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インタビュー
[インタビュー]存在しないなら自分たちで作ってしまおう。新作ヒーローシューター「FragPunk」そんな思いで作られたゲームだった
今回は中国,杭州市にあるNet Ease本社にて本作のアートディレクターのLi Yiming氏を筆頭としたアートチームと,プロデューサー兼クリエイティブディレクターのChang Xin氏,それぞれにメディア合同インタビューを実施したのでその内容をお届けしたい。
[プレイレポ]「FragPunk」は,ルールを変えるシャードカードが勝負の決め手。カジュアルに楽しめるハイスピードヒーローシューター
![[プレイレポ]「FragPunk」は,ルールを変えるシャードカードが勝負の決め手。カジュアルに楽しめるハイスピードヒーローシューター](/games/808/G080803/20250227001/TN/013.jpg)
Bad Guitar Studioが開発中の基本プレイ無料の新作ヒーローシューター「FragPunk」が2025年3月6日にリリースされる。5対5のチーム戦を繰り広げるハイスピードなチームシューターで,ゲームのルール自体を変える「シャードカード」によって,バラエティ豊かな戦いが楽しめる。今回はリリース前の本作をプレイしてきたので,その模様をお届けしたい。
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――キルエフェクトがすごくかっこよく,アートスタイルとしてストリートカルチャーがベースにあると感じました。その一方で,スチームパンクやポップなグラフィティもあり,そういったいろいろなアートスタイルを,どのようにFragPunkの世界観に合わせて導入しているのでしょうか。
アートチーム:
アートスタイルの豊富さは,さまざまな人に楽しんでいただけるように導入しています。全体的にポップで明るく表現するようにしていますね。
いろんなビジュアルエフェクトを取り入れているんですが,そういったエフェクトを頻繁に使うのではなく,要所要所で使うことで,よりインパクトを与えるような演出にしています。
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――開発チームの中で人気が出るだろうと予想しているキャラクターはいますか。
アートチーム:
すべてのキャラクターが愛されるように作っていますが,強いて上げるなら「アクソン」が“ザ・パンク”というキャラクターなので,FragPunkを代表するような存在になってほしいという思いはあります。
もう1人は「ソナ」ですね。人間とは少し違った種族なので,FragPunkの世界観の多様さが分かると思います。
これからもいろんな人に愛されるようなキャラクターを作っていきたいと思っています。
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――今後,キャラクターのストーリーの深掘りをしていくとのことですが,どのくらいの頻度でそういったストーリーを展開していくのでしょうか。
アートチーム:
今実装しているキャラクターの背景ストーリー自体は完成しています。それらはゲーム内で露出させていくことがメインになりますが,シーズンが更新されるタイミングで公開されるトレイラーや,マップの説明などで出てくるようになっています。
――キャラクターを制作するときはモチーフからなのか,コンセプトからなのかを教えてください。また,どのキャラクターを一番最初に作ったのでしょうか。
アートチーム:
両方ですね。モチーフから作ることもありますし,コンセプトから作ることもあります。
一番最初に作ったキャラクターは「ブローカー」です。FragPunkは短時間でスリルある戦闘を楽しめることを目指しているので,超攻撃的なイメージでロケットランチャーを担いでいるこのキャラクターが最初に作られました。
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キャラクターのビジュアルをデザインする際は,ほかのチームから共有されるストーリーや性格を反映させるようなデザインになるように議論しながら作っています。「このキャラクターはこういうスキルを使う」というのがキャラクターのデザインから分かるように注力していますね。
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――スキンで収益を上げるビジネスモデルだと思うのですが,武器スキンとキャラクタースキンの両方が用意されているのでしょうか。
アートチーム:
まずスキンですが,武器とキャラクターの両方を用意しています。キャラクターに関してはキャラクターのコンセプトに沿ったものだけではなく,プレイヤーに新鮮味のあるようなものを作っています。
また,そのキャラクターの過去にあった出来事に合わせたスキンなどで,そのキャラクターのストーリーを完成させることも想定しています。
――世界設定の根幹にシャードバースというパラレルワールドがあるのですが,それはどれくらいあるのでしょうか。
アートチーム:
現時点で4つほど完成しています。それは今後のアップデートでさらに拡張されていく予定です。ランサーたちは各シャードバースから参戦しているので,マップとキャラクターのアートスタイルが一致しているものを見ることができると思います。
――各シャードバースから2〜3人ほど参戦していると思うのですが,ライバル関係などもあるのでしょうか。
アートチーム:
実装しているキャラクターの中でも,敵対関係にあるキャラクターはいます。今後もシーズンで更新していくたびに,新しいシャードバースの登場や,現存しているシャードバースのコンテンツの拡張などで,キャラクターの関係性の深掘りを実現したいと思っています。
ライバル関係だけでなく,キャラクターそれぞれの関係性を大事にしています。例を挙げると,ニトロとフェイトは親友で一緒に戦っていますし,ほかのキャラクターも所属している組織が一緒だったリ,とあるカンパニーのアサシンだったリなど,そういった内容もゲームの中にヒントが隠されていますね。
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ニトロ |
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フェイト |
――世界設定の中にあるグルナイトというのはどういったものなのでしょうか。
アートチーム:
グルナイトはこの世界に新しく出現した物質です。それが出現したことで世界の物理的なルールを変えるといったことが可能になりました。シャードカードもグルナイトが物質化した1つの形になります。戦いではグルナイトを収集するという表現になっており,それらを収集することでシャードカードを生み出すことができるようになっています。
――グルナイトは特定の生命体に新しい力を与えてランサーになる,という設定だったかと思うのですが,機械にはその力を与えることはないのでしょうか。
アートチーム:
機械や物質に影響を与えることもあります。例えば建物に変化を与えることもありますし,グルナイトをエネルギー源として動く機械なども,この世界の中には存在しています。それをいつゲーム内に登場させるかはこれから考えていくことになります。
――シャードクラッシュではグルナイトをコンバーターで収集するという表現ですが,最後はなぜ爆発するような表現で,ランサーたちは倒されるのでしょうか。
アートチーム:
コンバーターは周囲のグルナイトを収集する装置なのですが,ランサーたちも体の一部にグルナイトを吸収しているので,それがコンバーターに吸収されることで,倒されるという表現になっています。
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ラウンドごとに遊び方が変わるゲームを作りたかったプロデューサーインタビュー
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――スキル要素とランダム要素の組み合わせはバランスを取るという意味で難しかったと思うのですが,どのようにしてバランスを取っているのでしょうか。
Chang Xin氏:
シャードカードには使用するためのコストが設定されていて,戦況に影響を与えやすいカードほど,そのコストが高く設定されています。そのため,試合中に頻繁に使うことができないようになっています。
カジュアルに遊べるモードではランダム性が強いですが,ランク戦ではBAN/PICK制を採用するので,ランダム性を薄くしてより公平な戦いができるようにしています。
シャードカードはマップやキャラクター,スキルに連動しているので,特定のキャラクターを強化するものも存在しますし,逆に特定のキャラクターを弱体化するものも用意しています。同じロジックで特定の武器を強くしたり,弱くしたりするカードも存在しています。
また,ゲームを破壊するようなシャードカードはもちろん作らないようにしています。そして実装後もフィードバックを元にバランスを調整していく予定です。
――シャードカードは初めから全部使えるのでしょうか。
Chang Xin氏:
初めからすべて(150枚以上)のシャードカードをすべて使えてしまうと,始めたばかりの人は混乱してしまうと思うので,レベルをあげることで徐々にアンロックされていく形式を採用しています。だいたい7〜8時間のプレイですべてのカードが使えるようになると思います。
――高レベルの人とマッチングしたときはどうなるのでしょうか。
Chang Xin氏:
高レベルの人が持っているカードも出現します。チームのシャードカードの保有率によって出現率が変わるようになっています。例えば全員が持っているカードは出現率が上がるといった具合です。出現したカードは保有状況に関わらず全員が使用できます。
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――シャードカードは一回のアップデートでどのくらい追加されるのでしょうか。
Chang Xin氏:
1シーズンは4か月のスパンでリリースされます。また,シーズンは前半と後半に分かれており,2か月ごとにアップデートが行われ,キャラやスキン,マップ,シャードカードが追加されます。
また,2か月ごとにシーズンのルールが変わるので,そのルールに従って,30〜40枚のカードが追加されますが,既存のカードが取り除かれたり,このシーズンではこのカードを使えるといったローテーションを想定しています。
――リリース後にeスポーツ展開は考えていますか。
Chang Xin氏:
eスポーツについてはもちろんやります。そもそも開発者のほとんどが競技系のゲーマーで,eスポーツの大会を見て育ったので,自分たちの大会を開きたいという思いが強いです。
ただ,FragPunkは,ほかのゲームと違うので,どういった形で大会を開くのかはこれから考えていくことになります。
――競技系のゲーマーが多いとのことで,開発にあたって意見の衝突も多そうだなと感じたのですが,どうやってチームをまとめているのでしょうか。
Chang Xin氏:
結論から言うと,常日頃から喧嘩しています(笑)。
みんな熱い思いを持っていて,自分が正しいと証明したがるので,そこから議論を経て,それが正しいことと認められていくというプロセスになっています。
今までのクローズドβテストでは,それぞれの開発者の思いが入っていて,プレイヤーからのフィードバックを経て,自分の意見が正しかったと証明されることもあります。
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――新しいランサーはどのくらいの頻度で追加されるのでしょうか。
Chang Xin氏:
ランサーは2か月に1人追加していく予定です。なので1シーズンで2人ですね。
――ランサーが増えていくとバランス調整が難しそうですね。
Chang Xin氏:
シャードカードと比べるとまだバランスを取りやすいです(笑)。自分も一プレイヤーとしてまだまだキャラクターは少ないと思っているので,今は追加する時期なんです。
バランスに関しては難しいのですが,対戦として公平に同じ状況で戦えることを意識して設計しています。環境によって強い組み合わせなどは出てくると思いますが,そういった組み合わせを発見するのに,1〜2か月はかかると想定していて,アップデートのスパンと同じくらいなので,そこで調整していくことを考えています。
シャードカードとランサーの組み合わせは膨大なのですが,仮にそこですごく強い組み合わせが生まれたとしても,対抗策があるのであれば,ゲームの遊び方として許容する方針です。もちろん対策がなければ対応していきます。
――クローズドβテストで,どういったフィードバックがありましたか。
Chang Xin氏:
ポジティブなもので特に言われるのは,アートスタイルがいいといった意見ですね。また,スピーディにテンポよくゲームが進むので,爽快感があるという意見も多いです。
ネガティブな反応では,バランスに関することが多いですね。過去にあったテストではスナイパーライフルが強かったので,それに関するフィードバックがあり,調整しました。ほかにもマップの攻守のバランスや,シャードカードに対するものなど,その都度調整しています。
ゲームモードに関する意見もありましたね。シャードクラッシュはリスポーンできない設定なので,プレッシャーを感じてしまう人もいて,もうちょっとカジュアルに遊べるモードを増やしてほしいという要望もありました。
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――ゲームモードに関してはどういったものを考えているのでしょうか。
Chang Xin氏:
イベント的なゲームモードとして例えばシャードカードのビッグヘッドの効果を使ったようなモードや,近接武器しか使えないマップなど,いつでもそういったモードを楽しめるように,ローテーションしていくことを想定しています。
ストーリーを体験するようなソロモードについては,作りたいと考えているのですが,開発リソースの問題で,今はより皆さんが楽しめるようなバランス調整やゲーム環境を作ることが最優先と考えています。
――カードとヒーローシューターを組み合わせたのはなぜなのでしょうか。
Chang Xin氏:
私自身がFPSゲーマーであると同時にカードゲーマーでもあるんです。カードゲーム好きとFPS好きという考えから,この2つのジャンルのゲームを融合したいと思ったのが発端です。そして競技的な既存のルールにランダム要素を入れることができないかと考えたのが,本作のアイデアになりました。
競技性の高いゲームジャンルにランダム要素を加えるとバランス調整が難しいというのはこれまで話した通りですが,その影響もあってか,本作のようなゲームが作られなかったので,ならば自分たちで作ろうと思ったんです。
私が好きなゲームだと,例えばローグライクのように特定の数値を変えるというようなランダム要素だったんです。だけど私がやりたかったのは特定の効果を与えるのではなく,ランダム要素でルール自体を変えたい,遊び方自体をラウンドごとに変えるというものを作りたかったんです。
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――カードの効果を考えるときにどういったものからアイデアを得ているのでしょうか。
Chang Xin氏:
カードの効果はさまざまなものからアイデアを得ています。例えば先ほど言っていたビッグヘッドなどはマリオから着想を得ていますね。
――シーズン制とのことですが,バトルパスなどはあるのでしょうか。
Chang Xin氏:
バトルパスは存在しています。主な報酬は武器やキャラクターのスキンなどですね。最後の報酬はキャラクターのワンセットのスキンなど豪華で派手なものを用意しています。
――タイブレイカーでデュエルモードを入れようと思ったのはなぜでしょうか。
Chang Xin氏:
さまざまなゲームでタイブレイクという状態が起こりますが,延長戦で決着をつけるという形が取られているものが多いです。しかし,場合によってはその延長戦が,試合の本戦よりも長くなることがあります。延長戦という形でタイブレイクをするのはオリジナリティにも欠けていて,FragPunkで採用するには少しつまらないと思って,新しいルールを考えていたんです。
ちょうどその時,サッカーのワールドカップをやっていた時期で,PK戦を見てアイデアを思いつき,実装しました。
あとは日本のゲームの「キング・オブ・ファイターズ」ですね。3対3でひとりずつ戦っていく格闘ゲームじゃないですか。あの作品からもヒントを得ていますね。
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――タイブレイカーとしてデュエルモードがあるのですが,シャードクラッシュのランダム要素が排除され,実力が反映されるルールなのですが,これは意図したものでしょうか。
Chang Xin氏:
シャードクラッシュと試されている技術が違うというのは仰る通りで,実はチーム内でも意見が分かれています。
実際にこの機能を実装してみて,プレイヤーのいろんな刺激的なストーリーが生まれていて,それがすごく楽しくて,新しいと思っているので,今のところは続けたいと思っています。
――ゲームモードを追加していく予定はあるのでしょうか。
Chang Xin氏:
現時点ではシャードクラッシュのほかにチームデスマッチやデュエルマスターといったモードを用意しています。正式リリース後もゾンビモードなどを追加していく予定です。
またデッキビルディングといった要素もあるようなモードも検討しています。
――日本のゲーマーに向けてメッセージをお願いします。
Chang Xin氏:
日本のプレイヤーの皆さんはとてもかわいいです。日本で成功したい気持ちは本当に強くて,少数で作っているゲームだからこそ,ローカライズで足りない部分だったリ,バランスでの不満だったりとか,良いところも悪いところも含めて,たくさんフィードバックをもらえると嬉しいです。
日本で長く運営できるように頑張りたいと思っているので,よろしくお願いします。
――ありがとうございました。
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「FragPunk」公式サイト
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- 編集部:S.K.Y
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