アトラスのRPG「世界樹の迷宮」シリーズの音楽ライブ
「世界樹の迷宮 10th Anniversary LIVE 〜イザツドエ!ボウケンシャー!!〜」が,2017年8月14日に東京の新宿ReNYにて行われた。
これは2007年1月発売の第1作「
世界樹の迷宮」(以下,世界樹)から
10周年を迎えた同シリーズを記念したもの。2016年11月開催の「世界樹の迷宮LIVE 2016 〜長き静寂の果て〜」以来(
関連記事)となる単独ライブでは,各シリーズ作品の人気楽曲の数々が
「SQ F.O.E band」により演奏され,MCコーナーではそれらの名楽曲を生み出したコンポーザーの
古代祐三氏を招いたトークで盛り上がった。本稿でその模様をお伝えしよう。
■出演者(敬称略)
ゲスト:古代祐三
ゲストボーカル:いとうかなこ
MC:磯村知美
演奏:SQ F.O.E band
上倉紀行(Keyboard & E.Guitar),
副田整歩(Saxophone),テイセナ(Violin),
宮崎大介(Guitar),中西道彦(Bass),
白川玄大(Drums)
ライブは,同タイトルのアニメーションムービーと共に披露された「
新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女」(以下,新・世界樹)のオープニングアニメ楽曲
「the beginning of the end」,バンドの各メンバーが入れ替わりながらソロパートで迫力のパフォーマンスを見せてくれた「
世界樹の迷宮IV 伝承の巨神」(以下,世界樹IV)の通常バトル楽曲
「戦場 疾風」でスタートした。
続いて,同シリーズの大ファンとしても知られる声優の
磯村知美さんによるMCコーナーを挟みながら,世界樹(新・世界樹)第1の迷宮
「迷宮I 翠緑ノ樹海」と,「
世界樹の迷宮II 諸王の聖杯」(以下,世界樹II)及び「
新・世界樹の迷宮2 ファフニールの騎士」(以下,新・世界樹2)の通常バトル楽曲
「戦場 初陣」,「
世界樹の迷宮V 長き神話の果て」(以下,世界樹V)と「
世界樹の迷宮III 星海の来訪者」(以下,世界樹III)それぞれの冒険の拠点となった街で流れる楽曲
「街景 暮れ行くは双子の宴」「街景 日輪照らす水面」が披露された。
あいにくの雨模様だったこの日の東京。しかし,大海原での冒険が描かれた世界樹IIIの楽曲「街景 日輪照らす水面」が演奏された場面では,青く光る水面を表すようなブルーライトや,太陽の日差しをイメージさせるイエローライトで照らされ,会場は爽やかな夏の海のような雰囲気に包まれていた。
ここでMCコーナーに古代祐三氏が登場。新タイトルながら“懐かしいPCゲーム”というコンセプトのもと,ディレクターである新納一哉氏と模索しながら楽曲を制作したシリーズ1作めや,DSから3DSへとハードが変わったことや,自分のスタジオを持ったことで新たな試みができるようになり,さらに楽しみながら作業したという世界樹IVなど,世界樹シリーズ楽曲制作に関わった10年間の思い出を語った。
楽曲制作について「違うサウンドだと世界樹シリーズの音ではなくなるし,シリーズを意識しすぎると(パターン化されて)マンネリになるという難しさがあるが,その中で新しさを見つけていきたいですね」と,今後への意気込みとも取れる言葉に対し,「それはこれからも世界樹シリーズ楽曲を作り続けていただけるということですよね!」という磯村さんの声とともに,それを期待する観客から大きな拍手があがる場面も。
古代氏は,迷宮内を徘徊する強敵“F.O.E”とのバトル楽曲
「戦場 一触即発」(世界樹V)と
「戦場 その鮮血は敵か汝か」(世界樹III)というMC明けの2曲に,ゲストキーボーディストとして参加。ゲーム音楽の作曲家として30年を超えるキャリアを誇る古代氏だが,意外にも自身が担当したゲームの単独ライブに奏者として出演するのは初めてのことで,それはとても貴重なシーンとなった。
冒険の始まりとなる序盤の迷宮やバトル,探索の疲れを癒し,新たな迷宮への準備を行う拠点の街,凶悪なる敵F.O.Eとの激しいバトル……と,実際にゲームで体験する冒険をなぞるような構成となっていた今回のライブ。休憩を挟んで始まった後半では,
「迷宮III 晦冥ノ墓所」(世界樹V),
「迷宮IV 木偶ノ文庫」(世界樹IV),
「迷宮IV 桜ノ立橋」(世界樹II/新・世界樹2),
「迷宮V 遺都シンジュク」(世界樹/新・世界樹),
「迷宮V 白亜ノ森」(世界樹III)と,さらに迷宮の深部へと向かっていくかのように,各シリーズの迷宮後半の楽曲がメドレーで披露。続いて2回めとなる,古代氏を招いたトークコーナーで盛り上がった。
「迷宮は作品ごとにそれぞれのカラーがはっきりしているので,イメージして制作しやすい」「“戦う”という一点のイメージから制作する戦闘曲は,苦労させられるものがある」「とくに力を入れる楽曲は,1日作り込んで翌日朝に聴き,ダメならやり直しという風に,2日がかりで制作する」といった,楽曲制作時に関する貴重なトークが展開した同コーナー。今後挑戦したいこと,試みなどについて磯村さんから聞かれると「もし『世界樹の迷宮VI』が出るとなったら,その時迎えるハードなどのゲーム環境の変化に合わせて,音楽でも新たな変化を取り入れられたら良いなと思います。あと,個人的には『新・世界樹の迷宮III』も見たいですね」と話し,同じくそれらを期待しているであろう観客から,大きな賛同の声があがった。
そのまま再度ゲストキーボーディストとして古代氏が参加し,
「鉄華 恍惚」(世界樹/新・世界樹),
「戦乱 剣を掲げ誇りを胸に」(世界樹III),
「戦場 己が信念を杖に」(世界樹IV),
「戦場 明日を掴むは死闘の先」(世界樹V)といった,迷宮後半や最終層で流れるバトル楽曲や,古代氏が華麗なキーボードソロを見せた
「血戦 身命を賭して」(新・世界樹2),そしてゲストボーカルの
いとうかなこさんを招いた
「Reaching out for our future」(新・世界樹2)をたたみかけるように披露しライブ本編は終了。アンコールでは
「眠らずの戦場」(新・世界樹)と,
「戦乱 荒れ狂う波浪の果て」(世界樹III)のアレンジ曲
「戦乱 吹き荒ぶ熱風の果て」(世界樹IV)という,世界樹シリーズファンにとって印象的な2つの楽曲が披露され,大盛り上がりの中ライブの幕は閉じた。
■世界樹の迷宮 10th Anniversary LIVE
〜イザツドエ!ボウケンシャー!!〜 セットリスト
2017.8.14@新宿ReNY
01. the beginning of the end(新・世界樹)
02. 戦場 疾風(世界樹IV)
MC1
03. 迷宮I 翠緑ノ樹海(世界樹/新・世界樹)
04. 戦場 初陣(世界樹II/新・世界樹2)
MC2
05. 街景 暮れ行くは双子の宴(世界樹V)
06. 街景 日輪照らす水面(世界樹III)
MC3
07. 戦場 一触即発(世界樹V)
08. 戦場 その鮮血は敵か汝か(世界樹III)
〜休憩〜
09. 迷宮III 晦冥ノ墓所(世界樹V)
10. 迷宮IV 木偶ノ文庫(世界樹IV)
11. 迷宮IV 桜ノ立橋(世界樹II/新・世界樹2)
12. 迷宮V 遺都シンジュク(世界樹/新・世界樹)
13. 迷宮V 白亜ノ森(世界樹III)
MC4
14. 鉄華 恍惚(世界樹/新・世界樹)
15. 戦乱 剣を掲げ誇りを胸に(世界樹III)
16. 戦場 己が信念を杖に(世界樹IV)
17. 戦場 明日を掴むは死闘の先(世界樹V)
18. 血戦 身命を賭して(新・世界樹2)
19. Reaching out for our future(新・世界樹2)
〜アンコール〜
EN01. 眠らずの戦場(新・世界樹)
EN02. 戦乱 吹き荒ぶ熱風の果て(世界樹IV)