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  • 発売日:2024/02/02
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印刷2023/08/23 16:00

プレイレポート

[gamescom]「ペルソナ3 リロード」最速プレイ。ビジュアルと演出の向上で,より深く描かれる世界観と人物描写に注目だ

 2024年2月2日の発売が予定されているアトラスのRPG「ペルソナ3 リロード」は,2006年7月13日に発売された「ペルソナ3」のフルリメイク作品だ。“P3R”こと本作の世界初となる試遊出展が,本日(2023年8月23日)開幕した「gamescom 2023」にて行われている。
 先行してプレイする機会を得たので,本稿でそのインプレッションをお届けしよう。

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「ペルソナ3 リロード」公式サイト

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 アトラスの新作「ペルソナ3 リロード」は,ペルソナチーム(P-STUDIO)がどのような考えをもって「ペルソナ3」に向き合って制作されたのか。RPGファン,そしてペルソナシリーズファンの多くにとってビッグニュースとなったP3フルリメイク作品について,開発のキーマン3名に話を聞いた。

[2023/06/16 08:00]


ビジュアルと演出の向上によってさらに深く,緻密に描かれる,ダークな世界観と登場人物の心境


 gamescom 2023では,2つの試遊版が用意されている。1つは制限時間15分の間,ダンジョン「タルタロス」の探索や敵とのバトルを楽しめる「New Moon」,もう1つは,ボス「プリーステス」とのバトルと一連のイベントを体験できる「Full Moon」だ。

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 「New Moon」を始めてまず目を引いたのは,現在の技術で立体的に,美しく,そして不気味に作り上げられたタルタロスのエントランスだ。雰囲気はオリジナル版そのままながら,抱いていた印象よりも抜け感のある広々とした空間となっており,穏やかでない場所なはずなのだが,冒険の拠点や仲間が集う場としての妙な安心感があった。

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 自動生成されるタルタロスのダンジョンは,こちらもエントランスと同じく,オリジナル版の空気感は守られながら再構築されていた。床や壁のデザイン,窓から差し込む影時間の月明りといったそれらはオリジナルの雰囲気そのままだ。
 一方,壁には複雑に動く歯車や底が見えない吹き抜けといった新たな風景描写があり,オリジナル版にはなかった視覚的な刺激もたくさんある。

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 上の階へと進む階段を見つけるため,ときに敵(シャドウ)と戦い,宝箱があればアイテムをゲットしながら通路や部屋を探索する。薄暗くて視界の悪い,狭い通路を進むところも変わらないが,意外と高い天井もあってか,窮屈さは感じない。人ひとりが通れるくらいの狭まった通路があると思ったら,近づくと壁が動いて開けた道になるといった演出もあり,それらがさらに探索のワクワクや緊張感を与えてくれる。

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 アクションにダッシュが加わったことで,サクサク移動や探索を進められるのが嬉しい。ただ,シャドウに見つかりやすくなるので,使用する際(とくに心もとないレベルのときなど)は細心の注意を払いたいところ。
 また,新しく加わったものに,破壊できるオブジェクトがある。これは剣で斬りつけると,換金アイテムなどが手に入るというもの。なにも入手できない場合もあるが,見つけるとなんとなく壊したくなる,探索の一つのアクセントとなりそうだ。

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 視点(カメラ距離)はデフォルト(記事内で使用している画像の視点)と寄りの2種類があり,探索中に1ボタン操作で簡単に切り替えられる。カメラ距離はそこまで大きく変わらないものの,寄りにしたときの臨場感はなかなかのもの。そのぶん見える範囲が狭まるので,シャドウの不意打ちも受けやすくなるが,個人的にはその緊張感も込みで寄りの視点を推したいと思う。

特定のエリアでは「ゲートキーパー」がその道を阻む。同じ階層の通常敵よりレベルが高く,手ごわいスキルを使用してくるので,心して掛かろう
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 オリジナル版では,パーティメンバーが個別で階段や宝箱を探す「散開」というコマンドがあったが,今回の試遊では確認できなかった。フロアのあちこちを駆けまわったり,一人で敵と戦っていたりする仲間を眺めるのが好きだった(筆者のような)人は少し寂しいかもしれないが,ダッシュでサクサク移動できるぶん,探索効率に大きな影響はなさそうだ。なお,「散開」に代わるシステムもあるそうで,今後発表されるであろう詳細な情報を待ちたいところ。

 ほかにも,探索中にパーティメンバーの会話が始まったり,1ボタンでナビ役の仲間と会話できたりといった要素があり,未知なる空間を仲間とともに突き進んでいる感覚を味わえた。「陰鬱としたダンジョンを一人黙々と探索するのはちょっとコワい……」と言う人も安心してタルタロスに挑戦できるかもしれない。

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 コマンドバトルは,防御はBボタン,攻撃はAボタンといったように行動が各ボタンに振り分けられた,「ペルソナ5」以降おなじみとなったダイレクトコマンド形式となり,より直感的でテンポのいいものとなった。

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オリジナル同様,ダンジョン探索時に敵シンボルを剣で斬りつけることで先制攻撃を仕掛けられる。逆に不利な体勢で敵に触れると先手を取られるところも変わらずだ
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 敵味方の属性相性を確認し,弱点を突くことで有利に戦闘を進めるという,アトラスRPGの定番と言える戦い方は健在だ。基本的な属性はオリジナルと変わらないが,スキルは新たなものが加わっているようで,今回の試遊では光属性のダメージを与えるスキル「コウハ」が確認できた。
 オリジナルでは光と闇は即死スキルしかなく,特定の仲間がボス戦などにパーティ入りさせにくいということがあったが,その仲間が光/闇のダメージ攻撃スキルを覚えることになれば,その問題も解決することになる。現時点で覚えるかどうかは分からないが,パーティメンバーのあの子やこの子のファンは朗報を待とう。

各属性は,「ペルソナ5」のようにアイコン表示も可能
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 弱点を突いてダウン状態にすると1MOREとなって再度行動が可能となり,さらに敵全員をダウンさせると強力な全体攻撃「総攻撃」が発生するのも変わらない。

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 さらに「シフト」という新コマンドが追加されたことで,戦術性も高まった印象だ。「シフト」は,1MOREの行動をほかの仲間に託すという「ペルソナ5」のバトンタッチに似たコマンドで,これによって1ターンでの全敵ダウンを狙いやすくなった。

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もちろん,逆に敵から弱点を突かれると一気にピンチになるというシビアさも変わらず持ち合わせている
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 総攻撃でのフィニッシュなど,特定の条件でバトルに勝利することで,新しいペルソナやお金,経験値などのボーナスが得られる「シャッフルタイム」も健在だ。といっても,オリジナル版のように裏返しでシャッフルされたものからカードを選ぶモノではなく,プレイヤー自身で選択できる仕組みになっていた。

プレイヤー自身がいまほしいものを選択できるので,キャラ育成などが効率よく進められそう。オリジナルではシャッフルのランダム性を生かしたトラップがあったが,あの“アンラッキーな要素”は果たしてどうなっているのだろうか
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 そして,とても興味深く楽しめたのが,より多彩になったバトル時の演出だ。通常の攻撃やスキルはもちろん,クリティカル発生時のペルソナ召喚,総攻撃フィニッシュ時に挿入されるイラストといったカットインがひたすらカッコいい。

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 個人的に気になっていたものに総攻撃の演出があったのだが,これも絶妙な仕上がりとなっていた。
 ボコスカと煙を立てて敵を一掃するという,漫画のようなオリジナル版の演出は,「頭身が変わったらあの感じでは難しいだろうな」と思っていたのだが,順平が尻もちを着く感じも,わりと自然にあのままで再現されていたのだ。
 今回確認できたのは主人公,岳羽ゆかり,伊織順平の3人だけだが,どれもダークかつクールで,ペルソナ3が持つ独特の雰囲気のある演出でゾクゾクするものがあった。ほかの仲間の演出やカットインがどうなっているのかとても気になるところだ。

個人的なお気に入りが,通常のバトル終了時のカット。敵との戦いを終え,またタルタロス探索へと歩みを進める仕草がとても自然でクールだった
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 ここから紹介する「Full Moon」は,ストーリーのネタバレも含まれているので,読み進める際は注意してほしい。
 「Full Moon」は,主人公,ゆかり,順平の3人が,桐条美鶴の指示を受けながらモノレールに乗り込むシーンで始まる。このモノレールは巨大なシャドウに乗っ取られており,3人は内部の探索を始めるのだが,突如として動き出したモノレールを止めるために先頭車両に向かい,大型シャドウ「プリーステス」とのボス戦に挑むことになる。

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 このプリーステス戦,バトル開始時にモノレールを止めるまでの制限時間が表示されるのだが,オリジナル版では5分(実際のプレイ時間的には8分ほど)だったのが,P3Rはなんと30分になっていた。
 最初は「あれ,余裕あるじゃん。クリアしやすいよう簡単にしたのかな?」と思ったが,ペルソナがそんなヤワなはずがなかった。数ターン進んだところでプリーステスがひと吠え,ふた吠えし,それによってモノレールの速度がアップして残り時間が一気に減ったのだ。

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 ゲームプレイ時間的にはオリジナル版と変わらないと思うが,このちょっとした工夫によって生まれる緊張感とプレイへの影響力は大きかった。
 「30分? それなら余裕余裕」と出だしでけっこう呑気していたところに,残り時間が一気に減ったことで焦燥感が襲い掛かり,冷静な判断ができない状態に。そして「えっ,こんなに強かったっけ?」というくらいに固く,強力な全体攻撃を放つプリーステスに大苦戦し,時間内に倒すことができなかった。
 最近のペルソナシリーズは細かな難度設定があるため,気軽に遊べるものも用意されているとは思うが,コアなアトラスRPGファンが満足できる難度があることは身に沁みて感じられた。

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 最後に伝えたいのが,ストーリーや人物描写について。ネタバレを避けるため詳しくは記載しないが,モノレールでのイベントシーンの会話や物語の流れはほとんど変わらない。さらにその場で起きている出来事や登場人物の心境などを,キャラクターたちの豊かな動きや表情,そして美麗なグラフィックスをとおしてより緻密に描き出されている印象だ。
 とくに「Full Moon」で取り上げられている場面では,その行動や言動が淡泊で素っ気ないようにも映っていた順平の心境が丁寧に表現されているのが,オリジナル版からのP3ファンとしてはうれしいものがあった。スピンオフ作品や劇場版アニメなどで深掘りされた登場人物たちの人間性が,あらためて本流であるゲームで描かれるという感じがあってグッとくるものもある。

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オリジナル版だと,ただの自分勝手にも映りがちだった順平。個人的にシンパシーを感じるキャラだけに,丁寧な人物描写によってその彼が報われたようでうれしかった
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そしてゆかり推しとしては,モノレールに乗り込む際にゆかりっちが先に行こうとするシーンが必見であることも伝えておきたい

 プレイできた範囲は序盤のほんの少しで,時間としては両方合わせて30分程度だが,まだまだ確認できていないこと,伝えられないこともたくさんある。
 そのなかで一つ挙げるとすれば,本日(8月23日)発表されたとおり,“完全新リファイン”(+新曲追加)された楽曲に注目していてほしい。新ボーカルの高橋あず美さん,新録のラップを聴かせてくれるLotus Juiceさんのボイスが乗ったP3R楽曲は,オリジナル版とは違った新たな魅力を打ち出してくれそうだ。

 いまからおよそ1か月後,日本では東京ゲームショウ2023が開催される。ここで新情報の発表があるのか? そしてgamescom 2023のように試遊の機会が設けられるのか? ペルソナシリーズファンや本作が気になる人は,このあたりも期待しつつP3Rの今後の展開を楽しみに待とう。

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