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Embracer Groupがボードゲームや版権管理,インディーゲームを担当する3つの会社に分社化へ。それぞれがスウェーデンで再上場を予定
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印刷2024/04/23 16:21

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Embracer Groupがボードゲームや版権管理,インディーゲームを担当する3つの会社に分社化へ。それぞれがスウェーデンで再上場を予定

 経営再建中のEmbracer Groupが3つの会社に分社化し,それぞれがスウェーデンのNasdaq Stockholmに再上場する組織改革案が,取締役会および経営幹部によって株主に提案され,議決権を有する50%の株主によって承認されているという。

画像集 No.001のサムネイル画像 / Embracer Groupがボードゲームや版権管理,インディーゲームを担当する3つの会社に分社化へ。それぞれがスウェーデンで再上場を予定

 Embracer Groupについては,本誌連載でも触れているが,この10年ほどで大きく成長しながらも資金繰りに失敗して経営が悪化している。

 2023年6月からは,数々のコスト削減や資本配分の調整を断行している。起業から同社を率いてきた,現在も最大株主であるラース・ヴィンゲフォシュ(Lars Wingefors)氏はCEO職を退任。老舗デベロッパのVolitionが閉鎖されたのに加えて,「ボーダーランズ」のGearbox SoftwareはTake-Two Interactiveに,「World War Z」などを開発したSaber Interactiveは,その創業者が興したBeacon Interactiveに売却されるなどしている。

 提示された組織改革案は,「Asmodee Group」「Coffee Stain & Friends」,そして「Middle-earth Enterprises & Friends」という3つの企業に分社化されるというものだ。

 Asmodee GroupとCoffee Stain & Friendsは,Lex ASEAというスウェーデン国内の法律に則り,Asmodee Groupは12か月以内,Coffee Stain & Friendsは2025年度中にNasdaq Stockholmに再上場される。そして,Middle-earth Enterprises & FriendsはEmbracer Groupの新形態として再登録を目指す。

 その際には,現在のEmbracer Groupの株主に,それぞれの株式を再分配する予定であるという。

画像集 No.004のサムネイル画像 / Embracer Groupがボードゲームや版権管理,インディーゲームを担当する3つの会社に分社化へ。それぞれがスウェーデンで再上場を予定

 こうした再編は,JPモルガンがAsmodee Groupに投資した9億ユーロを,Embracer Groupに再融資するという形で実現し,既存の負債を返済するとともに,今後のレバレッジに利用できる目途を付けているとのこと。3つの新企業の特徴は,以下のようなものとなる。

○ Asmodee Group
 Embracer Groupが2018年に買収したAsmodee Groupは,「カタン」や「チケット・トゥ・ライド」などのボードゲームを中心に300以上のIPを保有しているほか,「Star Wars: Unlimited」といった幅広いライセンスを駆使したトレーディングゲカードなどを開発している。
 ストックホルムとフランスのパリを二重拠点に,現CEOのStéphane Carville氏と現COO兼創設者のMarc Nunes氏がAsmodeeの取締役会に加わり,現在は副COOであるThomas Koegler氏が新たにCEOに就任する。

○ Coffee Stain & Friends
 Coffee Stain & Friendsは,「Sudoku.com」など高い経常利益を上げ得るコミュニティ主導のF2P型ゲーム,ライブゲーム,「Goat Simulator」や「Safisfactory」「Valheim」などインディーゲームおよび,THQ Nordicを中心としたゲームを専業にするパブリッシャとして創設される。

 これまでのEmbracer Group傘下にあったCoffee Stain Studios,Ghost Ship Games,Tarsier Studios,Tuxedo Labs,DECA Games,Easybrain,Cryptic Studiosなどの資産が含まれる。

 分離後も現CEOのAnton Westbergh氏が経営を主導していく。

○ Middle-earth Enterprises & Friends
 「指輪物語」(ロード・オブ・ザ・リング)や「トゥームレイダー」などの版権を管理すると同時に,PLAIONを始めとするAAAタイトルや,その開発元などEmbracer Groupの後継母体として,Middle-earth Enterprises & Friendsが創設される。

 「トゥームレイダー」のCrystal Dynamics,「Dead Island 2」のDambuster Studios,「Deus Ex」などのEidos Montreal,「Shadow Warrior」のFlying Wild Hog,「Killing Floor」のTripwire Interactive,「Arizona Sunshine」のVertigo Games,「Kingdom Come: Deliverance」のWarhorse Studios,「メトロ」の4A Gamesなど,高い評価を得ているスタジオの拠点となる。

 これまでEmbracer Groupの暫定CEOだったPhil Rogers氏が,続けて指揮を執ることになる。

 なお,Coffee Stain & FriendsとMiddle-earth Enterprises & Friendsは仮称であり,今後は社名変更される予定であるとのこと。9000を超えるという数々のIPを抱えるEmbracer Groupの資産がそれぞれに分配されることで,今後の成長を可能にする独自のバランスシートや財務目標,最適な資金調達構造と資本配分戦略を最大限に活用していくことに期待しているという。

 これまで肥大化戦略を行ってきたヴィンゲフォシュ氏は,新たに新設される「Group CEO」という役職に就くとともに,事実的に資本の約20%,議決権の40%を有する最大株主として,今後も大きな影響力を維持しそうだ。この分社化は,グループの経営健全化が軌道に乗っていくのかどうかの大きな分岐点となるだろう。

Embracer Group公式サイト

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