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[TGS2022]Twitterを活用してコンテンツを成長させる戦略とは。Twitter利用者の価値と,成長へのステップが語られたセッションレポート
Twitter利用者の価値は
セッションの冒頭,中村氏はTwitterを「“今起きていること”,“今人々が話していること”が分かる場所」と定義した。すなわち,Twitterとはゲームはもちろんスポーツや音楽などのエンターテイメント全般,テクノロジー,ビジネス,文化などのさまざまな話題を,リアルタイムかつグローバルに提供するプラットフォームというわけである。そして,それらの話題に対してユーザー同士が“会話”をすることが重要だと語った。
Twitter Japanの2022年第2四半期決算報告によると,TwitterのグローバルのmADU(収益化可能な1日あたりのアクティブユーザー数)は2億3800万人。今なお伸び続けており,今後も引き続き増加していく見通しだという。
それではユーザーがTwitterをどのように使っているか。主に興味・関心があることについて投稿する,あるいは興味・関心があるユーザーをフォローする──すなわちつながりを持ち,コミュニケーションを図ろうとしている。それを中村氏は「自分の興味・関心があることを発見し,それについて意見を述べ,ほかのユーザーと会話をする」と表現。そして,ゲームを例に挙げて「ゲームプレイ動画を観るだけでなく,自分でプレイして感想を述べ,コミュニティを作ってほかのユーザーと会話をする」ことであると解説を加えた。
Twitter上では,ユーザーが企業やブランドをコミュニティの一部として捉えていることも示された。最近の調査では,10人中7人のユーザーが企業やブランド,あるいは著名人の投稿に対して,Twitterを利用する楽しみの一部と考えていることが判明したそうだ。
また,Twitterはゲーム好きが集まる場所でもあるとのこと。Twitterユーザーのうち,ゲームを趣味としている人の割合は39%。これは,ほかのSNSより多い傾向にある。
それならば,ゲーマーはTwitter上でどんなゲームタイトルの会話をしているのか。2022年1月1日から8月16日までの国内トップ5は,上から順に「原神」「あんさんぶるスターズ!!」「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」「Fate/Grand Order」「荒野行動」だった。
ちなみに,同時期の多く会話をされたパブリッシャのトップ5は任天堂,セガ,バンダイナムコエンターテインメント,カプコン,TYPE-MOONの順だ。
「原神」が首位を維持。Twitter Japan,2022年1月1日から8月16日まで,日本国内で交わされたゲームに関するツイートの情報を初公開
Twitter Japanは本日,1月1日〜8月16日まで,日本国内で交わされたゲームに関するツイートの調査結果を発表した。世界規模でのこうした調査が行われていたが,日本国内に絞っての情報公開は初めてだという。「最も会話されたビデオゲーム」には,引き続き「原神」が入っている。
中村氏はゲームにまつわる投稿の例から「『自分自身の何かを見てほしい』『バズりたい』ではなく,ゲームのコミュニティに対して自らの体験を発信して,コミュニケーションを取ろうとしている」と分析し,Twitter上にはこうした会話が多く存在していると述べた。そして,Twitter上の会話を活用することがコンテンツ成長のキーであると続け,「今起きていることが分かり,『好き』でつながる人々の会話に飛び込めるTwitterは成果につながる」とまとめた。
コンテンツ成長をドライブする3ステップ
Twitterをどのように活用すれば,コンテンツの成長を図れるのか。斎藤氏はそのために,3つのステップを示した。
ステップ1は「ファンを“定量的”に知る」。斎藤氏はよくある課題として「IPのゲーム化を予定しているが,IPのすべてのファンがゲームを遊んでくれるわけではない」ことを挙げた。
例えば,とある漫画を原作とし,テレビアニメ化や映画化が果たしたIPのTwitterアカウントの場合,テレビアニメ開始前のフォロワー数は12万人だった。それが開始後は82万人,約7倍になった。さらに映画公開後は146万人となり,テレビアニメ開始前の約12倍になったという。
一方,このIPについてTwitterに投稿したユーザーは半年間で377万人だ。そのうち,IPのゲームアカウントをフォローしているのはわずか4%の18万人。斎藤氏によると,例に挙げたIPに限らず,ほとんどのIPで同じような傾向が見られるとのこと。「表面的な数字だけを追うのではなく,積極的に情報を収集しTwitterに投稿してくれるファンを増やしていくことが定量的には重要になる」と述べた。
ステップ2は「ファンを“定性的”に知る」。よくある課題として「同じジャンルの競合タイトルでも解決すべき課題が異なる」ことが挙げられた。
例として示されたのは,サービス期間や規模感が近い2本のアイドルゲームタイトル。タイトルAのTwitterアカウントのフォロワーはアイドルゲームというジャンルより,声優やイラストレーターといった一般エンターテイメントに興味・関心を持っている層が多い。対してタイトルBのアカウントのフォロワーは,アイドルゲームのジャンル自体に興味・関心を持っている層が多く,特徴に違いがある。
さらに「#(ゲームタイトル)○周年を付けてTwitterに投稿したユーザーのうち,一度でも#(ゲームタイトル)を付けてほかの投稿をしたことのあるユーザーの割合」を見ると,タイトルAは96%,タイトルBは65%という大きな違いがある。つまり,タイトルAのフォロワーは普段からタイトルAに対するエンゲージメントが高く,タイトルBのフォロワーの35%は普段,タイトルBについて投稿をしていないというわけだ。
以上の結果から,斎藤氏は「ライトゲーマーでエンタメファン」で「普段からエンゲージメントが高い」というフォロワーの傾向があるタイトルAには,「コアファンの熱量を活かし,さらに拡大する」施策が必要だと説明した。
一方,「コアなアイドルゲームファン」で「普段の会話には参加していない」というフォロワーの傾向であるタイトルBには,「競合より自社タイトルに関心を持ってもらう」施策が必要であるとした。
ステップ3は「会話を増やす」。ここで「会話を増やすことで,自社ゲームの認知を上げたり,購入を促したりできるのか」というテーマを挙げた。
斎藤氏によると,データの分析から会話を増やすことにより認知を上げる,あるいは購入を促進できることが判明しているという。「Twitter広告やトレンド,投稿を促すような施策がゲームのプレイとブランドエクイティ(認知度や好感度など)形成につながる」と説明すると,例としてコンシューマゲームの体験版ダウンロード数とTwitterの投稿数のデータを提示した。そこには相関関係があり,体験版に関する投稿やRTが増えると,同じタイミングまたは直後にダウンロード数も増加している。
また,「自社ゲームの会話がされていない。どうすれば会話をしてくれるのか」という課題も挙げられた。斎藤氏は,5000以上のバズった投稿から分析・抽出したという「ユーザーがTwitterに投稿したくなる気持ち14選」を踏まえて,「ユーザー同士で盛り上がりたいと考えている人が多い。会話をしてもらうには,こうした人達を盛り上げるような施策が必要になる」と語った。
その課題に対して,具体的にどうすればいいのか。ステップ1・2で分析した「ファンが何を伝えたいか」を汲み取り,伝えてもらうために「ユーザーに向けて情報を投げかけるタイミング」を図る必要があると斎藤氏は指摘する。
それらをうまく重ね合わせることで,より会話が盛り上がる話題を作り出せる。さらに「どう語られたいか──どういう話題になれば自分達の伝えたいことにつながっていくのかを明確にすれば,シンプルかつユーザーが気軽に会話に参加できるコミュニティを形成できる」と聴講者に呼びかけていた。
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