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ぷよぷよ生みの親こと仁井谷正充氏の9年ぶりの新作「ダブルタワー」発表会。名物社長が熱っぽく語った新作の姿,そして氏の夢とは?
現地には同社代表・仁井谷正充氏と,MCに中村ゆうじさんが現れ,“確率に脱力し,地獄と天国を味わう”新作の魅力を語った。
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仁井谷氏と言えば,「ザナック」「アレスタ」「魔導物語」など,往年に数々の名作を送り出した開発会社コンパイルを創業した人物だ(あえてデベロッパではなく,昭和風に開発会社と呼びたい)。
なかでも「ぷよぷよ」は爆発的なヒットを飛ばし,そのあと本当にさまざまなことがあったが,新たな会社コンパイル〇を設立後,2016年に3DS用ソフト「にょきにょき たびだち編」「にょきにょき 宇宙征服編」をリリースし……また再び長い沈黙を続けていたのだが。
2025年。ここにきて,9年ぶりの新作を携えてきた。
コンパイルという十字架,蟄居の気持ちから再起して「にょきにょき」へ。コンパイル○社長・仁井谷正充氏インタビュー

長い沈黙を経て,新作落ちものパズル「にょきにょき たびだち編」でゲーム業界に復帰する仁井谷正充氏。コンパイルの経営破綻後,仁井谷氏は何をしていたのか。そして「にょきにょき」にかける思いとは? たっぷりと話を聞かせてもらった。
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仁井谷氏が新たな“再起”をかけて世に問う新作が,今回のダブルタワーである。氏曰く,「(当時の)ぷよぷよの最大の課題は,上級者になるまでに5年ほどかかること。また初心者と上級者が一緒に遊ぶのが難しい」ことだとし,本作ではこの課題を払拭したかったという。
また“とあるゲームの配信動画”を目にしたことも,本作を発想するきっかけとなったそうだ。遊び方はひと言で言うと「建物同士をくっつけるパズル」。皆さんも画面を見ればなんとなく分かるかもしれない。
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さらに仁井谷氏には追い風もあった。氏が2023年に読売新聞の取材を受けたことをきっかけに,幸運にも“コンパイル設立メンバー”との接点が復活したとのことだ。ダブルタワーは彼らの協力もあり,開発が軌道に乗り,今回の発表にこぎつけられたのだという。
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とはいえ,世にあふれた落ち物パズルジャンルで,新たなルールを創造するにはかなりの苦戦があったそうな。
本作は,画面上部から落とした建物同士をくっつけて大きくし,11段階目の「タワー」同士を“共食い”させ,消滅させることで高得点を獲得する。これの繰り返しが遊びの基本的なフローとなる。
ただ,他作品との差別化のために建物に「色」の概念を加えたところ,同色かつ同段階の建物をくっつけること自体が大変になってしまった。
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そこで「同じ大きさでなくとも,同色ならくっつけられるルール」に変えた。すると今度は,落ち物パズルの醍醐味「大連鎖」が発生しなくなってしまい……などと,あちらを立てればこちらが立たず。
そんな行き詰った状況で浮上してきたのが,「ルーレットを回し,出た数字のぶん,建物の色をそろえてしまう」というアイデアだった。
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こうして,まとまったコンセプトがこちら。
「確率に身をゆだね,脱力して,地獄と天国を味わう」だ。
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一見すると本作は,建物が積み上がりきらないよう「人事を尽くし」,建物を成長させる過程でルーレットをより多く回して「天命を待つ」……といった構造に見えるが,それもまた1つの側面でしかない。
本作が目指すところは,発表会の冒頭で仁井谷氏が語っていたように,「(当時の)ぷよぷよの課題を払拭し,誰もがリラックス(脱力)しつつ,地獄と天国の行き来を楽しめる作品」のようだ。
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以上が,ゲーム説明から実際のプレイまで含めて,約2時間ほど仁井谷氏が熱っぽく語り続けてくれた新作の概要だ。
個人的には,氏のパワフルなプレゼンテーションを聞いているうちに,80年代の混沌とした,しかし「創成期の熱」を帯びていたであろう,ありし日の“ゲーム業界”に思いをはせてしまっていた。
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なお,本作は3月28日よりクラウドファンディングを実施するのだが,仮に目標額に達しなかったときは「そこでプロジェクトを頓挫させる」という。実にすがすがしい姿勢は好感だが,仁井谷氏の夢の続きを確かめるためにも,一口乗ってみるのもまた一興ではないだろうか。
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「ぷよぷよ」の生みの親,仁井谷正充氏の新作ルーレットオチゲー「ダブルタワー」発表。クラウドファンディングを実施

「ぷよぷよ」の生みの親,仁井谷正充氏が代表取締役を務めるコンパイル〇は本日,新作ルーレットオチゲー「ダブルタワー」を発表した。対応プラットフォームはPC(Steam),Nintendo Switch。税込価格は490円。