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次期Android OS「Android M」は6つの新機能に注目。リリース時期は2015年第3四半期の予定
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印刷2015/05/30 00:00

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次期Android OS「Android M」は6つの新機能に注目。リリース時期は2015年第3四半期の予定

画像集 No.002のサムネイル画像 / 次期Android OS「Android M」は6つの新機能に注目。リリース時期は2015年第3四半期の予定
 北米時間2015年5月28日,Googleは,米国サンフランシスコで開発者向けイベント「Google I/O 2015」を開催した。同日に行われた基調講演では,多岐にわたるGoogleの製品や技術についての解説が行われている。
 Googleは現在,Androidの名が付くものだけでも複数の製品を抱えている。スマートフォン&タブレット向けのAndroidを初めとして,ウェエラブルデバイス用の「Android Ware」,車載機器向けの「Android Auto」,そしてテレビやメディアプレイヤー向けの「Android TV」といった具合だ。ただ,今回の講演で次期製品として発表されたのはスマートフォン&タブレット向けの「Android M」のみ。ほかの3製品については,アップデートや現状紹介のみに留まっている。
 そこで本稿では,Android Mの話題を中心に講演の概要をレポートしたい。


6つの大きな新機能が特徴のAndroid M

アプリケーションの権限に関する機能が大きく変わる


 冒頭からAndroid Mと表記している次期Android OSだが,実のところGoogle I/Oでは,ただ単に「M」と呼ばれていた。正式にリリースされるときには,Android 5.0(Lollipop)といった具合に,お菓子の名称からとった開発コードネームを付けて呼ばれるようになるものだが,Google I/Oの時点では頭文字だけで呼ばれている。Android 5.0(以下,Lollipop)が発表された「Google I/O 2014」のときもそうだった。
 そのため,Android Mのバージョン番号――6.0になるのか,それとも5.xになるのか――や,開発コードネームがどうなるのかは基調講演で語られていない。ただ,2015年の第3四半期(7〜9月)にリリース予定ということなので,正式な名称が明らかになるのはそれほど先のことではないだろう。

基調講演の中では,「M」とだけ呼ばれていた次期Android OS
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 基調講演での説明をざっと見た感じでは,現行のLollipopと比べて,Android Mの見た目はあまり変わっていらず,大きなバージョンアップのようには見えない。イメージ的には「Android 5.x」といった印象を受ける。Lollipopで,マテリアルデザインの導入やアプリケーション実行環境(JavaVM)の変更といった大変革が導入されたばかりでもあり,わずか1年後にまた大きな変更を導入するというのは難しいのだろう。

 さて,そのAndroid Mには,主に6つの新機能が導入されるという。順に見ていこう。

  1. App Permissions(アプリケーション実行時のアクセス許可)
  2. Chrome Custom Tabs
  3. App Links
  4. Android Pay
  5. Fingerprint Support(指紋認証機能のサポート)
  6. Power&Charging(省電力,充電機能の改良)

Android Mに実装される6つの新機能
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App Permissions

Google Playからアプリケーションをインストールしようとすると,このようにアプリケーションの要求する権限が表示される。アプリケーションをインストールすることは,すべての権限を承認したことを意味していた
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 1つめのApp Permissionsとは,アプリケーションによるアクセス許可(権限)の動作を変更するものだ。
 現在のAndroidでは,アプリケーションをインストールするということは,そのアプリケーションが要求するすべての権限をまとめて承認することを意味している。要求される権限の中に,1つでも受け入れたくないものがあった場合,すべてを受け入れてそのアプリケーションを使うか,それともアプリケーションを諦めてインストースしないかという,2つの選択肢しかなかったわけだ。

 Android Mでは,権限への対応方法が大きく変わる。アプリケーションがその権限を必要としたときに,その場で許可を求める方式に変更されるという。そのため,アプリケーションが要求する権限をユーザーが個別に許可する/許可しないといったことが可能になるのだ。

Android Mにおける大きな変更点がApp Permissionsだ。位置情報や電話帳,カメラやセンサーといったもの対するアプリケーションの権限を,個別に許可・不許可できるようになる
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基調講演で示されたデモ。アプリケーションがマイクを使おうとすると,権限の承認を求めるダイアログが表示される。これを見て,ユーザーは許可するかしないかを決められるわけだ
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 アプリケーション側には大きな変更が必要となるだろうが,ユーザーにとっては,許可したい権限にだけ許可を出し,許可したくないものは拒否するということが可能になると考えられるので,セキュリティやプライバシー保護の面で役立つことになりそうだ。


Chrome Custom Tabs

 2つめのChrome Custom Tabsは,特定のサービスやアプリケーション専用のタブを使えるようにする機能である。
 アプリケーションがAndroidに含まれるWebブラウザの「Chrome」で何らかのWeb上のサービスにアクセスしようとした場合,現在ではChrome上であらためてサービスにログインしたりする必要があり,画面の見た目もアプリケーション側と異なったものになってしまう。
 アプリケーションがChrome Custom Tabsを利用すると,アプリケーション側でWeb上のサービスへのパスワードを登録しておくことで,自動でログインしたり,ログイン情報の入力欄を自動入力したりできるようになる。Web上のサービス側の配色をアプリケーションと合わせることも可能で,アプリケーションとWeb上のサービスをまたがるようなときも,違和感なく利用できるようになるようだ。

Chrome Custom Tabsのデモ。今ひとつ分かりにくいが,アプリケーションとWebブラウザで表示したページの見た目を近づける機能だという
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App Links

 3つめのApp Linksとは,アプリケーションからほかのアプリケーションを呼び出すときに,あらかじめ設定を行っておくことで,ダイアログによる確認なしに直接アプリケーションを呼び出す機能だという。

 現在のAndroidで,アプリケーションが他のアプリケーションを呼び出すためには,URLを使って呼び出す仕組みのほか,OS側に「この機能を持つアプリケーションを呼び出してください」と依頼すると,OSが対応するアプリケーションを一覧表示してユーザーに選択させる「インテント」という仕組みが用意されている。インテントは便利な機能ではあるのだが,ユーザーからすると,候補に挙がった複数のアプリケーションから適当なものを選択しなくてはならず,多少手間がかかるし分かりにくくい。

 それに対してApp Linksでは,呼び出し元アプリケーションが呼び出し先アプリケーションを指定して,ユーザーによる確認なしに起動できるようになるという。対象のアプリケーションがインストールされていない場合には,インストールまで行うような処理も可能となるそうだ。

App Linksの例。メールアプリケーションで表示されたTwitterのURLをタップすると(左),Twitterクライアントが起動する(右)
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Android PayとFingerprint Support

 4つめのAndroid Payは,Android Mの正式リリースに合わせて始まる電子決済サービスだ。対応端末を置いた店舗で,スマートフォンのNFC機能を使った支払いが可能になる。同じような決済機能は,AppleもiOSで「Apple Pay」を導入しており,スマートフォンのOSがこうした決済機能を持つのは,今後標準的な要素となりそうだ。
 もっとも,日本ではすでに「おサイフケータイ」が広く利用されているので,これとどう住み分けていくのか,そもそもいつ頃サービスを利用できるようになるのかなど,まだ分からない点は多い。

Android Payは,米国の主要なクレジットカード会社に対応する(左)。決済への対応に名乗りを上げている企業もすでに多く(右),その点をApple Payに対する優位点としていた。日本ではどうなるのだろうか?
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Android MのFingerprint Supportにより,アプリケーションが指紋認証機能を使うことで,決済時の本人確認ができるようになる
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 5つめのFingerprint Supportは,Android Payと密接に関係してくる機能だ。Android Payによる決済のときに,スマートフォンやタブレットが搭載する指紋認証センサーを使ってユーザーを確認することで,パスワード入力の手間を省けるようになる。スマートフォンのロック解除に指紋認証を使うことも可能だ。指紋認証センサー用のAPIも,Android M側に用意されるので,アプリケーションから利用しやすくなるだろう。


Power&Charging

 最後のPower&Chargingには,いくつかの新要素が含まれている。ハードウェアに関わる大きな要素といえるのが,USB Type Cコネクタのサポートだ。なお,USB Type-Cの特徴は2014年8月掲載のニュース記事を参照してほしい。

Android MはUSB Type-Cのサポートが追加される。スマートフォンの使い勝手を改善してくれそうな機能だ
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 USB Type Cコネクタに何かのデバイスをつないだときには,そのデバイスから電力だけを供給してもらうのか,電力を供給しつつ他のデバイスも使うのか,PCとつないでファイルや写真の転送を行うのかといった設定を,ユーザーが指定することもできるようになるという。

USB Type Cコネクタにデバイスをつないだときに,どのような動作をさせるのかをユーザーが指定できるようになる
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 スマートフォンのバッテリー駆動時間を延ばすのに役立ちそうな機能も導入されるようだ。端末内蔵の加速度センサーなどを使って,端末がどこかに置かれたままになのか,それとも手に持たれて使っているのかを推測し,状況に応じてクラウド側との通信(同期)間隔を変更することで,消費電力の削減が可能になるという。
 この機能は「Doze」(居眠り)と呼ばれており,机の上などにおいたままにすると,加速度センサーなどの情報からユーザーが利用していないと判断するのだそうだ。こうした手段でユーザーの活動を学習することで,ユーザーが活動している時間帯を推測して,通信の間隔を決定するようになる。

Doze機能による同期間隔の変更例を示したグラフ。午後9時から午前7時までは,ユーザーが休んでいると推測して同期間隔を大幅に間引いている。これによって,寝ている間のバッテリー消費が減りますよ,というわけだ
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 OSだけでなく,アプリケーションでもこの機能を利用できるそうだ。たとえば,チャットメッセージを受信したときに,ユーザーが活動中の時間帯なら通知を行い,睡眠中と推測できる場合は通知しないといった判断が可能になる。Nexus 9で比較したところ,Android MではLollipopの2倍もバッテリー駆動時間が延びたという。

 こうした新機能が実装されるAndroid Mは,Nexus 5/6/9とNexus Player向けに開発者向けプレビュー版の配布が始まっている。ゲーマーが常用している端末に入れることはお勧めできないが,正式版のリリースもそう遠い話ではないので,これら端末のユーザーは正式版リリースを楽しみにしておこう。

Android Mで導入予定の新機能名を,Mの文字型に並べたスライド。細かい改良点が多数あるようだ
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写真アプリ「Google Photos」は容量無制限で写真や動画を保存可能に


 Android Mそのものではないが,Google純正アプリケーションの改良もいくつか紹介された。本稿では「Google Now」と「Google Photos」の2つを紹介しよう。

 Google Nowは,Androidに搭載されているパーソナルアシスタント機能で,周辺の天気や交通情報を表示したり,メールの情報をもとにスケジュールを分析して表示してくれるといった機能である。
 新しいGoogle Nowでは,「コンテキスト」を理解するようになるという。コンテキストとは,文脈,あるいは物事に関わる背後関係といった意味の言葉だが,ここではユーザーの行動や使っているアプリケーションから予測される物事,といった意味だと理解しておけばいい。Googleはこのコンテキストにもとづいた検索を「Now on Tap」と呼んでいる。

 Now on Tapが有効な環境では,たとえば,アプリケーションを利用中にホームボタンを長押ししてGoogle Nowを呼び出すと,実行中のアプリケーションから情報を読み取って,それに応じた検索ができるようになるという。ステージでのデモでは,音楽プレイヤーで再生している曲のアーティスト情報を読み取り,検索のときにその情報を使って検索するといった例が示された。

Now on Tapのデモでは,音楽プレイヤーで「Skrillex」の曲を再生中に(左),ホームボタンを長押ししてGoogle Nowを呼び出して「What's his real name」(彼の本名は?)と音声入力すると,「his」に当たる要素をアプリケーション側から取得して「Skrillexのことだ」と解釈し,関連する情報を検索してみせた(右)
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 無理矢理ゲームにこじつけると,Now on Tapによってプレイ中のゲームに関するニュースや動画を,いちいちゲーム名を入力せずに検索できるようになるかもしれない。

 新しいGoogle Photosでは,写真の検索機能の搭載や写真を自動認識してカテゴリ分けする機能が搭載されたという。ただし,これらは他社の写真管理アプリケーションではすでに実装されていたりするもので,これ自体は特筆するほどのものではない。

 ユーザーにとって重要なのは,Google Photosを使ってGoogleのクラウド上に保存可能な写真や動画の制限が大幅に緩和されたことだろう。写真の場合,1600万画素まで,動画の場合1080pまでならば,容量制限を気にすることなく,無料でいくらでも保存できるようになったという。

新しい写真管理アプリとなるGoogle Photos。アプリの機能以上に,写真や動画の容量制限が大幅に緩和されたことのほうが重要なトピックといえよう
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 Google Photosは「フォト」の名称で,Google Playストアでの配信が始まっている。Android 4.x世代でも容量制限なしというところに引かれる人は,試してみる価値があるかもしれない。

Google I/O 2015 公式Webサイト(英語)

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