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[G-Star 2019]「韓国におけるeスポーツ政策の研究」のカンファレンスレポート。オリンピック種目化を実現するには
日本から見れば,韓国はeスポーツ先進国であり,世界屈指の強豪チームを持ち,マーケットも巨大……と思ってしまうが,実は同じ悩みを持っているようだ。
スピーカーは韓国中央大学のイ・ジェンウン氏で,eスポーツがオリンピックの正式種目となるために必要なことについて語った。
同氏はeスポーツの正式種目に採択されるにはさまざま方法があるが,同時に多くの課題もあるという。そもそもの問題として「eスポーツはスポーツなのか」という議題は昔からあるが,韓国でもその問題に答えは出ていないようだ。
過去にモデル種目に選ばれたことはあるが,試合運営の問題,タイトルの著作権の問題などがあり,さらなる進展はなかった。また当時は競技を統括する協会もなく,オリンピックへの参加を目指すには限界があったそうだ。
ではeスポーツがオリンピックの正式種目となるためにはどうしたらいいか。eスポーツは年齢に左右されづらく,高齢化社会で若年層が少なくなる中,プレイ人口を維持しやすいという特徴があり,その点がほかのスポーツより有利に働く可能性があるそうだ。
また,これまで正式種目に採用されたスポーツがどのようにして選ばれるに至ったかを学んでいく必要もある。
例えば,オリンピックには女性プレイヤーが必要であったり,プロだけでなくアマチュアも平等に参加し,評価できるシステムが必要だ。
とくに2020年の東京オリンピックと,2024年のパリオリンピックで採用種目を比べると参考になると述べた。
たとえば女性はeスポーツの視聴者層としては多くても,プロゲーマーとなると世界的に見てもその数は少なく,今後育成していく必要があることが強調された。
またイ氏は,身体を動かさないことを否定的に捉える意見に対して,企業ではなく協会レベルで考えていく必要があると語る。例えばVRやARのゲームが本格化すれば,そうした議論に終止符を打つかもしれないとした。
ちなみにeスポーツ大国の韓国でもゲームに否定的な意見は少なくないとのことだ。一定の市民権を得てはいるが,すべての人がeスポーツを歓迎しているわけではないという。
最後にイ氏はeスポーツとスポーツはいまだ共存できておらず,多く存在する問題を解決した先に,共存できる道はあるのではないかと語って講演を終えた。
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