レビュー
「グラナド・エスパダ」第二次テスト「Alliance」体験レポート
短いながらも充実していた「グラナド・エスパダ」第二次クローズドβテスト「Alliance」が,10月23日の23時をもって終了した。5日間&時間限定という実に短期間のテストではあったが,第一次βテスト「Primero」にはなかった機能が多数実装されており,この3か月間でずいぶん洗練されたことは十分感じ取れた。
テスト期間中には,一部のマップがダウンしたり,原因不明のエラーメッセージが表示されたりといった不具合も多少は見受けられたが,おおむね快適にプレイできたといっていいだろう。
Allianceでは,党(ギルド)同士の戦いを中心にテストが行われていたが,それについては実際に4Gamer党を率いたGueed党首に後日語ってもらうとして,ここでは,Primeroからブラッシュアップされた部分を中心に,新機能/新マップなどを紹介していこう。
■MCC機能を生かした戦闘が可能に
Primeroに参加した人であれば,パっと見でインタフェースの変化に気がついただろう。以前の記事の画面と見比べてもらえば分かるが,HP/SPの表示,スキルアイコンは,デザインが変わってコンパクトになっている。またチャット欄とミニマップは,配置が工夫されてより見やすくなった。
さて,「Multi Character Control」(MCC)といえば,グラナド・エスパダの魅力であり,大きな特徴の一つでもあるシステムだ。簡単に説明すると,一人のプレイヤーが同時に三つのキャラクターを操作できるシステムのことである。
ただ,実際に直接指揮できるのは1キャラで,残りの2キャラはAIによって行動する。PrimeroではこのAI機能が一部未実装だったため,3キャラの動きを制御しづらく,せっかくのMCC機能も操作の負担が増えるだけであった。Allianceでは,この点が改善されている。
その場に立ち止まって攻撃する「ホールドモード」と,常に自動で索敵し攻撃をしかける「アグレッシブモード」などは,Primeroから引き継がれていたが,さらにAllianceでは,アグレッシブモードで敵を索敵する場合の範囲を指定できるようになっていた。その範囲は5m,10m,15mの3段階で,キャラの強さや状況に合わせて,あまり遠くに行き過ぎないように設定できるというわけだ。
なお一切の攻撃スキルをもたないスカウトの場合は,攻撃範囲ではなくヒールのタイミングを調整できた。HPの減少率で25%,50%,75%の3段階に分かれており,これも敵の強さによって変えればヒールに必要な触媒の節約になるわけだ。
周囲にほかのプレイヤーがいなければ,気兼ねなく最大の15mで狩りをすればいい。逆に人気の狩り場で近隣のプレイヤーに迷惑をかけたくなければ,最小の5mに設定しておけばいい。これはまさにPrimeroで問題視されていた部分で,この改善は素直に評価できる。
■スタンスとスキルの習得方法が変更に
例えばファイターでは,ソード/ブレイド/レイピア/ツーハンドソードという4タイプの剣を扱える。ソードを装備すると,使えるスタンスは「バックガード」と「ハイガード」の二つとなる。バックガードは,最も一般的なバランス型という感じで,攻撃と防御の効果がどちらも期待でき,覚えられるスキルは攻撃系だけ。対してハイガードは防御を重視したスタンスで,使用可能スキルは,敵を失神させたり,物理攻撃を完全ブロックしたりなど,防御メインのものが多い。
ウィザードやウォーロックのように魔法を使うクラスの場合は,より分かりやすい。選ぶスタンスによって,魔法の効果と威力がまったく異なるからだ。
このスタンスはタブで簡単に変更でき,状況によって使い分けられるのだが,今回の5日間という限られた日程では,一つのスタンスを使うだけで精一杯であった。その理由が,スキルの習得にある。
Allianceではポイント制が導入され,スキルポイントを溜めて割り振ることで,スキルレベルが最大10まで上昇するようになっていた。
スキルポイントは,普通に攻撃しているだけで,"そのとき選んでいるスタンス"に対して自動的に溜まっていく。つまり,バックガードのスタンスを選んだ状態でいくらポイントを溜めても,ハイガードのスキルレベルは上げられないのだ。これはどのクラスにも共通した仕様で,使う武器を変えてスタンスも変わってしまったら,また一から鍛え直すことになる。
新しいスキルは,スタンスのレベルが一定の値まで上がったときに,自動的に習得する(ショートカットアイコンが追加される)。そのため,一つのスタンスを使い続けていれば,
(1)スタンスのレベルがアップ
(2)新スキルを習得
(3)溜まったポイントで特定のスキルのレベルを上げる
という順番で成長していくのだ。
将来的に正式サービスが始まり,じっくりとキャラを育てられるようになれば,どの武器/スタンスを選んでもある程度使いこなせるようにしたいのだが,今回の限られた時間では,そこまでは望めなかった。
スキルは,発動したときのアクションとエフェクトがそれぞれ異なり,またどれもなかなか優美な(?)動きを見せてくれる。スキル攻撃を食らったモンスターの反応もさまざまだ。そのため新しいスキルを覚えるたびに,ついついズームアップしてその動きを確認してしまうほどで,見た目的にもかなり楽しい。
単にグラフィックスが綺麗というだけではない,手の込んだ演出は評価できるポイントだ。
■レベルキャップ60に合わせて,新マップは高難度に
Primeroから実装されていたダンジョン「アル・ケルト・モレッツァ」にも新モンスターが配置されており,ダンジョンの構造こそ変わらないものの,前回から引き続き参加しているテスターでも新鮮に感じられたと思う。
追加された新マップは,「テトラ遺跡(フィールド)」と「テトラ遺跡ダンジョン」の二つ。テトラ遺跡フィールドは,先日の「インゲーム・プレスツアー」レポートでも紹介したマップだ。
テトラ遺跡ダンジョンは,完全に上級プレイヤー向けのマップで,最低でもレベル30が要求される。移動しながら狩りをしたければ,30台後半でも厳しいかもしれないというハードなダンジョンで,トーナメント戦用に最後の仕上げを行うプレイヤーの多くは,どうやらここで修行していた模様。
(少なくとも現時点では)パーティを組むという概念がないグラナド・エスパダでは,少し背伸びをした狩り場に上級者に守られつつ行ってみる,ということができないため,"チームの構成と各キャラのレベルに応じて適正な狩り場を探す"のも,楽しみの一つになっている。
■最終日のお楽しみイベントは,上級モンスターの襲撃!
このAllianceでも,最終日のβテスト終了30分前(22時30分)から,フィナーレイベントが行われた。
このイベントで,リボルドウェの街の隣接マップにまで迫ってきたモンスター達は,いずれもダンジョンの奥深くでしかお目にかかれない上級モンスター。筆者のキャラクターなぞは,冗談抜きで一撃でなぎ払われ,戦闘不能に陥ってしまった。トーナメント戦参加のために鍛え上げられたレベル40台,50台のキャラクター達はそれなりに持ちこたえて善戦していたようだが,23時のサーバーダウン直前のフィールドは,なんとも無残な状況に……。
とはいえ,プレイヤー達はしっかりと楽しんでいたようで,βテスト終了数十秒前には「またグラナド・エスパダで会いましょう!」「次のテストも必ず応募します」といった,実に明るいメッセージが飛び交っていた。
筆者が個人的に注目していたAI機能は,使い勝手が良く,全体的には好印象。しかし"獲物の横殴り"や"シーフ行為"が完全に防げるわけではなく,狭いマップでは,いつの間にか意図しない乱戦になっていることもしばしばあった。AI機能をさらに高度化するのも良いだろうが,あまり複雑な設定が必要になれば,今度はプレイヤーにとってはハードルとなりかねない。このバランスをどう取るのか,今後の課題であり,また非常に楽しみな部分である。
以前4Gamerで行ったキム・ハッキュ氏へのインタビューでは,次回はまだオープンβテストではなく,第三次クローズドβテストとなることが示唆されていた。それがいつごろになるのか,どういった内容になるのかは明らかにされていないが,なんにせよ,少しでも早く実施され,少しでも早く「ゲームの全貌が見えるテスト」に移行することを期待したい。
- 関連タイトル:
グラナド・エスパダ
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