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[GDC 2025]アクセシビリティ表記の標準化を目指す業界団体が発足。Google,Microsoftなど北米大手パブリッシャが立場を超えた連帯を促す
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発起したのはElectronic Arts,Google,Microsoft,Nintendo of America,そしてUbisoftの5社※の大手パブリッシャ連合で,ここにAmazon Games,Riot Games,スクウェア・エニックス,Warner Bros. Gamesが加わって,今後は彼らを中核とした運営委員会により活動を推進していくとのこと。なお参加するのに特別なメンバーシップなどは想定していないとのことだった。
※ESAのプレスリリースやAccessible Games公式サイトでは,ここにSony Interactive Entertainmentを加えて6社とする記述もある。
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「Accessible Games Initiative」の活動目的は,身体的なハンデによってゲームを楽しむことが困難なプレイヤー向けに,その識別に役立つ情報を提供することだという。これはゲームのパッケージや公式サイト,店頭に掲示されるQRコードなどから専用ページにアクセスすることで,「タグ」と呼ばれる情報にアクセスすることで実現される。
これらのタグは,クリアテキスト,フォントサイズの選択,ボイス付きメニュー,スピーチ/テキスト変換機能,スティック操作のインヴァージョン,どこでもセーブ機能,インプットのリマッピング,長押しや連打機能の調整など24種類が用意され,消費者はこれを確認して,自分に適したゲームか判断できるという。また開発者向けには,タグの標準化に向けたガイダンスを提供するとしている。
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アメリカ国勢調査局によれば,現在のアメリカの全人口のうち13.4%が何らかの身体的問題を抱えているという。ESAはアメリカ国内のゲーム人口を1億9000万人と見積もっているので,つまりは2500万人あまりのゲーマーが,ゲームプレイでも不自由を感じている可能性がある。「Accessible Games Initiative」はこの不平等を是正するために,ゲーム業界がパブリッシャの垣根を越えて協力した形である。
発足のきっかけは5年ほど前,かつてGoogleが自社のクラウドサービス「Stadia」で採用していた簡易なアクセシビリティタグについて,Microsoftがその利用をGoogleに問い合わせたことだったという。
そこから話し合いが始まり,その後Microsoftは自社でタグシステムを開発したものの,消費者にとっての最善を模索した結果,Googleはタグシステムのすべての所有権を放棄。Microsoftも自社のタグシステムを「Accessible Games Initiative」に合流させることで折り合いがついたとのこと。
今後,運営委員会は消費者のフィードバックを受けながら改良を続けると共に,より多くの協賛メーカーや販売サイトへのアプローチを進める方針を発表している。現状ではAppleやValve,Epic Gamesといった大手の参加が待たれるところだが,「Accessible Games Initiative」としては各販売サイトが独自のタグを使用し,また「Accessible Games Initiative」のタグと併記するようなことも問題にはしない方針だという。
これまで障がいを持つ人々は,ゲームを購入し,実際にプレイしてから,その結果をコミュニティに報告するくらいしか,アクセシビリティに問題のあるゲームかを共有することはできなかった。それに比べれば,今回の発表は格段の進歩である。
現時点ではアメリカ国内専用のシステムではあるが,今後は国境を越え,ゲーム産業に広く浸透することを願いたいところだ。
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「Accessible Games Initiative」公式サイト
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