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ゲーマーが多様化する中でターゲットに的確な情報を届けるには。Discordの機能「クエスト」がもたらす広告効果が紹介されたセッションをレポート[TGS2024]
リャン氏によると,世界におけるDiscordの月間アクティブユーザー(MAU)は2億人で,その90%が過去30日間に1回はゲームをプレイしているゲーマーであり,ユーザー全体が1か月にゲームをプレイする累計時間は15億時間に上るという。またゲーム業界も成長しており,世界における市場規模は2000億ドル(約28兆円)に達し,ゲーマーの人口は30億人,そのうち日本のゲーマーは7400万人に上る。
そうした中,中堅デベロッパは,ベンチャーキャピタルやプライベートエクイティ,あるいはクラウドファンディングといった手段で資金調達をしている。加えてインディーゲームデベロッパが自分達のゲームを容易にセルフパブリッシングできるようになったり,App StoreやGoogle Playに公開したりできる状況となっている。
またビジネスモデルも変化しており,ただゲームをリリースして終わりではなく,リリース後も運用を続けるライブサービス型のゲームが増えている。ある意味では,Steamのアーリーアクセスもその1つで,完全に出来上がる前にゲームをリリースし,ユーザーのフィードバックを受けつつ開発を進めて完成を目指すこととなる。
そのようにゲームの流通手段やビジネスモデルが増えた結果,たとえばSteamでは,2023年に1万4000本以上のゲームがリリースされた。それはゲーマーにとっては喜ばしい話ではあるが,その一方で人々の可処分時間は限られている。リャン氏は,パブリッシャやデベロッパが自分達のゲームをどうやって手に取ってもらうか,遊んでもらうかという部分で苦戦しているとの見解を示した。
デパオラ氏は,リャン氏が示したような選択肢の多い状況において,通常の広告モデルを使っても情報をゲーマーに届けることはなかなか難しいと説明。そのため,ゲーマーが新鮮だと感じるようなアイデアを考え出すことが重要であると語った。
ただ一昔前は,ゲーマーと言えば外見からしてゲーマーだったが,今では一見普通の人でも実は日常的にゲームをプレイしている,ということも珍しくなくなった。しかも1回ゲームを始めたら何時間もプレイし続けるゲーマーもいれば,短い空き時間にモバイルゲームを断続的にプレイするゲーマーもいる。多様になったゲーマー全員に等しく情報を届けるのは難しいため,どんなゲーマーにどのようなタイミングで情報を届けるかが大きなチャレンジになっているとリャン氏は説明した。
そうした状況を受けて開発されたのが,Discord上で提供している機能「クエスト」であるとのこと。この機能は,ユーザーが指定されたゲームのプレイをDiscordを介してフレンドに一定時間配信することにより,限定スキンなどの報酬を得られるというもので,非常に好評だという。
またクエストの配信を見たフレンドが,そのゲームを新たにプレイするという広告効果もあり,クエストを提供したゲームはプレイ時間が平均16%,プレイヤー数が平均9%伸びたという結果も出ている。リャン氏によると,クエストはまだ初期段階であり,今後もさまざまな施策を試みて,成長させていくそうだ。
デパオラ氏もまた,クエストが自身の述べたようなゲーマーが新鮮さを感じる広告モデルの1つであると指摘する。とくにDiscordは,フレンドと一緒にゲームをプレイする際に活用するツールであるため,クエストはゲーマーが次に遊ぶゲームを探しているときに最適かつ自然なプロモーションになると説明を加えた。
また昨今では,ゲームのデモバージョンの配信やクローズドβテストの実施で,ゲーマーが実際にゲームをプレイしたり,購入したりする価値があるかどうか確認する機会も増えている。デパオラ氏は,そうしたマーケティングにもDiscordを活用していきたいと展望を示した。
セッションの最後に,リャン氏はあらためてDiscordがユーザーファーストでサービスを展開しており,ユーザーがゲーマーとしてフレンドと一緒にゲームを楽しめる環境を追求していると語った。またそうした環境の中,クエストによるゲームのプロモーションは成功していると捉えているので,興味があったらぜひコンタクトを取ってほしいと聴講者のパブリッシャやデベロッパに呼びかけていた。
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