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CEATEC 2022のオフライン会場レポート。注目のメタバースブースやその体験を支える5G IoT向けの高機能材料などが出展
「CEATEC 2022」公式サイト
Metaverse EXPO JAPAN 2022
CEATEC 2022で注目を集めていたのが,Metaを中心に組織されたメタバースエキスポジャパン実行委員会が出展したMetaverse EXPO JAPAN 2022だ。内容としては,7月に開催された同名イベントとほとんど変わらなかったが,昨今のメタバースブームもあり,多くの人がチェックしていた。傾向としては,メタバース内でのイベントのほか,遠隔支援ソリューションや新しいワークスタイルの提案もあり,バラエティに富んでいた。
Metaverse EXPO JAPAN 2022のブースでは,あちこちでMeta Quest 2を活用した展示があったが,Metaが開催前に発表したMeta Quest Proの実機は残念ながら見られなかった。なお,Metaブースでは,WorkroomsやARによるアートを体験できるコーナーが用意されていた。
高周波拡散フィルム・メタサーフェス反射板
住友ベークライトのブースでは,「メタバース体験を支える高機能材料」と題して,さまざまな展示が行われていた。面白かったものは「高周波拡散フィルム・メタサーフェス反射板」だ。5G IoT向け※に開発中のもので,ミリ波の直進性によって,建物内での受信強度が改善されるという。
※IoTは「Internet of Things」(モノのインターネット)の略。さまざまなモノがインターネットにつながり,相互に情報交換ができるようになる仕組みを指す
展示されていたものは,ほぼ透明で窓ガラスへの実装を想定したものや壁材になるタイプのもの。将来的な話になるが,住宅へのインターネットインフラは有線ではなく,短距離で5Gを飛ばす実験も進んでおり,屋内電波強度改善のために「高周波拡散フィルム・メタサーフェス反射板」を貼るような未来もありえるだろう。
LOOVIC
LOOVICブースで展示されていたハンズフリーフィジカルナビ「LOOVIC」は,空間認知の社会問題を解決するための技術だが,体験してみたところ,ゲームにも活用できそうだったので紹介したい。
LOOVICは,声と触覚のナビゲートによって,空間認知が苦手な人でも1人で歩けるようにする機器だ。仕組みとしては,ネックスピーカーに触覚フィードバックが追加されたようなもので,声と触覚で方向補正を行う。実際に装着してみると,肩をたたかれて案内されているような感じだった。
この時点でゲーム向けにも使えそうだと思ったが,より魅力的な部分に感じられたのが骨伝導の仕組みだ。LOOVICでは耳だけでなく,鎖骨の振動も利用しているとのことで,感覚的には耳と鎖骨の間くらいから音がしていた。軟骨伝導ほどではないが,それなりに騒がしいCEATEC会場でも声を聞き取ることができ,左右の分離も明確であったため,ゲームにも活用できそうだと考えた次第だ。また,アーケードのアトラクション的なギミックでもあるため,ゲーム開発の知見も入ってくると,よりよいデバイスになるのではないだろうか。
半導体産業人生ゲーム(等身大)
JEITA(電子情報技術産業協会)ブースでは,半導体企業で働くことを体験できるものとして,「半導体産業人生ゲーム」(等身大)が出展されていた。
等身大の文字通り,人間をコマに見立てたもので,それに伴いマスやルーレットも巨大化している。昨今の半導体不足で起きたさまざまなイベントを各方面から聞いていた筆者は,「きっと大変なイベントばかりなんだろう」と勝手に想像していたが,中身は意外とマイルド。どちらかと言えば,トントン拍子に進んでいくコマが多い印象だった。
2019年以来となる3年ぶりのオフライン開催となったCEATECだが,出展ブースは控えめで,このあたりの事情をよく知るメーカーに確認してみたところ,「開催されるか不透明で,予算確保が間に合わなかった」という。全体的な雰囲気としては,一般向けの公開がなくなる前のCEATECに近く,久しぶりの物理展示会の感触を掴み直しているような印象があった。本格的な再始動はこれからとなりそうで,次回のオフライン開催にも期待したいところだ。
「CEATEC 2022」公式サイト
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