インディーゲームイベント
「BitSummit Drift」にはさまざまなアドベンチャーゲームが出展されていたが,
コロナ禍+コーヒーという取り合わせがユニークな「
東京珈琲パンデチカ」のレポートをお届けしていこう。皆が外出を控えてたあの頃に戻り,悩めるお客様のために美味しい珈琲を淹れるのだ。
「BitSummit Drift」ヘビサイドクリエイションブース
 |
コロナ禍のカフェでコーヒーを淹れ,お客の心をほぐしていく
「東京珈琲パンデチカ」はヘビサイドクリエイションが2024年7月27日にSteamで配信予定のアドベンチャーゲーム。
東京でカフェを開いているオーナーとなり,2020年を回想していく。本作で描かれるのは,新型コロナウイルス感染症の流行時,いわゆる“コロナ禍”の人間模様だ。オリンピック代表を目指していたはずが,肝心のオリンピックが延期になった水泳選手や,漫画の勉強をするために日本に来たものの,学校が休校になってしまった少女など,コロナ禍で大きな影響を受けた人々が登場。主人公は彼らにコーヒーを淹れることで,その心を解きほぐしていく。
カフェのカウンターは1席ずつアクリル板で区切られ,消毒液のボトルやマスク着用を促すポップが置かれる。そして,背後の床では換気のために大きなファンが回り続ける……という光景は
コロナ禍のカフェのあるあるで,あの時期の記憶が蘇ってくる。
主人公がコーヒーを淹れるパートはミニゲームとして表現されている。まずは豆を選んでコーヒーミルに入れ,アナログスティックをハンドルに見立ててくるくると回す。早すぎても遅すぎてもダメなので,丁度いいリズムと速度を保つことが重要だ。こうしてできあがったコーヒー粉をドリッパーに入れ,口の長いケトルで蒸らした後,本格的にお湯を入れていく。適量になると主人公が持つ
「共感覚」の能力で視界が虹色に輝くため,これを目安にして湯量を調整するのだ。
お客が求めるコーヒーはさまざまで,淹れ方さえ良ければいいという場合もあれば,一定以上の甘味を求められることもある。豆の種類だけでなく,前述した作業の工程でもコーヒーの味が変化する辺りはなかなかにリアルだ。作中で描かれる工程や使用している器具がリアルなこともあり,コーヒー粉をドリッパーに入れるところや,お湯を注ぐところでは画面内から香りが漂ってくるように感じられた。
こうしてコーヒーを淹れられれば,主人公の
「珈琲スキル」がアップ。ミニゲームを有利にするパワーアップが3つ提示されるので,その中から1つを選んでいく。コーヒーミルのハンドルを回す際の有効範囲が広くなったり,「酸味」や「コク」といった味わいが上がると珈琲全体の評価が上がったりと内容もさまざま。主人公をバリスタとして強化していく要素もあるというわけで,製品版でどんなパワーアップが出てくるかも楽しみだ。
本作を開発するヘビサイドクリエイションの
たらひろ氏によれば,本作の制作はコロナ禍のただ中からスタート。コロナ禍の時期を振り返れるようになった頃にプレイしてもらい,思い出として整理をつけてほしいという願いがあるという。登場するお客の境遇もさまざまで,プレイヤーの誰もが感情移入できるキャラクターを見つけられるように作っているそうだ。
コーヒー作りパートは,たらひろ氏がコーヒー好きであることに加え,カフェでヒアリングすることでリアルさを表現したものになっているという。作ったコーヒーがお客の好みに合わなかった場合でもパワーアップを得られるため,パワーアップの選び方によってゲーム進行に支障をきたすようなことはないとのこと。また,操作を必要としないところは早送りも可能だという。
コロナ禍を振り返るという,ありそうでなかったコンセプトとリアルなコーヒー作りが融合した本作。2024年7月27日の配信を楽しみに待ちたいところだ。
ブースにはたらひろ氏のコーヒーミルも展示されていた
 |