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Tobiiの視線追跡技術を搭載した「Vive」用ゲームやフォヴィエイテッドレンダリングの技術デモを公開
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印刷2017/03/30 20:43

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Tobiiの視線追跡技術を搭載した「Vive」用ゲームやフォヴィエイテッドレンダリングの技術デモを公開

 アイトラッキング(視線追跡)テクノロジーを旗頭に掲げ,VR市場に参入したTobii Technology(以下,Tobii)。同社については,Game Developer Conference 2017の際に取材しているが(関連記事),現在カリフォルニア州サンノゼで開催中のSilicon Valley Virtual Reality 2017にて,VR HMD「Vive」を使った新しいゲームやフォヴィエイテッドレンダリングの技術デモが公開されていたので,あらためて紹介したい。


Tobii Technology 製品管理部門副社長 ヨーキム・カーレン氏。カンファレンスにも登壇し,「(視線追跡技術は)コントローラより早く,オブジェクトとのインタラクションが可能になる」と見通しを示した
画像集 No.002のサムネイル画像 / Tobiiの視線追跡技術を搭載した「Vive」用ゲームやフォヴィエイテッドレンダリングの技術デモを公開
 まずは,Tobiiの視線追跡機能を組み込んだViveを簡単に説明しておこう。片目あたり10個の赤外線LEDがレンズの周囲に配置されており,眼球の細かい動きや瞬きといった情報を眉間の部分にある小さな穴の中に収納されたカメラで拾い,ユーザーの視線を解析する。もちろん,赤外線LEDと言っても,赤い可視光線が目に照射されるわけではないので,スクリーンが反射光で見にくかったり,人体や神経器官への被害があったりすることはない。

 Tobiiの製品管理部門副社長 ヨーキム・カーレン(Joakim Karlen)氏によると,視線の情報は同社が2016年に発売したPC用デバイス「Tobii Eye Tracker 4C」に内蔵されているアイトラッキング専用チップ「EyeChip」によって処理されているという(関連記事)。EyeChipはViveのスクリーンとレンズの間にあるスペースに収まる程度の小さなサイズだ。

ValveやHTCとの提携によって,Tobiiの視線追跡機能が組み込まれたVive。片目あたり10個の赤外線LEDと眉間部分にあるカメラがユーザーの視線を追跡し,レンズの裏に内蔵されている専用チップ「EyeChip」によって処理される
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 今回のSVVR 2017で公開されたのは,Teotl Studiosが2016年にリリースしたアドベンチャーゲーム「The Solus Project」を実際に楽しめる技術デモだった。VRゲームでは圧倒的に利用頻度が高い,ポインターで指した場所にテレポートするという移動方法はそのままに,コントローラではなく視線で狙いを付けられるようになっていた。Tobiiのテクノロジーが遺憾なく発揮されており,地面に落ちているオブジェクトも見るだけで拾い上げることができる。

「The Solus Project」
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 なかでも興味深かったのは,キャラクターが左腕に装着している小型機器のコンソールが,視線を合わせていないときにぼやけるという演出だ。これは,プレイヤーが焦点を合わせた部分以外をぼやけさせることで,被写界深度(Depth of Field)を表現する「フォヴィエイテッドレンダリング(Foviated Rendering)」という技術である。
 現在,この記事を読んでいる人もモニターやスマートフォンの画面の周囲がぼやけているのを認識できるだろう。これをレンダリングで表現すると,ユーザーが見ていない“ムダな景色”の解像度を落として,映像のレンダリング処理にかかる負担を軽減させることが可能になる。当然,焦点が合っている範囲の解像度を高める形で利用することも可能だ。

分かりづらいと思うが,左がフォヴィエイテッドレンダリングがオフの状態,右がオンの状態。左は満遍なく同じ解像度で処理されているが,右は中心付近の解像度がエンハンスされ,花などがぼやけている
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 Tobiiのブースでは,ヨーロッパの城をモチーフにした建物の中庭が舞台になっているフォヴィエイテッドレンダリングの技術デモも見せてもらった。そのトラッキングスピードは非常に俊敏で,筆者が視線を動かしても瞬時に焦点が合うため,実際にフォヴィエイテッドレンダリングが有効なのかが分かりづらかったほどだ。
 今後,VRテクノロジーが向上して映像が精細になっていくにつれて,フォヴィエイテッドレンダリングによる負担軽減が大きな役割を果たすことは間違いないだろう。

 また,前出のカーレン氏は「すでに多くのハードウェアベンダーが,我々のテクノロジーに興味を示している」と語る。今後,HTCやLG以外のメーカーがSteam VR対応HMDに参入する可能性を匂わせつつ,「早ければ1年後には製品化され,市場に出回っているはずです」と明かしてくれた。
 それがViveの次世代モデルなのか,それともまったく新しいVR HDMなのかは知る由もないが,Oculus VRのチーフサイエンティスト マイケル・アブラッシュ(Michael Abrash)氏も注目するTobiiの技術や動向に期待したい(関連記事)。

「Tobiiはユーザビリティのテストを目的とした視線追跡メガネを販売するなど,16年にわたって技術を開拓してきた」とカーレン氏は胸を張る
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