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日本語コンソール版が登場するMMORPG「エルダー・スクロールズ・オンライン」のクリエイティブディレクターに聞く見どころとESOの将来
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印刷2023/10/20 08:00

インタビュー

日本語コンソール版が登場するMMORPG「エルダー・スクロールズ・オンライン」のクリエイティブディレクターに聞く見どころとESOの将来

画像集 No.003のサムネイル画像 / 日本語コンソール版が登場するMMORPG「エルダー・スクロールズ・オンライン」のクリエイティブディレクターに聞く見どころとESOの将来
 「The Elder Scrolls IV: Oblivion」や,「The Elder Scrolls V: Skyrim」で日本にも広く知られるファンタジーRPG「エルダー・スクロールズ」シリーズの世界観をベースにしたMMORPGが「The Elder Scrolls Online」(エルダー・スクロールズ・オンライン,以下 ESO)だ。これまでは,日本語で本作を楽しみたければ,PC版もしくはMac版という選択肢しかなかったが,2023年11月15日に,PlayStation 5PlayStation 4,およびXbox Series X|SXbox Oneに対応する待望の日本語コンソール版が登場する(関連記事)。ゲーム用のPCは持っていないという多くのゲーマーも,ESOがプレイできるようになるわけだ。

 東京ゲームショウ2023開催に先立つ9月20日,4Gamerでは,来日中だったZenimax Online StudiosのクリエイティブディレクターとしてESOを担当するRich Lambert(リッチ・ランバート)氏にインタビューを行う機会を得た。Lambert氏は,Oblivionや「Fallout 3」といったBethesdaタイトルに携わった経歴のあるベテランだ。そんな氏に,コンソール版の見どころから,2023年のチャプター「モロウウィンドを覆う影」の現状と今後,そしてESOの将来など,さまざまな話題について聞いてみた。

Rich Lambert氏(Creative Director,Zenimax Online Studios)。ゼニマックス・アジア社内にあった「ドヴァキン」の等身大像と並んで
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すべてのコンテンツを日本語で提供

PS5では,よりリッチなグラフィックスでプレイできる


4Gamer:
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 グローバル版では,すでにコンソール向けのサービスが行われていますが,PC版とコンソール版で,ユーザー数の割合はどれくらいになりますか? ユーザーの総数は,コンソールの方が多いという話も以前に聞きましたが。

Rich Lambert氏(以下,Lambert氏):
 だいたい50対50くらいですね。

4Gamer:
 コンソール版のプレイヤーとPCのプレイヤーで,プレイの仕方になにか違いはありますか。

Lambert氏:
 それが,ないんです。実はコンソール版をリリースするときに,(プレイの仕方に)違いがあったら困るなとちょっと心配しました。しかし,ゲームパッドを使おうが,キーボードを使おうが,ゲーマーはゲーマーであり,差異はないということが分かりまして,安心をしています。

4Gamer:
 コンソール版では,ゲーム機側にキーボードやマウスを接続してプレイできますか?

Lambert氏:
 いいえ,ゲームパッドだけです。

4Gamer:
 コンソール向け日本語版のスタート時点で,すべてのチャプターやDLCがプレイ可能になるのでしょうか?

Lambert氏:
 もちろん,そのとおりです。

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4Gamer:
 それは素晴らしいですね!
 コンソール版とPC版で,クロスプラットフォームプレイ(以下,クロスプレイ)を可能にする計画はありますか? 現状はできないことは知っておりますが,クロスプレイが可能になると,日本のユーザーコミュニティも,もっと盛り上がるかと思うのですが。

Lambert氏:
 「クロスプレイをやりたい」という要望は,コミュニティ側から長い間出ています。しかし技術的にも,ゲームそのものの経済性を考えても,(ESOは)まだクロスプレイで成り立つ市場ではないので,まだ課題が大きいことと考えています。

4Gamer:
 PS5版は,PC版やPS4版よりもリッチなグラフィックスが楽しめたりするのでしょうか。

Lambert氏:
 そのとおりです。PS5は性能が高いマシンなので,フレームレートや解像度が高いですし,ゲームのローディングも迅速に行えます。
 「パフォーマンスモード」と「ハイフィデリティモード」という動作モードがあり,パフォーマンスモードは1080p(解像度1920×1080ドット),ハイフィデリティモードでは4K解像度(同3840×2160ドット)で表示できます。


「レベルの壁」がないことがESOの利点

グループ探しは「グループファインダー」で


4Gamer:
 コンソール版の登場で,日本でもプレイヤーが増えると思いますが,日本のESOプレイヤーに,聞いてみたいことはありますか。

Lambert氏:
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 具体的にこれ,という質問はありませんが,色々なユーザー様とお話をしてみたいなと思っています。今までになかったような,非常に規模の大きなゲームであり,1人1人が世界観を持って,旅や探索をしていくゲームですので,ゲーマーと話をして感触をつかみたいですね。
 ご存じのとおり,ESOにはレベルゲート(※レベル差によって一緒に遊べなくなる現象,レベルの壁)や,レベルによって入れない土地があるといったロケーションの制限もないので,誰でもどこからでも入っていけます。

4Gamer:
 日本ではまだ,ESOの名前は聞いたことがあっても,レベルの壁がないゲームだということを知らないゲーマーは多いと思います。その点は,より広く伝えていく必要がありますね。

Lambert氏:
 「ゲームに入れば,レベル差など気にせずにそのまま遊べますよ」ということを,ぜひ知っていただきたいですね。

4Gamer:
 チャプターで追加されたコンテンツ,たとえば2019年開始のチャプター「エルスウェア」におけるドラゴンとの戦いや,2018年の「サマーセット」における「アビサルガイザー」のようなオーバーランドイベントは,新しいチャプターが始まると,プレイする人が少なくなってしまいます。たとえば,最近プレイを始めた人が,エルスウェアでドラゴンと戦いたいと考えても,現場に人がいないので倒せない。こうした忘れられたコンテンツを活性化させるアイデアはありませんか。

※ マップ上の決まった地点で大量のモンスターが出現し,それらを駆逐していくと,最後に強力なモンスターが登場するという突発的グループイベント。チャプターが登場すると新しいイベントが加わる。

エルスウェアにおけるオーバーランドイベント,ドラゴンとの戦いの様子
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Lambert氏:
 これはESOの利点で,レベルの壁がないので,新規のプレイヤーでもそうしたイベントにすぐ参加できます。また,人出が足らないというときに役立つのが「グループファインダー」です。

4Gamer:
 ドラゴンと戦いたい人は,グループファインダーを使って同じ目的のグループを探してね,ということですね。

Lambert氏:
 たとえば,「ダークアンカー」に挑戦したいとか,ドラゴンと戦いたいというのを投稿して,グループファインダーで人を集める。それで一緒にゲームができるわけです。


最新チャプター「モロウウィンドを覆う影」の後半はどうなる?


4Gamer:
 最新のチャプターである「ネクロム」で導入された新クラス「アルカニスト」(Arcanist)について,ユーザーからはどういう反応があったのでしょうか。性能を引き出すには,これまでのクラスよりも難しい操作が必要に思えるのですが。

Lambert氏:
 とてもポジティブに評価されています。新しいプレイヤーからも,「アルカニストが使えるのは,とても楽しい」と言われています。アルカニストの特徴である「クラッツシステム」(※アクティブアビリティを重ねるコンボシステム)をうまく理解していなくても,そのへんのボタンを押してみたり,ビジュアルを楽しんだりと,プレイしながら学ぶことができるので,非常にポジティブに受け入れられています。

アルカニストは今までにない操作を求められるクラスだが,グループにいると火力がかなり高まる
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4Gamer:
 運営側では,どのクラスがどれくらいプレイされているかというデータをお持ちのはずですが,アルカニストをプレイしている人は,どれくらいいるのでしょうか。

Lambert氏:
 ほとんど同じくらいの割合です。一番プレイされているクラスは「ソーサラー」で,およそ20%くらいの方がプレイされています。そのほかのクラスは,似たり寄ったりですね。アルカニストも,そのうちのひとつになります。
 みんな,ファイヤーボールを投げるのが好きなんです(笑)。

4Gamer:
 おや,私はソーサラーでもメレー(接近戦)で戦っていますよ。二刀流で「ハリケーン」(※ソーサラーのアクティブアビリティの1つ)をまとって突っ込んでいきます(笑)。

 ネクロムに話を戻しましょう。この質問は,まだ未発表の要素に関わるので答えてもらえないかもしれませんが,2023年のチャプター「モロウウィンドを覆う影」の前編であるネクロムでは,「テルヴァンニ半島」の南側が舞台となりました。すると,やはりチャプターの後編は,半島の北側や,そのさらに北にある「テルヴァンニ諸島」が舞台となるのでしょうか?

Lambert氏:
 うーん(笑)。今は「新しいロケーション」ということくらいしか言えません。後編について発表されるのは,おそらく2024年1月になると思います。

4Gamer:
 楽しみにしておきます。再び「アポクリファ」にも行くことになるんでしょうね。

Lambert氏:
 ちょっと様子を見てみましょう(苦笑)。

2023年のチャプター前編であるネクロムでは,運命を司るデイドラ公「ハルメアス・モラ」に協力して,タムリエルを救うための冒険に挑む。アポクリファは,ハルメアス・モラが支配する世界だ
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4Gamer:
 そうすると,次の質問にもお答えいただけないかと思うのですが,ネクロムでは「デイドラ公」について,驚くべきことが明らかになりました。これには本当に驚いたので,続きはいったいどうなるのか,とても気になります。

Lambert氏:
 確かに,ネクロムの最後では,デイドラ公に関する隠されていた事実が明らかになります。次のストーリーにも,そのデイドラ公が出てくるんじゃないか,とは思います。


冒険の舞台はタムリエル以外の大陸に広がるかも?


4Gamer:
 ESOでは,これまでに多くのDLCやチャプターがリリースされてきましたが,とくにプレイヤーからの評価が高いのは,何でしょうか? 私はサマーセットとエルスウェアが好きです。

Lambert氏:
 ええ,その2つは人気ですね。今は,ネクロムが一番人気です。サマーセットとエルスウェアも,それに続いて評価が高いです。私の記憶だと,エルスウェアが2位で,サマーセットが3位だったと思います。

4Gamer:
ESOにおけるタムリエルの地図。ゲーム中に登場していない地域は,だいぶ少なくなった
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 これまでに,多くの地域がゲームに追加されたことで,タムリエルの地図から,空白の地域はかなり少なくなりました。大きく空いているところって……,「ハンマーフェル」の南部や「シロディール」の西と東側くらいですよね。「ホワイトラン」もまだです。
 今後は,残っている空白の地域を埋めていくのでしょうか。それとも,既存のエリアを拡張していくようなこともあり得るのでしょうか。

Lambert氏:
 そのあたりは,ゆっくりと埋めていきたいと思っています。しかし,エルダー・スクロールズの伝説には,ほかにも多くの素晴らしいものがあります。たとえば,デイドラの領域である「オブリビオン」は,無限の広がりを持っています。たくさん使えるところがあるでしょう。
 そもそもタムリエルは,(エルダー・スクロールズの)世界で唯一の大陸ではありませんよね。2022年のチャプター「超越の潮」のように,新しい土地が出てくることもありますし,別の大陸という可能性もお見逃しなく,という感じです。

4Gamer:
 たとえば……アカヴィリの土地※1とか,ピアンドニア※2,あるいはヨクダ※3とかですか?

※1 タムリエル東方にあるアカヴィル大陸。蛇人種族のアカヴィリなど獣人種が住む。
※2 タムリエル南方にある大陸で,シーエルフの本拠地。
※3 タムリエル西方にあって海に沈んだと言われる大陸で,レッドガードの祖先が住んでいた。


Lambert氏:
 アハハハ。たくさんの選択肢があり得ます。

4Gamer:
 タムリエル以外にもストーリーが広がったら面白いですね。これまでは,(TESシリーズの第1作)「The Elder Scrolls: Arena」で設定された世界の上で冒険していたので,その外に広がるとなると,かなり興味深いです。

 さて,最後は質問ではなくお願いなのですが,「コールドハーバー」で死んだ「○○○○○」を,きちんと埋葬していただけませんでしょうか。彼は英雄として死んだのに,(ESOがリリースされてから)9年間も,遺体が神殿で放置されたままなのは悲しいことです。「○○○○○最後の王」にふさわしい葬儀を行ってあげてほしいのですが。

Lambert氏:
 とても興味深い提案です。ESOをプレイし尽くしていただいているのが,よく分かりました(笑)。

エルダー・スクロールズ・オンライン公式Webサイト

PC版エルダー・スクロールズ・オンライン公式Webサイト


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