お気に入りタイトル/ワード

タイトル/ワード名(記事数)

最近記事を読んだタイトル/ワード

タイトル/ワード名(記事数)

LINEで4Gamerアカウントを登録
VRサバイバルホラー「The Walking Dead: Saints & Sinners」のディレクターに聞く,チャプター2“Retribution”のこだわり
特集記事一覧
注目のレビュー
注目のムービー

メディアパートナー

印刷2022/04/21 03:00

インタビュー

VRサバイバルホラー「The Walking Dead: Saints & Sinners」のディレクターに聞く,チャプター2“Retribution”のこだわり

 Meta Questプラットフォーム向けにリリースが予定されている,VRサバイバルホラー「The Walking Dead: Saints & Sinners - Chapter 2: Retribution」。同作のディレクターを務める,Skydance InteractiveのMark Domowicz氏にインタビューを実施した。

画像集 No.001のサムネイル画像 / VRサバイバルホラー「The Walking Dead: Saints & Sinners」のディレクターに聞く,チャプター2“Retribution”のこだわり

 2020年にリリースされた「The Walking Dead: Saints & Sinners」は,人気コミック「ザ・ウォーキング・デッド」の正式ライセンスを受けたタイトル。原作者ロバート・カークマン氏のスタジオ,Skybound Entertainment協力の元,作品の世界を拡張する形で描かれるVR専用サバイバルホラーゲームである。

 舞台となるのは,コミックやテレビドラマでは描かれたことのないニューオーリンズ。ゾンビアポカリプスの発生と時を同じくして起こったミシシッピー川の氾濫により,“ウォーカー”と呼ばれるゾンビもろとも水没,現在も町中が水浸しになっている。
 プレイヤーは奇しくも町を訪れていた男性“ツーリスト”として,湿地帯で助けた男性の助言に従い,町に足を踏み入れる。右も左もわからないまま,この地を二分する勢力の間でサバイバルスキルを習得しながら,戦い抜くことになるのだ。

画像集 No.003のサムネイル画像 / VRサバイバルホラー「The Walking Dead: Saints & Sinners」のディレクターに聞く,チャプター2“Retribution”のこだわり

 今回,インタビューの機会を設けていただいたMark Domowicz氏は,2016年に映像メディア制作会社の子会社として,Skydance Interactiveが設立された当初から開発チームを率いている。2017年の「Archangel」および「Archangel: Hellfire」,そして「The Walking Dead: Saints & Sinners」を手がけており,「Retribution」は彼らの最新プロジェクトになる。

画像集 No.002のサムネイル画像 / VRサバイバルホラー「The Walking Dead: Saints & Sinners」のディレクターに聞く,チャプター2“Retribution”のこだわり

「The Walking Dead: Saints & Sinners」公式サイト



世界の将来の決定権を握った時点から,新しいチャプターが始まる


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。
 「Retribution」はチャプター2としてリリースされますが,これは続編なのでしょうか。それとも拡張パックになるのでしょうか。

Mark Domowicz氏:
 実は,何と呼ぶべきかを我々も決めかねているのです。一般的に「DLC」という言葉から想像されるより大きなボリュームですし,ストーリーは完全に連続している上にアセットを共有している部分が多く,確かに「続編」ではあるのですが,1作品としては少々物足りない。
 また,新しいマップに移ると基本的には後戻りができないため,「拡張パック」という呼び方も適切ではありません。
 そのため,続編ではないが,前作を継承していくストーリーとして,「Chapter 2」と呼ぶのがふさわしいと考えています。

4Gamer:
 ゲームの概要を紹介していただけますか。

Mark Domowicz氏:
 普通の観光客が武器も持たず,サバイバルや町の知識がないまま生存競争の中に放り込まれ,そこで戦い抜いていくタイトルです。ウォーカーがうごめいているNOLA(ノーラ/New Orleans, Louisianaを略した呼称)は多くの地域が水没しており,“タワー”と“リクレイムド”と呼ばれる生存者の集団が存在しています。そこに「リザーブ」と呼ばれる軍用バンカーが関わってくるのです。
 これはアポカリプスが発生した頃,軍隊が大量の兵器,食料や医薬品を貯蔵しながらも見捨てられ,どこかに水没してしまった場所があるというものです。

画像集 No.004のサムネイル画像 / VRサバイバルホラー「The Walking Dead: Saints & Sinners」のディレクターに聞く,チャプター2“Retribution”のこだわり

4Gamer:
 前作はマルチエンディングでしたね。

Mark Domowicz氏:
 そのとおりですが,いずれにせよストーリーの重要な位置を占める武器庫の存在が明らかになります。これから前作をプレイする人もいるでしょうからネタバレはしたくないのですが,とにかく「町の勢力図を塗り替えるだけの発見」をした時点で前作は終わりました。言うなれば,プレイヤーが世界の将来の決定権を握った時点から,新しいチャプターが始まるのです。

4Gamer:
 なるほど。チャプター2の舞台もニューオーリンズでしょうか。

Mark Domowicz氏:
 ええ。前作では,フレンチ・クォーターのような有名な場所も描かれていませんでしたしね。チャプター2の舞台には,前作のエリアも一部含まれています。ただし,同じエリアでも,“発見”があったことによって世界が変貌しつつあり,以前とは何かが違うことを感じていただけるでしょう。
 開発中なので紹介できることも限られるのですが,マップの規模は前回と同じくらい,ゲームプレイはちょっと短め,といったところでしょうか。

4Gamer:
 それは,なかなかの規模になると思います。

Mark Domowicz氏:
 前作は20時間くらい楽しめるボリュームだったと思います。チャプター2は通常のプレイであれば13〜15時間ほどですが,まだ発表していない新要素を遊び込んでいくと,確実に20時間以上は楽しめるでしょう。
 もちろん,マップやクエストのほかにもコンテンツを増やす予定です。すでにチェーンソーの登場を発表していますが,アップグレードや新しいツール,プレイヤーがインタラクトできる手法にも期待してください。

画像集 No.006のサムネイル画像 / VRサバイバルホラー「The Walking Dead: Saints & Sinners」のディレクターに聞く,チャプター2“Retribution”のこだわり


手榴弾のピンを口を使って引き抜く。VRアクションへのこだわり


4Gamer:
 前作の物理表現には相当なこだわりを感じました。例えばタバコの箱を触っていたら,直接,口で中身をくわえることに成功したときはびっくりしました。データをセーブして次の日に移るためにはアルコールを飲んだりするシーンもあり,大人向けの表現が多い作品ですね。

Mark Domowicz氏:
 対象ユーザーは成人ですからね。そうした細かい表現は,これまで我々が培ってきたVRゲーム開発のノウハウと経験にちゃんと基づいています。VRの特性上,ゲームで表現されているものが動かせるのか,目の前にあるものに触ったらどうなるのか,やはり気になるでしょう。タバコの箱があれば,中身を抜き出せるのかを試してみたくなりますよね。
 タバコをくわえたまま爆弾を取り出し,着火できるのかどうか。映画で見たことのあるようなアクションを,多くのゲーマーは期待していると思っています。
 もちろんゲームですから,あまり関係のないことばかりできるようにしても,我々の労力はムダになってしまいますが。タバコを手にしたときに何かできて,何ができないのかも,我々がVR表現で苦心した一例と言えます。

4Gamer:
 これも前作の話になりますが,クエストとは関係のない家の扉を開けようとしたとき,いきなりウォーカーが扉を破壊しながら飛び出してきたことがありました。最も感動したシーンです。

Mark Domowicz氏:
 ありがとうございます。「ウォーカーが木材を破壊できる」というシミュレーションを設定した際,木製のドアにもその定義が当てはめられてしまったために発生したものです。ドアノブを回さなければ開かないようにすることもできましたが,洪水のダメージや経年劣化により破壊はできるだろうと考えました。
 サウンド効果にしても,銃撃をすると大きな音が発生し,拾ったアイテムを投げ捨てても音が出ます。その結果として何が起こるかを,ゲームデザインとして取り込んでいくわけです。
 我々は大きなチームではないので完璧ではないと思いますが,そうした細かい部分にプレイヤーが気付いてくれることは嬉しいです。

4Gamer:
 ウォーカーからナイフや斧を引き抜くときのリアルな感覚にも驚きました。

Mark Domowicz氏:
 我々が注力した部分です。「Retribution」では手榴弾を使えるようになります。通常,右手に持った手榴弾は左手でピンを抜いて,そのまま右手で相手に投げますよね。本作では左手に武器を持っていることを想定し,手榴弾のピンを歯で引き抜くことが可能です。

4Gamer:
 それは楽しみです。グラフィックスに関しては,前作と同じくUnreal Engineが利用されているようですが,ウォーカーの数などに違いはありますか。

Mark Domowicz氏:
 ウォーカーの数を増やすことは難しくないのですが,慎重に考えなくてはいけません。ウォーカーの数に応じて,プレイヤーがメレーで戦うのか,銃を持ち替えるのかが決まり,それによってマップに存在するアイテムの種類や数を調整することになりますから。
 グラフィックスに関しては,PCのスペックによってゲームの体験が変わりすぎるのも避けたいと考えています。

画像集 No.005のサムネイル画像 / VRサバイバルホラー「The Walking Dead: Saints & Sinners」のディレクターに聞く,チャプター2“Retribution”のこだわり

4Gamer:
 前作で学んだことのうち,「Retribution」の開発に生かされていることはありますか。

Mark Domowicz氏:
 前作のストーリーには,非常に満足しています。同じジャンルのゲームと比較しても,プレイヤーに与えられる選択肢は多い方だと思いますが,「Retribution」でもこうした良さをさらに引き出したいですね。
 あとは,特定のオブジェクトや環境でどんなことができるのか,ゾンビがプレイヤーにどのようにインタラクションしてくるのか,といったバリエーションを増やしています。

4Gamer:
 原作者ロバート・カークマンさんとは密接にやり取りしているのでしょうか。

Mark Domowicz氏:
 彼と直接,やり取りをしているわけではありませんが,Skubound Entertainmentの担当者にはストーリーや表現方法を確認してもらっています。
 もっとも,業界仲間から耳にする限りでは,ほかのハリウッド映画のIPと比べても,かなり自由にさせてもらっている印象です。原作では描かれていないニューオーリンズという土地,さらに洪水というエッセンスを加えて,新しい「The Walking Dead」を作り込むことができたのですから。

4Gamer:
 最後になりますが,「Retribution」は前作をプレイした人,そうではない人,どちらにもアピールできる作品になるでしょうか。

Mark Domowicz氏:
 もちろんです。VR環境でアクションゲームをプレイしたいという人に,しっかりと満足してもらえると思います。ウォーカーとの戦い,さまざまな選択,興味深いキャラクターが織りなすストーリーを楽しめますので,ぜひプレイしてください。

4Gamer:
 どうもありがとうございました。

「The Walking Dead: Saints & Sinners」公式サイト

  • 関連タイトル:

    The Walking Dead: Saints & Sinners - Chapter 2: Retribution

  • 関連タイトル:

    The Walking Dead: Saints & Sinners

  • この記事のURL:
4Gamer.net最新情報
プラットフォーム別新着記事
総合新着記事
企画記事
スペシャルコンテンツ
注目記事ランキング
集計:11月27日〜11月28日