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約350gと薄型軽量な最強Androidゲーム機? 「AYANEO Pocket S」の魅力に迫る【レビュー】
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印刷2024/07/06 12:00

レビュー

約350gと薄型軽量な最強Androidゲーム機の魅力に迫る

AYANEO AYANEO Pocket S

Text by 八岡弘高


 Windows搭載の携帯型ゲームPCを手がけるPCメーカーのAYANEOは,Android携帯ゲーム機「AYANEO Pocket S」を2024年7月上旬に発売する(関連記事)。国内販売代理店である天空が運営する携帯型ゲームPC専門店「ハイビーム」のオンラインストアでは,予約受付中だ。

AYANEO Pocket S(オブシディアンブラック)
メーカー:AYANEO
税込価格:8万9800円から(※2024年7月6日現在)
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 ディスプレイ解像度とメインメモリ容量,内蔵ストレージ容量が異なる3モデルが用意されており,解像度2560×1440ドット,メインメモリ容量16GB,ストレージ容量512GBの上位モデル(※上位モデルは,ハイビームおよびAmazon.co.jp限定販売)と,解像度1920×1080ドットの下位モデルが存在する。カラーバリエーションは,オブシディアンブラックかアイスソウルホワイトの2種類だ。

●AYANEO Pocket Sのラインナップ
  • ディスプレイ解像度1920×1080ドット,メインメモリ容量12GB,内蔵ストレージ容量128GB,税込価格 8万9800円
  • ディスプレイ解像度1920×1080ドット,メインメモリ容量16GB,内蔵ストレージ容量512GB,税込価格 10万9800円
  • ディスプレイ解像度2560×1440ドット,メインメモリ容量16GB,内蔵ストレージ容量512GB,税込価格 11万4800円

 今回は,天空から上位モデルの試用機材を借用する機会を得た。そこで,本製品がどういったスペックや機能を持ち,ゲーマーにとってどのような価値があるのかを評価したい。


Switchよりもコンパクトで軽い約350g


 AYANEO Pocket Sは,6インチのIPS液晶ディスプレイの左右にゲームパッド機能を備え,Qualcommのゲーム機向けSoC(System-on-a-chip)Snapdragon G3x Gen 2を搭載したAndroidデバイスだ。アプリケーションの入手先として「Google Play」を利用できるため,Androidのゲームやアプリは,普通にプレイできる。
 2023年の東京ゲームショウ2023のAYANEOブースに展示されていたので,すでに触ったことがある人もいるかもしれない。

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 公称本体サイズは,約213.9(W)×14(D)×85(H)mm。幅が約239mmのSwitchよりも,約25mmほどコンパクトで,厚さはほぼ変わらない(※Switchは13.9mm)。
 公称本体重量も約350gと軽い。350gがどれだけ軽いかと言うと,Switch 有機ELモデルが約420g(※Joy-Con接続状態。本体のみは約320g)であり,Switch本体並みに軽いと言えば,相当軽いことが想像できるだろう。

AYANEO Pocket S(上)とSwitch(液晶モデル,下)を並べて。比べると横幅も縦幅も短く,よりコンパクトなのが分かる
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 ちなみに,同じAndroid搭載ゲーム機で言うと,Shenzhen GPD Technology(以下,GPD)の「GPD XP」がグリップモジュール付きで約370gなので,わずかに軽いくらいだ。


Wi-Fi 7にも対応する最新SoCのSnapdragon G3x Gen 2を採用


 AYANEO Pocket Sが採用するSnapdragon G3x Gen 2は,Qualcomm製のAndroid搭載ゲーム機向けのSoCだ。Snapdragon Gシリーズとしては初めて,最新のワイヤレスLAN規格である「Wi-Fi 7」に対応する。Bluetoothは5.3対応だ。
 内蔵するGPUは,Qualcomm製の「Adreno A32」で,解像度「FHD+」(※具体的な数値は未公開)の映像を144fpsで出力できる。

AYANEO Pocket Sの放熱面における特徴を示した画像
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 ドイツ時間2023年8月24日,Qualcommは,Android搭載小型ゲーム機向けのSoC「Snapdragon G3x Gen 2」を発表した。前世代製品と比べて,GPU性能が2倍以上,CPU性能が1.3倍と,大幅に向上したのが特徴だ。すでにAYANEOが,同SoCを搭載した「AYANEO Pocket S」の開発を表明している。

[2023/08/25 16:00]

 画面サイズは6インチで,ディスプレイパネルはIPS液晶パネルを採用する。SoCは144Hz表示まで対応しているが,AYANEO Pocket Sの最大リフレッシュレートは60Hzだ。
 そのため,高リフレッシュレートで表示したいeスポーツ系FPSなどよりも,高フレームレート表示に対応しないRPGや育成ゲーム,アクションゲームなどに向きそうだ。

 ディスプレイの輝度は400nitsで,そこまで明るくはないが,屋内利用では十分な性能だ。色空間規格「sRGB」のカバー率は100%。IPS液晶パネルのため視野角は広く,ほぼ真横から見ても色変化もなく視認性に問題はない。
 Amazonプライムビデオで「ゴジラ−1.0」の冒頭,夜の島でゴジラに襲われるシーンを視聴してみたが,有機ELパネルを採用するRazerの携帯型Androidゲーム機「Razer Edge Gaming Tablet」(以下,Razer Edge)に比べると,黒の締りがなく,やや全体的にメリハリに欠けた印象を受ける。
 スピーカーは,下側面の左右に内蔵されており,ステレオで聞こえる。ただ,出力はRazer Edgeに劣り,少し迫力に欠ける。

 ゲームパッドを外して,小型のタブレットとして使えるRazer Edgeとは,AYANEO Pocket Sは,若干立ち位置の異なるAndroidゲーム機だ。そのため,特段気にする必要はないが,動画視聴という点では特筆すべき魅力はない。とはいえ,前面ガラス張りというデザインの魅力もあり,数万円程度の安価なAndroidゲーム機で動画視聴するよりは,満足感は高いだろう。

 筐体が薄いと気になる冷却性能は,ベイパーチャンバーと空冷の組み合わせで強力に放熱する仕様を採用する。5180mm2という広い範囲のベイパーチャンバーと,7053mm2の広いヒートシンクフィンにより,背面の加熱を防いで長時間の使用も可能という。

 バッテリー容量は約6000mAh。ハイエンドなスマートフォンでも4000〜5000mAhの製品が多いので,わりと大容量だ。省電力モードも駆使すれば,それなりに長時間の動作も可能かもしれない。


マットで落ち着いたデザイン


 ガラスパネルで覆われた前面は,「AYANEO 2」に似た印象だ。削り出し加工のボディやサンドブラスト加工を施した底面,クリア素材を用いたD-Padや[A/B/X/Y]ボタンの質感も相まって,安価な中華系Androidタブレットのようなちゃちさはない。そのうえ薄くて軽いので,高級なスマートフォン並みのスタイリッシュな外観で所有欲を満たしてくれる。

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 上側面には,指紋認証センサー付きの「電源/スリープ」ボタンや音量調整ボタン。さらに[LB/RB]ショルダーボタンと[LT/RT]トリガーがあり,ショルダーの横には[LC/RC]カスタムボタンも備える。
 [LT/RT]トリガーの沈み込みは,Razer Edgeで実測約8mmだったのに対して,4mm程度といったところ。2mmほどしかなく浅すぎたGPD XPよりは調整のしがいがあるが,好みは分かれそうだ。

上側面。側面は,金属素材の表面に,ザラッとした手触りのサンドブラスト加工を施しており,手触りも良い。ノイズキャンセリング対応デュアルマイクも搭載し,ボイスチャットも可能だ
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[LB/RB]ボタンの内側には,[LC/RC]のカスタムボタンがある。ボタンのサイズは小さいが,人差し指を伸ばしてすぐにアクセスできる位置にあるので,操作はしやすい
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 下側面には,DisplayPort Alternate Mode対応のUSB 3.2 Gen 2 Type-Cポートを備えており,DisplayPort 1.4対応のUSB Type-Cケーブル1本で映像を出力できる。最大40WのUSB Power Delivery急速充電も可能だ。
 ちなみに,AYANEO Pocket Sを,筆者が所有している「AYANEO AIR」用のドッキングステーション(以下,ドック)に取り付けたところ,USB Type-C経由でドックのHDMIからの映像出力や,ドックのUSBポートに接続したマウスやキーボード,Xboxワイヤレスコントローラでの操作も行えた。

USBポートはUSB Type-Cがひとつとシンプル。下側面のUSB Type-Cポートに差し込むタイプのドックを使えば,デスクトップPCライクにも使えそうだ
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 ちなみに背面は,スピーカーや排熱孔もなく,サンドブラスト加工されたマットでさらさらとした手触りのシンプルなデザインになっている。

背面は,中央にシリアルナンバーのシールがあるだけとシンプルだ
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ボタンは柔らかい押下感

アナログスティックの精度も良好


 D-Padは丸型ではなく,十字キータイプ。
 競合であるGPD XPやRazer Edgeも同じ十字キータイプだが,いずれも押下感はやや硬めで,入力するときは,指に少し力を入れる必要があった。一方,AYANEO Pocket Sの十字キーは,キーの押下感が柔らかく,指にかかる反発力は,ほか2機種よりも小さい印象だ。

D-Padは十字キー型。アナログスティックの上には,「Xbox」メニューを開くホームボタンが,十字キーの下には,Androidの「タスク管理」ボタンと,「ホーム」ボタンがある
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2色射出成型で半透明な[A/B/X/Y]ボタン。アナログスティックの下には「AYANEO」ボタン,カスタムボタンを備える
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 丸型D-Padではないので,斜め方向への入力がしやすいとは感じないが,好みにはよるものの,RPGや「原神」くらいのアクションRPGなどであれば,キャラクターの操作に使ってもいい。
 十字キーや[A/B/X/Y]ボタンは,GPD XPやRazer Edgeよりもキーストロークはわずかにあるほうで,押し込みは柔らかいものの,しっかりとした打鍵感があるなと感じた。ボタンの押下感による操作性にこだわりがあるなら,ハイビームなどの販売店で,購入前に確認することをお勧めしたい。

 アナログスティックは,磁気ホール式センサーを採用している。比較的高価なゲームパッドで採用が増えているタイプのスティックで,ドリフト現象を防ぎつつ,非接触のため耐久性も高いというものだ。
 そこで,AYANEO Pocket Sにプリインストールされていたテストツール「Gamepad Tester」で,動作を確認したところ,非常に滑らかな動きを確認できた。ただ,左アナログスティックは,上方向に少し倒したところで,ときどきポイントが固定されるドリフト現象が起きていた。片側だけなので,発売前の試用機材によくある個体不良の問題だと思うが,多少気になるところではある。

プリインストールされているGamepad Testerでは,アナログスティックを円を描くように回してみると,緑色の線のようにきれいに円を描けた。左スティック(AXIS Y)の中央やや上にある赤い点は,ドリフトが起きていたところ
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 ためしに,Human Benchmarkが運営するWebサイト版Gamepad Testerにて,アナログスティックで円を描いたときの認識具合を確認できる真円度テストも行ってみた。テスト結果は,左右ともに0.1%と,限りなく真円に近い精度で入力できている。

真円度テストでは,満点といって良い精度を示した
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 AYANEO Pocket Sの左側面には,カバー付きのmicroSDカードスロットが,右側面には,処理性能を切り替えられる「ターボキー」がある。内蔵ストレージの容量は512GBとそこそこ大きいが,足らない場合はmicroSDカードで拡張できるわけだ。

左側面には,カバーに覆われたmicroSDカードスロットがある
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右側面にあるスイッチが「ターボキー」。スライドさせると処理性能が切り替わる
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フロントエンドアプリ「AYAHome」でさまざまなカスタマイズが可能


 AYANEOの独自のアプリケーションランチャーである「AYAHome」は,よく使うアプリをアイコンで並べて管理し,ゲームパッドで操作できるものだ。

AYAHomeのホーム画面。壁紙には任意の画像を設定できる
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アプリをインストールするだけでは,ホーム画面に並ばない。アプリ一覧で任意のゲームのアイコンを長押して表示されるメニューから,「Add to Homepage」を選ぶと,ホーム画面に追加できる
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 ちなみに,「原神」など一部ゲームは,最初から壁紙が用意されているので,ホーム画面でアイコンを選択すると,壁紙が自動で変わるギミックがある。

原神は,デフォルトで壁紙が用意されている
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 天面右側にあるAYANEOボタンを押すと,いつでもクイックセッティングメニューを表示できる。クイックセッティングメニューでは,動作モードを切り替える「Performance」のほか,ゲームパッドや各種機能など,さまざまな設定が行える。

右側に出ているのがクイックセッティングメニュー。「Performance」では,フレームレートやCPU,GPU使用率,温度,動作モードの切り替えなどを設定できる
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 Performanceで選べる動作モードには,処理性能が高い側から「Max」「Game」「Balance」「Saving」の4モードがある。
 ちなみに,Windowsベースの携帯型ゲームPCの場合は,動作モードをTDPで表示することがほとんどだが,AYANEO Pocket SではTDP表示はない。動作状態をオーバーレイ表示する機能はあるが,CPU,GPUの使用率と温度やフレームレート,ファンの回転数などを示すのみだ。

 フレームレートを計測できるアプリ「TOOLBOX-SCENE」(Scene 7)を使って,CPUとGPUの動作クロックをチェックしてみた。

オーバーレイ表示の例。左上に動作モードをMaxにした状態のCPUとGPUのクロックを示している
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AYAHomeだけでなく,AYANEO Pocket S標準機能でも,CPUやGPUの負荷,フレームレートといった動作状態を表示できる
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 「Max」時のCPUクロックは,最大3360MHz,GPUクロックはゲームプレイ時に1000MHzまで上がっていた。「Game」時は,CPUクロックが最大2803MHz,GPUクロックが295MHz。「Balance」時は,CPUクロックが1300〜2000MHz前後,GPUクロックが295MHzとなっている。一方で「Saving」時は,CPUクロックが最大672MHz,GPUクロックが220MHzとがっつり下がっていた。
 ちなみに各モードは,先述したターボキーでも変更できる。また,高い処理負荷のモードになると,自動でファンの回転数も上がるが,ユーザー自身でも変更できる。

 ゲームパッドの設定では,振動機能のモード変更やトリガー,アナログスティックの感度を変更可能だ。「SoundTap Magic」を有効にすると,AIが自動で解析して,ゲームの音に合わせて振動するようになる。また,「Key Vibration」を有効にすると,キーを押すごとに振動するようにできる。

ゲームパッドの設定。トリガーとアナログスティックは,デッドゾーンの設定はできないが,感度を調整できる。さらに,XY軸の反転も可能だ
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[A/B/X/Y]のボタン配置は2種類から選べる
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「Handheld」では,輝度や音量の調整,機内モードやBluetooth,Wi-Fiのオン/オフ設定。RGBライティングの設定が行える
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キーマッピングでゲームパッド非対応のゲームを操作可能に


Key Mappingの設定画面
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 ゲームを実行中にゲームパッドの設定を開くと,最上部に「Key Mapping」というスイッチがある。これは,ゲームパッド非対応のゲームを,AYANEO Pocket Sのゲームパッドで操作できるようにする割り当て機能だ。

 スイッチを入れて有効にしたうえで,「Go to configuration」を選択すると,ゲーム画面の上部にキーマッピングの設定がオーバーラップ表示される。今回は「鳴潮」でキーマッピングをしてみた。

 大抵のスマートフォンゲームは,移動と視点変更はアナログスティックで行えるし,D-Padも機能選択に使えば,メイン画面はほかのボタン類だけで操作できるようになる。
 視点変更に右のアナログスティックを割り当ててみたところ,デフォルトの感度だと少ししか視点移動ができなかった。そこで,最大の「300%」に設定してみたところ,ヌルヌルと快適に視点移動できるようになった。画面上での操作範囲を広げることもできるが,ほかのキーと干渉するかもしれないので,デフォルト値では動きが足らないと感じたときは,感度を上げるほうが良さそうだ。

「Add Mapping Point」を選択すると,ボタン設定のメニューが表示される。Expandを選択すると,より多くの各種ボタンが選択できる。仮想キーの透明度も変更可能だ
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作成したボタンとスティックの割り当て設定
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アナログスティックは。50〜300%の間で感度調整も行える
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 鳴潮のようなアクションゲームは,画面上の仮想ゲームパッド操作ではやりにくいと感じて,ゲームパッドで操作したいという人も多いだろう。そんな人には,AYANEO Pocket Sのキーマッピングは持ってこいだろう。キーの入れ替えも自由自在なので,自分好みの配置でプレイできるのもうれしいところだ。


クラウドゲームやリモートプレイも快適


 AYANEO Pocket Sでは,「GeForce NOW」のようなクラウドゲームアプリや,「Steam Link」のようなリモートプレイアプリなら,キーマッピングを行わなくてもゲームパッドで遊べる。ただし,PlayStation 5/4のリモートプレイアプリ「PS Remote Play」は,正式対応しているわけではないので,PS5純正のゲームパッド「DualSense」を接続するか,キーマッピングで割り当てる必要があった。

 まず,GeForce NOWの「Ultimate」プランを試してみた。Ultimateプランは,「GeForce RTX 4080」ベースのサーバーに接続して,3840×2160ドットの最大リフレッシュレート120Hzでゲームをプレイできる(関連記事)。
 ただ,残念ながら筆者の通信環境側の問題で十分な通信速度が出なかったため,クラウドゲームの解像度が1280×720ドットまで落ちた。それでも,動作が重い「ドラゴンズドグマ2」を,ほぼ60fpsを維持した状態でプレイできた。

やや通信が不安定という環境だったが,PINGも9msと,対戦ゲームが快適に遊べるくらい速い値を示して,快適にドラゴンズドグマ2をプレイできた
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 Steam Linkでは,比較的新しい格闘ゲームとして「鉄拳8」をプレイした。接続したPCの主なスペックは,CPUは「Ryzen 5 7600」で,GPUが「Radeon RX 7600」,メインメモリ容量32GBである。
 Steam Link起動時に,AYANEO Pocket Sは「対応デバイスではないので,動作が不安定になるかもしれない」との注意文が表示されたが,問題なく動作している。PC側は解像度2560×1440ドットで,60fps貼り付きで動作しており,AYANEO Pocket S側も,ほぼ60fpsで動作していた。
 筆者は,格闘ゲームについてはライトゲーマーなので,「1フレームコンマ何秒遅れている」といった繊細な挙動までは見分けられないが,とくに大きな遅延もなくプレイできていた。

Steam Linkを使えば,Steamの入ったPCに接続してAYANEO Pocket SでPCゲームが遊べる
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GPU性能はRazer Edgeの約2倍!


 AYANEO Pocket Sのいろんな機能を紹介してきたが,実際の性能はどうなのか。いくつかのベンチマークソフトで確認していきたい。
 今回,比較用に用意したデバイスは,のとおり。筆者が所有している既存のAndroidゲーム機2機種と,最新のゲーマー向けスマートフォンである「ROG Phone 8 Pro」を用意した。

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 AYANEO Pocket Sのスペックだけ見ると,搭載SoCは,2023年発売のRazer Edgeが採用した小型ゲーム機向けSoCの後継モデルであり,メインメモリ容量は倍以上で,ストレージは高速な最新世代の「UFS 4.0」である。
 さすがに,実勢価格で18万円近い最新のゲーマー向けスマートフォンであるROG Phone 8 Proに比べれば,スペック的にはやや見劣りするが,性能差がどれくらいで,実際に快適なゲームプレイが可能かどうかが重要だ。

 まずは,定番の「AnTuTu Benchmark」(v10.2.6)と,マルチプラットフォーム対応の「GeekBench 6」を使って,各デバイスの基本性能をあらゆる探ってみた。
 なお,ROG Phone 8 Proは性能を最大限引き出すため,専用クーラーの「AeroActive Cooler X」を接続して,Xモードにした状態で計測した。一方,AYANEO Pocket Sは,「Max」モードで計測している。いずれも3回計測して,平均値を結果として採用している。
 総合スコアをグラフ1に,スコアの内訳をグラフ2にまとめた。

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 AYANEO Pocket Sは,ROG Phone 8 Proに3割ほど差を付けられたが,Razer Edgeに対しては,7割ほどの差を付けている。とくにGPU性能では,倍近い差を付けたほどだ。

 Geekbench 6の「CPU benchmark」の結果(グラフ3)は,AnTuTu Benchmarkに近い傾向を示している。

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 CPU性能で見ると,AYANEO Pocket Sは,ROG Phone 8 Proに4割ほど差を付けられているが,ほかの2機種よりは大幅に高いスコアを出した。シングルスレッドの性能差が,そのままマルチスレッドの性能にも現れている。

 Geekbench 6の「GPU benchmark」は,古くからAndroidゲームにも使われているグラフィックAPI「OpenCL」と,OpenCLより新しい世代のグラフィックスAPI「Vulkan」の両方で計測するテストだ。いずれも画面解像度は変更できないので,それぞれの最大解像度での計測になっている。結果はグラフ4にまとめた。

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 GPUのスコアも,AnTuTu BenchmarkのGPUスコアと傾向が似ている。GPU性能は,Razer Edgeよりも倍以上のスコアを示しており,ゲームプレイがより快適になる可能性を示している。
 ちなみに,やや性能が劣るRazer EdgeとGPD XPの2機種は,OpenCLのスコアがVulkanのスコアより高い。一方,AYANEO Pocket SとROG Phone 8 Proは,Vulkanの方がOpenCLより高スコアだ。つまり,性能で劣る2機種は,次世代APIを上手く扱えておらず,AYANEO Pocket SはきちんとVulkanでも性能を引き出せていると考えていいのかもしれない。

 そこで,次は3Dグラフィックスベンチマークアプリである「3DMark」でグラフィックス性能を計測してみた。なお,マルチプラットフォーム向けで中負荷のDirectX 12テスト「Steel Nomad Light」と,同じくマルチプラットフォーム向けのレイトレーシングテスト「Solar Bay」は,GPD XPとRazer Edgeでは実行できなかった。
 計測結果はグラフ5のとおり。

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 やはりAYANEO Pocket Sは,Razer Edgeよりも倍以上も高いスコアを記録している。しかしながら,ROG Phone 8 Proには相変わらず3割ほど差を付けられた。
 ちなみに,AYANEO Pocket Sの「Wild Life Extreme」における平均フレームレートは,23fps前後だ。それに対してROG Phone 8 Proは,31fps前後と30fpsを超えている。現状では,ROG Phone 8 Proでフレームレートがこれくらいしか出ないAndroidゲームはないと思うが,次世代ゲームでの優位性は示していると言えようか。


ストレージ速度はランダムリードが爆速か!?


 AYANEO Pocket Sのストレージ速度も,調べてみよう。今回は,AnTuTu Benchmarkの「Storage Test」と,PC用のストレージテストアプリ「CrystalDiskMark」のような計測がスマートフォンでできると評判のアプリ「CPDT Benchmark」を使って性能を計測してみた。
 まずは,AnTuTu BenchmarkのStorage Testの結果(グラフ6)から。

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 ストレージの速度は,UFSバージョンと容量の違いが,速度差としてそのまま表れたといった結果だ。AYANEO Pocket SとROG Phone 8 Proのストレージは,いずれもUFS 4.0だが,容量は倍も違う。空き容量の違いもあるだろうが,約6割も速度差が付いた格好だ。
 速度の内訳を確認したところ,逐次読み出し(シーケンシャルリード)と逐次書き込み(シーケンシャルライト)の性能に大きな差はないが,ランダムアクセスで倍以上の差が付いていた。

 次のCPDT Benchmarkは,1000MB/sを超えるとGB/sに単位が変わるが,横並びで比較するために,単位をMB/sで統一した。結果はグラフ7,8のとおり。

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 CPDT Benchmarkでは,AnTuTu Storage Testとは傾向がやや異なり,AYANEO Pocket SとROG Phone 8 Proの速度は,勝ったり負けたりしている。とくにAYANEO Pocket Sのランダムリードは,毎回100MB/sを超えており,比較対象を大きく上回っているのは興味深いところだ。


原神や鳴潮も高画質設定で60fps弱で表示


 最後にゲームのフレームレートも計測してみたい。フレームレートは「Scene 7」というアプリを使って計測した。ただ,Razer Edgeでは動作しなかったため,「TakoStats」という別のアプリを使用した。TakoStatsでは,任意のシーン以外のフレームレートも多少拾ってしまうので,あくまで参考値として見てほしい。

原神のテスト時設定
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 まずは定番の「原神」から。画質を「高」に設定したうえで,フレームレートを「60」に上げて,璃月港で1分間動き回ったときのフレームレートを計測した。グラフ9に測定結果をまとめている。

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 AYANEO Pocket Sは,平均フレームレートが57.5fpsとなった。エフェクトが多い激しい戦闘中では,これよりも下がるとは思うが,最小値も44fps出ていたので,動作が重いと感じることは少なさそうだ。
 画質「高」設定でこの結果なら,ゆるりと探索している間は「最高」画質でも遊べるという期待感がある。ただ,最小値も60fpsで張り付いていたROG Phone 8 Proほどではない。

鳴潮のテスト時設定
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 次に,オープンワールドアクションRPGとしてSNSでも話題の「鳴潮」で計測してみた。グラフィックプリセットは「高」で,最大フレームレートは「60fps」に設定して,今州城入口付近で動き回ってフレームレートを計測している。結果はグラフ10のとおり。

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 鳴潮では,AYANEO Pocket Sは,ROG Phone 8 Proとほぼ互角のフレームレートを記録した。解像度は,少しばかりAYANEO Pocket Sのほうが高いことも考慮すると,かなり優秀な結果と言える。最小フレームレートも,ROG Phone 8 Proが53fpsのところ,AYANEO Pocket Sが55fpsとわずかに上回った。
 手動で操作する必要があるので,完璧に同じ動作をできるわけではなく,多少の誤差はあるだろう。しかし,現時点での鳴潮の動作に限ってで言えば,快適さはほぼ互角と言ってもいいかもしれない。

ヘブバンのテスト時設定
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 最後に,筆者がスマートフォンゲームの計測をしていて,なかなかに負荷が高いと感じている「ヘブンバーンズレッド」(以下,ヘブバン)で計測してみた。画質モードは「モバイル標準」,FPSモードは「標準」にして,スコアアタックで2分間戦闘したときのフレームレートを計測している。

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 グラフを見てのとおり,AYANEO Pocket SとROG Phone 8 Proの平均フレームレートが高いのはこれまでどおりだが,Razer Edgeがそれらに迫る勢いを見せているのが大きな違いだ。
 ヘブバンは,キャラクターが攻撃をするモーション時に,フレームレートが大きく下がることがある。しかし,攻撃方法を選択している間はフレームレートが高い時間が長いためか,Razer Edgeでも平均フレームレートが高くなるようだ。

 一方で,AYANEO Pocket SとROG Phone 8 Proの平均フレームレートは,これまでよりも低めになった。とくに最小フレームレートは,AYANEO Pocket Sで44fps,ROG Phone 8 Proで34fpsとなっていて,攻撃モーション時のフレームレートの急な落ち込みが,平均フレームレートの低さにつながっているのが分かる。とはいえ,AYANEO Pocket Sは画面がカク付く場面も少なく,割と快適にプレイできていた。

 今後のゲームのアップデートによって,快適度が変わることもあるだろう。しかし,現状のAYANEO Pocket Sは,最新のゲームから,比較的動作の重いゲームまで,平均50fps以上で快適に動作できる性能を有しているようだ。

 ちなみに背面は,ゲームの長時間プレイでも高温になることもなかった。この薄さで,前面の手で握った部分がほんのり熱くなる程度に収まっているのは,ベイパーチャンバーと空冷を組み合わせた冷却機能の優秀さを感じる。サードパーティ製のスマートフォン用外付けクーラーがなくても,長時間のゲームプレイ中に熱ダレして,極端にゲームのフレームレートが落ちる心配は,あまりなさそうだ。


薄型ながら冷却性能も高く,Androidゲーム機としては魅力的


 まとめに入ろう。AYANEO Pocket Sは,2560×1440ドットと高解像度で,視野角の広い液晶ディスプレイと,ハイエンドスマートフォンにやや劣る程度には高性能なSoCを搭載しているのがポイントで,数万円で購入できる「安かろう悪かろう」な中華系Androidゲーム機とは一線を画す存在だ。
 前面のガラス張りやマットな質感の背面により,所有欲をかき立てる高級感も有する。それに加えて,約14mmの厚さと約350gの軽さも良い。ゲームパッドとボディの一体感が,手に馴染むのも好印象だ。

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 またAYANEO Pocket Sは,アナログスティックにデッドゾーンがないことや,トリガーボタンの感度を変えることで,セミオートのバースト射撃やフルオートのバースト射撃も楽に行えること,さらに,ジャイロセンサーでエイムを行えることなど,FPSプレイヤーに向けてアピールする要素も強い。たとえば,「荒野行動」などのプレイヤーなどであれば,有効な使い道を見いだせるのかもしれない。ただ,正直に言うと,タッチ操作に最適化されたFPSゲームで有用かまでは確認できなかった。せめて,「どのFPSゲームでは快適になるのか」といった,テストしたゲームの情報を公開するか,プリセットを用意してほしいところだ。
 以前に,「(FPSの)フレームレートは30fpsでもいい」論争がSNS上であったが,高フレームレートでのプレイに慣れ親しんだ人以外は,AYANEO Pocket Sの60fpsでも,快適に遊べるかもしれない。とはいえ,FPSプレイヤーに適した製品かと問われれば,疑問は残る。

 現状最高峰のゲーマー向けスマートフォンであるROG Phone 8 Proには,性能で適わなかったが,価格差を考えれば妥当なところ。既存のAndroidゲーム機としては高い性能で,現状重いと思われる最新ゲームも,サクサク動くのは間違いない。「Androidベースのゲーム機が欲しい」という人にはお勧めできる1台だ。

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