されるような展開を考えています。すべてのGE Rプレイヤーの皆さんが楽しめる仕掛けを提供していきますので,これからもよろしくお願いします」(中尾氏)
「グラナド・エスパダ ルネッサンス」公式サイト
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