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[プレイレポ]喪った犬を取り戻すために戦う,エモーショナルなローグライトアクションRPG「サイバーパラダイス」を紹介
最愛の犬を喪った人々の感情をリアルに描いたタイトルということで,とくに犬好きには深く刺さる内容になっている。同時にローグライト的な壮快感のある戦闘が楽しめるタイトルだ。
「サイバーパラダイス」公式サイト
“戦闘。犬。カフェ。”愛犬を喪った人々の感情的な混乱がリアルに描かれる
「サイバーパラダイス」はオーストラリアのインディーゲームチーム,DDmeow Gamesが開発を手がけるローグライトアクションRPGだ。プラットフォームはPC(Steam)で,2025年内のリリースが予定されている。DDmeow Gamesの開発モットーは,「エモーショナルで奇妙で熱狂的なインディーゲーム」とのことで,その考えは本作に色濃く反映されているようである。
本作の舞台は,すべてがデータで構築されている仮想世界。ハッカーの主人公・ヘイリーは,故人のデータを収集して復活させるビジネスを営んでいる。本作で描かれるのは,愛犬・ミニを喪ったカフェの店主・サミュエルのエピソードだ。ヘイリーはミニを復活させるため,自分の愛犬・ディーディーミャオと共に戦いを繰り広げることとなる。
「サイバーパラダイス」の見所の一つは,やはりそのエモーショナルな物語だ。敵と戦って勝利するたびミニの思い出が手に入り,ヘイリーとプレイヤーはそれを追体験していくことになる。本作は街での“バトルパート”とカフェでの“会話パート”から構成されているのだが,バトルをクリアしてカフェに戻るたび,暗くなった背景にミニの思い出が走馬灯のように浮かぶのだ。
サミュエルとミニの出会いを切っ掛けとして,寂れたカフェにお客が増えていき,すこしずづ賑やかになっていく。その過程には心暖まるものがある。ゆえにカフェの常連達もミニの喪失に打ちひしがれており,ミニの写真が一杯に貼られた店内で語られる,彼らのミニへの思いは実にリアルだ。ミニがデフォルメされた可愛いらしい犬ではなく,リアル寄りのデザインなのも大きなポイントだ。
喪失を受け入れられず,かといって思い出にできるほど時間が経過していない皆の心には,ぽっかりと穴が空いている。同様の体験をした人なら,その感情的な混乱に共感し,同情を感じることだろう。かく言う筆者もその一人で,愛犬を喪ったあとの日々が思い出され,胸が締め付けられるようだった。
会話パートがしんみりした雰囲気である一方,バトルパートでは派手なアクションが楽しめるのも本作のユニークなところだ。敵を倒すとカードが出現し,これを取るとキャラクターがパワーアップ。パラメータの底上げのみならず,「ジャンプするとヘイリーの身体から爆発する卵が飛び出すようになる」「犬がバリアのようにヘイリーの周囲を回る」「斧を振ると左右と上の三方向に判定が出現」「ジャンプ回数が増える」といった,個性的な能力が用意されている。
例えば3段ジャンプしながら卵を撒くまきまくり,バリア犬とともに敵に突っ込んでいくといったプレイも可能というわけだ。さらには,カードを取るほどにレアカードの出現率も向上するそうで,まさにローグライトらしいインフレ感のあるバトルが展開される。
とはいえ,強くなるのは自分だけではない。カードを取得した数に応じて敵も強くなっていくため,戦いはますます激しいものとなっていく。そんな中で頼りになるのが「犬を撫でる盾」だ。これはヘイリーがディーディーミャオを撫でることで発生する犬の顔の形をしたオーラのようなもので,敵の攻撃や飛び道具をギリギリまで引きつけて使用すると,攻撃を弾き返せるのだ。その効果もさることながら,寝そべってお腹を撫でられるディーディーミャオの姿はシンプルに可愛らしい。バトルに行かずに撫でまくっていたいくらいである。
解像度の高い犬の描写がエモーショナルな「サイバーパラダイス」は,BitSummitに合わせて体験版の配信もスタートしている。気になる人はSteamのストアページを訪れて,プレイしてみよう。またDDmeow Gamesには,歯ブラシがウンチと戦うボスラッシュアクション「Psycho Bathroom」や,制作者の実話をベースとした「Father's Toenails」といった過去作もあるので,こちらも合わせてチェックしておくといいだろう。
「サイバーパラダイス」公式サイト
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