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レトロンバーガー Order 64:「E3 2021」出展タイトルからドット絵などをフィーチャーしたニューレトロ系を集めてみる編
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印刷2021/06/19 20:34

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レトロンバーガー Order 64:「E3 2021」出展タイトルからドット絵などをフィーチャーしたニューレトロ系を集めてみる編

画像集#001のサムネイル/レトロンバーガー Order 64:「E3 2021」出展タイトルからドット絵などをフィーチャーしたニューレトロ系を集めてみる編

結局夏はくるのです。
だが夏は,永遠が何の憂えもなく,静かにひろびろと眼前に横たわっているかのように待つ辛抱強い者にのみくるのです。

 オーストリアの詩人であるライナー・マリア・リルケは,若手作家のフランツ・カプスへ送った手紙にこう記しました。というわけでです。今年のゲームメディア的な意味での夏は,6月11日の「SUMMER GAME FEST: Kickoff Live! Official Stream」に始まり,6月13日〜16日の「E3 2021」のカンカン照りを過ぎ,残暑厳しい9月30日〜10月3日の「東京ゲームショウ2021 オンライン」まで続きます。

 「東京ゲームショウ2021 オンライン」はメディアおよびインフルエンサー向けにオフラインイベントも実施するそうですが,オンラインにしろオフラインにしろ取材する側の利点・欠点は差し引きゼロで,どちらにせよ地獄の季節(ランボー)です。心の片隅では「夏なんて来なければいいんだ! 暑いし!」と思わなくもないですが,辛抱強く夏を待ち,世に躍り出てきた数々の新作を見逃すわけにもいきません。何せ“待つ”と言っても,単に寝転がって時を待つでも,努力せず奇跡を期待するでもなく,大志を抱えつつ苦難の日々を乗り越えてこその“待つ”ですから。リルケも「忍耐こそすべてです」と記しています。

 そう,結実の秋はもう少し先でも,夏を迎えられたということ自体が称賛すべき。夏への扉(ハインライン)に辿り着けず消えていったゲームだって数え切れないほどありますからね。ゲーム雑誌に初報だけ掲載されて,発売予定カレンダーから当該プラットフォームの枠が無くなるまで「発売日未定」で名前を連ねていたアレとかソレとか!

 「E3 2021」では,「メタルスラッグ」タクティカルシミュレーション「ファイナルファンタジー」シリーズの“ピクセルリマスター”版など,往年の名作に関連したタイトルのほか,「ベイグラントストーリー」「ゼノギアス」などをオマージュしつつも一般的なRPGを“尊重し破壊”するストーリーを描くという「SacriFire」のようなレトロ感をフィーチャーした新作も,数多く“夏”を迎えました。今回は,そんな「E3 2021」で“夏”を迎えた新作をメインとする10本+α特集でやっていきましょう。ちなみに半分くらいは4Gamerでニュース記事になっていないタイトルです。なお連載開始当初は度々書いてましたが,本連載は復古とか懐古とかでなく「今日(こんにち)のレトロゲーム」がテーマなので,こういうときもあります。



Akatori


ショーケース:Guerrilla Collective 2021
発売:HypeTrain Digital
開発:TeamNora Games

 「Akatori(赤い鳥)」は,棍に変身する赤いカナリアと出会った少女・マコが,邪悪な古代神の復活を阻むべく戦っていくサイドビュー形式のアクションアドベンチャーゲーム。2020年10月にSteamストアページがオープンした時点では「DeathStick(悲しみの引き金)」という仮タイトルでしたが,同年12月に現在の正式タイトルに変更されました。デスステイック。


 ドット絵はピクセルパーフェクトでなく,色数も制限していないようなので,あくまで“手書き風アートワーク”や“ストップモーション風アニメーション”のような“レトロ風グラフィックス”ですが(あるいは「オクトパストラベラー」の“HD-2D”的なスタイルを最初から目指していると言えるでしょうか),キビキビとアニメーションするキャラクターのピクセルアートには目を見張るものがあります。トレイラーではシューティングゲームのような弾幕要素も確認できるので,恐らくゲームデザインはアーケード寄り……「ストライダー飛竜」と「メタルスラッグ」の中間みたいなところでしょうか?

 本作は,Kickstarterでのファンディングを夏のうちに開始する予定。Kickstarterのバナーでは,SteamのほかNintendo Switch向けにリリースすることが示されています。Steam版は日本語に対応することが示されているので,Nintendo Switch版も国内向けにリリースされるかもしれません。



Archvale


Guerrilla Collective 2021
発売:Humble Games
開発:idoz & phops

 「Archvale」も弾幕要素のあるゲームですが,こちらはトップダウンビュー型の全方位アクション&シューティング。いわゆる“ガンジョン系”ですね。トレイラーを見る限りでは,近接戦闘と弾幕の回避がフィーチャーされている印象です。


 倒した敵からのドロップや採取で集めた素材をもとに装備をビルドしたり,ランダム生成なのかは不明ながら“絶えず変化する”マップ構造とのことだったりと,周回プレイに重きが置かれているようですね。



Hunt the Night


ショーケース:Guerrilla Collective 2021
発売:DANGEN Entertainment
開発:Moonlight Games

 「Hunt the Night」もトップダウンビューの全方位アクションですが,こちらはガンよりも近接戦闘寄りのゲームデザイン。主人公はヴェスパーという女性で,モンスターが徘徊する“夜”を討ち払うべく戦っていきます。


 トレイラーを見る限り,ボス戦は「敵の予備動作を見て,何が来るかを判断して避ける」といったデザインらしく,“古き良きアクションゲーム”といった趣です。



Arietta of Spirits


ショーケース:Guerrilla Collective 2021
発売:Third Spirit Games
開発:Third Spirit Games

 「Arietta of Spirits」も,これまたトップビュー形式ですが,ゲームシステムはアクションRPG寄りのデザイン。弾を撃ってくる敵もいるようですが,弾幕と言うほどの濃密さではなく,緻密な回避よりもオーソドックスな「動いて,斬って」が重視されています。


 主人公はアリエッタという少女で,幽霊を見る力を得たことにより思わぬ事件に巻き込まれていきます。ストーリードリブン設計のようなので,JRPGユーザーに親和性が高そうですね。



Moonshell Island


ショーケース:Wholesome Direct
発売:Cheekynauts Entertainment
開発:Cheekynauts Entertainment

 “JRPGユーザーに親和性が高そう”どころか,自ら「ゼルダライクなアクションRPG」を謳うのが「Moonshell Island」。プレイヤーは,不思議な生物の出現によって平和を脅かされたムーンシェル島を守るべく,島に隠された秘密を探っていきます。


 「ゼルダの伝説」シリーズには悲壮感漂うストーリー展開が散見されますが,本作が取り上げられたショーケースは非暴力ゲームをフィーチャーした「Wholesome Direct」なので,人々が心理を反映した姿に変わってしまったり,すべてが泡になって消えてしまったりして,陰鬱な気持ちになることは無いでしょう。……たぶん。



A Walk With Yiayia


ショーケース:Wholesome Direct
発売:Trent Garlipp
開発:Trent Garlipp

 同じく「Wholesome Direct」で発表された「A Walk With Yiayia」は,ギリシャ人の老婆が近所を散歩する様子を描くアドベンチャーゲームです。Steamで売られる老婆が歩くゲーム……と言えば“カネを払うとババアが死ぬ!”でおなじみの「the Graveyard」を彷彿させますが,本作の老婆はコンフォートゾーン(ここでは行動心理学における「快適ゆえに進歩の発生しない環境」の意味)から抜け出し,恐れることなく人生を送るようになるとのこと。


 巨悪を討ったり世界を救ったりするのも良いですが,最も身近な難敵である“自分自身”に挑む物語に触れてみるのも,ときには面白いかもしれません。



UnMetal


ショーケース:Guerrilla Collective
発売:Versus Evil
開発:@unepic_fran

 「UnMetal」は,無実の罪で謎の軍事施設に囚われた兵士が,パンチ・パンチ・キックのコンビネーションや,気絶させた敵兵を揺さぶって得たアイテムなどを活用して脱出を目指すステルスアクションゲーム。「UnMetal」(メタルじゃないよ)というタイトルでも示されているように,要は「メタルっぽい(ソリッドより前の)けどメタルじゃない」ゲームです。ギアでもありません。A HIDEO KOJIMA GAMEであるはずもありません。


 タイトルがあからさまにジョークな他,ゲーム内にもコミカルな要素がいろいろと含まれている様子ですね。トレイラーでは,チーズに変装したり,「(さっき物音を立てたのとは)別の猫だ!」と叫んで歩哨の注意を逸らそうとしたりする様子が確認できます。



Fallen Aces


ショーケース:PC Gaming Show
発売:New Blood Interactive
開発:Trey Powell, Jason Bond


 禁酒法時代のマフィアをテーマとした「Fallen Aces」は,「DOOM」のような「3Dマップと板ポリの敵キャラ」スタイルを採用したFPS。ただしテクスチャはピクセルアートでなく,1990年代のコミックを意識したテイストとなっています。ゲームとしては,鉄パイプや割れた瓶などの即席武器を使った肉弾戦と,敵を感電させられる自販機や高温の蒸気が漏出するスチームパイプといった地形ギミックを特徴としているようです。


 New Blood Interactiveは本作の他にも,“ultraviolent retro FPS”を謳う「ULTRAKILL」「Chip's Challenge」「倉庫番」にインスパイアされたというアクションパズル「Dusk '82」,8bit風ホラーゲーム「FAITH: The Unholy Trinity」など,レトロゲームにインスパイアされた(かつ暴力やホラーをテーマとした)ゲームを積極的にパブリッシングしています。ニッチを攻める侠気に溢れたパブリッシャですね。



Mechajammer


ショーケース:PC Gaming Show
発売:Modern Wolf
開発:Whalenought Studios

 「Mechajammer」は,古いPCゲームを彷彿とさせるアイソメトリックビューのRPG。プレイヤーはジャングルの中にあるコロニーに迷い込んだ脱走兵となり,生き延びるために傭兵やギャング,盗賊などと手を組んでいきます。


 設定を見る分には,これもノワール系っぽいですが,何やらホラーの要素があるとのこと。心霊方面なのかSFホラー方面なのかも定かではありませんが,一筋縄では行かないであろう香りがします。



Starmancer


ショーケース:Future Games Show
発売:Chucklefish
開発:Ominux Games

 「Starmancer」は,地球が崩壊したあとの宇宙を舞台とした,一種の経営シミュレーションゲーム。プレイヤーは何百万人ものデータ化された人々を保管している宇宙ステーションの管理AIで,再生させた人間に指示を与えることで宇宙ステーションを拡大・発展させていきます。


 ピクセルアートで描かれた人々がチョコマカ動いて作業するのは可愛らしいですが,彼らは環境が悪いと正気を失ったり,空腹のあまり人肉食に走ったりするのだとか。Steamストアページでは「みんなが生活に困らず,幸せで,そして安全な,ユートピア社会を作りましょう。あるいは悪事を働き,入植者が狂い出すまでに小麦を食べられる回数を数えましょう。思うがままにプレイしてください」と書かれていて,ダークなプレイスタイルも想定していることが示唆されています。こちらは正にSFホラー(のヴィラン側)のテイストですね。



Hyperkin


 安定して様子のおかしいゲーム周辺機器メーカー・Hyperkinは,Twitterで「Hyperkin Duke」(初代Xboxのデカくて重いコントローラを再現したもの。なお現在のゲームに対応できるようバンパーボタンが増設されたり,中央ロゴがXbox起動アニメーションを表示するOLEDディスプレイにされたりと,パワーアップしている)Xbox 20周年記念モデルのレンダリング画像を公開しました。


 販売に関するアナウンスなどは今のところ行われていませんが,筆者的には「売ってたら気の迷いで買っちゃうかもしれない。なお気が迷ってないときは1週間のうち3時間くらいしかない」くらいのテンションで続報が気になります。そのほか,Xboxと共に20周年を迎える「Halo」に関連したプロジェクトもある模様です。



Arcade1UP


 Arcade1UPは,新製品として「Ms. PAC-MAN / GALAGA Class of '81 Arcade Machine」(ナムコのクラシックタイトルを収録),「Street Fighter II Big Blue Arcade Machine」(カプコンの格闘ゲームを中心に収録),「Teenage Mutant Ninja Turtles: Turtles in Time Arcade Machine」(ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズのゲーム2作を収録),「X-Men 4 Player Arcade Machine」(KONAMIとデータイーストのMarvelゲーム3作を収録)を発表しました。「X-Men 4 Player Arcade Machine」はCES 2021で発表されていたもの,他3種は販売済み商品の外装バリエーションです。ただ,例によって日本からの購入は困難……どうにかならないものですかねえ。物が大きいため輸送料がバカみたいにかかるのも含め,何か解決策は……。




 というわけで夏です(二度目)。子供達が灼けた線路を歩く季節です。近年は地方路線の廃線が続いていますので,20年前と比べると歩きたい放題です。遠くには幼かった日々,そして両手には飛び立つ希望です。

 そんな夏がまた来るわけです。銀色に光って! 2人ぶんの影を水面に映して! そう,いろんなゲームがグローバルに出ますが,その一方でNintendo Switch向けに「AIR」が“夏の終わりごろ”に発売なわけですよ! 誰よりも遠くに行っても笑ってあげるどころか,21年目で最新ゲーム機向けとして帰ってきます。世界も日本も忙しい,なんて夏だ。


 ……冬は鯛焼きかな?
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