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[プレイレポ]虚淵 玄氏の新境地。「Rusty Rabbit」は主人公のニヒルな中年ウサギを演じる黒田崇矢さんがハマりすぎ!
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印刷2024/06/04 10:00

プレイレポート

[プレイレポ]虚淵 玄氏の新境地。「Rusty Rabbit」は主人公のニヒルな中年ウサギを演じる黒田崇矢さんがハマりすぎ!

 東京ゲームショウ2023に合わせて,ニトロプラス×NetEase Gamesによる共同制作が発表された「Rusty Rabbit」(ラスティ・ラビット。PC / PS5)は,アニメ「魔法少女まどか☆マギカ」「PSYCHO-PASS サイコパス」,布袋劇「Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀」などを手がけた虚淵 玄氏が原案・脚本を担当する新作タイトルだ。
 「見た目はウサギ,中身は中年!」な主人公・スタンプがパワードスーツを駆る,2.5Dサイドスクロールアクションである。

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「見た目はウサギ,中身は中年!」な主人公を黒田崇矢さんが演じる。中年ウサギがパワードスーツを駆る「Rusty Rabbit」,9月24日発売決定

「見た目はウサギ,中身は中年!」な主人公を黒田崇矢さんが演じる。中年ウサギがパワードスーツを駆る「Rusty Rabbit」,9月24日発売決定

 NetEase Gamesは本日,ニトロプラスと共同開発中の「Rusty Rabbit」を9月24日に発売すると発表した。さらに,主人公の頑固な中年ウサギを演じる黒田崇矢さんをはじめ,錆掘り集団「BB団」のメンバーら日本語版の主要キャストも明らかになっている。

[2024/06/04 10:00]

 なお,虚淵氏はストーリーや世界観の原案などを担当しているだけではない。自らUnityでプロトタイプを作って企画を売り込んだそうで,ゲーム全体の原案者という立ち位置だ。

これがプロトタイプ
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 先日,NetEase Gamesのオフィスにて,メディア向けの発表会および試遊会が行われ,本作の発売日が2024年9月24日に決定したこと,そして主人公・スタンプ役を黒田崇矢さんが務めることが明らかになった。黒田さんと言えば,シブい中年の魅力や哀愁だけでなく,“おじさんならではのかわいさ”の表現に定評があり,まさにピッタリのキャスティングだ。


 虚淵氏の作風,黒田さんが演じるキャラクターをご存じの人であれば,本作の雰囲気がどことなく思い浮かび,またどのような展開が待っているのかが気になっているはず。
 そんな本作の序盤の一部をプレイしてきたので,ファーストインプレションをお伝えしたい。

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「Rusty Rabbit」公式サイト


 ゲームをスタートすると,ノベルゲーム風の画面が現れた。ハードボイルド小説のような一人称の語りを黒田さんの声で聞いていると,どんどんその気に──少しくたびれた中年ウサギの気分──なっていく。
 そして,ほどなくして「今どきの若ウサギ」たちによるジャンク屋集団,BB(ブラックベリー)団が登場。スタンプにあれこれと関わる存在らしく,彼らとの絡みが物語をコミカルに,ときにドラマチックに盛り上げてくれそうだ。

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 スタンプもまた“遺跡”でスクラップを集めて機械を作って売る,ジャンク屋のような稼業を営んでいる。実はこの遺跡,ウサギ以前に惑星を支配していた種族「人間」が残した軌道エレベーターという設定だ。
 人類絶滅後の世界がなぜか人類の文化を踏襲しているというSF要素があると同時に,人間がクトゥルフ神話の「古のもの(Elder Thing)」的なポジションに置かれているところにもニヤリとさせられる。

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 スタンプはジャンクから組み上げたパワードスーツ──彼は愛着を込めて“ポンコツ”と呼ぶ──を操縦して起動エレベーター内を探索するのだが,ポンコツの操作感が凝っている。その動きはパワフルかつスピーディ,しかし大型マシンを操縦しているようなワンクッション挟んだ挙動だ。ジャンプブーストの限界などもあり,それがまた気分を盛り上げてくれる。
 このマシンを体の一部のように操れるようになったとき,プレイヤーもスタンプ同様,ポンコツに深い愛着を抱いていることだろう。

ドリルアームでスクラップを掘り,道を作ったり,経験値やジャンクを入手したりできる
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グラップルワイヤで天井やオブジェクトにぶら下がれる。左右にスイングして遠くにジャンプすることもでき,敵の攻撃を回避するときに使えそうだ
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 筆者がアクションの手触りを確認していると,本作のプロデューサーを務めるNetEase Gamesの齊藤祐一郎氏が「スキルポイントで機体性能を強化すると,操作感が向上し,戦闘能力もどんどん上がります」とフォローしてくれた。
 いかにもマシン的な操作感を味わうのも楽しいが,攻略には機体の強化が欠かせない。耐久力やジャンプブーストの上限アップ,武器のリロード時間短縮など,スキルツリー式でマシンの強化項目が並び,プレイヤーが必要と思うものを選んでいく仕組みになっている。

強化すれば,このとおり。ローラーダッシュしながら広範囲のブロックを破壊できる
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武器はドリルアームだけでなく,ショットガンやナタのような近接武器も選べる。ショットガンは右スティックで発射する方向を調整可能だ
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 ポンコツは敵の攻撃を受けたり,高所から落下したりするとダメージを受け,移動スピードが遅くなるなどのペナルティが発生する。このあたりも古いマシンを騙し騙し使っている雰囲気があっていいが,ウサギのように前方ジャンプを繰り返すと,ペナルティをものともせず高速移動が可能だ。
 冷静に考えると少し妙な気もするが,見た目がウサギっぽくて笑えるし,あえて可能にしているのだろう。強敵との戦いでダメージを受けて動きが鈍くなったときも,それこそ「脱兎の如く」逃げられるわけだ。

「このマクレガーめが!」厄介な敵を口汚く罵るスタンプ
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 また,探索型アクションとしての楽しさも本格的だ。軌道エレベーターの内部は入り組んだ構造になっており,隔壁によって通路が閉ざされてる場所もある。全体マップを確認しながら,怪しいエリアを重点的に探っていくと隠し通路が見つかることがあり,このジャンルおなじみの探索する楽しさを味わえる。
 一見,行き止まりのような場所でもアイテムを見つけたり,マシンを強化してから戻ると新たな展開があったりするといった具合だ。

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 そしてゲームの区切りとなるポイントでは,巨大なボスとのバトルが待っている。今回,筆者が対峙したのは人間が残した工作機械「錆キリン」だ。

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 当初は大きなスキが見つからず,なかなか攻めあぐねてしまったが,多少のダメージは覚悟して射撃を続けると錆キリンがスタン!(頭上で星が回っている) このチャンスタイムに大ダメージを与えることに成功した。

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 もう少しで倒せるかも……といったことろで試遊は終了となったが,出合い頭の戸惑いと,後半に訪れたチャンスタイムとのメリハリが心地いい。ボスバトルも本作の大きな魅力と言えるだろう。

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 試遊後,虚淵氏と齊藤氏への合同インタビューが行われた。その模様を以下にまとめておこう。

(左から)虚淵氏,齊藤氏
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──スタンプの声が黒田崇矢さんというのがニクイですね! どんなキャラクターなのかが一発で伝わってきます。

齊藤祐一郎氏(以下,齊藤氏):
 見た目はキュート,中身はハードボイルドということで(笑)。キャストに関しては虚淵さんとも相談したのですが,スタンプという主人公は「中身が一番フォーカスされるべきキャラだろう」という話になりました。
 優しさがありつつも,頑固でニヒル。そこに黒田さんがハマるんじゃないかと。幸い,快諾をいただけたので,あとは黒田さんと掛け合いの演技をしたときに面白さが出そうな演者さん,速水 奨さんやファイルーズあいさん,小林ゆうさんたちにオファーしていきました。

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──そもそも主人公はなぜウサギなのでしょうか。

虚淵 玄氏(以下,虚淵氏):
 僕が趣味的にUnityで作っていたプロトタイプがあるのですが,さらにその大元にあるのはmightyさんという原型師が作った造形作品なんです。ジャンクパーツを組み合わせたロボットに,シルバニアファミリーの人形を乗せたもので,それがえらく気に入って。いつしか「これにストーリーをつけてゲームにしたい」と思うようになったんです。

齊藤氏:
 プロトタイプの時点である程度シナリオがあって,スタンプのキャラクター性は完成された状態でしたね。

──世界観のこだわりについてお聞かせください。

虚淵氏:
 まずコンセプトとして,愚痴っぽいおじいさんの話を作りたかったんです。彼の厭世観を世界にリンクさせていて,自分では「もう終わっている」と感じている人の見る世界ということで,廃墟を舞台にしているんです。
 お話もちょっと哀愁が漂うんですけど,それをちょっと中和する感じでギャグや脱力ネタを加えています。

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──BB団との対比によって,スタンプとお互いを引き立て合うような?

虚淵氏:
 実は原案にBB団はいなくて,それぞれゲームシステムのアナウンスをするような役割として追加されたキャラなんです。それをこちらで書いているうちに,今のようなギャグ集団になりました(笑)。

──謎めいた冒険の舞台,遺跡も興味深いです。

虚淵氏:
 シナリオ書きの習い性とでもいうか,書いているうちに筆が乗って背景世界を作り込んでしまうんですね。ウサギたちは滅びた人間たちのことを理解しているわけじゃなくて。「昔デカいのが闊歩していたらしい」くらいのことしか知らないんです。
 で,遺跡を掘っていく中でいろいろ分かっていくことがある。そこが物語の裏のテーマにも関わってきます。ひとつタネ明かしをすると,ウサギたちがしゃべっている言語は英語だったりします。だから,遺跡内の文章を「読めてしまう」んですね。

 また,作中にちょくちょく出てくる「マクレガー」という言葉は,神なるウサギに仇なした生き物で「みだりに口に出すと罰が当たるぞ」と教わる冒涜的な存在です。

齊藤氏:
 それにふさわしい絵もちゃんと用意してあります(笑)。

──読者にメッセージをお願いします。

虚淵氏:
 自分のキャリアの出発点はテキストアドベンチャーゲームですが,当時からコントローラを握って遊ぶようなゲームを作るのは本当に憧れだったんです。それが今やツールの発展により,プロトタイプを一人で作ることができ,それをちゃんとゲーム会社さんに製品にしていただける夢のような時代になりました。
 そんな虚淵 玄の新境地,お楽しみいただければ幸いです。

齊藤氏:
 僕らとしては,虚淵 玄という希代のクリエイターと一緒に制作できたことが本当に光栄です。お約束もありながら,予想や期待を心地いい形で裏切っていく。
 そんな虚淵作品らしさはもちろん,NetEase Gamesらしさも出そうと心がけて作っています。これからリリースに向けてどんどん磨き上げて,面白いゲームをお届けいたします。

──ありがとうございました。

最後は等身大(?)スタンプといっしょに記念撮影
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