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衆議院議員の平 将明氏と越智隆雄氏が登壇した「日本のWeb3戦略と展望」セッションレポート。暗号資産の税制など問題点を語る[WebX]
●登壇者
自民党 衆議院議員 平 将明氏
デジタル社会推進本部 本部長代理
デジタル社会推進本部 web3プロジェクトチーム 座長
デジタル社会推進本部 AIの進化と実装に関するプロジェクトチーム 座長
自民党 衆議院議員 越智隆雄氏
衆議院 財務金融委員会 筆頭理事
自民党 経済成長戦略本部 事務局長
自民党 金融調査会 幹事長
MC:
SBIホールディングス常務執行役員 小田玄紀氏
平氏はデジタル社会推進本部の本部長代理を務めるほか,Web3プロジェクトチームの座長と,AIの進化と実装に関するプロジェクトチームの座長も務めている。自民党内でのWeb3のキーパーソンと言える人物だ。
越智氏は2016年から2018年まで内閣金融副大臣を務め,衆議院 財務金融委員会の筆頭理事や,経済成長戦略本部 事務局長などに就任し,経済・金融を担当している人物である。2018年の暗号資産のハッキング事件当時も内閣金融副大臣を務めていた。
2017年から2018年はビットコインの出来高の50%が日本円で取り引きされていたが,現在は1%ほどに収まっており,日本にマーケットがないと言われている状況だ。
そんな中,アメリカ大統領選において,トランプ候補がビットコインでアメリカを大きくすると発言していたが,「日本政府として,これから暗号資産をどのように位置づけていくか」という質問が小田氏より投げかけられた。
質問に対し越智氏は,暗号資産は「乱高下するジェットコースター」であると語る。50%ほどあった出来高が現在は1%程度しかないこともその理由のひとつだが,ほかにもさまざまな事案が起こり,制度改正がなされたことが大きく影響を与えているそうだ。
世界的には暗号資産のユースケースが増えてきているが,それと同時にリスクも増えているので,しっかりと対策しつつ,暗号資産を日本の中で伸ばしていかなければならない,と越智氏は述べた。
かつてはWeb3関連の理解が広がっていない状況で,意見が通らないこともあったが,今では理解も進み,平氏らが提案したものを通すという空気感が醸成されているという。自民党は現在,総裁選を控えているが,総裁が変わったとしても,あまり影響がないという見通しだ。
続いて,小田氏は「この2年間でやってきたこと」についての質問を投げかける。
日本でWeb3のスタートアップ企業を作ろうとした場合,税金の問題があり,海外に出て行ってしまう問題があった。平氏が座長を務めるWeb3のプロジェクトチームでは,その原因であった自社発行トークンの時価評価額課税問題を解決したそうだ。
他社と協業する際に課税されてしまう,他社発行トークンの時価評価額課税問題もあるが,こちらもすでに解決しており,企業間で協業しやすい体制が整ってきているという。
それらの問題を解決したあとに出てきたのが,メジャーではないトークンを所有している場合,会計監査法人が監査できないという問題だ。こちらに関しても金融庁にラウンドテーブルを設置し,4大監査法人を軸に議論を進めており,まもなく解決する見込みだという。
なお,暗号資産のキャピタルゲイン税制※については,大きなテーマとして現在も残っている問題である,という認識のようだ。
※暗号資産のキャピタルゲインは総合課税の雑所得となるため,累進課税が適用され,最大で55.95%(所得税45%,住民税10%,復興特別所得税0.95%)かかってしまう。株式やFXのキャピタルゲイン税制は申告分離課税のため,20%ほどとなっている
越智氏は,暗号資産のキャピタルゲイン税制について,暗号資産が金融として扱われるかで変わると述べた。暗号資産は金融に近づいてはいるものの,金融として認められるためには,要件が厳しく,今年も発生したハッキング事案などのリスクもあり,セキュリティの強化を図る必要があるとしている。
一方で,海外ではビットコインなどの暗号資産でのETF(上場投資信託)などが認められているが,日本は税制の違いから暗号資産のETFが不適格商品になってしまう。これについて政府は問題意識を持っているようだ。
現状の暗号資産は現物での取引は資金決済法,デリバティブに関しては金融商品取引法が適用されている。デリバティブに関しては先物として分類できるため,金融商品取引法が適用されるが,金融としての税制上の整理がされていないという状態だ。
外国為替では現物は総合課税,先物は分離課税となっているが,同様に暗号資産が金融に近づけば,分離課税として整理されていくと思うと越智氏は述べている。そのためには暗号資産の再定義が必要との見解を示した。
ここまで税制に関するトークが行われてきたが,Web3で今一番注目している領域についての話題に移る。
平氏は,一周回ってNFTに再注目していると語る。日本で小さなブームが起きているなかで,日本での値付けが弱いという問題があると捉えており,NFTにいろいろな体験,サービス,IPなどを紐づけることで,グローバル基準の価格に引き戻せるのではないか,と考えているそうだ。
平氏が注目しているもう1つはメタバースだ。VRゴーグルの技術も進み,新たな製品が登場したことで,あらためて盛り上がりを見せると考えているという。そうなったときに,ステーブルコインも日本から登場し,Web3とメタバースがつながり,いろいろな展開がされるのではないかと注目しているそうだ。
本セッションでは暗号資産に関することを中心に語られた。直接的にゲームと関連する話ではないのだが,Web3ゲームを語るうえでは避けられない文脈ではある。これらの議論が最終的にWeb3ゲームへどう影響していくのか,業界のひとつの動きとして注目しておきたい。
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