プレイレポート
[プレイレポ]「モンスターハンターワイルズ」はオープンβテストからより遊びやすく進化。復活のババコンガや新モンスターの狩猟を体験できた
復活したババコンガに,新モンスターであるケマトリス,ラバラ・バリナ,ウズ・トゥナといった個性派たちを狩猟し,世界観に関する演出もしっかりなされていることが確認できた。なお,今回はPS5版の開発機を使っての試遊となった。
[インタビュー]「モンスターハンターワイルズ」は,さらなる最適化と武器のバランス調整を進め,完成形を目指す
2025年2月28日に発売を予定している「モンスターハンターワイルズ」のメディア向けプレビューツアーが11月に実施され,試遊後に辻本良三氏,藤岡 要氏,徳田優也氏に合同インタビューをする機会を得た。オープンβテスト時のものから製品版はどのように変わるのか,プレイヤーが気になる質問をぶつけてきた。
レ・ダウの鳴き声は「ずぃーんめーんぎょー」。「モンスターハンターワイルズ」にも活用されたカプコンの自社スタジオとは
2024年11月,「モンスターハンターワイルズ」のメディア向けプレビューツアーが大阪のカプコン本社で行われた。この日はプレイ取材とインタビューに加え,カプコン本社にあるモーションキャプチャとサウンド,SEのスタジオを取材でき,同作を開発する最新技術の一端が明かされた。
「モンスターハンターワイルズ」公式サイト
オープンβテスト時のバージョンからフレームレートが向上
ワイルズは,2025年2月28日に発売を予定している「モンスターハンター」シリーズの最新作だ。今回は,キャラクターを作成するゲーム冒頭からスタートし,隔ての砂原と緋の森で,さまざまなモンスターの狩猟を体験できた。途中でインタビューが挟まったものの,朝から夕方までみっちりとプレイしてきた。
まずは簡単に本作の概要についておさらいしておこう。舞台となるのは禁足地と呼ばれる広大な土地。プレイヤーは調査隊のハンターとなり,サポート役であるオトモアイルー,クエストの管理や受付を行うアルマと小隊「鳥の隊」を結成。謎の少年ナタとともに,禁足地にすむ未知なるモンスターに挑んでいく。
10月にオープンβテストが実施され好評を博したが,プレイ環境によってはフレームレートが低下するなどの現象が発生し,最適化がまだなされていないのではないか,という指摘があった。この点について,新バージョンではフレームレートが改善され※,攻撃のヒット感もよくなっており,アクションゲームとしての手触りが向上していた。
※PS5版の「フレームレート優先」設定時。複数のモンスターが登場するシーンでも60fpsに近い数値が確認できた。オープンβテスト時は47fps程度だった
最適化不足や,武器のヒット感およびバランスについては開発側も把握しており,プロデューサーである辻本良三氏はこの日に行われたインタビューにおいて,オープンβテストからの改善点について説明する機会を設けたいと語っている。
特に武器についてはヒットストップやSEについて意図通りに動作していないものがあったそうで,バランスについても「操虫棍」「ランス」「スラッシュアックス」「片手剣」など調整を進めていくという。今後の発表を待ちたいところだ。
「モンスターハンターワイルズ」オープンβテストでPCとコンシューマ機のフレームレートを計測。やはりウルトラ設定はかなり重かった
カプコンが2025年2月28日の発売を予定している「モンスターハンターワイルズ」。クロスプレイが実現し,機種を選ばず遊べるが,それでも機種ごとのプレイフィールやグラフィックスは気になるというもの。今回はオープンβテストを活用して,PCとコンシューマ機のフレームレートを計測してみた。
個性的なモンスターの狩猟をとおして,ハンティングの基礎を学ぶ
今回狩猟できたモンスターだが,特に個性的な顔触れが揃っていたという印象だ。「ケマトリス」はトサカとふさふさの尾が印象強い獣竜種で,尾で叩いてくるほか,身体をひねって尾で地面を薙ぎ払うと軌跡に炎が燃える。
直線的な攻撃と薙ぎ払いの範囲攻撃,線と面の2つの技を予備モーションで見分け,適切な対処を行うのが狩猟のポイントとなる。序盤のモンスターということもあり,動きはゆっくりめで,ハンティングの基礎を学んでいける。オープンβテストで対峙したチャタカブラと同様に,ハンターのいい先生となりそうだ。
現状公開されているモンスターの中でも,とくに奇妙なフォルムを持つのが刺花蜘蛛(しかくも)「ラバラ・バリナ」。血のような色をした緋の森の一角で,ラバラ・バリナが真っ赤な花のような腹部を展開させるさまには,妖しい美しさがある。
長い脚をカサカサ動かしてフィールドを動き回るラバラ・バリナは不気味で,さらに腹部から飛ばしてくる真っ赤な綿毛には麻痺効果があり恐ろしい。綿毛はしばらく空中に滞留するため,位置取りを考えつつ狩猟しなければならない。
蜘蛛っぽく逆さにぶら下がった状態から綿毛をまき散らすこともあり,時には綿毛を避けるために敢えて接近するという思い切った決断も必要だろう。ちなみに,装備品「ラバラ」シリーズは深紅や純白の花をあしらった品で,頭装備が人気となりそうだ。
今回の試遊範囲では,懐かしいモンスターである桃毛獣「ババコンガ」の狩猟も体験できた。最新技術で表現された桃色の毛はフサフサとしているうえ,カットシーンでは煌めくような表現になっており,旧作との違いに驚く人も少なくないはず。
見た目がきれいになったとはいえ,ババコンガはやはりババコンガだ。尻から汚れた茶色のガスを放って余韻に浸るわ,自分のフンをハンターに投げつけるわ,キノコを食べてさまざまなブレスを吐くわ,と昔同様にやりたい放題である。しかし,この下品さがババコンガであり,それが健在というのはうれしくもある。
キノコを食べてブレスを吐く攻撃も健在だが,今作では食べたキノコの種類でモーションが変わり,放射レンジが変化するアップデートが施されている。
悪臭のブレスは左右に首を振りつつ薙ぎ払い,ニトロダケの爆破属性ブレスは四つん這いから前方へ発射,マヒダケの麻痺ブレスは足元へ吐き続ける……というように,アクションゲームとしての遊びがよりバリエーション豊かになっている。このあたりの進化はアクションゲームを得意とするカプコンらしい作り込みを感じさせてくれる。
今回の試遊範囲のクライマックスとなるのが,緋の森の頂点捕食者である波衣竜「ウズ・トゥナ」だ。ウズ・トゥナは水のヴェールを纏った攻撃が特徴的で,攻撃するたびに水流が巻き起こるさまは迫力満点だ。
水流による攻撃は範囲が広く,さらにスタミナの回復速度が遅くなる「水属性やられ」を起こすのが厄介。身体が大きいうえにヒレが羽衣のようにヒラヒラとしており,一見して攻撃エリアをつかみにくいのも危険なところだ。
その一方で,身体が大きいということは的がデカいということでもある。そして水のヴェールは破壊することも可能で,水流による攻撃を封じられる。動きは比較的にゆっくりなので,モーションを観察すれば対処しやすくなるだろう。
なお,今回対峙したシーンの目標はあくまでも「撃退」であり,本当の決着はまだまだ先になりそう。雌雄を決する日が楽しみに感じられた。
また,ワイルズで印象的だったのが,チュートリアルの手厚さと,「最適状態回復」「最適体力回復」というショートカットに代表される,遊びやすさの追求だ。
今回のプレイだけでもケマトリスの火属性やられ,ウズ・トゥナの水属性やられといった状態異常が登場しているが,条件がそろっていればオトモアイルーがサポート技で治療してくれるのに加え,「どんな効果を及ぼすか」「どのアイテムを使えば治せるか」が表示される。
そのほかにも,モンスターに「傷」を付けたら,これを破壊して大ダメージを与える「弱点集中攻撃」の使い方が表示され,周囲に「環境生物」がいればその効果が出てくる……といった具合で,非常に親切だ。加えて,重要なチュートリアルは状況に応じて複数回表示されるようで,未経験の人でも問題なく入門できるだろう。
そして,初心者からベテランまで多くのハンターにとってうれしいのが最適状態回復と最適体力回復のショートカットだ。状態異常を起こしたり,体力が減ったりした際にこれらの項目を選べば,適切にアイテムを使い分けて治療してくれる。
例えば,火属性やられや水属性やられを受けていれば「ウチケシの実」,ダメージが大きい場合は「回復薬グレート」といった具合に使ってくれて,狩猟に集中できる。もちろん,アイテムスライダーによる従来の方式も使えるのでベテランも安心だ。
設定とゲームとしての遊びが絡み合い,没入できる世界観を作り上げる
ここからは世界観の作り込みやキャラクターたちについても見ていきたい。世界観を構成するさまざまな要素について,しっかりと説明が行われるため,物語への没入感も深くなるというのが,今回確認できた重要なポイントのひとつだ。
ハンターという,プレイヤーにとって当たり前の存在についてもあらためて説明と定義が行われるのは,本作の方向性を示す良い例だろう。身長ほどもある巨大な武器でモンスターを狩るのがハンターであることは,既存プレイヤーに説明する必要はない。しかし,実際にそんな人々がいるなら,恐ろしげにも感じられてしまうはずだ。
本作ではハンターがいない禁足地の民の視線をとおし,ハンターとは何かが説明される。巨大な武器を見て困惑する民に対し,ハンターの武器は人々を守るための道具であり,許可を得たうえで,決して人に向けてはならない決まりのもとで使われる……という基本中の基本が語られる。
そして,モンスターを狩る際も物語のなかで理由がしっかりと説明される。仲間を救わなければならない,集落を守らなければならないなど,のっぴきならない状況に追い込まれると,アルマがギルドの名のもとにモンスターの狩猟をハンターに要請するという形で狩りがスタートするのだ。
ハンターといえど,ギルドの要請がなければモンスターを狩猟できない規律が存在しているであろうことがうかがえる。これまでのシリーズでは依頼文で理由が説明されていたが,リアルタイムで狩猟の要請がなされる=ギルドが危機として判定するさまが描かれるのが興味深い。
こうした説明は禁足地の文化についても行われる。禁足地の人々はモンスターに対抗する手段を持たない。しかしクナファ村には石の鳴子があり,禁足地にすむ恐ろしいモンスターそっくりの音を立てるため,普通のモンスターが入り込めない。
また,セクレトは自動で目的地に走ってくれるのに加え,モンスターを相手にしても物おじせず命令に従う。「人とともに暮らしていること」「乗り手を選ぶほどの知能があること」「それゆえに,禁足地に暮らす民にとって,非常に貴重で大切な存在であること」が物語の中で語られるため,より感情移入も深くなる。
モンスターが村に入らない理由も,セクレトが優秀である理由もゲームとしての都合という面があるのは確かだが,しっかり設定が行われゲーム内で語られることにより,没入できる世界観となるのだ。
印象深いのがクナファ村での食事シーンだ。粉を練ってナンのように焼き,串に刺したチーズ(?)を火で炙って柔らかくしたものを乗せたり,ハチミツや赤い豆のスープをつけて食べるさまが実においしそう。席では穴の開いたツボのような楽器を叩いて楽しみ,宴が終わると「食事効果」として体力とスタミナがアップしたうえに5つの「食事スキル」が発動する。異世界の風物を描く設定とゲームの遊びがうまく組み合わさった素敵な演出と言える。
そして,登場するキャラクターたちも魅力的だ。アルマはオトモアイルーと違って直接狩猟をすることはないが,禁足地の人々との思慮深い交渉役という側面が強調されている。彼女の柔らかな物腰と選んだ言葉が物事を円滑に運び,その許可があって初めて狩猟ができるというわけで,存在感は大きい。
また,「星の隊」のオリヴィアが物語で絡みがあると同時に,主人公がクエスト中に救援要請を出せばサポートハンター(疑似マルチプレイ用のNPC)として助けに来てくれるなど,ほかの小隊のキャラクターたちもしっかり出番があり,禁足地調査隊がチームとして動いていることが感じられる。今後物語が進むにつれ,皆がどのように活躍するかも見どころになりそうだ。
オープニングからじっくりプレイすることで,個性的なモンスターや設定と遊びを絡み合わせる工夫など,「モンスターハンターワイルズ」の新たな魅力が見えてきた今回のプレビュー。2025年2月28日の発売日があらためて楽しみになってきた。
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