
インタビュー
[インタビュー]ウサハナの騎士 サナーのフィーチャー曲誕生! レコーディング密着&仲村宗悟さんが語る「言花サンセット」
サナーは,夏が大好きな元気なウサギの女のコ“ウサハナ”を主とするフラガリアの騎士。南国風のカラフルな衣装が印象的で,おおらかで明るい性格が,周囲をハッピーにさせてくれる存在だ。
この記事では,サナーを演じる仲村宗悟さんのレコーディング現場の様子とともに,収録後のインタビューをお届けする。サナーの魅力が詰まった楽曲の制作秘話や,仲村さんが演じるうえで大切にしたポイントなど,たっぷりと語っていただいた。
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ブースに見守るウサハナ――
サナーらしさを追求した歌唱表現
今回,「言花サンセット」のレコーディングが行われたのは,冬の都内某スタジオ。まずはブースに入った仲村さんと,プロデューサーの村上一馬氏が,楽曲をとおしてサナーの想いをどう表現するかをすり合わせる。楽曲に込められたこだわりを聞いた仲村さんの「すごい,天才ですね!」という驚きの声が響く。
ちなみに,今回の楽曲に参加しているメロルド(CV:林 勇)とプルース(CV:寺島拓篤)のレコーディングはすでに終了しており,仲村さんがラストとのこと。まずは2人の歌声も含めた楽曲を聴きながら,マイクチェックを兼ねて仲村さんが担当パートを歌う。
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本格的にレコーディングがスタート。今回は「サナーがなかなか見せられない内側の部分」を描いた楽曲ということもあり,「ここは感情を優先して」といったディレクションや,「ここは逆にさらっと」といった指示が飛ぶ。音楽面での調整以上に,気持ちの乗せ方や風景の表現の仕方をしっかりと確認しながら進行していく。
制作側の想定を超える仲村さんの表現力に,コントロールルームの一同が思わず拍手する場面もあった。
すべてスムーズに進行し,ひととおり歌い終えたところで,仲村さんを含めたスタッフ全員で通し確認を行う。仲村さんが「はい,僕の方もこれで大丈夫です!」とOKを出すと,再びブースに戻ってハモリパートの録音へ。
ファルセットも駆使し,同じパートを複数パターンの音階で歌う仲村さんの姿に,スタッフ陣から「本当に素晴らしいですね……」という感嘆の声が漏れた。
レコーディング直後インタビュー!
仲村宗悟さん&村上Pが明かす“サナー”の音楽
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レコーディングお疲れさまでした! 楽曲のお話をうかがう前に,仲村さんにとってのサナーという存在について聞かせてください。これまで演じられてきて,あらためて抱いている想いがあればぜひ。
仲村宗悟さん(以下,仲村さん):
はい。僕はいつも,サナーの気持ちがすごくよくわかるなって思うんですよ。サナーは楽しいことが好きで穏やかな性格だけど,その反面,嫌なことがあっても本心を隠してしまう部分があるんですよね。
僕は今でこそ自分の気持ちをはっきり言えるようになってきましたが,過去の自分と通じるものがあるなって。
周りのみんなも笑顔のほうがいいから,少し気がかりなことがあっても目をつぶろうみたいな……そういうのって,僕だけじゃなくて誰もが感じたことのある気持ちかもしれません。だから,ユーザーの目線にすごく近いキャラクターなんじゃないかという印象はずっとありますね。
4Gamer:
演じている仲村さんも,サナーの内面に共通点を感じると。
仲村さん:
そうですね。僕はあんなにふわふわしてないですが(笑)。
4Gamer:
とはいえ,きっと多くのユーザーもそうだと思うのですが,初めてサナーのキャラクタービジュアルを見たときに「すごく仲村さんっぽい!」と感じました。
仲村さん:
実は僕もオーディションのときに思いました。ビジュアルを見て,「これは自分がやらないなら,ほかに誰がやるんだ!?」って(笑)。すごくやりたいと思っていた役だったので,決まったときは本当にうれしかったですね!
4Gamer:
いつかサナーのコスプレをしてみてほしいです。きっとお似合いになるのではと……!
仲村さん:
いやいや無理です,めちゃくちゃ露出してますもん!(笑)
4Gamer:
では,3月21日に公開されたサナーのフィーチャー曲「言花(ことはな)サンセット」について聞いていきたいと思います。
仲村さん:
ようやくサナーの番ですね! ずっと楽しみに待っていました。
4Gamer:
ご自身もファンも待望の一曲ですね。最初にデモを受け取ったときは,どんな印象を持ちましたか?
仲村さん:
まず,曲調が意外でした。もっとヒップホップっぽい雰囲気なのかなと思っていたのですが, 歌詞を読むにつれて,サナーの心をしっかりと表現していることが分かったんです。メロディを聴いて,歌詞を読んでいくうちに 「あ,これだな」って,自分の中に深く落とし込まれていく感覚がありましたね。
4Gamer:
ありがとうございます。ここで,プロデューサーの村上さんにも解説をお願いしたいと思います。
仲村さん:
あっ,その前に僕から村上さんに質問してもいいですか? 最初からサナーにはこういう曲調が合うと考えていたんですか?
4Gamer:
おお,ステキなご質問ありがとうございます……!
村上一馬プロデューサー(以下,村上氏):
(笑)。そうですね。いくつか選択肢はあったと思うんですが,ボイスドラマでのサナーは,まだ自分の本心を出し切れていないんですよね。
彼なりに思うことがある……それを音楽で表現するなら,陽気なだけじゃない一面も丁寧に描きたくて,こうした曲調になったんです。
仲村さん:
なるほど! 確かに,デモの仮歌をサナーの歌声でイメージしていったとき,自分の中でもすごくしっくりきました。
村上氏:
サナーは誰に対しても前向きな言葉をかけてくれるぶん,自分の感情を仕舞って表に出さないことも多くあるんですよね。それを,サンセット……日が落ちてきて空も海も同じ色に染まる風景に重ね,“気持ちを一色に染め上げる”という情景に落とし込むのがサナーらしく,そんなイメージを音や言葉で表現したいなと思いました。
「言花(ことはな)」というタイトル, これは,ごんべんに花の「誮しい(やさしい)」という実際にある漢字を分解したものと,「言わぬが花」の2つを掛けています。
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ネガティブなことを口にしないのは,彼の優しさからきているところもありますし,他人にも優しいですしね。主(ロード)であるウサハナらしさもあるので,彼の優しさを表現するにはこの言葉がピッタリだなと。
仲村さん:
天才……!
4Gamer:
いや,本当に見事ですよね。歌詞には花にまつわるたくさんの言葉が登場しますが,これも「ウサ『ハナ』」から来ているんですか?
村上氏:
そうです。例えば,歌詞の中にある「三点の花芯のような沈黙は」というフレーズですね。ウサハナの正式なラテン文字表記は「U・sa・ha・na」なのですが,ここにある3つの「・」と,言い淀むときの「…」を花芯に例えた表現となっています。
自分の気持ちはなかなか言えないけれど,「これは君に贈る愛情だよ」という想いを込めています。ここはサナーらしさを表しつつ,ロードに対する想いとしてもこの曲を象徴する一節です。
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4Gamer:
ステキですね……!
村上氏:
ありがとうございます。サナーの騎士道は「誇り」なので,「咲き誇る」という言葉はまさにピッタリだと思いました。ウサハナとサナーをつなぐ言葉にもなればいいなと。
4Gamer:
曲に込められたこだわりとして,メロディの面はいかがですか。
村上氏:
たくさんありますが,最初のサビ「この愛に翳りはないのに」と,次のサビ「この愛が光になるなら」は,同じメロディでありながら転調してキーが上がっています。
ここは,切り取り方や見る角度,タイミングによって印象が変わることを,音で表現したかったんです。あるときはこの一面が見えるけど,別のときにはその面は見えなくて。でも,そのどれもがその人であるのは確かで……みたいな。そういうところも踏まえて聴いていただくと,サビがよりグッとくるんじゃないかと思います。
仲村さん:
この解説,もう全部印刷してCDに入れちゃいましょう!(笑) 絶対に残してほしいです。
4Gamer:
本当にそのとおりですね! 村上さんのお話を聞いていると,いつも「こんなに細かいところまでこだわりが?」と驚かされるのですが,やはり演者さんにとっても演じるうえでのヒントになりますよね。
仲村さん:
はい,すごく解像度が上がりますね。こういうレコーディングやボイスドラマの収録の際に説明していただくことが多いのですが,「なるほど」とか「そうだよな」って,自分の中に生まれたものの確認もできますし,解釈が深まっていくからとてもありがたいです。
やっぱり,作り手の愛情って絶対に必要ですよね。 こういう愛情がキャラクターを動かすし,生かしていくんじゃないかなって。
4Gamer:
本当にそうですね。先ほどの質問と少し重なりますが,今日レコーディングに臨む前に,この曲について感じていたことを,もう少し詳しく教えてください。
仲村さん:
歌詞を見ていると,サナーのセンシティブな部分に触れているなっていう印象が強かったです。この曲を聴く前は,サナーの歌はふわふわしていたり,明るい雰囲気になったりすると思っていた方も多いかもしれません。でも,この曲は「表面ではこう見えているけど,内側ではこんなことを考えている」という,誰もが持つ一面に焦点を当てた一曲にもなっているんじゃないかなと。
4Gamer:
確かに。では,今日実際に歌ってみて,新たに感じたことはありましたか?
仲村さん:
ここまでサナーと一緒に歩んできたので,歌うこと自体を「難しい」と感じることはあまりないんです。でも今回は,サナーの内側にある芯の部分の気持ちを込めながら歌うことを心がけましたね。ディレクションをいただいて,何通りか歌ってみてしっくりくる表現を追求しました。
4Gamer:
歌っていて印象深かったフレーズはありますか?
仲村さん:
そうですね……やっぱりサナーが単独で歌う箇所はどこも印象に残りましたね。さっき村上さんが解説された「三点の花芯のような沈黙は」もそうだし,あとは「徒花のSunshine いやだよTwilight」とか。
4Gamer:
すごく気持ちを込められていましたよね。個人的には「君に 愛をあげたい」がグッときました。
仲村さん:
あれもいいですよね。最初は少しメロウな雰囲気だったのですが,ディレクションをいただいて,少し明るい雰囲気の歌い方になりました。
4Gamer:
村上さんもレコーディングに立ち会われていましたが,仲村さんの歌を聴いてみていかがでしたか?
村上氏:
この曲に限らず,フィーチャーされるキャラクターを演じる声優さんの歌がきちんと映えるようにすることを念頭に置きつつ,キャラクターの世界観を表現した曲にしています。仲村さんなら,こちらの想像以上にサナーの魅力を引き立ててくれると期待していましたが,まさにそのとおりになったので,とてもうれしかったです。
仲村さんは歌声が伸びていくところのニュアンスがすごく印象的ですし,リズム感もとても良く,その両方をしっかり出していただけたと思いました。
仲村さん:
ありがとうございます……!
村上氏:
良かったところはまだまだあって……例えば「誰かに気づいてほしそうに」という箇所は,サビに向かって盛り上げたかったので,譜割りが細かくリズムがタイトになっているんです。そこに乗せていただいたニュアンスが本当に素晴らしくて,聴いた皆さんもグッとくるんじゃないかなと。
また,ここの前に「わざと置き忘れ/言葉を濁して/波打ち際に書き残す」とあるのですが,波打ち際に書いた文字は誰かに見つかるかもしれないけど,放っておけば波が来て消えてしまいますよね。
わざと置き忘れたり言い淀んだりするのも,誰かに気づいてほしいけど……という,大人になりきれない未熟さがあると思うんです。それに気づくと,自分自身にがっかりしてしまう。サナーだけじゃなく,そういう心情には覚えのある方も多いんじゃないかなと思います。
ここからの仲村さんの「誰かに気づいてほしそうに」は,そうした想いがうまく乗っていたので,ぜひ聴いてほしいポイントです。
仲村さん:
え,もう本当にうれしいです……!
4Gamer:
コントロールルーム側でも,ディレクターさんと村上さんのあいだで「何も言うことがないですね!」というやり取りがありましたね。
村上氏:
みんなで拍手してました。少し話がそれますが,LINEスタンプにウサハナが「ぱちぱちぱち」と拍手しているものがあって,レコーディング中のトークバック(コントロールルームとレコーディングブースで会話する仕組み)でも,「ぱちぱちぱち」って言っているのが仲村さんにも聞こえていたと思います。
仲村さん:
いやさすがにウサハナスタンプだとは気づきませんって!(笑)
4Gamer:
確かに「ぱちぱちぱち」と口でおっしゃっていましたね。ということで,無事レコーディングが終わりましたが,仲村さんからこの曲をとおしてユーザーさんに届けたい想いや,特に聴いてほしい箇所はありますか?
仲村さん:
難しいですね……。もちろん,制作の方たちの意図は伝わってほしいですが,僕から「こういうふうに聴いてほしい」というのはないかもしれません。
4Gamer:
どんなふうに感じるかは,聴く人に委ねたいということですね。
仲村さん:
そうです。でもさっきもお話したように,サナーって表で見えているふわふわしたところだけじゃないんだよ,というのは,この「言花サンセット」という曲できちんと描かれているので,この曲を聴くと,自然とほかの人にも優しくなれる気がします。
実は僕も,「悩みごとがなさそうだね」って何度も言われたことがあるんですよ。いや,生きてるんだからあるわ! っていう(笑)。僕みたいに「そう見えている」人もいるだろうし,落ち着いているように見えても,内側ではメラメラと炎が燃えているような情熱的な人もいると思います。そうした,自分以外の内面を感じ取れる歌になっているんじゃないかなと。
4Gamer:
なにかこう,大人だからこそ刺さる歌かもしれないなと思いました。
仲村さん:
そうですね。大人な歌ですよね,すごく。
4Gamer:
それから,レコーディング中にコントロールルームでも話題に出ていたのですが,この曲はぜひ夕日に照らされた屋外で聴いてみたいと思いました。
仲村さん:
確かに! 夕方の野外はすごく似合いそうですね。もしそれが叶ったらサナーっぽい衣装で……めちゃくちゃ鍛えておかないと!(笑)
4Gamer:
楽しみにしています! それでは最後に,読者の皆さんにメッセージをお願いします。
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サナーがフィーチャーされた楽曲「言花サンセット」が,ついに公開されました! 僕自身もずっと待ち遠しかったので,本当にうれしいです。
今日お話ししたように,この曲ではサナーの繊細な心の機微が丁寧に描かれています。あらためて,サナーって本当に優しいんだなと感じました。きっとこれからの芝居を通じて,サナーともっと仲良くなり,一緒に成長していけると思います。
これからも,皆さんに温かく見守っていただけるとうれしいです! 今後ともよろしくお願いします!
4Gamer:
本日はありがとうございました!
――2025年2月収録
「フラガリアメモリーズ」公式サイト
- 関連タイトル:
フラガリアメモリーズ(メディアミックスプロジェクト)
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著作 株式会社サンリオ(C)2024 SANRIO CO., LTD.