2024年4月27日と28日に開催されたアナログゲームイベント
「ゲームマーケット2024春」から,
テーブルトークRPG関連の出展を紹介しよう。
東京ビッグサイト東1〜3ホールへと会場を移し,両日で
2万5000人の来場者があったという今回のゲームマーケット。以前と比べて広くなった会場にはボードゲームのみならず,多数のテーブトークRPG作品が会場を賑わせていた。
関連記事
ゴールデンウィークの幕開けとなった2024年4月27日と28日に開催された,日本最大級のアナログゲームイベント「ゲームマーケット2024春」の会場レポートをお届けする。フードコーナーの復活やフリープレイスペースの設置などもあって,以前よりもゆったりと楽しめるイベントとなっていた。
[2024/05/14 18:34]
ボックス型の新作が多数登場したグループSNEブース
大手ブースの中で,とくにテーブルトークRPGを多く扱っていたのがグループSNEだ。近年はマーダーミステリージャンルでの活躍が目立った同社だが,今回は複数のボックス型テーブルトークRPGをリリースし,販売を行っていた。
「いさましいちびっこ炊飯器TRPG」は,意志を持った動ける家電をプレイするテーブトークRPGだ。持ち主であるご主人様の幸せのため,人間の見ていないところでさまざまな冒険を繰り広げる
 |
「境都妖異世界」は幽霊や妖怪といった“妖異”と,それらを封じる“境界術師”たちの戦いを描いた“協力型シナリオゲーム”。プレイヤーごとに判定方法が異なるのが特徴で,テーブルトークRPGとボードゲームを組み合わせたようなプレイスタイルだという
 |
なかでも注目は,フランス製のテーブルトークRPG
「クリティカル:サンクチュアリ シーズン1」だろう。プレイヤーは探検家ギルドの一員となり,神々の聖地される三日月群島での冒険に挑んでいく。
テレビドラマのような連作キャンペーンシナリオとなっており,今回のシーズン1には9本のエピソードが含まれるとのこと。一つあたりのプレイ時間は30分ほどで,キャラクターや装備品がカードで表現されているため紙やペンも不要で遊べる。
こちらが「クリティカル:サンクチュアリ シーズン1」。各エピソードにはふんだんなイラストやマップが散りばめられており,ゲームマスターがテキストを読み上げるだけで進行できる
 |
グループSNE代表の
安田 均氏によれば,ゲームマーケットはボードゲームが主体のイベントであるため,これまでテーブルトークRPGはメインでは展開していなかったという。しかし,今回はボックス型の製品ということで3タイトルがラインナップされたほか,書籍型の
「アドバンスト・ファイティング・ファンタジー第2版」のサプリメントもリリースされている。同シリーズでは,今後も年2冊ペースで新製品を投入していくそうなので,こちらも期待しておこう。
グループSNE代表の安田 均氏(右)と,「境都妖異世界」のゲームデザインを務めた西岡拓哉氏(左)
 |
「アドバンスト・ファイティング・ファンタジー第2版」のサプリメント「アリオン旅行記&アトランティス・キャンペーン」。タイタン世界の南方に広がる暗黒大陸クールを舞台としたキャンペーンシナリオとワールドガイドがセットになっている
 |
「サイバーパンクRED」初のシナリオ集が告知されたホビージャパンブース
ホビージャパンブースでは,2024年3月に発売された
「ウォーハンマーRPG」のサプリメント2本と,4月に発売された
「一つの指輪:指輪物語TRPG」のサプリメントが,それぞれ販売されていた。
このほか
「サイバーパンクRED」のサプリメント
「テイルズ・オブ・ザ・レッド:ストリートの物語」の告知ポスターが掲示されており,2024年夏に発売されることが発表されていた。
ホビージャパンのディレクター
山田 瞬氏によれば,同書は「サイバーパンクRED」の初のシナリオ集になるという。これまでのスクリームシート形式(簡易シナリオ)ではない,本格的なシナリオが9本収録しているとのことで,発売されれば同作がより遊びやすくなることだろう。
ホビージャパンの山田 瞬氏
 |
「一つの指輪:指輪物語TRPG」のサプリメント「失われた王国の遺跡」は,エリアドール地方南部の“さびし野”と呼ばれる地域を扱ったワールドガイドだ。サルバドの都を中心とした地理や歴史,またロアマスター(GM)が物語を紡ぐの助ける,数多くのシナリオソースが含まれている
 |
「武器を掲げよ!」は,「ウォーハンマーRPG」の世界で戦士として生きるキャラクターのための,さまざまな追加データが収録されたサプリメントだ。新たなキャリアと新たな武器防具,車両や建物内で遮蔽をとる追加ルール,著名な騎士団のガイドなどが含まれている
 |
サプリメント「帝立動物園」は,オールド・ワールドに生息する60種以上のクリーチャーを解説した追加データ集だ。旅行記の体裁を取られており,クリーチャー以外にも採取した錬金術の材料を保存/販売するためのルールなども含まれている
 |
多くのファンが試遊に集まった「Role&Roll テーブルトークRPGギルド」
新紀元社のテーブルトークRPGサポート誌「Role&Roll」が主催する
「Role&Roll テーブルトークRPGギルド」のブースでは,新刊から既刊までさまざまな関連書籍の販売が行われていたほか,
「インセイン」「逆転計略RPG 天才軍師になろう」「ケダモノオペラ」「新クトゥルフ神話TRPG」などの試遊卓が用意され,いずれも整理券の配布が早めに終了する盛況ぶりを見せていた。
会場で先行発売された,ライト層向けのテーブトークRPG誌「セッションデイズ Vol.2」。2024年2月にスタートした,トーハンのオンラインセッションプラットフォーム「THEOTOPIA」の特集記事や,「エモクロアTRPG」「エクリプス・フェイズ」の入門シナリオなどが掲載されている
 |
「虚構侵蝕TRPG」のソースブック「ミスプレミス」の先行販売も。100種類以上のアーティファクトや,全4話からなるキャンペーンシナリオが収録されている
 |
こちらも先行販売されていた「天下繚乱」のサプリメント第2弾「桜花爛漫」。会話からシナリオを生成する追加ルール“シナリオクラフト”のほか,維新志士・超忍・幻術使い・江戸っ子といった,9つの新たなクラスが収録されている
 |
ブースに用意されたホワイトボードには,来場者のテーブルトークRPG愛がぎっしりと書き込まれていた
 |
左から「Role&Roll」編集部の山口胡桃氏,梶原佳介氏,清水健司氏
 |
インディータイトルも花盛りのテーブルトークRPGジャンル
ゲームマーケットでは大手パブリッシャによる商業作品のみならず,個人やサークル単位の出展によるインディー(あるいは同人)タイトルも数多く出展されている。ここではそうしたインディーのオリジナルタイトルから気になったものを,いくつかピックアップして紹介していこう。
サークル・こずこみゅの「魔導書閲読TRPG インビジブルライアー」は魔法使いとなったプレイヤーが,魔導書の力で人間に擬態したモンスター発見・封印していくテーブルトークRPGとのこと
 |
 関東甲殻中枢の「復讐譚TRPG 本懐を遂げよ」。一度屈服したキャラクターが仇敵を討ち果たすまでの“復讐譚”をテーマとしている |
 ヨスガラクエンの「おやすみ、また明日。」は,眠れない2人が同じ寝床で会話しながら,孤独を癒して夜を越えるシチュエーションをプレイするRPG。システム上プレイヤーは2名,または進行役を含めた3名となる |
 コトノハゲームズの「魔女と獣と旅するレシピ」は,テーブルトークRPG「魔女と獣とふたり旅」と連動したソロジャーナルRPG。ゲームデザインは藤浪智之氏,イラストは佐々木亮氏が担当している |
 サークル・猫又公司のテーブルトークRPG「煌王国の双究士―デュアルナイツ―」。魔法が一般化した世界の警察官・双究士が,魔法絡みの犯罪や事件を解決していく |
 サークル・抹茶の日の新作「光明のカンナギ戦記」は,人の心の闇から生まれた脅威《ケガレ》に対抗する《輝きの巫女》の戦いを描くテーブルトークRPG。百合や巫女好きにお勧めとのこと |
 同じくサークル・抹茶の日と,名古屋大学のTRPGサークル・ラガドーン・タバーンとの共作「双天観測RPG MISSIΘN:Δ」。プレイヤーは同じ歴史を歩んできた鏡合わせの二つ世界を行き来し,その微妙な差異を発見・修復することを目指す |
グループSNEの安田氏が言うように,ゲームマーケットはアナログゲームの中でもボードゲームを主体したイベントであるものの,テーブルトークRPGも常に存在感を放っており,アナログゲームの一大ジャンルであり続けている。
新作をお披露目する場としてだけでなく,テーブルトークRPGという遊びの楽しさを多くの人に知ってもらう機会の場として,ゲームマーケットは今後も重要な場であり続けることだろう。次回,11月16日と17日に開催される
「ゲームマーケット2024秋」にも期待しておこう。
このほかウィザーズ・オブ・ザ・コーストのブースでは,今回もテーブルトークRPG「ダンジョンズ&ドラゴンズ 第5版」とTCG「マジック・オブ・ザ・ギャザリング」の体験イベントが実施されていた
 |
今回の試遊イベントは船上での冒険がテーマ。海上の通行料を要求してくるモンスターに対し,どのように対処するかが問われる遭遇を,10分ほどの時間で体験できた
 |
ウィザーズ・オブ・ザ・コーストのブランドマネージャー,田中ヒミー氏。ダンジョンズ&ドラゴンズに興味はあるがプレイする機会がない人に向けて,今回のような試遊イベントを実施しているという
 |