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「信長の野望 出陣」完成発表会をレポート。十三代目 市川團十郎白猿さんとシブサワ・コウ氏が互いの織田信長の人物像について熱く語った
発表会では,8月31日のリリース予定をはじめとしたゲーム情報の紹介に加えて,シリーズの生みの親でありゼネラルプロデューサーを務めるシブサワ・コウ(襟川陽一)氏,歌舞伎座「若き日の信長」などで織田信長を演じてきた十三代目 市川團十郎白猿さんによる対談も披露された。
位置情報ゲーム「信長の野望 出陣」,8月31日にサービスを開始。App StoreとGoogle Playでの事前登録も可能に
コーエーテクモゲームスは2023年8月24日,スマホ向け新作アプリ「信長の野望 出陣」の配信日が8月31日に決定したことを発表した。さらに,App StoreとGoogle Playでの事前登録受付もスタートしている。本作は,今年40周年を迎えた歴史シミュレーション「信長の野望」シリーズの新作となる“戦国ウォークゲーム”だ。
ステージ上で実施されたゲーム紹介に加えて,対談によるトークコーナーの模様を本稿でお届けしよう。
戦国時代にドップリ浸かって全国津々浦々の名所も知れる新たな位置情報ゲーム
まず,発表会のステージ上には,コーエーテクモゲームスの代表取締役社長を務める鯉沼久史氏が登壇。「信長の野望」の1作目が1983年に発売されてから,シリーズ累計出荷本数が1000万本以上を突破していることに言及しつつ,2023年にシリーズ40周年の節目を迎えたことを語った。
続いて開発プロデューサーの菊地啓介氏が登壇し,ゲーム概要を紹介した。「信長の野望 出陣」は,武将を集めて采配を振るう,内政で国を豊かにする,戦いによって領地を広げていく,といったゲームサイクルを持つ,位置情報ゲームだ。
これらのゲームサイクル,とくに領地の拡大はプレイヤーが歩くことによって進行し,ゲーム内フィールドには現実の位置に即した建築物のみならず,武将,農民,町人,商人が出現する。移動中に戦国時代を思い起こさせるNPCが登場することによって,あたかも戦国の世を歩いているかのような体験ができるのだという。
ゲーム内のフィールドは,現実の1丁目や2丁目といった単位で区切られ,1つ1つの区画に拠点があり,プレイヤー自身の部隊で拠点を攻略すると,その区画が自らの領地となる。また歩いて行けないような場所には,配下の武将を遠征させて拠点を攻略することも可能だ。
日本全国は十数万の区画に分かれているため,トッププレイヤーでも全国を制覇するには何年もかかる計算となっているという。菊地氏は,天下統一は大目標として,普段は「千代田区を制覇する」「東京都の60%ほどを領地にする」など,身近な目標を達成することを楽しんでほしいと語った。
武将については,ガチャの要素である登用だけではなく,フィールドの武将に話しかけて友好度を上げることでも,配下に加えることが可能だという。フィールドにも地域性があり,関東地方なら里見義堯,九州地方なら大友宗麟といったように,場所によって出現する武将が異なるそうだ。
また本作のユニークな点として,現実で喫茶店がある位置には,ゲーム内で「茶室」が出現することがあり,プレイヤーがどの地域にいても,全国の武将とランダムで出会えるとのこと。ほかにも期間限定のゲーム内イベントのクリア報酬として,武将を配下に加えることが可能だという。
なお喫茶店がない地域に住んでいる場合には,ゲーム内の「案内状」というアイテムを使うことで,全国の武将を招く「茶会」を開けるため,そこで居住地域にゆかりがない武将と出会えるそうだ。
内政に関しては,各区画の1つ1つに水田や訓練所などの内政施設が用意されており,それぞれのレベルを上げることで生産される兵糧が増えたり,合戦における部隊の能力が強化されたりするので,積み重ねることでプレイヤーの国全体が強くなっていく。
「民の忠誠度」という要素もあり,プレイヤーが自らの足で領地を歩いたり,内政施設の武将から寄せられた要望を叶えたりすることで忠誠度が上昇していくとのこと。さらに施設を育てるとゲーム内のグラフィックスも豪華になっていくため,日常生活で同じ場所を何度も通るとしても,その変化が見られて歩きがいのあるゲームとなっているようだ。
最後に菊地氏からは,随時開催されるイベントの内容も語られた。特定の戦いにフォーカスした「列伝イベント」が登場し,特定条件を満たしたり,武将を指揮して強敵と戦ったりする要素があるとのこと。リリース初期には桶狭間の戦いを題材としたイベントが予定されており,今川義元に挑戦できるそうだ。
サービス開始後のアップデート次第で,現実の駅や公園にゲーム内で城を配置して,そこをプレイヤー同士で取り合う「攻城戦」というイベントの開催予定もあるとのこと。
このほかに本作では,歴史や地理を楽しめる資料要素も充実している。日本城郭協会が定めた「日本100名城」の城を訪れるごとにゲーム内の図鑑が埋まり,一部の城では「名城武将」として,真田幸村や加藤清正などを入手できるようだ。
城以外でも,歴史に関する名所が2000件以上も実装されており,「名所録」という図鑑に各地の情報をコレクションできるとのこと。
さらにプレイヤーが歩いた歩数をカウントし,ゲーム内のフィールドとは別に用意された専用の図上で,歩数分を日本橋から三条大橋まで進んで東海道五十三次の踏破を疑似体験できる「歴史紀行」という機能があり,そこでは各宿場街の歴史を読みながら図面を埋めていくことが可能だという。
市川團十郎白猿さんとシブサワ・コウ氏が抱くそれぞれの織田信長像
まず「信長の野望」1作目が発売された当時のことを,市川團十郎白猿さんは「5歳でしたね。父がファミコンを購入してくれました」と述懐。そして「父が信長の野望をずっとやっていまして,私は7歳ぐらいで初めてプレイしました。しかし登用が難しすぎて心折れるという(笑)」と言葉を続けた。
また当時の歴史への関心については「初代 團十郎が武田の方々の血筋を引いているのではないかという話もありましたので,そういうところから歴史をかじり出すような幼少期でした」と答えた。
そして織田信長を演じることに話題が移り,市川團十郎白猿さんは「祖父である11代目 市川團十郎は,どうも生き様が信長に似ていると思われていたようで,大佛次郎先生が祖父と作った若き日の信長という演目があります」と語っていく。
信長の人物像については「どの時代に生きているかによって切り取り方が変わってくると思いますね。祖父の時代の信長像,父の時代の信長像,私の時代の信長像は,今いっしょに生きているこの時代の方々と感じ方が違うんですよね。ですから,そういったことにピントを合わせる作業を心がけています」と意識している部分を交えてコメント。
そのうえで市川團十郎白猿さんは「泣かぬなら泣くまで待とうホトトギス,泣かぬなら泣かしてしまえホトトギス,泣かぬなら殺してしまえホトトギス。やっぱり一番最後が響いてしまったんですね」と幼少期に受けた印象を明かした。
ほかにも「信長はちゃんと計算していながらも,俺は計算なんかしてないよ,と言ってのけるところが男のロマンというか,そういうものを子供のときに感じたのではないでしょうか」と過去を振り返った。
一方,シブサワ氏は信長の人間性を「とにかく強烈なリーダーシップで,自分がやりたいことをやり通した。権威,今までのルール,伝統といったものをすべて無視して,奔放に自分の感情を出しながら突き進んでいった風雲児」と言い表した。
その後,話題が一転し,シリーズが40周年を迎えたということで,シブサワ氏が長年にわたって作品を作り続ける体制について言及。シブサワ氏は「(開発スタッフが)新しく作りたい“野望”を持って,そのプロジェクトチームに参加してきます」と述べ,そこから作品への創意工夫が生まれるのだとした。またシブサワ氏は,「お客様からの要望にお応えすることも。それから時代によって新しい技術がどんどん登場して,それをゲームの中に活かしていって,今までできなかったことを可能にしていく」とプレイヤーや時代に応じた作り方も重要だと語る。
シブサワ氏による話題から作品へのトークが深まっていく中,本シリーズがなぜ「信長の野望」と銘打たれたのか語られる場面も。シブサワ氏は「豊臣秀吉も徳川家康も大願成就しましたが,信長は途中で非業の死ですから。ゲームプレイヤーとして信長の夢を叶えるゲームにしようと作ったのが,最初の信長の野望ですね」と穏やかな口調ながらも,熱弁を振るった。
そしてシブサワ氏は,信長の魅力について内政と戦略の面から「誰もやらないことをやってきた,楽市・楽座もそうですし。それから街道を整備することによって軍勢を機動的に動かすことができるようになり,一番早く先頭に着くことができるようになった」と評価した。
信長にまつわるトークを終えた後には「自身が戦国武将だとすると,自分に一番近いのは誰だと思うか?」というテーマに入り,市川團十郎白猿さんは「分からないですね(笑)」と,にべもなく一言。
続いてシブサワ氏は「信長と申し上げたいのですが,信長ほどの強烈なリーダーシップはないので」と答えつつ,自身がプロジェクトチームと一体になってゲームを制作してきた経験から「チームワークというのでしょうか。そういうほうが私の性に合っているので,武田信玄的な,人は石垣,人は城,そういったイメージですね」と続けた。
対談の終わり際には,シブサワ氏が本作のターゲット層について「すべての皆様に楽しんでいただきたいです」と前置いたうえで,歴史に馴染みがない人でも本作を通じて,名所や城跡を知ることができると話した。
そして発表会の最後には「信長の野望」にかけて,両名とも今後の野望を語ることに。市川團十郎白猿さんは「つぎの作品には初代團十郎を出していただくことを野望として語っておきたいなと。よろしくお願いします」と,にこやかに語った。
対するシブサワ氏は「積極的に検討いたします」と笑顔で応じ,自身の野望については「私はいつでも新しい面白いゲームをもっともっと作っていくことを,これからも引き続き実現していきたいと思います」と語り,発表会を締めくくった。
領地拡大以外にも位置情報ゲームとマッチした要素が盛りだくさん!
発表会の後,神田明神ホール前の空間(ホワイエ)にて,実機による試遊コーナーが設けられ,持ち歩けないことからゲーム内の移動ができないものの,ゲーム開始直後のチュートリアルを体験できるようになっていた。
チュートリアルでは,敵武将との戦闘,内政施設の獲得,名所の発見といった機能を確認することができた。戦闘は部隊を配置後に自動で進むシンプルな内容となっており,戦法のオート発動も実装されていた。
名所に関しては,発表会の会場となった神田明神をゲーム内で発見でき,その由来や所在地などが記された図鑑機能のほか,東海道五十三次の踏破を疑似的に体験可能な「歴史紀行」の画面を見ることもできた。
ちなみにチュートリアルで出会う,はつほというキャラクターから,織田信長が発した「天下布武」の「武」が「歩」となった「天下布歩」という言葉を耳にする場面があり,その四文字を旗印に主人公は歩いて天下を統一していくことになるようだ。
今回の発表会は,世界でもっとも多く信長を演じているといっても過言ではない市川團十郎白猿さんと,世界でもっとも多く信長をゲーム上で表現してきたシブサワ・コウ氏が対談を繰り広げる貴重な場となっていた。
この発表会の終了後,各スマートフォンの「信長の野望 出陣」ダウンロードページ,公式X(旧Twitter)フォロー,LINEの公式アカウント友達追加,メールアドレス登録といった方法による事前登録の受付が開始されているので,気になる人はぜひチェックしてみよう。
「信長の野望 出陣」ダウンロードページ
「信長の野望 出陣」ダウンロードページ
「信長の野望 出陣」公式サイト
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