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[E3 2004#025]「EverQuest II 日本語版」プロデューサーSage Sundi氏独占インタビュー | - 2004/05/13 22:46 |
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その正当な後継者として,さらには最先端の技術を使ったグラフィックスでMMORPGファンの大きな期待を受けているのが「EverQuest II」だ。 「こちら」のNewsでお伝えしたように,スクウェア・エニックスが日本でのサービスやローカライズ,コミュニティマネジメントを行うということが発表され,期待と不安が入り混じっている人もいるのではないだろうか。そこで,E3開催日となる5月12日に,日本語版でのプロデューサーとなるSage Sundi(セイジ・サンディ)氏に無理やりアポイントを取りつけ,日本での運営についての質問を直球勝負でぶつけてみた。 ########## 4Gamer編集部(以下4G): なんか堅苦しい挨拶は抜きにして,時間もないですしいきなり本題に入っちゃいますね。EQIIを日本で運営することで,一つ気になるのがSony Online EntertainmentのStationとPlayOnlineとの兼ね合いですが,どのような形になるのでしょうか? Sage Sundi氏(以下Sundi氏): 今まさに開発段階なので断言することはできないのですが,PlayOnlineはゲームポータルとしてのコミュニティ機能がメインですので,タイトルとの連係が必須となります。すでにEQIIは,Stationというゲームポータル的なところでのサービスを念頭に置かれて開発が行われているので,そこからPlayOnlineに引き抜いてくるというのは無理に近くなります。またEQII全体のコミュニティを考えてみた場合,日本語版のユーザーだけがワールドワイドなコミュニティから分断されてしまうのは,あってはならないことだと思います。そのため,現実的に対応できるなんらかの形でお互いが関連付いたものにできないかと思い,いままさにEQIIの開発者達とそのあたりの話を詰めているという段階です。 4G: さすがSundi氏ともなると,まずコミュニティありき,なんですね。いろんなMMORPGの管理会社にぜひスピーチしてあげてください(笑)。ところで海外製MMORPGで日本語版,というと,やはり"サーバー"についての問題が非常に気になるところだと思うのですが……。 Sundi氏: やっぱり聞きますよね? 聞かれると思って身構えてました(笑)。サーバーは,日本向けのものを複数台設置する予定ですが,英語版サーバーのユーザーと日本語版サーバーのプレイヤーが課金システムという制約によって強制的に住み分けられてしまうということは,EQIIというグローバルのコミュニティにとって,そしてMMORPGにとって致命的ともいえるコミュニティの分断を意味すると思いますし,これは絶対にあってはならないことです。 4G: それってつまり……? Sundi氏: ええ,おそらくご想像どおりですよ。英語版を選んだユーザーも日本語版のユーザーも,それぞれが分かれないようにしたいと思います。具体的に言うと,"英語版でも日本語版でも世界中すべてのサーバーに入れるようにする予定です"ということです(編注:言うならば,ウルティマオンラインのサーバー/シャードのようなイメージ)。 4G: マイナス面見てもしようがないんですけど,料金の支払いはドルで,クレジットカードのみという形態になるんですか? Sundi氏: いえいえ。それだと日本のユーザーが不便ですよね? 日本で通常MMORPGといえば,いろんな支払い方法がありますし。英語版の課金額にある程度合わせた形で円での支払いも考えてますし,クレジットカード以外の決済方法も有名どころは用意するつもりです。 まぁ目標としては英語版と日本語版を同時にサービス開始したいところのですが,初期リリースに向けたローカライズ量というのはそれはもう膨大なものですし,最初だけは英語版より若干遅れたスタートになってしまうかもしれません。 4G: MMORPGのローカライズって大変そうですよね。しかもあれだけNPCがしゃべりまくるEQIIなんて……。 Sundi氏: ええ……。ローカライズに関わる人数は,一般的にMMORPGのローカライズチームが考えるような人数よりも多くしてはいるのですが,さすがにネタがネタだけに,それでも追いつかないという感じです。人数をもっと増やせばいいと思うかもしれませんが,数だけ増やしても,用語の統一性などの意味でクォリティの低下に直結してしまうので,きちんとしたものを仕上げるには今の人数が最適だと思っています。 なるほど。なんか言葉尻をつついてるみたいで申し訳ないんですけど,リリース時期で"最初だけ"遅れるということは,以後のパッチや拡張パックでは世界同時なんですか? Sundi氏: ええ。それを目指しています。やはりMMORPGというゲームの特性,サーバーを選べる(日本と英語)という状態にしたことから,リリースの時差でプレイヤーが"取り残された"(編注:氏はLeftoverという単語を使っていた)という感じを受けてしまうのはよくない思うんです。もし自分がその立場だったらやっぱりイヤですし。日本向けサーバーにも英語版クライアントのユーザーが入ってくるわけですし,英語版ユーザーだけがパッチでの新機能の恩恵を受けるというのは絶対に避けたい。そうするとやはりパッチ,拡張パック全てを同時にリリースしなければならなくなるわけです。 4G: 何気なくすごい発言ですね(笑)。パッチのローカライズとか考えると,結構途方もない作業ですよね,それ……。そういえばローカライズはどの程度行う予定ですか? あと,"カルチャライズ"というのが具体的にどのようなものを指すのかも教えていただけると……。 Sundi氏: ええとですね……。カルチャライズがローカライズと違なるのは,いろんな意味でその地域に"合ったもの"にしていくということです。ややこしく(笑)言うと,オリジナルのイメージを最大限保ちつつ,その地域の文化に合わせた開発とサービス提供を行うこと,とでも言えばいいでしょうか。 4G: 昔よく言われた"真のジャパナイゼーション"に近いですね。 Sundi氏: ですね。海外ゲームのローカライズというと文字だけの翻訳というイメージがありますが,EQIIの場合は,みなさんよくご存知のように膨大なセリフデータがあります。ここで短絡的に日本の声優を起用して吹き替えを行う,という手段もあるのですが,それだとゲームのイメージがかなり変わってしまう可能性がありますよね。今それでどちらにしようか悩んでいるところです。 4G: 映画と同じような問題ですよね,きっと。あとEQIIともなると,きっと膨大な数のアイテム名や魔法名称などの問題もかかってくるでしょうし。 Sundi氏: そうなんですよ。レンタルビデオ屋などの品揃えを見れば分かるように,英語音声と字幕というのは結構日本人には馴染み深い見せ方だし,吹き替えなしの字幕ということもアリかなとは思っています。まぁチュートリアル部分だけは,初めてゲームに触れる部分ですから吹き替えは必要かな,とは感じてますけど。 逆にアイテムや固有名詞などは,英語版そのままだと読めなかったり,難しい単語だったりするので,そこはしっかりとローカライズをしなければならない部分です。しかし,単に翻訳するというのではなく,なにかしらの方法で英語表記と日本語表記を変換できるようにしたいと思ってます。EQII自体がシネマチックに展開していくので,使い勝手なども視野に入れて,最終的にどのような形態がよいかは思案中ですが。 これに加えてカルチャライズでは,インタフェースとグラフィックスも重要な要素の一つと思っています。やはりこれまでのゲームで培ってきた土壌というものが日本にもありますから,それに沿っているのがいいのは当たり前です。しかし,こちらはまったくの未定という状況です。 4G: なるほど。やはりこのあたりの問題にも,Sundiさんの本領である「コミュニティ」の部分が重要に絡んできませんか? Sundi氏: まさにいまからお話しようかと(笑)。コミュニティですが,これが最もカルチャライズで重要な部分です。現状のMMORPGは複数サーバーでの運営が多いですが,グローバルな環境下にありながらもサーバー独自に育まれる文化は最大限に尊重していきます。EQなんかは,昔から結構サーバー間の"独自の文化"みたいなものが根ざしてますよね。きっとEQIIでも同じことが起こると思うんです。ユーザーからのフィードバックへの対応はもちろんのこと,サービス/サポート体制,サポートポリシーなども可能な範囲で柔軟に対応していきたいですね。 これらは,コミュニティと密接に関係してくる部分なので,OCRチーム(Online Community Relations)の活動によって日本でのサービスに根ざした形へ持っていくべきだと考えています。とはいえもちろん,自分たちでそれを勝手に行うのではなく,本家であるSOEのDEVチーム(編注:開発チームのことだ)と太いパイプを通じて交渉したうえで,という話になりますけど。 4G: なるほど。つまりそれって「運営ポリシーなどは,基本的にSOEのものを最大限尊重して踏襲する」と考えてもいいですか? Sundi氏: もちろんそのようにするつもりです。FFXIでは,我々のポリシーをアメリカに持っていってうまくいきました。しかし今回のEQIIでは,それがまったく逆のパターンになるわけです。我々がSOEのポリシーを踏襲しつつ日本ならではの要素も加味して,本当の意味での「ローカライズ」を行いたいと思っています。 4G: なるほど。FFXIでは"スクエニポリシー"を貫き,翻ってEQIIでは,本家SOEのポリシーを踏襲する側になる,と。見事な変わり身の早さですね。正直なところ,スクエニポリシーでやるのかと思ってました。ところで話全然変わっちゃいますが,FFXIとEQIIは3DタイプのMMORPGという点では,同じようなタイトルとも取れるかと思いますが,ユーザーの取り合いという構図は心配していないんでしょうか? Sundi氏: その点はほとんどないと考えています。なぜならPCは日々進歩しているので,ゲームもそれに対応して進化を続けていけます。つまり,先進的なEQIIとマルチプラットフォームを選択をしたFFXIは,ユーザー層がそもそも異なるので,取り合いというよりは,ユーザーのプレイする選択肢の幅が広がっているといえるでしょう。ただし,オンラインゲーム業界でのトップとして世界のメーカーと肩を並べたいという目標がありますので,なんでもいいからタイトルを揃えるのではなく,お互いに共鳴していけることが重要であり,そしてその結果としてMMO市場というものの規模拡大が見えてきて,より多くの海外優良MMOゲームの投入が実現できるようになるとだと信じています。 4G: UOのときと同様,固い信念で動いてますね(笑)。あぁもう時間が……最後に,EQIIを楽しみにしている4Gamer読者に何かメッセージをお願いします。 Sundi氏: ええと……難しいですね(笑)。発売までに時間がありますので,できる限りローカライズとカルチャライズは進めていきます。また,いままでの日本でサービスインしているMMOとは違い,ユーザーとメーカーが対話できる間口をどんどん広げていけるようにしていきたいと思っています。非常にコアなプレイヤーの意見も,ライトユーザーの意見も,方法が違うだけで意見を吸収することはできると思っています。 楽しみにしているみなさんならよくご承知のとおり,EQIIは1年や2年で終わってしまうようなタイトルではありません。この長い道のりをプレイヤーのみなさんと共に歩んでいければいいな,と思っています。どうぞよろしくお願いします。 4G: 非常にお忙しいところをありがとうございました。閉館前に終われてよかった……。 ########## ユーザーが楽しくゲームをプレイできるようなコミュニティ形成/維持を非常に重視するSundi氏ならではといえるインタビューとなった。いままでのMMORPGのプロデューサーのインタビューと比べると明らかに異質なものだったが,非常に心強く思える発言も数多く飛び出し,一刻も早くサービスインさせてほしいと思わせる内容だったのではないだろうか。ところでSundi氏だが,今後のインタビューも快く引き受けてもらえた。EQIIは世界規模でのメジャータイトルなので,情報を得次第(というか,忙しい氏の都合の合間で),続報インタビューを行っていく予定だ。できる限りの読者の意見もインタビュー内容に反映させていく予定なので,なにか聞きたいことがある人は,4GamerのForumに書き込むか,または[email protected]宛までメールで教えてほしい。このインタビューと同時にいろいろなEQIIネタを仕入れられたのだが,それはまた後日。(Seal/Kazuhisa) →「EverQuest II」の当サイト内の記事一覧は「こちら」 EverQuest is a registered trademark of Sony Computer Entertainment America Inc. 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