プレイレポート
[TGS2022]「ウルトラ怪獣モンスターファーム」プレイレポート&インタビュー。意外なコラボによって引き出された怪獣の可愛さは必見
本稿では,インプレッションをお伝えするとともに,本作のプロデューサーを務める又野健太郎氏へのインタビューをお届けしよう。
ファームでウルトラ怪獣を育てる。時折見せる可愛らしい仕草に注目
「ウルトラ怪獣モンスターファーム」は,国民的特撮作品「ウルトラマン」シリーズと,25周年を迎えた人気育成シミュレーションゲーム「モンスターファーム」のコラボタイトルだ。「モンスターファーム」および「モンスターファーム2」のゲームシステムをベースに,ゼットンやメトロン星人などのウルトラ怪獣を育てるゲームとなっている。
その顔ぶれは「ゴモラ」「バルタン星人」「ミクラス」「ベムスター」といった,筆者のような昭和生まれにもおなじみの怪獣たちに加え,平成ウルトラシリーズからは「ゴルザ」や「メルバ」などの怪獣が登場する。
ウルトラ怪獣を誕生させる方法はさまざま。「楽曲検索」では,任意のアーティストや楽曲名から,交通系ICカードなどのNFC対応製品からも再生が可能だ。そのほかにもウルトラディメンションカードのコードや,図鑑再生,ゲーム内の季節に応じて支給されるなどの方法で誕生する。今回のデモ版では,あらかじめ用意された10種類の中から育成したい怪獣を選択する形となっていた。
そして本作の目玉の1つとなる,「合成」で誕生するウルトラ怪獣は5体が確認できた。名前は「エレキングゴモラ」「ゴモラダダ」「ダダエレキング」「ゴルザレッドキング」「メトロンセブンガー」となっており,何と何を合成したか非常に分かりやすい。
今回体験できたのは,ウルトラ怪獣の育成,ノラ怪獣やライバルブリーダーとのイベントバトル,修行,そしてEグレードからDグレードへ昇給するための公式戦だ。怪獣にエサをやったり,修行をしたりと,怪獣を鍛えて公式戦に挑むという流れは,「モンスターファーム」または「モンスターファーム2」における最序盤のプレイとほぼ同じ。ファンであればとくに迷うことなく進めるだろう。
バトルに関してもGUTSを消費して戦い,相手との距離に応じて出せる技が変わるなどお馴染みのものとなっている。シリーズは初めてという人であっても,各要素がストーリーの流れに沿って登場し,シーンごとに何をすればいいのか逐一説明が入るので,画面の指示に従っているだけでどんなゲームか理解できるはず。
プレイして特徴的だと感じたのは,ウルトラ怪獣が見せる可愛い仕草だ。本来怪獣は巨大で怖い存在であり,その咆哮は敵を威嚇する。しかし本作では,プレイヤーたちのいる地面をのぞき込むなど,怪獣が時折可愛らしい仕草をするのだ。
そうした仕草を繰り返し見ているうちに,同じ咆哮や威嚇のポーズでも「これは喜んでいるのかな?」「バトルに勝って嬉しいのかな?」と思えてくるのである。これは従来のウルトラ怪獣を扱ったゲームではなかなか味わえなかった感覚なので,ぜひ多くのウルトラ怪獣ファンに体験してほしいところである。
またTGS 2022の2日めとなる9月16日20:00〜21:00には,バンダイナムコエンターテインメント公式YouTubeチャンネルにて,「ウルトラ怪獣モンスターファーム スペシャル生配信」(外部リンク)が行われる。驚きの最新情報も公開予定とのことなので,こちらも是非チェックしよう。
「モンスターファーム」と「ウルトラマン」,それぞれの魅力を生かしたタイトルに
最後に「ウルトラ怪獣モンスターファーム」プロデューサーの又野健太郎氏へのインタビューをお届けしよう。コラボ誕生の経緯や本作で注目してほしいポイントなどを聞いてみた。
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。さっそくですが,ウルトラ怪獣と「モンスターファーム」がコラボすることになった経緯を教えてください。
2021年で「ウルトラマン」が55周年を迎えることを耳にし,幅広い層に認知されている国民的な作品だと改めて考え,なにかゲーム化できないかと考えていました。
それと時を同じくして,私はNintendo Switchの「モンスターファーム2」をプレイしていました。ウルトラ怪獣とモンスターファーム,この2つを組み合わせれば面白いものが作れるんじゃないか……と思ったのがきっかけです。
4Gamer:
もともと「モンスターファーム」をプレイされていたんですね。
又野氏:
私自身はまさに「モンスターファーム」世代で,特に初代「モンスターファーム」と「モンスターファーム2」をめちゃくちゃプレイしていました。
コーエーテクモゲームスさんとバンダイナムコエンターテインメントは以前からお付き合いがありましたから,思い切って「『モンスターファーム』シリーズのコラボタイトルとして,ウルトラ怪獣を育成するタイトルを作ってみてはどうでしょうか」と,お声がけしたところ実現に至りました。
4Gamer:
ウルトラ怪獣を育てる「モンスターファーム」を考えついたのが,何よりすごいですよね。最初に聞いたとき,「それがあったか!」と思いました。
又野氏:
弊社のタイトルでも,作品同士がコラボしている例がいくつかあります。そうやってコラボすることで話題になったり,より多くのお客様に楽しんでいただけたりするきっかけを日々考えています。
初出の「Nintendo Direct mini ソフトメーカーラインナップ 2022.6.28」では,「本気か!?」みたいなコメントもありましたが(笑)。
4Gamer:
ウルトラマンが好きなら,やっぱりウルトラ怪獣を育ててみたいですよね。
又野氏:
そうなんです。ウルトラ怪獣は,作品の中ではウルトラマンと相対するいわゆる敵側の立ち位置にもかかわらず,愛着を持っている人が多いと感じたことも,企画の実現に寄与しています。
4Gamer:
ゲームのシステムについても教えてください。本作では,ウルトラ怪獣の新たな誕生手段として「NFC対応製品にタッチする」という仕組みがありますが,Switchとスマホ向けに移植された「モンスターファーム」にもあった「アーティストと楽曲を選択して誕生させる」という仕組みもそのまま残っています。こちらを残したことには,何かこだわりがあるのでしょうか。
又野氏:
楽曲再生は,「モンスターファーム」シリーズのファンの皆さんが抱いているイメージを損なわないように残そうと考えました。
NFC対応製品にタッチすることで,ウルトラ怪獣を誕生させる仕組みは,「モンスターファーム」でCDをアレコレ入れ替えてモンスターを誕生させていたという体験を,どうやったら今の時代に蘇らせられるかを考えた結果生まれたものです。
今であれば,交通系ICカードなら多くの皆さんが持っていますので,NFCを使うということは,比較的初期の段階から決めていました。
4Gamer:
早い段階からNFCの使用が決まっていたというのは意外でした。
又野氏:
初代「モンスターファーム」の当時って,友達から「あのCDからすごいモンスターが出るらしい」という情報を聞いて,レンタルCDショップにダッシュするみたいなことが楽しかったと思うんです。
そこで本作では,NFC対応製品にタッチした状況に応じて,誕生するウルトラ怪獣が異なるようにしました。
時刻など変動する数値がいくつかありますよね。そうやって生ずるタッチしたときの状況の違いに応じて,誕生するウルトラ怪獣が異なるという仕組みを採用しています。
また,どの状況でどの怪獣が生まれるかに関しては,何かしらのアルゴリズムに従っています。これは「こういう条件が整ったら,この怪獣が生まれるぞ!」という状況を作りたかったからです。「あのCD,探しに行くぞ!」みたいな状況に近いんじゃないかと。
4Gamer:
条件を探して攻略していくような楽しみ方もできると。
又野氏:
条件は結構複雑にしているので,今の時代であればSNSなどいろんな媒体を使い,プレイヤーの皆さん同士で情報の交換をしてほしいですね。「あの条件だと,これが生まれるのか」「アレ? 同じ条件のはずなのに,別の怪獣が生まれたぞ」といったやり取りの中で,どんどん正解に近づいていくような流れになると嬉しいですね。
4Gamer:
ネットワークを介して,皆で攻略していくような側面もあるわけですね。
又野氏:
CDの時代と違って,今は情報の伝播する速度が圧倒的に速いですよね。「このCDから,このモンスターが生まれる」なんて情報をSNSに投稿したら,あっと言う間に拡散してしまいます。本当に1日か2日で,「ほぼ最強!」みたいな怪獣の情報が世間に知れ渡ってしまいますから。そこで,条件は少し複雑にしたんです。
4Gamer:
先ほどデモ版をプレイしたときもいろいろなこだわりが感じられました。又野さんが特に注目してほしいというポイントを教えてください。
又野氏:
1つめにまず「ウルトラ怪獣を育成するゲーム」ということをすごく大切にしています。単なる怪獣ではなく,「ウルトラ怪獣とは,どういうものなのか」ということを,しっかり表現しようと心がけました。
たとえばウルトラ怪獣は,ものすごく大きいんですよね。「その大きな怪獣を育てるには,何が必要なのか」といったことは,開発を進める中ですごく考えました。
怪獣がプレイヤーたちのいる地面をのぞき込むシーンも,怪獣の大きさを伝える重要な表現です。人間よりも巨大な怪獣だからこそ,のぞき込んでウンウンと頷くような反応を見せてくれる。カメラのアングルも,そう見えるようなものにしています。
4Gamer:
なるほど。
又野氏:
2つめに,本作ならではの表現ですね。本作のウルトラ怪獣たちは,喜んでいるときにハートマークが出るんですよ。でも原作のゼットン,喜ぶ姿を見せていないですよね。そのように,本作だからこそできる表現,怒ったり悲しんだりといった原作にはない表現にこだわりを持って作りました。
4Gamer:
確かに,プレイしていて「ゴモラ,可愛いな」と思いました。ウルトラマンに登場するゴモラを見て「可愛い」なんて絶対思わないのに。
又野氏:
普通は,ゴモラは可愛いというよりも,怖いとか,強そうというイメージを持つ人のほうが多そうですよね。でも本作の世界だと,ゴモラがすごく可愛い。そこはすごく意識しました。
4Gamer:
あとは合成も大きなポイントですよね。
又野氏:
はい。「モンスターファーム」シリーズは,育成して合成して,育成して合成して……を繰り返して強くしていくという要素が強いゲームですから,それは大事にしたいと思ってました。
4Gamer:
200種以上のうち,合成のベースとなるウルトラ怪獣は約25種と発表されております。ウルトラマンシリーズの歴代タイトルから怪獣たちが満遍なく選ばれているのでしょうか。
又野氏:
満遍なくと言うよりは,より多くの皆さんが知っているウルトラ怪獣をチョイスしたいと考えました。そのため複数のシリーズやいろいろな媒体で登場してる怪獣,おそらく皆さんが一度は目にして印象に残っている怪獣を中心に,昭和ウルトラシリーズだけでなく,平成ウルトラシリーズからもピックアップしています。
4Gamer:
そうなると,親御さん世代も安心してプレイできるわけですね。
又野氏:
親御さんがお子さんに怪獣の情報を教えていたりする画を想像すると,ホンワカしますね。
4Gamer:
能力的には,合成種の怪獣のほうが高くなるのでしょうか。
又野氏:
合成種だから強いということではなく,育成した怪獣同士を合成すると能力が高くなります。
4Gamer:
あと,デモ版をプレイした流れが「モンスターファーム」そのままな印象を受けたのですが,この辺りは変えないように意識しているのでしょうか。
又野氏:
プレイしてもらうと分かるのですが,本作は「モンスターファーム」シリーズをリスペクトした作りになっているゲームです。初代「モンスターファーム」と「モンスターファーム2」をベースにウルトラ怪獣を落とし込み,「新しい『モンスターファーム』が出たときに,こういうのがあったら,ファンの皆さんが喜んでくださるんじゃないかな」という要素を加えています。
4Gamer:
最後に,本作に注目している人に向けてメッセージをお願いします。
又野氏:
本作は,ウルトラ怪獣と「モンスターファーム」のコラボタイトルとして開発を進めてきました。ウルトラ怪獣を知っている人はもちろん,そうでない方でも楽しめるゲームに仕上がっていますし,「モンスターファーム」をベースにした作りになっていますので,「モンスターファーム」シリーズのファンの皆さんにもぜひ本作に注目してほしいです。今後もまだまだ情報を出していきますので,ぜひチェックしてください。
4Gamer:
ありがとうございました。
「ウルトラ怪獣モンスターファーム」公式サイト
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ウルトラ怪獣モンスターファーム
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開発:コーエーテクモゲームス
モンスターファーム:(C)コーエーテクモゲームス All rights reserved.
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