［TGS2022］「Voice of Cards」シリーズの裏話が披露された番組レポート。本作は声優の本物の“噛み”が楽しめる!?

　東京ゲームショウ2022の3日め（2022年9月17日）に，スクウェア・エニックス公式配信で「Voice of Cards」シリーズの番組「TGS2022『Voice of Cards 囚われの魔物』発売記念！シリーズ3作品揃った今こそ大集合するしか！スペシャル」が配信された。

　本作は，1作め「Voice of Cards ドラゴンの島」，2作め「Voice of Cards できそこないの巫女」，そして先日9月13日に3作め「Voice of Cards 囚われの魔物」が発売されている。今回の番組では，これらのシリーズ制作での裏話がいくつか明かされたので紹介しよう。

番組では，ドラゴンの島に出演した声優の安元洋貴さん，クリエイティブディレクターのヨコオタロウ氏，エグセクティブ・プロデューサーの斎藤陽介氏，ミュージックディレクターの岡部啓一氏，キャラクターデザイナーの藤坂公彦氏，ディレクターの三村麻亜沙氏が登場

　さて，もともと3部作として制作が決まっていたという本シリーズだが，その特徴と言えば，ゲームのすべてがカードで表現され，“いい声”のGM（ゲームマスター）が語りかける形でストーリーが進む，斬新なシステムであることだ。そのシンプルさ故に，声の力をより大きく感じる作品でもある。
　そんな1作めは，番組でMCを担当している安元さん，2作めは速水 奨さんと，低音が特徴の男性声優がGMを担当している。3作めは一転して，「Nier:Automata」で2Bを演じた女性声優の石川由衣さんがGMを担当したことで，意外というか予想外だったというファンも多いだろう。
　これについてヨコオ氏は，1作めは王道なRPG，2作めはペアの物語であり，今作は“敵側の物語”が入っていて立場が逆転することもあって，（声優の）性別を変えるのもいいのではないかと考えたそうだ。

ゲームとしてはテーブルトークRPGに近いと話す斎藤氏。実際にGMが発する“いい声”の導きで物語は進んでいくのだが……速水さんの声が心地よくて，眠りに誘われるという感想もあったとか。分かる

　ところで，プレイした人はご存じだと思うが，本作に収録されているセリフには，セリフを噛んだものがそのまま収録されている。普通に考えれば撮り直しとなるはずだが，本作では友達とゲームを遊んでいる感覚がほしかったそうで，リアルな“噛み”を入れたかったという。ただ，それを担当声優に伝えると噛む演技になってしまうため，本当に噛んだものだけをOKテイクにしたのだとか。

番組中には速水さんと石川さんからのボイスメッセージも。速水さんは5〜6回の収録で最初と最後でテイストが違うことがあり，収録の間が空いたときにテンションを合わせるのが大変だったという。石川さんからは，やはり“噛み”に関する話題が。ヨコオ氏からの「いい噛みいただきました！」の声に喜んでいいのやらと複雑だったそうだ。なお，石川さんの咳払いもそのまま収録されているらしい

　「イラストと音楽」のコーナーでは，出演者が制作時の思い出などを語った。
　本作は最初に紹介したようにカードのゲームだが，アナログ感を大事にするためデザインに苦労したそうで，（カードの縁）に箔を付けたところ実際のカード風に見えるようになったという。

　アート的には作品ごとに違いを出しているらしく，1作めはファミコン世代，初めて出会った中世ファンタジーゲーム感を出してみたそうだ。続く2作めは，イメージ的にPS2世代で色を派手にしたとのこと。そして3作めは今風，例えば「Nier」シリーズのような，色がない感じがいいのかなと考えたという。なお，「君の眼にはNierがこんな風に見えるのか」というヨコオ氏からのツッコミがあった。


　続いては音楽について。岡部氏は，1作めの楽曲「竜を追いかけて」について，シリーズの最初ということもあり，王道ファンタジーを感じてもらいたくてケルトっぽいテイストにしたとのこと。なお，この曲を作ったのは3年前だったという。実は，これが最初に作った曲ではなく，2作めの曲が先だったそうだ。


　2作めの楽曲「戦士の血潮」について。こちらの楽曲はテーマ曲的なものではないが，ラテンを感じるサウンドにしてほしいというオーダーに応えて，タンゴ寄りの曲にしたという。


　3作めの楽曲「星を探す旅」は今作のテーマ曲になり，男と女のツインボーカル的なものとなっている。このオーダーが来たころからヨコオ氏はツインボーカルがブームだったそうで，ボーカルの掛け合いが好きっぽいなと思って瀬尾（祥太郎）氏が作っていたそうだ。なお，男性のボーカルは瀬尾氏が担当しているという。


　3作めからもう1曲「荒波に飛び込め」について。先ほどのテーマ曲は2作めのラテンテイストがあるが，こちらは1作めのファンタジー寄りでスケール感があるものにしているという。
　ヨコオ氏によれば，もともとカードゲームを部屋で遊んでいるというコンセプトなので，オーケストラのような派手な感じにはしないと話していたそうだが，ボスでは音の圧がほしかったので，この楽曲は落としどころとしてうまくいったとのことだ。


　本作はそれぞれのシリーズにつながりはないので，どこから遊んでも大丈夫な作品だ。現在は，過去作の30％セールなども行われているので，興味があればプレイしてみよう。なお三村氏から，マルチエンディングなのは1作めのみだという発言もあったので，その点は注意しよう。1作めにならって，探してしまうプレイヤーがいたのだとか。

「Voice of Cards 囚われの魔物」公式サイト

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