インタビュー
[インタビュー]ガンダム好きの輪が広がり,いつしかコラボの話に――「CoD: MW3」×「機動戦士ガンダム」コラボ,経緯を開発チームに聞いた
今回のコラボレーションでは,「RX-78-2 ガンダム」「MS-06S ザクII」「XVX-016 ガンダム・エアリアル」をモチーフにしたオペレータースキンや,コスメティックアイテムを同梱したバンドルが順次販売されるほか,日本時間6月6日から6月20日までの期間限定で,「機動戦士ガンダム」をテーマにしたゲーム内イベント「機動戦士ガンダム レジェンズ」が実施されている。
異色とも言えるコラボレーションはどんな経緯で実施される運びとなったのか。「CoD: MW3」開発の主軸を担うSledgehammer Gamesへの,国内ゲームメディア合同によるインタビューで話を聞いてきたので,その内容をお届けする。また,実装されたばかりの新マップ「Tokyo」についても聞いたので,あわせてチェックしてほしい。
え! お前もガンダム好きなの!?
――「CoD」と「機動戦士ガンダム」,異色ともいえるコラボに非常に驚きを感じています。どのようなきっかけで実現に至ったのでしょうか。
Jon Riva氏(Content Art Director,以下,Riva氏):
Sledgehammer Gamesにも「機動戦士ガンダム」のファンは多くて,ガンダムの話題で会話をしていると誰かが輪に加わってくるんです。「え,お前もガンダム好きなの!?」といった感じでね(笑)。
我々はクリエイターですが,同時に1人の等身大の人間でもあります。素晴らしいコンテンツである「機動戦士ガンダム」のファンになることは,とても自然なことなんです。
そして「コラボしたいね」というスタートから,「コラボできそう!」という場所まで辿り着いたわけですが,一見,相まみえることはなさそうな2つのIPを「どのように融合させるか。CoDに落とし込むか」という過程は,非常に挑戦的なものでした。最終的にはとても良いものを送り出せたと感じています。
――今回のコラボで,プレイヤーに注目してほしいポイントを教えてください。
Riva氏:
“CoDの世界”へ,出来る限りの“本物を感じさせるガンダム”を落とし込みました。この点は,ぜひプレイヤーの皆さんへお伝えしたいですね。「CoD: MW3」の戦闘システムに,モビルスーツ同士のハイスピードな戦闘のインスピレーションが,綺麗に溶け込んでいると自負しています。双方のシリーズのファンに,喜んでもらえるコラボではないでしょうか。
――コラボのスキンを制作するにあたり,とくにこだわった点はどのようなポイントですか。
Riva氏:
「ガンダムらしさを具現化しつつ,CoDの世界観に落とし込んだプロダクト」を,ユーザーの皆さんにお届けすることです。人間より遥かに大きなサイズのモビルスーツを,人間サイズにするわけですから,作業は非常に困難でした。同時にもっとも重点的に取り組んだことの1つでもあります。もちろん,モビルスーツのスキンだけでなく,バンドルに含まれる武器の設計図も,ガンダム側との協議や検討を重ね,パッケージとしての品質を追求しました。
――「RX-78-2 ガンダム」「MS-06S ザクII」「XVX-016 ガンダム・エアリアル」の3機がコラボスキンとして登場しますが,この3機をセレクトした理由を教えてください。
Riva氏:
この3機は,人気,知名度という点を考慮しつつ,ガンダムのIPホルダーとの話し合いを通じて選出しました。たくさんの候補がありましたが,バラエティに富みつつ,コラボの全体的な趣旨に沿った3機を選んだつもりです。初期に定めたコンセプトが明確であったので,コンセプトアートから3Dにモデリングする過程などは,非常に容易な作業でした。
――コラボスキンをパイロット(キャラクター)ではなく,モビルスーツをモチーフとした理由を聞かせてください。
Riva氏:
こちらも主にIPホルダーとの話し合いを通じて決まったものです。パートナーであるガンダム側とのコミュニケーションは非常にスムーズで,「CoD: MW3」はさまざまな要素が入ったコンテンツであり,その中で,一目でインパクトを与え,ガンダムと認識してもらうためには,モビルスーツが最適だろうという判断でした。
モビルスーツとパイロット,どちらが良い悪いという話ではありませんが,最終的にはコラボレーションの全体的なテーマに沿った,素晴らしい,奇跡的なものができたと確信しています。
――コラボの発表はサプライズで,日本国内でも大きな話題になりました。日本をはじめ,北米などのプレイヤーからは,どのようなフィードバックが届いていますか。
Riva氏:
全体的にポジティブに受け止められていると思います。CoDのコミュニティは多様性に富んでいますし,ファンの数だけ背景がありますからね。
そのため,どのコラボレーションでも作品に対して敬意を持って,“IPらしさ・本物らしさ”を追求しつつ,時間を掛けて,CoDの世界観に落とし込んでいます。だからこそ,ファンはワクワクしてくれて,ポジティブな反応を示してくれるのではないでしょうか。
――日本時間6月6日から,ゲーム内イベント「機動戦士ガンダム レジェンズ」が開催されると伺っていますが,これはどのようなものになるのでしょうか。
Riva氏:
ここでは秘密です。実装を楽しみにしていてください(笑)。
「機動戦士ガンダム」とのコラボレーションですから,我々としても大いに盛り上げたいですし,“お祭り”にしたいんです。イベントを通じてガンダムを知らないCoDのファンにも,「お,これはなんだ?」という感じで新しい発見をしてもらいたいですし,もともとのファンにも純粋に楽しんでもらいたい。スキンを含め,すべてが一体になったイベントになっているので,我々の熱意,思いが伝わるとうれしいです。
日本を舞台にしたマップ,そして「Tokyo」だからできたこと
――マップ「Tokyo」は,どのような経緯で開発されたのでしょうか。
Bradley Dorn氏(Level Designer,以下,Dorn氏):
日本をベースとなるマップを制作することが決定した際,真っ先に惹かれたのが東京でした。密度のある都会,かつ,日本特有の観光名所もありますから。
レベルデザイン的な観点から言及すると,マップ自体のレイアウトはシンプルなものにして,ロケーションを明確にし,「〇〇に敵がいる!」「△△でスナイパーが陣取ってる!」など,戦略上のコミュニケーションを行いやすくしました。
BMatthew Bein氏(Lead Environment Artist,以下,Bein氏):
Bradleyが「東京マップをやろう!」と言った瞬間,アーティスト全員が「おお!」と沸いたんです。夜間マップということもあり,ネオンサインを使った都会らしさを演出するなど,ビジュアル面でも大きな差別化を図っています。非常に“キャラクター性”の強いマップなんです。
そのうえで,本マップは孤島のような存在ではなく,東京という大都会の一部であり,地続きの存在であるという雰囲気作りに注力しました。
――「Tokyo」マップを制作するにあたり,どのような工夫を凝らしましたか。
Dorn氏:
制作にあたり真っ先に考えたのは,「東京という都市は,全世界の中でもトップクラスの“文化のホットスポット”である」ということです。マップの全体的な流れを作るにあたっては,渋谷,新宿といった地区から,とくに影響を受けました。外観だけでなく,実際に東京の道を歩いていると実感してもらうことがとくに重要なんです。
Bein氏:
美術面でも,東京は世界から愛されている街であり,視覚的にもワクワクできるものを制作できるテーマだと考えました。我々のアートチームのメンバーに好きな資料を見せてもらい(Bein氏いわく,1つのマップには3〜4名のアーティストが関わるそうだ),「自分の好きな東京」をピックアップしてもらったんです。特定の地区を再現するのではなく,東京が持つ雰囲気,空気を感じさせるマップを制作することが重要でした。
――戦闘面でのコンセプトを教えてください。
Dorn氏:
特定の戦術をメインにしたデザインではなく,戦術の多様性を楽しめるデザインをコンセプトにしました。「Tokyo」は俯瞰で見ると,2レーンを主体とするマップ構造になっています。メインストリートの向かい合う2棟の建物は,スナイパーを配置しやすい作りにしており,高所(ビル)から周囲を監視するスナイパーという趣です。
もう1つのレーンは密集地帯で,近接戦闘(CQC)を楽しめる作りになっています。この2レーンは重なり合う部分もあり,マップ全体を通してさまざまなプレイスタイルを容易に行えるのが開発の目標でした。
――「Tokyo」を夜間マップにした理由はなぜですか。
Bein氏:
「CoD: MW3」が競技性の伴うシューター作品である以上,視認性という問題は,常につきまとう問題です。そのため,どうしても日中のマップになることが多いのですが,ネオンサインや電光掲示板の照明が多く,夜間でも迷子にならない東京は,夜間マップを制作するにあたり,うってつけのチャンスでした。
夜間マップが追加されることによって,マッププール全体にも幅が生まれますし,プレイヤーにとっても刺激になると考えています。
――それでは最後に,日本のプレイヤー,ファンへのメッセージをお願いします。
Riva氏:
「Call of Duty」に「機動戦士ガンダム」がオーバーテイクしてくるということで,すごくワクワクしています。ガンダムを好きな開発陣が,ガンダムを大切にして制作に取り組んだコラボレーションなので,皆さんにプレイしていただいて,喜んでもらい,新たな発見をしてもらえればうれしいです。我々,開発陣も,心から実装を楽しみにしています。
Bein氏:
「Tokyo」マップの制作は,本当に楽しいものでした。マップ開発シーンにおいても,非常にユニークなものでしたし,これまでのマップ制作と比較しても,アーティスト全員がワクワクしていたと言えます。開発チームに日本文化のファンが多いなか,このようなマップを作れたことがうれしかったです。
Dorn氏:
実は私の生まれは青森県の三沢なんです。そのため,ずっと個人的に日本へ興味があり,日本を題材にしたマップを作ることが決まった時は,金脈を掘り当てたかのようなうれしさがありました。
実際に東京を歩いているかのような空気を目指し,時間,努力を惜しまず,チーム一丸で制作したマップです。日本のプレイヤーの皆さんに楽しんでいただけることを祈っています。
――ありがとうございました。
「Call of Duty: Modern Warfare III」公式サイト
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- ライター:夏上シキ