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年末年始,これだけは遊んでおきたいシミュレーション/ストラテジーゲーム 2017年版
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印刷2017/12/28 00:05

企画記事

年末年始,これだけは遊んでおきたいシミュレーション/ストラテジーゲーム 2017年版

 昨年(2016年)はシミュレーションストラテジーゲームの大作が怒濤のようにリリースされ,筆者を含むファンを歓喜させたが,その流れは2017年も続き,昨年に比べてやや落ち着いた感はあるものの,今年も興味深い作品が次々に登場した。

Lobotomy Corporation
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Opus Magnum
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Shadow Tactics: blades of Shogun
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Bomber Crew
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Oriental Empires

 本稿では,そんな数々の作品の中から筆者が面白いと感じた2017年(一部,2016年)発売のゲーム10本を紹介しよう。昨年の今頃も「年末年始,これだけは遊んでおこう! オススメのシミュレーション/ストラテジーゲーム,ベスト10」という記事を掲載したが,それが思いのほか好評だったので,2匹めのドジョウを狙ってみようという魂胆だ。たいていの人がまとまった休みをもらえる(はずの)年末年始は,プレイに時間を取られがちなシミュレーション/ストラテジーゲームをじっくりと楽しめる機会なのだ。タイムリーなことに,Steamは2018年1月5日までウィンターセールを開催しており,ラインナップの中には今回取り上げるタイトルも含まれている。

 さて,昨年はベスト10形式で紹介したが,2017年は昨年にも増して甲乙つけがたい作品ばかりだったので,今回は順位ではなく「パズル風シミュレーション/ストラテジー」「チームマネジメント」「正統派戦略級シミュレーション/ストラテジー」という3つのカテゴリに分けて紹介したい。
 なお,どう違うのかを言いだすとキリがないので,昨年と同様,記事中ではシミュレーションとストラテジーを厳密には分けておらず,そういう書き方になっていることはご了承願いたい。また,ジャンルの性格上,PCゲームが中心になっている。というわけで,さぁ,行ってみよう。

■クイックリンク

They Are Billions
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画像集 No.057のサムネイル画像 / 年末年始,これだけは遊んでおきたいシミュレーション/ストラテジーゲーム 2017年版
911 Operator
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Ultimate General: Civil War
画像集 No.059のサムネイル画像 / 年末年始,これだけは遊んでおきたいシミュレーション/ストラテジーゲーム 2017年版
Dominions 5 - Warriors of the Faith
画像集 No.060のサムネイル画像 / 年末年始,これだけは遊んでおきたいシミュレーション/ストラテジーゲーム 2017年版
Total War: WARHAMMER II


パズル風シミュレーション/ストラテジー


 まずは,長期的な視野に立ったマネジメントではなく,よりミクロな場面での問題解決に面白さの基本を置いた作品を紹介しよう。

■Opus Magnum
デベロッパ:Zachtronics
パブリッシャ:Zachtronics
公式サイトhttp://www.zachtronics.com/opus-magnum/
Steam公式プロダクトページ


 2017年のシミュレーション/ストラテジーゲームの大きな特徴は,年末年始に面白いゲームが立て続けにリリースされたことかもしれない。ここに紹介する「Opus Magnum」は,北米時間の12月7日に発売されたばかりの作品だ。プレイヤーは架空のヨーロッパの近代都市で暮らす名家のお抱え錬金術師となり,さまざまな目的のアイテムを調合しつつ,権力闘争や陰謀が渦巻く中を生き抜いていくことになる。


 ゲームシステムは,ヘックス式のベースの上に「変成機関」と呼ばれる装置を組み上げ,これを使って火,水,空気,土の四大元素と金属元素を錬成,加工することで目的のアイテムを創り出していくというもの。「アーム」と呼ばれる元素の移動装置が非常に大きな役割を果たすのだが,アームを思ったとおりに動かすためには,回転や移動を「プログラム」して,細かく指示する必要があるのだ。

画像集 No.005のサムネイル画像 / 年末年始,これだけは遊んでおきたいシミュレーション/ストラテジーゲーム 2017年版

 このプログラミングが難しく,60°単位で回転する特徴的なアームの動きを頭に叩き込むまでにそれなりの時間がかかる。慣れるまでは変な角度や方向に回ってしまって,筆者は「自分は文系だから,うまくできなくても仕方がない」という,なんの慰めにもならない言葉で自分を励まし続けることになった。難度の高いアイテム作成では,各元素を何段階にも分けて変化させることが要求され,これもなかなかやっかいだ。

 例えば,円環状に6個の元素が組み合わさったアイテムを作ろうとしても,利用可能な変成機関は元素2個を結合させるものだけだったりする。そのため,「まずは元素2個を結合させ,似たような作業を複数回実行してアイテムを完成させる」というプログラミングを,複数のアームを使い分けて行わなければならないのだ。さらに,基板上で元素やアームの基部が干渉したりして,せっかく組んだ命令が実行不能,というケースもあり得る。

画像集 No.003のサムネイル画像 / 年末年始,これだけは遊んでおきたいシミュレーション/ストラテジーゲーム 2017年版

 ……と,こう書くと非常に面倒くさいゲームのように聞こえるかもしれないが,苦労するぶん,うまく作動する変成機関が完成したときの達成感はひとしおだ。嬉しいことに,作動の様子をGIF形式のファイルにしてSNSで共有する機能もあるので,傑作が完成したと思ったら,ほかのプレイヤーに自慢しよう。上記のような「全体の工程を,部分に分けて考えていく」という思考プロセスを苦にしない人にとっては,本作はやりごたえのある面白さに満ちているはずだ。

 単にアイテムを作るだけでなく,変成機関の効率化を目指したいという人に向けては,ランキングが用意されている。ここでは,「必要なパーツのコスト」「アイテム完成までのサイクル」「変成機関が占めるベースのエリア」という3項目について評価され,全プレイヤーやSteamのフレンドの記録と比較できる。各項目で上位には入れても,低コストかつ低費用,かつコンパクトに配置された変成機関を作り上げるのは至難の業なので,腕に覚えのある人はぜひ挑戦してほしい。

工程の長さにこだわらなければ,なんとか完成はするものの,見た目やコスト的に非常にまずい変成機関ができてしまう。掲載したスクリーンショットの完成度もいまいちなので,ぜひ錬金術師として筆者を超えてほしい
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■Shadow Tactics: blades of Shogun
デベロッパ:Mimimi Productions
パブリッシャ:Daedalic Entertainment
公式サイトhttp://www.mimimi-productions.de/shadow_tactics_micro/
Steam公式プロダクトページ


 「Shadow Tactics: Blades of Shogun」は,タイトルの“Shogun”からも分かるように日本を舞台にした戦術級シミュレーションだ。
 時はあたかも戦国の世が終わったばかりの,まだ血生ぐさいご時世。最初のステージは大坂夏の陣の真っ最中の大坂城で,プレイヤーは総勢5人のキャラクターを操作してゲームを進めていく。基本は誰にも見つからないように進んでいくステルス行動だが,敵を積極的に倒さないと先に進めないシチュエーションも割と頻繁に出てくる。
 敵に見つかって警戒されると増援を呼ばれて難度が上がるため,「見つかりそうな場面では先手を打って倒してしまう」という戦術も有効だ。

緑色で表示された敵の視界にさえ入らなければ,背後から忍び寄って倒すこともできる
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 お約束だが,キャラクターはそれぞれが特殊能力を持っている。刀による近接攻撃と手裏剣による遠距離攻撃を得意とするバランスのとれた忍者「ハヤト」,耐久力があり一度に大勢を相手にできるほか,「どぶろく」で敵を誘い出すことが可能な侍の「ムゲン」,罠を仕掛けたり鳥笛で敵をおびき寄せたりできる少女「ユキ」,変装して敵中深くに入り込めるくのいちの「アイコ」,そして,長大な射程を誇る銃を装備した老人「タクマ」という布陣だ。
 それぞれ強力なユニットだが,特殊能力を発揮できる状況や回数に限りがあるため,適材適所で彼らを使い分ける必要がある。最大3名のキャラクターの行動を事前に入力しておけるので,場合によってはその機能を使った連携攻撃で対処していこう。

画像集 No.007のサムネイル画像 / 年末年始,これだけは遊んでおきたいシミュレーション/ストラテジーゲーム 2017年版
画像集 No.009のサムネイル画像 / 年末年始,これだけは遊んでおきたいシミュレーション/ストラテジーゲーム 2017年版

 時間帯や状況によって取るべき戦略が変化するところも面白い。例えば,日中に比べて夜間は敵の視界が狭くなるが,日が暮れると各所に明かりがともされ,そこに近づくと容易に発見されてしまう。雪のステージでは足跡で敵を追跡できるし,明かりを消したりわざと足跡を残したりして,敵を誘い出すという作戦も可能だ。

 以上のように本作は,マップの大小にかかわらず,敵の視界や移動経路に注意しながらキャラクターを使い分けて,局所的な難関を1つずつ突破していくという,謎解き要素が強い作品だ。難関を突破するのは比較的難しく,場合によっては何度もセーブ&ロードを繰り返して最適解を見つける必要がある。うまくいけば1ステージ数十分でクリアできるので,タイムアタックを目指してみても面白そうだ。

攻城戦の修羅場のはずだったりすることもあるが,各ステージで描かれる日本の四季は非常に美しい
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 日本人プレイヤーだけのお楽しみである,「外国人の描く日本」についてだが,敵の首領の名前が「カゲサマ」でちょっと惜しかったり,将軍の服装が微妙にらしくなかったりと,ありがちな部分も見られるものの,ステージのビジュアルなどからは「日本への愛」が感じられる。また,ゲームの主な舞台が北陸地方なのは,国産タイトルを含めて珍しいロケーションではないだろうか。


チームマネジメント


 続いて紹介するのは,「チームマネジメント」ものの4作品だ。扱う時代やテーマは異なるが,いずれも部隊やチームの管理に主眼を置いた内容になっている。いずれもステージ単位でゲームが進んでいき,ミッションをクリアすることでチームそのものやメンバーのレベルがアップしていく点も共通した特徴だ。

■911 Operator
デベロッパ:Jutsu Games
パブリッシャ:PlayWay S.A.
公式サイトhttp://jutsugames.com/911/
Steam公式プロダクトページ



チームは職員やその装備,あるいは乗り物によって能力を強化できる
画像集 No.011のサムネイル画像 / 年末年始,これだけは遊んでおきたいシミュレーション/ストラテジーゲーム 2017年版
 2017年8月19日に掲載した 「ヒーローはもう古い! これからはアンチヒーローの時代,というわけで,この夏プレイしてみたいアンチヒーローもののストラテジーゲームを紹介」(←タイトル長すぎるよね)でも触れた「911 Operator」は,救急電話のオペレータとして,街で発生する数々のトラブルを処理していくという内容だ。その点では,「This is the Police」のシミュレーションパートにも似ている。

 とはいえ「911 Operator」では,警官隊だけでなく救急隊や消防隊も含めた街の救急チームを率いることになるので,火災の対応や病人の輸送など,起きるトラブルのバリエーションが多い。本作ではまた,パトカーと消防車の双方,あるいは救急車まで動員しなければならない複合的な事件も現実同様に発生する。そのため,プレイヤーは,ただでさえ限られている車輌やスタッフをより効率的に運用することが求められる。

京都の道路は碁盤目状なので、事件現場までの移動がしやすい
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 本作の最大の特徴は,我々の生活の一部でありながら,多くの場合「非日常」として接することになる救急活動を,オペレータの仕事を通して追体験できる点にあるだろう。かかってきた電話に対しては,通報者の声だけを手がかりに事態の深刻さを評価しなければならない。現実にかかってくる通報の大半は緊急性が低いという統計を反映して,ゲームでも山のような些細な通報の中に大事件が紛れ込んでくるのだ。
 また,ゲームで発生する事件が“実際にあった出来事”を元に作成されている点も,現実とゲームを近づける試みとして面白い。プレイのあとには,街を走るパトカーや救急車を,以前とは違った感覚で見つめることになるはずだ。

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事件をうまく処理することで名声や資金が溜まり,次のステージの攻略がしやすくなる
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ときには,間違いや関係のない電話がかかってくることもある

 さらに,マップ制作プロジェクトである「OpenStreetMap」と提携することで,世界各都市の道路データをダウンロードしてプレイできる点も,リアルなシミュレーターとしての価値を高めている。もちろん日本の都市にも対応しており,東京などの人口密集地帯ではかなり細かいレベルでプレイできる。
 残念ながら地方都市(例えば福井県)ではそこまでのディテールは望めないが,それでも自分の身近な街のマップを使うことで,プレイへの思い入れがより強まるかもしれない。ゲームそのものは日本語に対応しているが,通報の音声は英語のため,日本の街を舞台にするとちょっとシュールな雰囲気もある。日本よりも治安の悪い海外の事例に基づいているため,日本ではありえないような事件も発生するが,そういった部分も含めてかなり楽しめる作品だ。

ロード画面では,救急アドバイスが表示される。実生活でも役に立つはずだ
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■Lobotomy Corporation
デベロッパ:Project Moon
パブリッシャ:Project Moon
公式サイトhttp://www.lobotomycorp.kr
Steam公式プロダクトページ


 2016年末に登場した「Lobotomy Corporation」は,超常的な事象を扱う架空の組織を記述する共同創作サイト「SCP財団」(SCP Foundation。以下,SCP)に強くインスパイアされた注目作だ。当然テキストが理解できないと楽しめないのだが,SCPの独特の雰囲気をしっかり分かったうえで翻訳されている日本語版が用意されているので,その点は安心してもらって大丈夫だ。


アブノーマリティの記述が一部黒く塗りつぶされているのも,SCPへのオマージュだ
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 プレイヤーの役割は「ロボトミー社」の研究所の管理人として,異常な物質や現象である「アブノーマリティ」(具体的には,さまざまな姿のモンスター)を管理し,そこからエネルギーを抽出することだ。毎日一定数のエネルギーを集めればミッション達成となるが,エネルギーを抽出するときにはアブノーマリティが暴走したり脱走したりするリスクがあり,一定フェーズごとに職員に危害を加える謎のモンスターが湧いて出たりする。

 これらの事態に対処するのがプレイヤーの指揮下にあるエージェント達だが,その頼りない外見のとおり,実に弱い。とくに,数回プレイしただけでアブノーマリティの管理方法が不明な状況では,対応をわずかに間違えただけでエージェントが死んだりパニックに陥ってしまう。たとえアブノーマリティへの対処方法が分かってきたとしても,暴走しているそれを単独のエージェントが制圧することはほぼ不可能だ。

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 幸い,ロボトミー社におけるエージェント達の命はチリより軽い。このため,残酷に聞こえるかもしれないが「いかに効率的にエージェントを死なせるか」の判断が攻略に不可欠となる。筆者のオススメは,研究所の各セクションにスキルの高いエージェントとまったく強化していないエージェントを一緒に配置することだ。通常の管理は高レベルのエージェントに任せ,モンスターが湧きそうになったら低レベルのエージェントを派遣することで,いざというときに熟練エージェントを失わずに済むというわけだ。
 また,脱走したアブノーマリティがいても必要なエネルギーを集めることができれば(ペナルティはあるものの),その日の仕事はクリアになるので,研究所の惨状をあえて見なかったことにするのも戦略としてはアリだろう。

グラフィックスはコミカルだが,ゲーム展開は結構エグイ
画像集 No.019のサムネイル画像 / 年末年始,これだけは遊んでおきたいシミュレーション/ストラテジーゲーム 2017年版

 このように本作は,アブノーマリティや研究所の謎を解いたり,管理チームのマネジメントをしたりと,さまざまな視点で楽しめる。現在はアーリーアクセス版だが,ほかのβ版のゲームと比べてもアップデートは頻繁に行われており,ゲームバランスやプレイフィールが短期間で大幅に変わる可能性もある。したがって,今後の開発状況からは目が離せないのだ。


■Bomber Crew
デベロッパ:Runner Duck
パブリッシャ:Curve Digital
公式サイトhttp://bombercrewgame.com/
Steam公式プロダクトページ


 ミリタリー色の強いマイクロマネジメント系シミュレーションをプレイしたい人には,2017年10月にリリースされた「Bomber Crew」をおススメしたい。これは第二次世界大戦を舞台に,イギリスの爆撃機1機とその搭乗員7名を操作して,ヨーロッパで行われる連合国軍の作戦に参加してドイツと戦うという内容だ。
 第二次世界大戦の航空戦というと,どうしても戦闘機のドッグファイトがクローズアップされるし,乗組員にフォーカスした場合は,乗り物が戦車や潜水艦になることが多い。その意味で,爆撃機という主に対地攻撃用の機体に注目した本作は非常にユニークだ。

搭乗員や爆撃機は細かいカスタマイズが可能
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 2000年代のゲームを思わせる少なめのポリゴンでできたキャラクターや機体は可愛らしく,カジュアルなゲームという印象を与えるが,実際に爆撃機を飛ばして敵地に向かうと,状況はとたんにシビアになる。
 プレイヤーは基本的に単機で敵地へ飛び,対空砲や迎撃機(ときには敵のエースパイロットが搭乗している)から身を守りつつ,搭載した爆弾で目標を撃破しなくてはならないのだ。
 敵機への攻撃は,一定時間ポインターを合わせてロックオンすれば,あとは搭乗員が自動的に攻撃してくれるので楽なのだが,作戦目標である地上に目を配りながらの作業になるため,ついついロックオンを怠って敵機にエンジンをすべて破壊されて墜落,ということも起きてしまう。

作戦中には地表と空中,双方に目を配ることが大切だ
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 また,敵機をうまく対処できても,どうしてもある程度は銃弾を受けるため,機内の各所に配置された搭乗員が重傷を負い,飛行や迎撃が不可能になる場合もある。
 行動不能になった搭乗員に対しては,ほかの搭乗員が救急キットを使うことで回復できるのだが,銃撃を受けた区画は穴だらけになっているので,助けに行くのが難しいときもある。また,ダメージを受け過ぎたり燃料が尽きたりした場合,着陸時に大破して搭乗員が失われることもある。そんなアンバイで,見かけと違ってカジュアルなゲームではないのだ。

機内のコンディションにも注意しよう
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 用意されているミッションの種類は,それほど多くない。しかし,上記のようなゲームバランスのため,1回1回のフライトは非常にスリリングで,無事に基地に着陸できたときの達成感は大きい。ちなみに,大半のミッションには繰り返し挑戦できるので,ゲームを進めるうえでキーとなる難度の高いミッションがクリアできない場合は,すでにクリアしたミッションを何度もこなして爆撃機や搭乗員を強化することが可能だ。このようにして数々のミッションをこなし,強化していくことで,愛機や搭乗員に対する愛着がだんだんと高まっていくはずだ。


■Ultimate General: Civil War
デベロッパ:Game-Labs
パブリッシャ:Game-Labs
公式サイトhttp://www.game-labs.net/
Steam公式プロダクトページ


 今回の記事で紹介する10本の中でも,ひときわ硬派な作品が「Ultimate General: Civil War」だ。Game-Labsが2014年にリリースした前作「Ultimate General: Gettysburg」を発展させたゲームで,プレイヤーはアメリカ南北戦争の北軍または南軍の司令官として,さまざまな戦闘に参加してキャンペーンを進めていく。
 各戦闘は現実の歴史に基づいており,両軍が置かれた状況も史実に大きく影響される。とはいえ,1つの戦闘で得た名声や資金,あるいは鹵獲した物資を利用して自軍を強化するというマネジメント要素も用意されている。

大会戦では,コントロールすべき部隊数が増加する
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 興味深いのは,兵士よりも武器の補充のほうが困難なところで,これはとくに南軍において顕著だ。現実でも,南軍には士気の高い兵士が多かったが,銃や大砲,さらには軍服や靴に至るまで,北軍に比べてあらゆる物資が不足しており,本作は,そういった史実を反映しているわけだ。

 ゲームの醍醐味である戦術パートの完成度も,非常に高い。主力となる兵種は歩兵砲兵騎兵と,歩兵から分離して編成できる散兵のみで,さまざまな兵種が入り乱れて戦うことが多いこのジャンルのゲームとしては非常にシンプルだが,そのぶん,各兵種の使い方がプレイヤーに問われるのだ。
 配下の軍団は,砲兵から一方的に撃たれたりしない限り,兵士の数やモラルを維持しながら長時間戦うことは可能なバランスになっている。このため,散兵が遮蔽物を利用して敵の主力を足止めしている間に歩兵が迂回して側面を突く,といったような機動が重要になる。なお,南北戦争ものの映画の影響で,歩兵や騎兵で突撃したくなる衝動に駆られるが,近接戦は士気や疲労度の面でのリスクも高いので,使うタイミングには注意が必要だろう。

どの戦域も重要なので,1か所のみに集中しすぎないように
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 1つのミッションは複数のステージで成り立っており,戦況の推移に従って,戦場の広さや参戦する軍団の規模がダイナミックに変化していく。例えば,「ゲティスバーグの戦い」では部隊同士の連携が難しく,実際は局地戦の集合体であったという史実をゲームにうまく反映しているといえるだろう。マップの拡張を伴うこうした演出は,「ファイアーエムブレム」シリーズの戦闘パートに近いと感じた。

戦闘の間に戦力の補強ができる。とくに重要な役割を果たす銃や大砲の補強については細かく設定されているため,プレイをしているうちに当時の武器にも詳しくなれる
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 また,キャンペーンを通じてプレイヤーが指揮し強化できる軍団は,各ミッションに参加する軍勢の一部にすぎない,という設定になっている。したがって,広大なマップを縦横無尽に駆け回るというよりは,ある重要な拠点の奪取や防衛などの役割を果たして主力部隊の支援を行う,といった任務が多い。全軍の指揮官ではなく下位の将軍の役割を演じるという規模感が,ゲームによりリアルな雰囲気を生み出している。
 長いアーリーアクセス版のテストを経て正式にリリースされた本作は,とくに近代と現代の狭間の会戦に魅力を感じる人にはたまらない内容になっている。


「正統派戦略級シミュレーション/ストラテジー」


 最後は,「正統派戦略級シミュレーション/ストラテジー」を紹介しよう。2017年は,ターン制か(セミ)リアルタイム制かを問わず,長いスパンでの戦略的思考が大きな役割を果たす,「いかにもシミュレーション/ストラテジー」という作品が数多く登場した。そんな中から,既存作の続編だったり,有名な作品のシステムを意識しつつ新たなチャレンジをしたりしているゲーム4本を取り上げている。


■Total War: WARHAMMER II
デベロッパ:Creative Assembly
パブリッシャ:SEGA
公式サイトhttps://www.totalwar.com/total_war_warhammer_2
Steam公式プロダクトページ


 2017年に登場したファンタジーもののストラテジーとして「Total War: WARHAMMER II」の名前を挙げないわけにはいかないだろう。
 2016年に発売された前作「Total War: WARHAMMER」は,さまざまな国や地域の歴史をテーマにしてきたTotal Warシリーズとして初めて,史実以外の題材を選んだことで世界中のプレイヤーの注目を集めた。しかも,選ばれたのが,これまた世界中に多くの熱狂的なファンを抱えるテーブルトップのミニチュアゲーム「Warhammer」だったことで,期待が高まった。


 結果として「Total War: WARHAMMER」は,どちらのファンも満足させる内容でヒット作となり,前作の発売から約1年という短いスパンで第2作が発売されることになったのだ。

 本作をプレイして印象に残ったのは,ゲームエンジンの優秀さだ。「Total War」シリーズの最大の魅力は,なんといっても戦術モードでの大規模戦闘だったが,これまでのような人間型のユニットだけでなく,クリーチャーの軍団に対して超強力なヒーローユニットが大活躍し,数々の派手な魔法が繰り出されるというファンタジー世界を違和感なく再現しているのには,あらためて驚かされた。

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 戦略パートも興味深く,本作に登場するハイエルフダークエルフリザードマン,そしてスカーヴェンという善悪4つの種族のプレイスタイルはそれぞれ大きく異なっている。この点も「どの勢力を選んでも,結局は人間」であったシリーズ従来作に比べて大胆な変更が図られたといっていいだろう。ファンタジー世界の雰囲気をよく再現したマップを背景に,各種族の個性に合わせたロールプレイが楽しめるのだ。

画像集 No.038のサムネイル画像 / 年末年始,これだけは遊んでおきたいシミュレーション/ストラテジーゲーム 2017年版
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 このような戦術・戦略面の特徴からは,「史実に忠実でなければならない」という縛りから解放された開発者の余裕や遊び心が感じられる。この点は,昨年Paradox Interactiveがリリースしてヒット作となったSFストラテジー「Stellaris」によく似ているかもしれない。
 なお,ゲームシステムそのものは,ユーザーインタフェースを含めてこれまでの「Total War」シリーズとほぼ同じであるため,「Warhammer」にあまりなじみのないプレイヤーでも気にすることなくプレイできるはずだ。一方,今まで「Total War」をプレイしたことがない「Warhammer」ファンに向けては,比較的親切なチュートリアルが用意されている。


■Dominions 5 - Warriors of the Faith
デベロッパ:Illwinter Game Design
パブリッシャ:Illwinter Game Design
公式サイトhttp://www.illwinter.com/dom5/
Steam公式プロダクトページ


 ファンタジーもののストラテジーファンにぜひトライしてほしいのが,「Dominions 5 - Warriors of the Faith」だ。絶対神が姿を消したあと世界を背景に,その地位を狙うさまざまな神位請求者その眷属達の闘争を描く本作。請求者達は,ゲーム中にいわばヒーローユニットとして登場し,プレイヤーを政略と戦闘の両方にわたって大きく助けてくれる。

非常に細かい設定や固有のユニットが,各勢力に用意されている
画像集 No.040のサムネイル画像 / 年末年始,これだけは遊んでおきたいシミュレーション/ストラテジーゲーム 2017年版

 ビジュアル的には地味だが,Illwinter Game Designが2002年にリリースした「Dominions: Priests, Prophets and Pretenders」以来,15年間続いてきた「Dominions」シリーズの最新作としてファンも多い。
 シリーズの人気の秘密は,プレイヤーが選択できる勢力の多様さにある。用意された膨大な数の種族は,それぞれが固有の物語(ロアー)を備え,その設定を反映したユニットを持っている。
 これは神位請求者も同様で,人間とあまり変わらない外見のものから超大型生物まで,種族ごとに異なるさまざまな神位請求者達から1柱を選べる。さらに,ロアーに基づいて種族の特性や,使用できる魔法が設定できるというから,カスタマイズの大盤振る舞いだ。

神位請求者の中には,我々が知る「天照」のような神々も登場する
画像集 No.041のサムネイル画像 / 年末年始,これだけは遊んでおきたいシミュレーション/ストラテジーゲーム 2017年版

 オリジナルのファンタジーやSFタイトルを制作する難しさの1つは,プレイヤーが共感できるような適度な密度の世界観を提示できるかどうかだ。あまりにも設定が大雑把だとファンタジーファンからは批判されるし,逆に設定を緻密にしすぎると,それに合わないプレイヤーが多く出てくる可能性もある。プレイヤーの分身である各種族について「Dominions 5」では,基本的な設定は開発者側が準備しつつ,肉付けの部分をプレイヤーに任せることで,この問題にうまく対処している。

戦略画面では雇用や技術開発,アイテムの製造などが可能だ
画像集 No.042のサムネイル画像 / 年末年始,これだけは遊んでおきたいシミュレーション/ストラテジーゲーム 2017年版

 ゲームプレイの面では,内政よりも軍備の拡張戦闘に焦点が当てられている。戦闘そのものはターンの最後にまとめて自動処理されるのだが,リプレイを見られるので,自勢力の神位請求者の派手なパフォーマンスや,眷属の健気な戦いぶりが堪能できる。
 もちろん,戦闘に勝利するためには,事前に各ユニットの配置や行動を綿密に設定しておくことが決定的に重要だ。加えて,ゲームスタート時に設定した種族の特徴も,プレイヤーが取るべき戦略や戦術に大きな影響を与える。ビジュアルはシンプルだが,ストラテジーとして確固とした構造ができていることが,実際にプレイしていて分かりやすい作品だ。

グラフィックスはシンプルながら,自動で行われる戦闘は見ごたえがある
画像集 No.043のサムネイル画像 / 年末年始,これだけは遊んでおきたいシミュレーション/ストラテジーゲーム 2017年版


■Oriental Empires
デベロッパ:Shining Pixel Studios
パブリッシャ:Iceberg Interactive
公式サイトhttp://www.orientalempires.com/
Steam公式プロダクトページ


 三国志でおなじみの三国時代だけでなく,争乱に満ちた中国史はストラテジーゲームにとって恰好の素材であるはずなのだが,最近,面白そうなゲームがなかなか出てこず,もどかしい思いをしていたのは,筆者だけではないだろう。
 そんな思いを共有する皆さんにオススメしたいのが,「Oriental Empires」だ。本作は中国古代の地方勢力を,都市国家から大規模な王国や帝国へ成長させていくという,いわゆる4Xのターン制ストラテジーだ。ゲームの対象となる時代は,春秋戦国から近世までをカバーしており,選択できる勢力も,などの定番から,匈奴などの異民族まで網羅している。幅広い中国史ファンが気になるところだろう。

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 ゲームシステムとしては,既存の都市の発展と新都市への植民によって勢力を拡張していく点や,技術ツリーをアンロックすることで文明を強化していくという点で,「シドマイヤーズ シヴィライゼーション VI」とよく似ている。
 とはいえ,各勢力のターン終了時に一括して処理される戦闘は,複数のヘックスのユニットが参加する本作ならではのもので,勝利をつかむには,スタックで部隊を強化するだけでなく,事前に設定した行軍戦術が重要になる。序盤の展開はいささか退屈だが,こうした戦闘システムのおかげで,他勢力との国境紛争が発生し始める中盤以降のプレイは非常に楽しい。

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 対応言語は英語と中国語の2種類だが,シヴィライゼーションタイプのストラテジーに触れたことがある人や,中国史を少しでもかじったことのある人には,ぜひ英語ではなく中国語(簡体字)でプレイしてほしい。ゲームで使用される歴史用語は中国語でも日本語でもあまり変わらないし,各種ツールチップのちょっと複雑な説明文も,ストラテジーの経験があれば「ああ,あのことね」とすぐに分かるはずだ。勢力名や都市名が漢字で表現されることで,いかにも中国を舞台にしたゲームをプレイしているのだという気分に浸れるはず。

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 ちなみに,最近の東洋史関連のゲームとしては,Byzantine Gamesの「Sengoku Jidai: Shadow of the Shogun」(2016年)が戦国時代の日本を描いているほか,Paradox Interactiveの各タイトルが中国をフォーカスしたDLCを配信するなど,東アジアがゲーム業界でも再び注目され始めているという印象だ。さらに中国語圏の小規模デベロッパが開発した面白そうなストラテジーも,Steamでは次第に増えている。中国政府がSteamコミュニティへのアクセスを禁止したというニュースが最近話題になったが,中国のインディーズメーカーの動向には2018年以降も注目する必要があるだろう。

戦闘ターンではズームアップして細部を堪能できる。中国古代史ファンにはたまらないはず
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■They Are Billions
デベロッパ:Numantian Games
パブリッシャ:Numantian Games
公式サイトhttp://www.numantiangames.com/theyarebillions/
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 2017年12月13日に発売された「They Are Billions」は,間違いなく2017年で最も注目すべき作品の1つだ。プレイヤーに与えられた使命は,「感染者」(簡単に言えば,ゾンビ)の群れがひしめく地域に建てられたコロニーを発展させ,一定期間守り抜くことだ。ゾンビは単体では弱いが,一定時間ごとに思わず笑ってしまうくらいの大集団でコロニーを襲撃してくる,厄介な存在だ。


  「They Are Billions」においてプレイヤーは,リソースの管理をしながら各種施設を建てて自分の拠点を拡張していくことになる。この点では「エイジ オブ エンパイア」シリーズを思わせるが,本作の場合,マップの外から大量のゾンビが定期的に襲ってくるため,敵を倒すことよりも防御に重点が置かれる。

このように,壁や兵士をそれなりに用意しておけば,ゾンビの大軍が襲ってきても安心だ
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 ゾンビに破壊された施設にいた住民は新たなゾンビになってしまうため,一度防御線が破られると坂を転がり落ちるようにゲームオーバーになってしまう。どの方向から現れるか分からない敵に備えるには,ユニットを使って定期的に周囲を見張るだけでなく,序盤からコロニー全体を防壁や塔でガードしなければいけない。
 防御さえしっかり固めていれば,撃退はむしろ容易なので,コロニーを拡張するときには「どうやって効率よく守れるか」を常に念頭に置く必要がある。この点で本作は,「ストロングホールド」シリーズにも近いと思う。

 実を言うと筆者は「エイジ オブ エンパイア」シリーズが非常に苦手であり,マルチプレイではたいてい,敵の大軍に圧倒されて負ける。そんな筆者にとって,ゾンビの大軍を撃退して爽快感を味わえる本作は,これまでの不満やトラウマを一度に解決してくれる実にすばらしい作品なのだ。

とはいえ,油断しているとうっかりコロニーの中心を襲われたりする。ちなみにこの写真,もう詰んでいます
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 もっとも,うまくいかずにコロニーを全滅させてしまうことのほうが多いのだが,そこにはゾンビもの特有の恐怖感というか,文明が滅んでいく一種の美しさが感じられるし,敗北した場合,「何がまずかったか」がすぐに理解できる。このため,たとえゲームオーバーになってもあまり不愉快ではないのだ(強がりではない)。

 現在はアーリーアクセス版がプレイできる本作。開発中ならではの粗削りなユーザーインタフェースやゲームバランスの問題などが散見されるが,プレイするには支障のないレベルなので,ゾンビものやリアルタイムストラテジーが好きな人はプレイしてみよう。

ゾンビの本拠地である「大邸宅」がコロニーに近いと,定期的に襲撃される
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 以上,2017年(一部,2016年)にリリースされたシミュレーション/ストラテジー10作品を紹介してきたが,気になる作品はあっただろうか。筆者の個人的な印象としては,超大作というよりはインディーズ系のデベロッパを中心に,テーマ性やシステム面でのアイデアが光るゲームが多かったと思う。

 さらに,どちらかといえば戦略ではなく戦術レベルにフォーカスされ,じっくり考えた長期的な計画に沿って行動するのではなく,臨機応変な対応が必要とされる作品が目立った点も特徴として挙げられるのではないだろうか。ステージ制ないしミッション形式で進行するタイプの作品では,中断はほぼ自分の意思に依存する。「シヴィライゼーション」シリーズのように「気がついたら朝になっていた」ということもなく,社会人フレンドリーといえそうだが,いつでも止められると思うと,かえって長時間,どっぷりプレイしてしまうもので,気がついたら朝になっていたりする。


 蛇足ながら,2018年に筆者が最も楽しみにしているゲームとして,ロシアのGlitch Pitchが開発を進める「Idol Manager」がある。「プリンセスメーカー」「アイドルマスター」シリーズに連なる(ことになるであろう)この作品が,外からの視点で日本のアイドル業界をどう描くのか? 興味は尽きない。

 それでは,2018年がストラテジー/シミュレーションゲームファンの皆さんにとって良い年となり,すばらしい作品と出会えますように。
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