プレイレポート
[プレイレポ]「牧場物語 Welcome!ワンダフルライフ」で紡ぐ,もう一つの人生――盛りだくさんの新要素により,さらに充実した牧場生活を体験できるSwitch向けリメイク作品
本作は,2003年9月に発売されたゲームキューブ用ソフト「牧場物語 ワンダフルライフ」のSwitch向けリメイク作品だ。牧場での新たな生活の始まりや,ともに人生を歩むパートナーとの出会い,子どもを迎えての家族団らん,そして別れといった,青年期から老年期までの牧場生活を体験できる。
リメイク版の新要素として追加された70種類以上のイベント,新しい住人や作物,思い出の写真を残せる「カメラ」などによって,さらに充実した牧場生活を体験できるようになっている。
「牧場物語 Welcome!ワンダフルライフ」公式サイト
わすれ谷での暮らしかた。はじめは,できることからコツコツと!
本作の舞台は,わすれ谷と呼ばれる山あいの集落だ。父の死をきっかけにこの地へやってきた主人公は,大自然に囲まれながら自身の牧場での生活を始める。全6章の章立てとなっており,青年期から晩年までのさまざまな出来事を体験しながら,“人生の物語”をプレイヤー自身が描いていく。
最初に行うことは,主人公の見た目と名前,性別の設定だ。顔のタイプは4種類,肌のタイプ5種類,瞳の色12種類ある。顔タイプの選択肢はやや少なめではあるものの,どのタイプも特徴的で可愛らしく,すぐに愛着がわくだろう。
次に,ファッションの設定。髪型15種類,髪色12種類,服装2種類から選ぶ。これらはあとから自室で変更可能なので,最初は気楽に選んでもいい。最後に名前を入力し,性別を「男性」「女性」「その他」から選択するとキャラメイクは完了だ。
わすれ谷で暮らし始めた主人公だが,右も左も分からない状態だ。まずは父の友人であり,寡黙で“背中で語る”といった感じのシブいおじさまであるタカクラから,牧場生活の指南を受けることになる。さらに,「1年のうちに人生のパートナーを見つけるべし」というアドバイス(指令?)も。動物小屋,鳥小屋,畑,住居など最低限の設備を譲り受け,いよいよ本格的な牧場生活がスタートする。
イヌも飼うことに。耳の立ったイヌと垂れたイヌのどちらかをお迎えするのだが,両方可愛くてとても悩む…… |
何かいるなと思ったら……コロボックル!? 彼らはいったい何者で,どのように牧場生活に関わってくるかも気になるところだ |
序盤にできることは限られているものの,畑仕事に動物の世話,集落の人たちとの交流など,覚えることはたくさんある。初めて牧場物語シリーズをプレイする人や久しぶりに遊ぶという人であれば,全ての要素をすぐに理解するのは難しいだろう。牧場での暮らしに慣れて生活のペースをつかむまで,決して焦らず,スローライフを満喫しつつ,できることを増やしていくといい。
まずは操作の習得も兼ねて,ウシの世話をして絞ったミルクと畑で育てたトマトで,生活の支えとなる酪農と農業の基本を覚えよう。
雌ウシからミルクをもらうわけだが,良質な畜産物を手に入れる方法は“愛情を込めて接すること”。操作自体はシンプルで難しくないが,そのぶん,いかに手をかけてあげるかが重要となるのだ。
エサをやり,ブラシをかけて清潔な体を保つことはもちろん,話しかけて健康状態を確認したり,ほおずりをしたりといった形で手をかけてあげると,絞ったミルクの品質が徐々に上がっていく。季節や世話の状態によってミルクの出方や品質が変わることにも注意が必要だ。天気のいい日には放牧することも忘れずに。
ほかにも,チーズやバターといった加工品向きのミルクを出すウシもいる。ウシ以外にもヤギやヒツジ,ウマ,トリなどさまざまな動物を飼育できるので,お金が貯まって動物の世話にも慣れたら,動物小屋を改築してさまざまな動物をお迎えしよう。
農業も,酪農と同じく“お世話”が大切。最初にもらった「かなりやせた土」と「まあまあこえた土」の2種類の畑で農作業に慣れていこう。
作物は大きく分けて,地上にできる果菜,地中にできる根菜,木にできる果樹があり,それぞれ育てるのに適した環境と季節が異なる。果樹は水やりをしなくても育つが,植えた場所の周囲8マスには作物を植えられなくなるので要注意。メニューのアイテム説明文で情報を確認し,どの畑で何の作物を育てるといいかを見極めよう。
クワで畑を耕し,種を撒き,苗を植え,必要であれば肥料も追加する。そして毎日,土の色を見て畑の状況を確かめながらじょうろで水を与えていく。ひとつひとつは大した手間ではないが,つねに畑の状態を気にかけ,こまめに手を入れなければ,作物を枯らしてしまうことになる。
また,作物によって種まきや収穫の時期が異なるため,育てるものの種類が増えてからの管理はなかなか大変になる。小さな畑のうちから,なるべく作物ごとの特徴を覚えることを心掛けておくといいだろう。
たくさんの利益を得るため,手っ取り早く牧場を拡張して,昼夜問わず作物を出荷しようとしてもそうはいかない。主人公には体力,活力,満腹度という3つのパラメータがあり,満腹度が下がって空腹になると活力も減り,さらに体力の減りも早くなる。無理をすると疲れやすくなって,結果的に身体が動かなくなるのだ。現実と同じく,決して無理せず,体力を回復するための睡眠,お腹を満たして活力を得る食事などはしっかりとろう。
資金があれば新たな農具や設備を導入して作業の効率を上げられるので,地道にお金を貯めながら牧場を大きくしていくといい。
資金が貯まったら新しい設備を導入しよう。今まで手作業だったことも,機械を入れることでだいぶラクになる | |
2章に入ると登場する謎の植物ツルタンと仲良くなると,作物の品種改良ができるようになる。珍しい作物で畑は賑やかに? |
個性的でユニークなわすれ谷の住人たちと交流し,さらに豊かな生活を!
わすれ谷での生活に欠かせないこと。それは,集落の住人たちとの交流だ。パートナー探しというミッション(?)もあるが,最初は谷のことを知るためにも,ひとまずあたりを歩きまわって,出会う住人と交流してみよう。
住人たちには親密度があり,プレゼントをあげたりすることで上がっていく。詳しくは後述するが,パートナーの対象になる「結婚候補」のキャラクターには「気になる度」というパラメータが設定されているので,気になる相手がいれば積極的にアプローチしよう。なお,人によって性格や好みに違いがあるので,プレゼントをあげる場合はそのあたりに注意してほしい。
効率の良い牧場仕事の順番。美しい野草の生えている場所。住人たちの生活のパターンと好みの食べ物。集落の真ん中にある広場ではいつでも露店が出せて,浜では釣りが楽しめる……。最初は右も左も分からなかったわすれ谷だが,牧場での生活だけではなく,集落での人と交流することでも徐々にいろいろなことが分かってくる。この,少しずつ集落になじんでその一員としてうまく暮らせるようになっていく感覚は,牧場物語ならではの特別なものだ。
わすれ谷にはパーロットの月,ペッパーの月,アンバーの月,インディゴの月という,現実世界の四季のような季節の移り変わりがある。
わすれ谷の暮らしを豊かに彩るエッセンスとなっているのが,季節によって開催されるさまざまなお祭りだ。暑いペッパーの季節に行われる花火大会や,実り豊かなアンバーの月のシュウカク祭など,それらのイベントは,住人たちとの交流の場であり,そして恋の始まりの大きなきっかけにもなる。
パートナーとして選べるキャラクターは,セピリア,ムームー,ナミ,ルミナ,マッシュ,ロック,グスタファ,そしてリメイク版で選択できるようになったゴーディを加えた8人だ。
父の死をきっかけにわすれ谷にやってきた主人公同様,住人それぞれにも重ねてきた人生やさまざまな事情がある。話を聞いたりデートをしたりして相手のことを知り,これからの人生を共にするパートナーを決めよう。絆を深めた相手とは性別を問わず家族になることができ,さらに結婚式も開かれるようになっている。わすれ谷での人生の一大イベントを,よりドラマチックに彩ってくれそうだ。
今回はパートナーとの出会いや交際が描かれる第1章「はじまりの章」までのプレイとなったが,この先にはともに人生を歩むパートナーとの生活や,家族に加わる子どもとの日々,子どもの成長,そして晩年という牧場生活の日々が続いていく。それらの日常風景や,70種類以上というイベントで描かれる人生の一場面のひとつひとつを,新たな道具「カメラ」で記録できるところも嬉しい。
楽しいこともちょっぴりビターなことも起こる,牧場での生活――温かな牧場生活を体験することで,平和で穏やかな日々の暮らしの尊さをあらためて感じられるところも,牧場物語シリーズの大きな魅力と言えるだろう。
20年経っても色褪せないオリジナル版の魅力はそのままに,より充実した牧場生活を体験できる本作で“もう一つの人生”を送り,シリーズの魅力に触れてみてはいかがだろうか。
「牧場物語 Welcome!ワンダフルライフ」公式サイト
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