企画記事
ホラーと謎解きのマリアージュ!? 怖いけどクセになる新宿の「くらやみ遊園地」に行ってしまって……
あなたはゲームセンターのタイトーステーションが,ホラーアトラクション施設「くらやみ遊園地」を展開していることをご存じだろうか?
くらやみ遊園地はただのお化け屋敷ではなく,映像・音声の技術を駆使した謎解きも体験できる場所だという。老舗ゲームメーカーが作るホラーアトラクション,これは体験せざるを得ないと足を運んだ。
今回はその恐ろしさを“怪談仕立てで”お届けしていくが,各アトラクションの解き方や結末などのネタバレは極力避けている。それでも,いっさいの情報を取り入れずに体験したい人は注意してほしい。
また,心臓の弱い人も,ご注意を――。
そこにある恐怖が感覚に訴えかけてくる……
「丑の刻地下病院 怨」
これは今年の夏,私が実際に体験した話なんですが……JR 新宿駅の東南口を出たところに,タイトーのゲームセンターがあるんですよね。そこで数年前からホラーアトラクション施設「くらやみ遊園地 新宿南口ゲームワールド店」ってのをやってるんですけど,編集サンに「体験取材してみない?」って言われたんで,喜んで参加したんですよ。
私は大のホラーゲーム好きで,「バイオハザード」シリーズや「サイレントヒル」シリーズは一通りやってるし,「夜廻」や「真 流行り神」とかも怖がりながらエンジョイできるクチなんです。
リアル謎解きも何度か経験がありましたし,くらやみ遊園地もホラー×謎解きだっていうんで,当日を楽しみにしていたんですよ。
ただ,その前に,取材前日のことからお伝えしないとなって……。
朝方だったかな。夢を見たんです。夢のなかで4Gamer編集部から電話がかかってきたんですよね。「取材の時間になっても来てないけど,どうしたの?」って。どうやら夢での私は日付を間違えていたらしく,もうその時点で大遅刻が決定……というところで「ハッ!」と目が覚めました。起きた後も,汗と心臓のバクバクがしばらく止まりませんでした。
本当に怖い夢でした。半分だけ現実になりましたけど。
さて,本当の取材当日。夏の日差しに照りつけられた猛暑の午前。タイトーステーション 新宿南口ゲームワールド店にお邪魔したわけですが,くらやみ遊園地って地下にあるんですね(ゲームセンター内の階段を降りて,地下一階のBARの階段を降りて,地下二階にあります)。
階段は降りるほどに光量もどんどんと減っていって,どこか冷涼に感じる受付の前に着いたときには,ほとんど真っ暗でした。
さすが暗闇を冠する施設。ほぼ照明なしです。スタッフさんが案内をするときだけランタンが点けられる,という徹底ぶりでした。
今回は,私と編集サンの2人でアトラクションに挑戦することになりました。同店には“いくつものアトラクション”があり,それぞれに恐怖体験,くらやみ度,謎解き要素などの特徴が設けられているそうです(プレイ料金はアトラクションごとの個別会計)。
そのため,どれをどの順でやるかの段取りと事前撮影のため,編集サンとカメラマンさんだけは先にアトラクションの様子見に行ってしまい,私だけポツリと1人きりにさせられる時間があったんです。
するとですね……なんか,空気が重く感じるんですよ。非常口の案内板の目に優しい緑の光でさえ,不気味に思えてきちゃって。
私はいわゆる“零感”(霊感ゼロの意)で,霊的なものはいっさい分からないタイプなのですが,よせばいいのに「新宿の繁華街の地下かあ。なんかいてもおかしくないよなあ」なんて考えちゃったりも。
ふと,この日のために用意していたスマートウォッチを見ると,心拍数は102 BPM(1分間に心臓が鼓動する回数)と表示されていました。安静時は67 BPMほどなので,思いのほかドキドキしていたようです。
「気のせい気のせい」
「別になにか感じ取ってるわけじゃないし」
「そう,私は零感のパンピー……」
などと気を紛らわせながら待つ時間は,とても長く感じられました。
ようやく引きつり笑いの編集サンが戻ってきたところで,同店のイチ押しアトラクション「丑の刻地下病院 怨」に踏み入れることに。
こちらは名称のとおり,地下にある病院を題材にした内容で,謎を解きながらいくつかの部屋を順に進んでいくというものでした。
「丑の刻地下病院 怨」
【ホラー脱出ゲーム】
目を覚ますと、そこは見たことのない病院のような場所だった。窓の外は暗闇で、入口のドアは開かない。私は嫌な予感がした。昨日聞いたウワサを思い出したからだ。
『ある病院の話を聞くと呪われる』
呪われると丑の刻に、夢の中で病院に閉じ込められて殺される。そんな話を昨晩、友人から聞いたばかりだったのだ。
ある病院とは昔、この近くにあった小さな病院のことだ。5代にわたって街に住む人を支えてきた歴史ある病院。そんな病院で、当時の院長が患者を何人も殺して姿を消したのだ。生き残った患者も次々と昏睡状態になり、二度と目を覚まさなかったという。
ウワサは本当で、ここは夢の世界なのだろうか…それなら早く逃げないと…このままでは殺されてしまう。
私は意を決して廊下に続くドアを開けた…
※公式サイト紹介文引用
最初に,部屋を案内してくださったスタッフさんから,静かな声色でアトラクションの事前説明を受けました。口調や語り口からして「すでに殺(ヤ)りにきている……」と思いました。印象的だったのは「触っちゃダメなものにはシールが貼ってある」ということ。
シールはおもにドアの蝶番などに貼られていました。目的は,恐怖体験が生み出す動転時の破損防止でもあると思うけれど,「イジッてなにか起きるわけじゃない,仕掛けとは無関係な場所」にとらわれて時間をムダにしなくて済むという,アナウンス的な利もあるようです。
それと,各部屋にはカメラが配備されていました。気分が悪くなってリタイアしたいとき,赤く光るカメラに向かって手を振るなど合図を出せば,参加者を見守るスタッフさんが駆けつけてくれる仕組みです。
説明を終えたスタッフさんが退出すると,バタンッ。入り口扉を閉められました。さて,どうするもんかとあたりを見渡した直後,ジリリリリリッ! 室内に並べられた公衆電話が突然鳴り出したんです。
私は飛び上がるくらい驚きつつも,習慣とは恐ろしいもので。後先を考えずに歩み寄り,手に取った受話器に「……もしもし?」と応答していました。受話器の向こうから聞こえてくるのは,この病院のことや謎解きのヒントらしきこと。相手は言うだけ言うと勝手に電話を切ってしまい,あとはツー,ツー,ツー,というむなしい音だけが響いていました。
その状況にどうしようもなく薄気味悪さを感じつつも,一方で,こんな状況でも電話口に丁寧に返事をしてしまう,正常性バイアス強めな自分を振り返るとちょっと笑えてきて,なんとか精神は保たれました。
そんな矢先,どこからか「ライトを持って進むように――」という指示と,ゲームスタートのアナウンスが流れてきました。
暗い道中を照らすための相棒として,壁にかかっているペンライトを恐る恐る手に取り,意を決して目の前の重い扉を開けると――。
そこには病院の廊下らしき空間が広がっていました。壁に並べられていたのは……誰かの肖像? この病院に関わる人たち,でしょうか。気のせいだとよいのですが……たまに,動いているような……?
なにが待ち受けていたのかは恐ろしくて語れませんが,ゲームを進めていると,「手術室へお入りください」と促されました。
手術室。ホラーで病院ときたら定番ですよね。私もゲームで見慣れたものですが,意を決して扉を開けた瞬間……うわっ……。
そこに広がっていたのは,思わず顔を背けたくなる光景。見ないようにしても,“それ”がいないことにはできない。同じ空間にいる。できれば近づきたくない。けれど,この部屋から出るには嫌が応でも――。
「ダライアス」
「アルカノイド」
「バブルン」
「エレポン」
恐怖を紛らわせてくれるタイトーのおちゃめ要素に,「ふふっ」と笑いがこみ上げてきて,少しだけ気持ちを落ち着かせられました。
そこにいる“それ”のことを受け入れ入れまいと,異常な場所にいる自分のメンタルをごまかしたいような,そんな笑いでした。
本来なら事前撮影もカメラマンさんだけ行けばよいのに,「……だっていきなり本番だと怖いし」と先に心の安心を取りにいったはずの編集サンも,自分は余裕だと信じ込んでいるような引きつり笑いをしながら,ずっと動かずにいました。まるで助けになってくれません。
正気を保っているように見せかけて,まったくもって正気ではなかった私は,いつもならたやすく解けるであろう簡単な謎解きにもヒントにも気付けず,長らく“それ”と閉じ込められたままでした。
アトラクションの制限時間は20分。焦るばかりで手元もおぼつかなくなってきたところへ,地獄の招き声と天のお告げが降り注ぎます。
私がこれまでに体験したことのあるリアル謎解きゲームでは,最後まで自力で解かなければならないか,あるいは限定的なヒントが聞けるかどうかでしたが,ここでは制限時間内になるべく最後まで楽しめるよう,運営サイドも攻略をサポートしてくれるようです。
そうした応対によるリラックス作用を受けたことで,私はようやく探し足りないところに気付けました。それから逃げるようにして部屋を出て行くまで,“それ”はずっと,私のことを呼んでいました。
次なる部屋に入ると,先ほどとは比べ物にならない衝撃と出会ってしまいました。言語化する機能も著しく低下したようで「ああ〜,ふふふん」という声しか出ませんでした(ふふふん,には「なにをすべきかは想像つくけど,ヤだなー,ホラーゲームでもよくありそうなシチュエーションだけど,自分でやるのは本当にヤだなー……でも,やっぱり,やるしかないんだろうなあ……」といった諦観の感情を含んでいます)。
生理的に,本当に無理な人も絶対にいることでしょう。
いざ,今度の“ソレ”と向き合っても。
「にゅるん」
「どすん」
「ぶるん……」
全身にブワーッと鳥肌が立つ感覚。半ベソをかきながらも情報を拾い集め,生還の筋道を探し続けて――いたところで,残念ながらタイムオーバーとなってしまいました。この仕掛けを解いた先に,なにが待っていたのか。それを確かめたい悔しさで後ろ髪を引かれながらも。
この部屋から出られる。それにホッとする自分がいました。
「丑の刻地下病院 怨」を振り返ってみると,部屋を進むごとに暗さと怖さが増していった気がします。最後までたどり着いたなら,いったいどれほど恐ろしいのか。ちょっと想像もつきません。
探し足りなかった場所はだいたい,近づきたくないものの付近でした。ゲームと分かっていても自分をごまかしきれず,一歩を踏み出させない(イイ意味での)嫌悪感が,人間の心理をうまく突いていて感心してしまいました。また,20分という時間も体感では倍くらいに感じました。
ちなみに,このときの心拍数は最高105 BPMでした。
ありったけのモノをかき集め,宝物を探しに行く
「旧校舎の花子さん」
学校ものの怪談といえば,トイレの花子さんが有名ですよね。何番目の個室だとか,ノックがどうとか所説はありますが,次のアトラクション「旧校舎の花子さん」もまた,花子さんを呼び出す肝試しでした。
肝試し,なんて聞くとちょっとカジュアルな感じもしますかね? 大丈夫。それはもはや儀式で,案内された部屋も雰囲気からしてガチでした。暗くて,古くて,せまい,学校のトイレのイヤぁーな感じが再現されていて,その時点でできれば入りたくなかったんですけど……。
「旧校舎の花子さん」
【ホラー探索ゲーム】
昔、ある学校で昼休み中に女子生徒が失踪する事件が起こった。生徒の鞄や荷物は教室に残されたままだったが、自宅にも帰った形跡は無かった。
騒ぎが収まった後、学校側はイメージの払拭と校舎の老朽化を理由に新校舎を増築し旧校舎側を長らくの間、立入禁止にしていた。やがて時が経ち、ある噂が校内で広がった。
「旧校舎のトイレに幽霊が出るらしい」
噂は瞬く間に広がり「旧校舎の花子さん」と呼ばれる様になった。噂に興味を持った貴方は、周囲の反対も聞かずにある日の夜その学校に忍む計画を立てる…
※公式サイト紹介文引用
ここでもスタッフさんの説明のあと,ゲームが開始されました。されましたが……ルールの決まりとして「参加者は1人ずつ個室に入った状態からスタート」しなければなりません。その時点でもう,もう。
トイレのドアの外から聞こえてきたのは,少女たちのかしましく残酷なやり取り。在りし日の花子さんと同級生でしょうか。それは今まさに個室の外で起きている出来事のような気がして,妙な感じがしました。
1人きりで真っ暗な個室にいて,真っ暗なお話を聞いていると,とても気分が沈んできました。花子さんであろう少女が悲しむ声に対しても,「かわいそう……」という印象が強くなっていきます。
ようやく個室から出ていいとなって,飛び出します。ここではどうやら“花子さんへのお供え物”になりそうなモノを探し出すようです。お供え物といってもお菓子や線香ではありません。トイレ中を探し,彼女の無念を晴らすなにかを洗面台に供えていくのです。
ただ,ここはトイレ。モノが隠されている場所も,やはりトイレ。
実は私,コロナ禍の影響で潔癖症気味になってしまっていて,「ここのトイレはアトラクションだから……アトラクションだから……」と分かっていても,どうしても取れないものは取れませんでした。
それを見かねた編集サンは積極的に動いてくれましたが,その表情は病室にいたときとはまた違う色合いで死んでいました。精密な手作業が求められるときも,手に持ったライトをどこに置けばいいのか。右手から左手へ。左手から右手へ。無知な子供のように動揺していました。
ただ,こちらのアトラクションは恐怖体験よりも謎解き要素がメインだったため,スタッフさんにサポートしていただきつつ,チェック漏れしていたモノに気づくこともできて,なんとか制限時間ギリギリのカウントダウン中にクリアできました。心拍数は最高93 BPMでした。
また,旧校舎の花子さんは謎を解いたら終わりというわけではなく,しっかりと物語のエンディングも用意されていました。
でも,なんだか,まだ続きがあるような終わり方で?
というのもスタッフさんいわく,このアトラクションには「旧校舎の花子さん カイ」という続編があるとのこと。今回チャレンジしたものは制限時間15分でしたが,カイのほうは25分なんだとか。謎解きもボリュームがありそうですし,恐怖度も一段階アップしているようです。
ううーん。続きは気になるけど,これより怖くなるの……? ちなみにクリア特典でオリジナルステッカーをいただけました。
そんなことって……絶望までのフルコース
「くらやみレストラン」
最後にやったのは,同店一番の暗闇度を誇る「くらやみレストラン」。こちらは真っ暗な室内で,音で物語を体験するサウンドホラーでした。公開されているあらすじからすると,宮沢賢治さんの「注文の多い料理店」のようなシチュエーションに近いかもしれません。
「くらやみレストラン」
【サウンドホラー】
いらっしゃいませ
こんな雨の中、よくお越しいただきました。
私はこの店のオーナーの矮澤です。
本日はどうぞごゆっくり私の特別な料理をご堪能ください。
いえ、お代は要りません。
今回のディナーを完成させるには皆様のご協力が必要です。
皆様で創り上げる最高の食と空間を心ゆくまでお楽しみください。
※公式サイト紹介文引用
クラシックな高級レストランを模した一室に入ると,そこには長テーブルが置かれており,それぞれの席にはお皿と,その上に大きなヘッドホンが乗っけられていました。両手の位置には意味深なボタンも。
好きな席に座ってくださいと言われ,編集サンと2人で着席します。編集サンが向かい側の席ではなく,わざわざ左斜め前の席にズレて座っていたのは,そこが出口に最も近いからだったのでしょう。
続けて,スタッフさんから「座ったあとは椅子を引いて,後ろに“人が1人くらい通れるスペース”を空けておいてください」とお願いされました。それってつまり……? 下ごしらえに震えます。
最後に,ヘッドホンの装着の仕方と,卓上の席ごとに「2つずつ設置されているボタン」についての説明がありました。
このゲームは基本サウンドホラーのため,参加者が歩いたり探したりすることはありません。ただ,作中で“AかBかの判断”を求められる場面がたびたび出てきて,各人はどちらかのボタンで意思表示をするのだそう。そうしてストーリーが枝分かれしていくようです。
プレイ中は,参加者みんなで選択肢をそろえるもよし。個々で好きに選ぶもよし,とのこと。体験の流れはマルチエンディング式のアドベンチャーゲームでなじみ深いですが,かかっているものが違う。
スタッフさんの退出後,部屋は完全に真っ暗になり,目を閉じていても開いていても見えるものに変わりがない暗黒空間になりました。すると,ヘッドホンから注意事項のガイド音声が流れてきました。
そのガイドは淡々としつつも不気味な,すでにちょっと雰囲気のある声色(ヤバい集落で最初に出会う,無表情で奇妙なことを言ってくるおばあさんみたいな声)で,無理やり物語に没入させられました。
いよいよゲームが始まると,この場所が,ひどい嵐のなかで駆け込んだ,とても大きな屋敷のレストランであることを知ります。
遠くで聞こえる物音,いや足音がどんどんと近づいてきて,話し声とともに私の背後を左から右へと抜けていく。
個人的に,立体音響を用いたシチュエーションCDなどをいくつか聞いてきた身ですが,ここまで音場の広さや音の定位を感じられる,まさしく臨場感というべき体験はしたことがありませんでした。これは音響機器や室内設備のクオリティによるものなのでしょうが,本格派はまさかここまで違うのか……なんて思っていると,登場人物に一気に距離を詰め寄られる不意打ち。うなじのあたりでウィスパー気味にささやかれます。
思わず「うわああ,ダミヘ(ダミーヘッドマイク)ーーー!」と叫んでいました。背筋がゾクゾクする恐怖と快感がない交ぜです。
物語は基本,登場人物たちのセリフ仕立てで進行していきます。テイスト的には華美で甘美で,妙齢の女性たちがからかうように,嘲るように,卓上でオドオドしている私たちをもてあそんできます。
耳を傾けていると思わず,「この声優さん,めっちゃうまい。誰だろ。劇団経験者のかたかしら?」なんて,つい声優さんを当てたくなるオタクの性も出てしまいます。あとから考えると,思考を脇道にそらすことで,地に足がつかないメンタルを整えようとしていたのかも。
登場人物たちは頻繁に,私の後ろを歩き回ったり,温かな息がかかりそうなほど接近したりしてきました。「本当にそこにいるんじゃないか?」と,つい椅子の後方に手を回したくもなります。
いたらいたで怖いけれど,こんなにも立体感と存在感があるのに実体がないことのほうが,4Dすぎて怖くなってきます。
物騒すぎるレストランで,コース料理がどんどん進んでいきます。途中で選択を求められるシーンでは,カウントダウンに慌ててしまって編集サンと相談することもできず,毎回事後報告に(密閉型ヘッドホンですが,外さずとも互いに話し合うことくらいはできる)。
そんなバラバラの足並みでは,このレストランでは,生存など夢のまた夢。案の定,産毛がゾワッと逆立ちしてしまうような凄惨な結末にたどり着きました。終演後,編集サンと「どの選択肢を選べばよかったのか」と反省会をしつつ,部屋をあとにしましたが,2人ともそもそも選択肢自体を思い出せないくらいヘロヘロでした。編集サンのスタンスも「自分だけでいいから助かりたい……!」の一心だったようです。
くらやみレストランは終始,座ったままで体験できるアトラクションなのに,一番消耗した気がします。心拍数は最高102 BPMでした。
意味が分かると怖い……!? プチインタビュー
疲弊して受付に戻ったあと,スタッフさんにお話を聞きました。
4Gamer:
地下病院は時間が足りず,クリアできませんでした……。
スタッフさん:
そういう方々もよくいます。クリアの確率を上げるには,やはり複数人でプレイされるのが手がかりも集めやすいのでおすすめです。
もちろん,お1人で参加される方々もよくいらっしゃいますし,何度も足を運んでクリアを目指すという人もいますよ。
4Gamer:
え,こんな怖いところに1人で!?
スタッフさん:
ええ。それもリピーターがけっこういます。
とくに夏場はお客さまの数も増えますので。
4Gamer:
すごいですねえ。
ちなみに,お化け屋敷的なところには“本物が紛れ込んでる”なんて話もありますけど,なにか不思議な体験をされたりとかは……?
スタッフさん:
ああ,よくありますねえ。ほかのスタッフたちも「あそこに知らない女の子がいた」なんてよく話をしていますし。
4Gamer:
その子はもちろん,お客さんでも従業員でもなく……?
スタッフさん:
はい。あとは「誰もいないのにノックが聞こえた」とか。
4Gamer:
ひぇ。ノック……あの,アトラクション中もノックの音ですんごいビックリしたんですけど,もしかしたら演出じゃないのもあったり?
スタッフさん:
うーん,どうでしょうね。まあ大丈夫。慣れですよ慣れ。
4Gamer:
そういうものですかねえ……。
スタッフさん:
病院の“あの仕掛け”も先日,新しいものに入れ替えたのですけど,私はその直後に〇〇〇〇を食べに行きましたし。
4Gamer:
慣れが一番怖ぃ……。
くらやみ遊園地を実際に体験してみたところ,ホラーと謎解きのイイトコ取りな,ゲーマー向けのアトラクションに思えました。
私は,ホラーゲームでは恐怖体験と同じくらい謎解きをするのが好きなので,それがリアルの手でできるのがとても楽しかったです。
恐怖のせいで頭の回転が鈍っていることを実感できたり,イヤだと思うものを無意識にさけて手がかりを見逃したりと,謎自体は難解すぎないけれど,謎に挑む自身の精神がかつてないほどハードで……。
そのため,謎解きが得意中の得意という人でも,ホラー効果の影響で,これまで知らなかった自身の一面も感じられるのではないかと思います。それこそ,いつもはホラー映画の登場人物たちを「こいつら,おバカでー(笑)」なんて笑ってる自分が,彼らのようになるみたいに。
「くらやみ遊園地」は,新宿駅近くの立地もあってか,夏の休日は午前中から大盛況とのこと。また店舗は広島本通店,名古屋大須店,福岡天神店,札幌店と全国各地にあり,お店ごとにアトラクションを変えていたり,内容の細部も異なったり,そもそも敷地面積も2倍〜3倍と場所ごとに違っていたりするそうです。
夏と言えば涼。日本の夏の涼と言えば恐怖体験。
この夏はぜひ一度,とびっきりの涼を味わってみては?
■店舗概要
名称:タイトーステーション 新宿南口ゲームワールド店
住所:〒160-0022 東京都新宿区新宿3丁目35-8
営業:10:00〜23:00(最終受付22:00)
〇このほか全国店舗
・広島本通店
・名古屋大須店
・福岡天神店
・札幌店(2024年7月26日開店)
「くらやみ遊園地」公式サイト
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