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[TGS2022]「ONE PIECE ODYSSEY」のインプレッション&プロデューサーインタビューをお届け。麦わらの一味の冒険を綿密に描いたRPG
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印刷2022/09/15 10:00

プレイレポート

[TGS2022]「ONE PIECE ODYSSEY」のインプレッション&プロデューサーインタビューをお届け。麦わらの一味の冒険を綿密に描いたRPG

 2022年9月15日から9月18日まで,幕張メッセにて東京ゲームショウ2022が開催中だ。そのバンダイナムコエンターテインメントブースに,2022年内に発売予定の新作RPG「ONE PIECE ODYSSEY」PC / PS5 / PS4)が出展されている。

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 今回,ブースにも試遊されている本作のデモ版を遊ぶ機会を得たので,インプレッションをお届けしよう。また,記事の最後には本作のプロデューサー都築克明氏へのインタビューも掲載している。

 「ONE PIECE ODYSSEY」の舞台となるのは,周囲に嵐が吹き荒れ続け,古代の文献にも残る伝説の島「ワフルド」。航海の途中に大嵐に飲み込まれたことから,島に流れ着いた麦わらの一味は,ワフルドから脱出するため,冒険を繰り広げることになる。

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 デモ版では,ワフルドの探索やバトルといった,イントロダクションにあたる部分に触れることができた。島に流れ着いたルフィ,ウソップ,サンジ,ロビン,フランキーは,ナミが猛獣・デルコングに襲われているのを発見する。デルコングを倒して見事にナミを救出するまでが,デモ版の体験範囲となる。

 まずプレイして目を引いたのが,美麗なグラフィックスだ。生い茂る木々や大きな滝,個性豊かな動物といったワフルドを彩る自然が美しく描かれている。グラフィックスのテイストは,フォトリアル調の写実的な描写がありつつも,アニメらしさもあるデフォルメされた印象もあり,ONE PIECEの世界をリアルに描写しているという感じだ。

 空を見上げると,マンガやアニメでも見たONE PIECEっぽいまるまるとした雲が見られたり,ふと水辺に目をやると,セイウチ・マウンテンが遊泳する姿を確認できたりと歩くだけでもいろいろな発見があった。

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 島の探索は,一味が持つ固有のアクションを使いながら先へと進んでいく。デモ版では,足場のない場所をルフィの「ゴムゴムのロケット」で渡っていくアクションが体験できた。製品版では鉄をぶった切るゾロのアクションや,即興で橋を架けるフランキーの工事アクションなど,ほかの一味のアクションも使いこなしながら先に進んでいくようだ。

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 敵との戦闘は,ターン制のコマンドバトルで展開される。味方のターンでは,麦わらの一味の中から好きなキャラクターを選択し行動を決定していく。
 コマンドは,通常攻撃を繰り出す「こうげき」,TPを消費して固有のアクションを繰り出す「スキル」,アイテムを使用する「アイテム」の中から選択して戦っていく。ほかにも「作戦」メニューから控えのクルーとフロントメンバーを交代させることが可能だ。

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敵のアイコン下のゲージで,敵の行動順がいつ回ってくるかが分かるようになっている
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 各キャラクターには「パワー」「スピード」「テクニック」といった属性が設定されており,パワーはスピードに強く,スピードはテクニックに強く,テクニックはパワーに強いという三すくみの構造になっている。敵の属性に応じて有利な属性のクルーをぶつけていくことが,バトルを有利に進めていくカギだ。

 ここまでだと,オーソドックスなターン制RPGという感じだが,本作のバトルは「スクランブルエリアバトル」と呼ばれ,敵味方が複数のエリアに分かれて戦うのが最大の特徴となっている。
 スクランブルエリアバトルでは,敵味方がランダムな4つのエリアに振り分けられた状態でバトルがスタートする。同じエリアにいるか否かで,「たたかう」による通常攻撃の範囲や使用できるスキルに違いが出てくるのだ。

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 例えば,同じエリアの敵には「たたかう」や,近接スキルでの攻撃が可能だが,違うエリアにいる敵に対しては,遠距離スキルでしか攻撃できない。ただ,「たたかう」に関しては,同じエリアにいる敵をすべて倒した後は,別のエリアにいる敵を移動しながら攻撃することが可能だ。

 また,敵は同じエリアにいる味方を狙ってくることが多いため,エリア内に味方1,敵3というような状態では,必然的に集中放火を受けることになる。こういった場合は,別のエリアにいるキャラクターによる遠距離攻撃で囲まれた味方を援護したり,敵を全滅させたエリアの味方を移動させたりして,ターゲットを分散させるなどの工夫が重要になってくるのだ。

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 戦闘中には「ドラマティック・シーン」と呼ばれるミッションが勃発し,クリアすることで,ボーナス経験値が獲得できるようになっている。これを積極的にこなすことで戦闘を有利に進められる。

 デモ版はボスのデルコングを倒し,ナミ&ゾロと合流したタイミングで終了となった。ゲーム序盤の麦わらの一味たちは,さすがにかなり強く,雑魚はほぼ一撃。ボスであるデルコングにさえも特に苦戦することなく,圧倒的な実力差で進めていけた。

 公式サイトの情報によれば,この後麦わらの一味はリムという能力によって,力を奪われてしまうらしいが,ワフルドではどんな冒険が繰り広げられるのか。続きが気になるところだ。

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 最後に「ONE PIECE ODYSSEY」プロデューサーの都築克明氏へのインタビューをお届けしよう。本作開発の経緯やONE PIECEの世界をRPGに落とし込むうえでの過程やこだわりなどを聞いている。

4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。まず「ONE PIECE ODYSSEY」の開発経緯を聞かせてください。

「ONE PIECE ODYSSEY」プロデューサー 都築克明
画像集 No.014のサムネイル画像 / [TGS2022]「ONE PIECE ODYSSEY」のインプレッション&プロデューサーインタビューをお届け。麦わらの一味の冒険を綿密に描いたRPG
都築克明氏(以下,都築氏):
 「ONE PIECE ODYSSEY」は,ONE PIECEの連載25周年を記念するタイトルとして,開発がスタートしました。それにあたって,世界中のファン皆さんがワクワクするONE PIECEのゲームの形を考えていたところ,ファンの方々から「ONE PIECEの冒険要素をもっと楽しみたい」という声を多くいただいたんです。
 今までのONE PIECEのゲームジャンルは,アクションが多く,キャラクターのカッコよさや,アクションの気持ち良さを重視していたと思います。対する「「ONE PIECE ODYSSEY」では,ONE PIECEの世界をもっとしっかり作りこんで,麦わらの一味の冒険をRPGとして描いていくことにしました。

4Gamer:
 確かにONE PIECEのゲームというと,アクションゲームのイメージが強いです。昔はRPGも出ていましたが,マリンフォード頂上戦争から2年後の世界を描いたRPGはなかったと思います。

都築氏:
 そうですね。過去に発売した「ONE PIECE WORLDSEEKER」というゲームではルフィの冒険を描いたゲームだったと思いますので,その意味では“2年後の麦わらの一味の冒険”をRPGとして描いたことは無かったと思います。ただ,ハードのスペックや技術面も含めて,今ならしっかりと描けるのではないかと。また,ONE PIECEでは,麦わらの一味が新たにたどり着いた島でいろいろな謎に触れたり,ドラマチックな冒険を繰り広げたりします。それをゲームとして体験できるものを作れたら,25周年記念にふさわしいタイトルとなるのではないかと思ったんです。

4Gamer:
 開発はいつごろから始まったのでしょうか。

都築氏:
 5年前の2017年からスタートしています。本作は,シナリオを彩る「ドラマ」と,フィールドを探索する「冒険」,そして一味が活躍する「バトル」を大きな柱としています。特にドラマについては,開発当初からかなり時間をかけて作りこんでいますね。

4Gamer:
 尾田栄一郎氏が「キャラクターデザインの発注は3年前だった」というコメントを出していました。

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都築氏:
 尾田先生へキャラクターデザインのお願させていただいたのは,まさにメインストーリーが固まった段階ですね。そこから並行して冒険の舞台を作り上げていき,一度すべて通しでプレイできるようにした後に,細かい部分をどんどん作り込んでいきました。時間をかけたからこそ,麦わらの一味が冒険するONE PIECEの世界と,そこでプレイヤーの皆さんがストレスなくワクワクできるRPGの体験を作り上げることが出来たと思っています。

4Gamer:
 都築さんは「ONE PIECE 海賊無双4」のプロデューサーでしたが,アクションゲームとRPGでは,作り方も異なると思います。特に違いの大きかった点はありますか。

都築氏:
 アクションゲームでは,キャラクターのアクションの気持ちよさが非常に重要なので,1つのキャラクターを作り込んでいき,完成したら次のキャラクターを作り始める――という流れですが,RPGは作り上げた世界を冒険するというトータルでのゲーム体験を重視して作り込む点が異なると思います。
 通しでプレイしてみて初めて分かることが凄く多いですし,エンディングまでワクワクできて飽きのこないゲームプレイを実現するという点にも,かなり時間をかけました。


4Gamer:
 本作の冒険は時系列でいうと,原作のどのあたりで起きたイメージなのでしょうか。

都築氏:
 ゲームのシナリオの大枠を制作していたタイミングというのが,原作ではホールケーキアイランド編が連載されていた頃でして,そのくらいの時系列をイメージして遊んでいただくと齟齬が無いと思います。
 本作は当初から開発が長期間になることは想定していましたので,本作で描かれる冒険譚は,時系列をしっかり意識したうえで,ドラマを作り込んでいます。ですので,1つの物語としてしっかりエンディングまで楽しんでいただけるものになっていると思います。

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4Gamer:
 本作では,麦わらの一味の持つ能力を使ってフィールド内を探索していく要素があります。今回のデモ版では,ルフィのゴムゴムのロケットで,足場のない場所を渡っていくアクションが楽しめました。ほかにはどのようなものがあるのでしょうか。

都築氏:
 分かりやすいものだとチョッパーは体が小さいので,ほかのキャラクターだと狭くて入れない場所に進入することができます。ほかにも,サンジであればフィールドを探索している最中に食材を見つけやすいですし,ナミであればお金を見つけることができます。麦わらの一味がそれぞれの特徴を生かして冒険を進めていく要素として,今回これらのアクションを入れています。

4Gamer:
 グラフィックスについても聞かせてください。「ODYSSEY」は「ONE PIECE」でこれまで発売されてきたアクションゲームとは違ったテイストになっているという印象ですが,どのような絵作りを目指して制作を進めたのでしょうか。

都築氏:
  「ONE PIECE ODYSSEY」のグラフィックスは,原作やアニメで積み上げられた膨大な情報量を元に,RPGとして「ONE PIECE」の世界を作り上げていくことに注力して作っています。キャラクターに対する光の当たり方だったり,木の揺れだったりをリアルに表現することで,ゲームで再現している世界全体のリッチさや没入感を高めています。また,キャラクターの肌や服の質感もそういった光源の影響を受けやすいようなものにしています。
 もちろん,アクションゲームでもそういった点は気をつけて作っていますが,演出も含めて,アクションゲームはキャラクター単体の見栄えに注力している側面が強いので,やはり作り方は異なるかなと思います。
 なので,本作ではRPGとしてしっかり作り上げたグラフィックスを楽しんでいただけると嬉しいです。

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4Gamer:
 リアルさもある一方で,丸々とした塊のマンガのような雲など,デフォルメしたような表現も見られます。この辺りは,ONE PIECEらしい表現を意識しているのでしょうか。

都築氏:
 背景の動かし方については,ある程度リアルにしていこうという流れはありつつも,やはり 「ONE PIECE」の世界を冒険するゲームなので,「ONE PIECE」らしさというものは必要だと考えていました。
 なので,雲や家のなかにあるオブジェクトなど様々な箇所で,ONE PIECEらしいフォルムを意識して開発を進めています。これらは,「ONE PIECE」が25年間の中で蓄積してきた資料を元に,一つ一つ作り上げていきました。

4Gamer:
 一つ一つのオブジェクトをマンガやアニメを参考に作っているとなると,ものすごく時間がかかりそうですね……。原作も相当読み込まれたことと思います。

都築氏:
 シナリオ,アート,プランニングなど開発セクション毎に気にすべき点というのはそれぞれ違うのですが,少なくともマンガに関しては「全巻10回読み返しました!」程度の読み込み方ではありません。
 今回の「ODYSSEY」では“麦わらの一味の冒険“を体験できるものにするために,例えば街の裏通りでの何気ない会話など,普段はあまり描かれていないようなシチュエーションでのやり取りなども数多く入れ込む必要がありました。何度も何度も読み返したうえで,毎週チームで集まって話し合いながら作り上げていきました。その意味では開発チーム全員,この5年間で相当「ONE PIECE」漬けになっています。

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4Gamer:
 今回“思い出の真っ只中へ”というテーマが挙げられています。敵の中にもクンフージュゴンをはじめとして,麦わらの一味がこれまでの冒険で出会った見覚えのあるキャラの姿が見られます。これらはテーマやストーリーとつながりがあるのでしょうか。

都築氏:
 まず,“思い出の真っ只中へ”というテーマを掲げているのは,今まさに盛り上がっている「ONE PIECE」を追いかけ続けている方はもちろん,かつて「ONE PIECE」を見ていたという方にも楽しんでいただけるようなタイトルにしたいという思いがあったからです。
 現在連載中の怒涛の展開は原作・アニメで楽んでいただきつつも,連載25周年という節目に,かつての「ONE PIECE」で描かれ皆さんがワクワクした,島での探索や冒険という要素を思い出に浸る形で楽しんでいただければと思っています。
 また,本作に登場する,麦わらの一味がかつて出会ったモンスターたちも,ただ登場させているだけでなく,そこにはキチンと「なるほど」と思わせるような展開も用意していますのでご安心ください。

4Gamer:
 本作は,ターン制のコマンド形式ながらも,味方と敵が複数に分かれたエリアで戦うバトルが特徴的です。このシステムを採用した狙いを教えてください。

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都築氏:
 ターン制のコマンドバトルの魅力は,複数のキャラクターの活躍を同時に描きやすいということにあると思います。その意味で,麦わらの一味の冒険を体験するというコンセプトにターン制のコマンドバトルは相性が良かったんです。
 ただオーソドックスなコマンドバトルを作っていくうちに,“味方と敵が一列に並んで攻撃を繰り返していく”という形が,「ONE PIECE」のバトルらしくないという意見が出てきたんです。


4Gamer:
 確かにONE PIECEで,麦わらの一味が全員横並び戦っているイメージはないですね。

都築氏:
 はい。そこで「ONE PIECE」の戦いを改めて振り返った際に,船長のルフィを筆頭にそれぞれのクルーが自らの役割を果たすという形が多いと思ったんです。ゾロは強大な敵を倒すという役割があったり,例えばナミとチョッパーは2人で問題解決にあたって,ウソップは援護射撃をする。どの長編でも麦わらの一味は自分たちの役割をそれぞれが担いながら,ルフィの道を作って前に進んでいったりしている。
 そこでチームで話し合った結果,バトルのエリアを4つに分けて戦うという現在の形になりました。これにより,クルー1人1人の属性やスキルという特徴を活かし自らのエリアで役割を果たしながら,時にはほかのエリアに移動したり援護したりしながら戦うという,麦わらの一味らしい戦いが表現できたと思っています。

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4Gamer:
 今回のデモ版では,麦わらの一味が非常に強く,バトルの戦略的な部分があまり体験できなかったのですが,ゲームを進めていくと,戦略が求められるようになるのでしょうか。

都築氏:
 ゲームを進めていくと,麦わらの一味がとある事件に遭遇します。そこからは戦略を考える必要が出てきますね。ただ,遊びにくくなるということはなく,彼らの属性を生かしていけば,序盤はサクサクと進めるようにはなっていますし,さらに麦わらの一味の特徴を駆使してのアイテム集めなどフィールドで冒険してもらえれば,中盤から終盤のゲーム攻略もやりやすくなるというバランスになっています。

4Gamer:
 なるほど。

都築氏:
 あと,序盤でルフィを強くしているのは,物語に説得力を持たせるためです。RPGとはいえ,新世界のルフィたちがレベル1というのは違和感がありますから(笑)。では,本作でどのような物語が展開されるのかは,今後の情報をお待ちいただければと思います。

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4Gamer:
 楽しみにしています。そろそろお時間ですので,最後に読者へメッセージをお願いします。

都築氏:
 本作はONE PIECE連載25周年を記念したタイトルで,開発チーム一同で非常に力を入れて開発しています。ファンの皆さんが,ONE PIECEの世界で麦わらの一味の冒険を楽しめるゲームに仕上がっています。まだまだお伝えしていない情報もありますので,続報に期待していただければと思います。

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