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印刷2023/12/11 19:00

プレイレポート

[プレイレポ]「Call of Duty: Modern Warfare III」は自由度が増した不変的な撃ち合いを楽しめる。だが,隠せない粗は少なくない

 2023年11月10日にActivision Blizzardより発売された「Call of Duty: Modern Warfare III」PC / PS5 / Xbox Series X|S / PS4 / Xbox One。以下,「CoD: MW3」)は,言わずと知れたFPSタイトルの金字塔「Call of Duty」シリーズの最新作だ。立ち位置としては,2022年に発売された「Call of Duty: Modern Warfare II」(以下,「CoD: MW2」)の続編となる。

 発売からおよそ1か月経過し,世間での評価も徐々に固まりつつある本作。本稿では製品版をある程度遊んだ段階でのマルチプレイやキャンペーンモードの感想をお届けしたい。

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「Call of Duty: Modern Warfare III」公式サイト



不変的な撃ち合いを楽しめる。やっぱりCoDのマルチは面白い!


 まずシンプルな感想を伝えると,「CoD: MW3」のマルチプレイは“いつものCoD”であり,過去のシリーズ作品から変わらない良さを楽しめるものに仕上がっている。

 確かに前作「CoD: MW2」よりキャラクターコントロールの要素が増えたことで,プレイヤーには技術が要求されるようになり,体力も1.5倍の150となり平均的なキルタイムは増加している。また,新しい武器も追加され,装備周りのシステムも変化が与えられた。

 しかし変化は与えられても,これらの要素はゲームチェンジャーに至らない。細かい部分の変更点に賛否両論は出ているが,本質的には変わらないCoDの撃ち合い,マルチプレイを楽しめる作品となっている。

変わらない良さがあるCoDのマルチプレイ。超能力を発揮したり,いきなり宇宙人が乱入してきたりするようなことはない
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大きな部分に変化はないものの,改善点や追加・復活要素は多い


 本作のマルチプレイにおける改善点や追加・復活要素についてまとめていきたい。
 本作のマップは,2009年に発売された「コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア 2」に収録された16マップが現代の技術でリマスターされている。過去作のプレイヤーには懐かしく,ポジショニングを今でも覚えている人も多いことだろう。

 また,クイックプレイにマップ投票機能が追加されたのも素晴らしい改善点だ。ランダムに選ばれた2つのマップからプレイしたいほうを投票で選ぶ機能だが,人気マップは交戦頻度が高いものが多く,撃ち合いをより楽しめるマップが選択されやすくなっている。

爆発物で吹き飛ぶ筆者。つないだ命で味方が地点を確保してくれると「ワァ……!」と愉快な気分になる
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 キャラクターコントロールについては,スライディングキャンセル,リロードキャンセルといった要素が復活し,さらに「タクティカルスタンス」という,ヒップファイアとADSの中間となる新たな照準方法も追加された。

 これらの要素により前作から全体的な操作難度は上がっているし,初心者と上級者の技術の差が開くようになったのは事実だ。ただ,アクションの幅が増えたことは悪いことばかりではなく,うまく決まったときの“してやったり感”は前作よりも上がっており,個人的には問題なく受け入れられるものだった。

 しかし,タクティカルスタンスについては現状,あまり存在意義が感じられなかった。構える見た目はクールだが,ヒップファイアかADSで事足りてしまうことが多い印象だ。

タクティカルスタンス。使う機会は正直……あまりなかった
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 銃撃戦周りでの大きな変化としては,「サプレッサーを装着していない銃を発砲した場合,敵のレーダーに射撃位置が一定時間表示される」――いわゆる赤点が復活している。この要素については,プレイヤーも意識しているのか,サプレッサーを装着し,赤点を表示させないようにしている人が多かった。

システムに合わせているのだろうか。デメリットがないサプレッサーが追加されている
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 武器以外の装備品周りも大幅に変更され,前作の「基本PERK2個・ボーナスPERK1個・アルティメットPERK1個」から,本作では「ベスト」(ボディーアーマー)と「グローブ」「ブーツ」「ギア」を組み合わせるシステムになった。ベストには汎用性が高いものから個性が強いものまで揃っており,装備するベストによって,全体のロードアウト構成に大きな影響を与える。プレイヤーによって好みが出るもので,いろいろと試してみたくなる要素だ。

ベストにはそれぞれ固有の特殊効果がある
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リーサルを2つ所持できるデモリッションベストとグレネードランチャーのコンビネーション。爆発物マシマシのプレイを楽しめる
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 撃ち合いに大きな影響を与えた体力増加にも触れておきたい。体力が前作から1.5倍の150になったことで,より「弾をヒットさせる」ことに意識を割く必要が生まれたのは間違いない。平均的なキルタイムは増加しており,「やられた!」という時でもひょっこり生存していたりするし,「やったわ」と思った瞬間にも逃げられたりする。

 撃ち合いに長けた熟練者にとって有利に働く要素であり,この調整も大きく賛否が分かれるところではあるが,つまるところプレイヤーの好みという話に落ち着きそうだ。ただ,スナイパーライフルやショットガンといった,ワンショットキルが可能なウェポンの存在感は増している。

この程度の距離から連射系武器で撃ち合うと,お互いに生き残ることもしばしば
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 各種ウェポンに「アフターマーケットパーツ」と呼ばれる専用アタッチメント(一部汎用のものもある)が追加されたのも面白い。これは「ハンドガンをカービン化する」「使用弾薬や性能を変化させる」といったものだが,前作でも似ている要素は登場しているため,完全に目新しいものではないことを断っておく。

アサルトライフル「MCW」のコンバージョンキット。5.56 NATOでなく.300 ブラックアウトを使用するようになり,性能も変化
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 また,武器のレベルを上げると,対応するアタッチメントパーツが追加されるのは前作同様だが,本作からは「武器庫チャレンジ」という新たなシステムが導入された。これは1日おきに更新される,デイリーチャレンジをクリアすることで解除が進んでいくもので(解除に必要なチャレンジの数はアイテムによって異なる),この武器庫チャレンジでしか得られない強力なアタッチメントも存在する。ぜひ解放に挑戦しよう。

 アタッチメントだけでなく,先に紹介した「ベスト」「グローブ」「ブーツ」「ギア」といったものから,一部の武器,リーサル装備,タクティカル装備,フィールドアップグレード,キルストリークといったものまで,武器庫チャレンジでしかアンロックできないアイテムも多く存在する。

 アカウントレベルや武器レベルを上げるだけで,これらのアイテムをほぼ入手できた前作と比較すると少し手間が増えたように感じるが,さっさとレベルを上げきったら後は惰性でプレイするだけ,という部分にメスを入れたとも捉えてよさそうだ。

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 「Call of Duty: Warzone」の“DMZモード”をベースにしたゾンビモードは,ストーリー仕立ての内容で,広大なオープンワールドマップの中で任務をこなしていくスタイルとなった。

 筆者はマルチをメインに遊んでいるので,まだガッツリと触れられていないのだが,スクワッド同士での連携はもちろん,ほかのスクアッドとの突発的な共闘が生まれるなど,完全なPvEモードだからこその楽しみが味わえた。気の合うフレンドとプレイすれば,一層楽しくなること間違いない。

前作に引き続き,モブキャラスキンが用意されていた! 筆者はすごく安心しました
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新たな要素が取り入れられたキャンペーン。だが,すごく“モヤモヤ”する


 メインコンテンツの1つであるキャンペーンにも触れておこう。
 本作では,前作のストーリーを引き継ぎつつ,超国家主義者のウラジミール・マカロフに対抗すべく奮闘するタスクフォース141の姿が描かれる。ストーリーの詳細は省くが,ハリウッド的な導入とヒロイズムを感じさせる展開が期待感を煽り,おなじみの“ガンシップ”による支援も登場する。

 日本語字幕がちょっとおかしいのは気になったが(表示されるタイミングのズレ,誤字などが目立った),ゲームの進行に支障をきたすレベルではない。

宿敵再び
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 キャンペーンモードには本作からの追加要素として,「交戦自由型ミッション」が登場している。

 このミッションは「オープンワールドのマップに単独で突入,探索し,ミッションを達成する」というものだ。過去作のキャンペーンモードは基本的に一本道だったが,「プレイヤーに自由度のある体験を提供する」という意思が見て取れた。

 ただ,これが筆者にはイマイチ刺さらなかった。もちろん,この要素を気に入ったプレイヤーもいるだろうが,多くのプレイヤーがCoDのキャンペーンに求めているものではないと思う。

 加えて,敵ユニットのAIがそこまで賢くないのか,遠距離からひたすらチクチクする,または火力でゴリ押すことが,大抵の場面で正解になってしまっていたのも遊びの幅を狭めていた。

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 筆者が考えるCoDのキャンペーンは,ゲームゆえのフィクションと,手に汗握る現実感を絶妙に織り交ぜた“特殊部隊ごっこ”であり,ワンマンアーミーで敵を蹂躙する,ランボーやジョン・ウィックのような体験は求めていなかった。

 そしてネタバレになってしまうので割愛するが,ストーリーの終わり方も「え? ここで終わるの?」という幕切れで,全体的にモヤモヤとした感情を抱いた。

物語終盤に登場するCTSFO。自身と敵だけではなく,こうした“名もなき戦士”が戦場の雰囲気を作ってくれているのだ……と感じられる一幕
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ぶっちゃけ「CoD: MW3」は買いか?


 良くも悪くもCoDらしい,不変で安定感のあるマルチプレイシューターを楽しみたいなら,答えは「YES」だ。「キャラコンを楽しみつつ,マルチでガンガン撃ち合いたい」というプレイヤーにはうってつけの作品だろう。

 全体的に優等生な出来で,過去作品のいいところを集めたような仕上がりと言っていい。多少のバグは見受けられるが,徐々に改善されているし,これも「ローンチCoDあるある」と言ってしまえばそれまでだ。

 その一方で,ゾンビを含むマルチプレイとキャンペーンに,プレイヤーが約1万円という大金をポンと払えるか(通常版が税込9800円,各種特典が付属する秘蔵版は税込1万3390円)と言われると難しいところだ。昨今は無料で楽しめるFPSが多くあり,消費者の財布の紐が堅くなっていることもある。

 ただし,12月7日にシーズン1が始まり,新マップ4種や新武器,新キルストリークの追加,2vs.2の「ガンファイト」,「オール・オア・ナッシング」の復刻,マルチの「ランクプレイ」の開幕など,さまざまな遊びがアップデートにより登場している。

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 世間的な評判を見るとスタートダッシュに失敗してしまった印象を受ける「CoD: MW3」だが,シーズン1の大幅なアップデート内容は好印象で,今後のシーズンでも新しい遊びが追加されるだろう。継続的な運営により,しっかりと「CoD: MW3」という作品が構築されていくことに期待したい。

「CoD: MW3」シーズン1アナウンス


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