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[プレイレポ]「マリーのアトリエ Remake」を今こそプレイ! 追加イベで壮年騎士にキュン!? キャラ深掘りで好感爆上がり
コーエーテクモゲームスが展開する「アトリエ」シリーズ1作目の発売から26年の時を経て,リメイクされ2023年7月13日に発売された「マリーのアトリエ Remake 〜ザールブルグの錬金術士〜」(PC / PlayStation 5 / Nintendo Switch / PlayStation 4)。本作は,錬金術士のタマゴである少女マルローネ(通称,マリー)が,アカデミーの卒業試験に向けて奔走する日々を描くRPGです。リメイク版では,キャラクターの魅力やシステムの面白さはそのままに,さまざまなアレンジで遊びやすく進化しています。さらに,新規イベントが追加されたことで,ストーリーもより深みが増しました。
本稿では,オリジナル版からのファンである筆者が,みっちりプレイして感じた本作の推しどころをご紹介します。なお,重大なネタバレは避けていますが,一部のイベントストーリーに触れていますのでご注意ください。
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[プレイレポ]シリーズの原点が遊びやすくなって帰ってきた!「マリーのアトリエ Remake」がオリジナルからどう変わったのか
落ちこぼれ錬金術士マリーの運命はプレイヤーの采配次第。未来に向けて1日1日を大切に過ごしていく「マリーのアトリエ Remake 〜ザールブルグの錬金術士」がリメイクされて遊びやすくなった。7月13日の発売を控えた本作が,オリジナル版からどう変わったのか,プレイレポートでお届けしよう。
「マリーのアトリエ」とは?
1997年にPlayStation用ソフトとして発売された「マリーのアトリエ 〜ザールブルグの錬金術士〜」は,錬金術によるアイテム作りと冒険を味わえる,当時としては斬新な切り口で話題となったRPGです。
元気な女の子が主人公であることや,世界を救うといった大それたテーマではなく,彼女の日常の奮闘記というテーマも,当時のゲーマーたちには新鮮に映りました。
主人公のマリーは,王立魔術学校に通う落第スレスレの生徒……。そんなマリーを見かねたイングリド先生は,特別措置として彼女に錬金術の工房を貸し与え,「一人で店を切り盛りしながら,5年の間に先生を納得させられるアイテムを完成させるように」と,卒業試験までの課題を与えます。
プレイヤーはマリーとなり,自由に5年間を過ごすことになりますが,どんな体験をしたかによってマリーの未来も変わってくるマルチエンディングとなっています。
ちなみに「マリーのアトリエ Remake」では,この5年間の期限がない「無期限モード」が選べるようになっています。
追加イベントでキャラクターがもっと好きになる!
まさかのダークホースも!?
「マリーのアトリエ Remake」では,主要キャラクターたちのイベントが追加されています。筆者は,オリジナル版を体験済みで本作をプレイしていますが,この新イベントにより見方が少し変わったキャラクターもいたりして,それだけでもプレイしてよかったなと実感しました。さっそくですが,キャラクターの紹介とともに必見の新イベントを見ていきましょう。
【王室騎士隊長 エンデルク】
シグザール王国王室騎士隊長のエンデルクは,寡黙な人柄で,表情を大きく変えることもありません。ですが,新イベントではそんな彼が口角を少し上げてにやりとする場面があるのです。そのきっかけは山に棲むという火竜の噂話で,エンデルクはいつか対決したいと血をたぎらせていました。また,その前後の会話からは,彼は強さを求めて止まない,戦闘狂にも思える一面を持っていることもうかがえます。オリジナル版からある,火竜と対峙して高揚するエンデルクのイベントを補足しつつ,彼の内面も垣間見える新イベントでした。
【深紅の女剣士 キルエリッヒ】
冒険者として街に滞在するキルエリッヒ(通称,キリー)は,気高い薔薇のような女剣士。新イベントではキリーの生い立ちが明らかになっていくのですが,彼女が人間嫌いになったのも,なるほどなと思えるものでした。実は,オリジナル版プレイ当時は彼女の取る行動が少し唐突に思えていたんです。それが新イベントでしっかりフォローされていたので,キリーの心情にも感情移入できたし,彼女からの言葉にもジーンときてしまいました。【嫌味な後輩 クライス】
クライスはアカデミーの首席ですが,鼻持ちならない態度をとる青年。マリーのことも事あるごとに小馬鹿にしてきます。しかし,嫌味な発言の端々でアドバイスをしてくれていたり,ほかの生徒がマリーの陰口を言うと怒ってくれたり……。まあ,面と向かって素直になれないだけなんですよね。クライスは新イベントに限らず,街での一言セリフにも,マリーを意識している節がありありと見て取れます。そう裏打ちされていたからこそ,彼がマリーに「ありがとう」と言葉にするイベントとスチルは,もう,エモくて最高でした。なんて顔をするんだい,クライスよ……。もっとこの先の,大人になった彼も見てみたいとも思えました。
【駆け出し冒険者 ルーウェン】
ルーウェンは,マリーが最初に出会う冒険者。明るく人懐っこい性格で,腹を立てたり,誰かを恨んだりすることとは縁遠い人物です。新イベントでは,陽の人かつ聖属性な部分がよりクッキリと描かれていました。ルーウェンのそういった人となりは,街での一言や依頼達成時のセリフにも滲み出ていて,いつの間にか自分の心に彼がスルッと入り込んでいました。ズルいなあと思いつつも,彼の幸せを願わずにはいられなくなりますね。とはいえ,ルーウェンはきっといつでも,どんな場所でも幸せを見つけられるんだろうなあ……。
【お人良しの元騎士 ハレッシュ】
ハレッシュは腕の立つ冒険者。それもそのはず,元は王室騎士団所属の騎士であり,受勲の経歴もあるほど。見た目のイメージ通り豪快かつ脳筋,「曲がったことが大嫌い」な性格の好青年でもあります。新イベントでは彼が騎士団を抜けて冒険者になったいきさつや,酒場の看板娘,フレアへの恋心にもスポットが当てられます。ハレッシュの心優しさを知るほどに,フレアとの恋がうまくいくように応援したくなっちゃいました。
余談ですが,本作は恋愛ゲームではないので,マリーが全員とイイ感じになるわけではないんですよね。そこも自然に思えて,あらためていい塩梅の作品だなあと実感しました。
【ナイスミドルの退役騎士 クーゲル】
騎士団での任期を終えてから,冒険者に転向したクーゲル。落ち着きある朗らかな老練の戦士ですが,彼にも長年抱えている悩みがありました。その悩みを錬金術で解決するなどして打ち解けていくと,彼が十分な能力を有しながらも「聖騎士」にならなかった理由が分かります。それは,彼が一生背負っていく出来事の告白でもありました。ちなみに,聖騎士はいわば騎士団の中のエリートで,強いことはもちろん,作法なども心得ている必要があるとか。それゆえに酒場で相席することになったマリーのエスコートも完璧!
正直,オリジナル版でのクーゲルはオジサン冒険者という印象しかなかったのですが,これら新イベントで彼の渋みや,紳士たる側面を知ったことで,思わずときめいてしまいました。しかも,冬にはクーゲルがネコを膝の上に乗せていたという目撃情報もあったりして……。クーゲルへの好感度,天井知らず。
本当にクーゲルはいい肉付けをされたなと思います。これまでのイメージを180度変えたりしているのでなく,知らなかった部分が掘り起こされたという感じですね。
【盗賊団の頭領 シュワルベ】
シュワルベは盗賊団を率いて,弱い冒険者をカモにしていました。しかし,マリーによって盗賊団が壊滅させられると,冒険者として再出発することに。彼の新イベントでは,散り散りになった手下たちに胸を痛めている様子や,騎士団を嫌う背景が明らかになっていきます。オリジナル版プレイ当時から薄々は気づいていましたが,シュワルベは根っからの悪人ではないし,むしろ真面目な性格だったと再認識しました。そもそも自分を負かした小娘マリーを訪ねていって,「冒険者始めました」と挨拶するなんて,律儀すぎますよね。そういう部分が盗賊団の皆に慕われていたんだろうなとも思います。
【自由を愛する少女 ナタリエ】
とある事件で出会った冒険者,ナタリエ。新イベントでは,若さゆえに冒険者として信頼してもらえないという壁にぶち当たっていました。それでも,持ち前の切り替えの早さで乗り越えていく姿を見せてくれます。そんな彼女の前向きさに,なんだか元気をわけてもらった気分になりました。【南国育ちの天然娘 ミュー】
ミューは,南国から来た冒険者。食べることが大好きで,新イベントでは大食い勝負での強さを見せつけていました。また,マリーを元気づけるためにおいしい料理を差し入れてくれたりと友達思いなところも。そばにいてくれたらホッとする子だなと,あらためて彼女の魅力に気づくことができました。嘘だろ……? これと,これと,
このキャラが同じ声優さんだなんて
「マリーのアトリエ Remake」のキャラクターボイスは,オリジナル版のものがそのまま使われていますが,26年を経ても色あせることのないキャスト陣の演技は,注目すべきポイントの1つ。しかも,複数の役を兼ねている人もいるんですよね。
耳の肥えたプレイヤーさんでも,キャラクタープロフィールのCVを見ればきっと驚くはず。筆者は,「は!? 親友のシアとイングリド先生とミューと妖精さんの声が全部,大沢つむぎさんだなんて信じないぞ。プロすげえ」と驚愕していました。
さらに,キャストがアドリブを入れたり,ノリノリな部分もあったりして,演技を楽しんでらっしゃるのが伝わってきました。
欲を言えば,新イベントも新録のボイスがついていれば……とも思いましたが,さすがに26年という年月を考えれば難しい部分もあったかと想像できます。むしろ,既存のイベントだけでもちゃんとボイスが聞けてよかった。
これもあらためて思ったことですが,ボイスからは当時(1990年代),あるいは1980年あたりのアニメの香りが感じられるんですよね。当時らしい発声というのでしょうか,2020年代のアニメにはない質感かなと。それが古臭く感じないのもまた,キャストの演技の賜物なのかもしれません。
スケジュール詰め詰めでも,
のびのびでも楽しい錬金術士ライフ
突然ですが,旅行の計画を立てたり,スケジュール帳を見たりするのって案外楽しかったりしませんか? 「マリーのアトリエ」も,そういったスケジュール管理が楽しくなってくるゲームシステムなんです。
先述のように,卒業試験には5年という期限があるわけですが,それとは別に,酒場や冒険者たちから「いついつまでに,このアイテムが欲しい」という依頼を受けたりします。期日以内に渡せればいいのですが,うっかりしていて材料が足りなくなり,間に合わないなんてこともありました。報酬額が減るというペナルティはまだしも,お気に入りのキャラクターをガッカリさせてしまったのが悔しくて……。
そこで強力な味方となってくれるのが,妖精さんたち。彼らを雇えば,マリーに代わって採取や調合などの作業をしてくれます。妖精さんたちの作業ペースや,残りの材料,さらには街で行われる年間行事なども予定に組み込みつつ,スケジュールを考えていくと何だかアドレナリンが湧き出すような感覚になります。
もし「やること多いかな,全部できるかな?」と思った人もご安心を。依頼を受けるかどうか,仕事量は自分の裁量で決められますし,「マリーのアトリエ Remake」では依頼の品に必要な材料が揃っているかどうかが画面右下に表示されるので,基本的にはそこを見て材料を揃え,錬金釜にブチ込めばいいだけなのです。
「マリーのアトリエ」はシリーズの元祖だけあって,調合の仕組みは非常にシンプル。例えば,材料を採ってきて栄養剤を作る,さらにその栄養剤を材料にして傷薬を作る……といった,段階を踏みながらどんどんすごいアイテムを作っていくわけですね。これもまたハマる要素で,プレイヤーさんは皆,とにかく新しいアイテムを作りたい欲に駆られる時期があるのではと思います。
ただ,ここで気を付けたいのがマリーの疲労度。アトリエにこもって調合ばかりしていると疲労が蓄積され,調合の成功率が落ちてしまうんです。疲労はベッドで休むか,冒険に出かけるなど調合以外のことをして過ごすと少しずつ減っていきます。
が,プレイヤーとして燃え上がる調合欲を止めることなどできません。筆者の場合は,疲労を減らす「祝福の聖水」を買ってきてガブ飲みします。しかも年に1度のセールの日を狙って大量購入して,ストックしておきます。現代の私たちに置き換えるなら,エナジードリンクでしょうか。そう考えると,ちょっとマリーに申し訳なくなってきました。
実際,5年間の期限がある通常モードでも,そんなに根を詰めて調合する必要はないんですよね。「マリーのアトリエ Remake」で追加された無期限モードならなおさらのこと。ちょっと疲労が溜まったら,気晴らしに外に出かけたりと,気ままに過ごせるっていいですよね。
キャラクター育成が楽しくなるバトル
マリーは材料を集めるために,山や洞窟などに足を運ぶことになりますが,そこで魔物と遭遇することも。一応,マリーは普通の女の子なので,戦い慣れた冒険者たちを雇って同行してもらうわけですね。彼らは戦うたびに経験値を得てレベルアップし,能力がどんどん高まっていきます。その過程で新しい必殺技を覚えたりと,育てる楽しみもあります。
ちなみに冒険者だけでなく,マリーの親友である令嬢,シアも冒険に誘うことができます。もともと病弱ということもあり,彼女の攻撃は頼りないものですが,それも最初だけ。根気強くレベルアップを重ねれば,ザコなら一撃で倒せるほどのパワーを身につけてくれます。
調合アイテムの中には,キャラクターの攻撃力や防御力を底上げする薬もあるので,それをガンガン作って摂取してもらったりもしました。ちなみに,シアの育成はマリーの未来にも関わってきたり……? このシアのように,ちょっと違った角度から調合や冒険を楽しめる要素もあるんです。
ここまで「マリーのアトリエ」の経験者の視点から,本作の新たな魅力をお届けしてきましたが,オリジナル版を未プレイの方でも何の問題もなく遊べると思います。リメイクものでよくある,過去作を知っていればなお楽しめる……というようなこともなく,むしろ,最初からこの密度で遊べるなんてうらやましい限りです。
また,経験者は「あのミニゲームがちゃんと再現されている」とか,「アレンジされたBGMもいい」など,もう一度新鮮な気持ちで遊べるのではと思います。あらためてプレイしてよかったな,と思えた本作「マリーのアトリエ Remake」,おすすめです!
「マリーのアトリエ Remake 〜ザールブルグの錬金術士〜」公式サイト
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