プレイレポート
[プレイレポ]ストーリー,テキスト,イラストをすべてAIが生成。マーダ―ミステリー「Red Ram(仮称)」を遊んでみた
「モリカトロン」公式サイト
「Red Ram(仮称)」では,ストーリー,会話テキスト,トリックの設計,イラストをすべてAIが生成するという。来場者が「被害者の名前」「凶器」「殺人現場」などの条件を入力すると,AIがオリジナルのマーダ―ミステリーを生成し,作られたミステリーをサクッと楽しめる。
生成されたゲームでは,まず殺人現場の状況確認を行ったうえで,4人の容疑者の証言を聞いていく。そして,得られた手がかりから,容疑者のアリバイや犯行の情報を読み解き,見事真犯人を当てればゲームクリアとなる。
内容としては,シンプルな犯人当てゲームといった印象だ。プレイした限り,推理小説で見られるような凝った状況は確認できかったので,ミステリーとしても,単純な構造と言えるだろう。
また,犯人当ての際も,「この証拠とこの状況だから,おそらく犯人はあいつだ」といった具合に,推測で決める状況もあり,「すべての謎を解き明かしたぞ!」という,推理ゲーム特有のスッキリ感を得られないこともあった。
とはいえ,登場人物の会話や証拠品の説明といった部分は,おおむね意味が通るものになっており,簡単な推理ゲームとして十分に楽しめた。なにより,「ゲームでのAI技術活用」というホットなトピックスの現状や,これからの課題を肌で感じられる貴重な機会でもあった。
ブースにいたモリカトロンの森川幸人氏によれば,今回の出展はあくまで技術デモで,今のところ商品化する予定はないという。開発初期ではミステリーの設定を壊しかねないことをChatGPTが生成してしまったり,Stable Diffusionがイメージどおりのイラストを描いてくれなかったりしたそうで,チューニングには,かなり苦労したそうだ。
AIのゲーム活用と聞くと,会話生成やキャラクター生成といった部分に目が行きがちだが,今回,森川氏が手ごたえを感じたのは,「このイベントが発生したら,このアイテムが出現する」といったフラグ管理の部分だという。フラグ管理のような人が行うと面倒な部分をAIに任せ,別の作業をするといった具合に,AIをゲーム開発の補助として使う方向性が実際的なのではないかと語っていた。
さまざまな課題もあるAIの自動生成ゲームだが,今回の「Red Ram(仮称)」はそれを置いても,触ってみる価値が十分にあるタイトルだ。
事件の生成には約10分かかるが,AI生成の際に発行されるQRコードを使えば,スマホのブラウザ上でも遊べる。ほかのブースを回りつつ,10分経ったらスマホをチェックしてゲームを楽しむこともできるので,会場に足を運ぶ予定の人は,モリカトロンブースで自分だけの事件を作ってほしい。
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