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印刷2022/08/07 14:04

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BitSummit「吉田修平のインディーズゲーム紹介」セッションレポート。「LOST EPIC」の開発経緯やプロモーション戦略などが語られた

 2022年8月6日,インディーズゲームイベント・BitSummit X-Roadsにて,セッション「吉田修平のインディーズゲーム紹介 Part.1」が行われた。本セッションは,ソニー・インタラクティブエンタテインメント インディーズ イニシアチブ代表 吉田修平氏がホスト役を務め,7月28日にフルリリース版が配信開始となった「LOST EPIC」PC / PS5 / PS4)を紹介するというものだ。

画像集#001のサムネイル/BitSummit「吉田修平のインディーズゲーム紹介」セッションレポート。「LOST EPIC」の開発経緯やプロモーション戦略などが語られた

 ゲストとして招かれたワンオアエイト 代表取締役 / エグゼクティブプロデューサーの小村一生氏と開発部部長 / プロデューサーの鈴木秀一氏,そしてフリーランスのゲーム開発者で「LOST EPIC」のディレクターを務める黒岩太一郎氏が,本作の開発の経緯やプロモーション戦略,インディーズでゲームを作る意義などを明かした。

吉田修平氏
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 「LOST EPIC」は,2015年にリリースされた「EARTH WARS」を開発したTeam EARTH WARSの新作である。このチームは,黒岩氏がもともとイメージエポックと一緒に開発する予定だった「EARTH WARS」の企画を,ワンオアエイトに持ち込んだことがきっかけでスタートしたそうだ。

 リリース当初の「EARTH WARS」はあまり注目されなかったが,プラットフォームを増やしていくうちに評価が高まっていき,2016年ごろには「Team EARTH WARSでもう1本作ろうか」という話になったという。そこで黒岩氏は,「EARTH WARS」での経験や培ったノウハウで,以前から作ってみたかったメトロイドヴァニアにチャレンジすることを考えたそうだ。

黒岩太一郎氏
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 「LOST EPIC」は,2016年から2022年まで足かけ6年間開発が続いたが,グラフィックスなどを除くほとんどの部分は黒岩氏が1人で細々と作っていたという。ちなみにワンオアエイト側のスタッフは,鈴木氏のほか,常時いるのが背景担当とモーション担当の2名だったという。エフェクトなどは,ほかの仕事の空き時間に作ってもらっていたそうだ。正式にグラフィックスが出来上がり,ゲームとして完成に近くなったのは,アーリーアクセス開始(2021年6月)の約1か月前くらいだったのだとか。

 鈴木氏によると,「LOST EPIC」のプロモーションを展開するにあたり,アーリーアクセスにするかクラウドファンディングにするかで迷ったそうだ。結局,インディーズゲーム情報番組「INDIE Live Expo」で初報を出すのであれば,アーリーアクセスのほうがいいのではないかと判断し,それ以降も番組で発表するタイミングに合わせて,公式サイトの公開やアーリーアクセスの開始,そしてフルリリース版の配信開始と,戦略的に展開したことが明かされた。

鈴木秀一氏
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 また小村氏は,「EARTH WARS」のときにプロモーション戦略を一切やらなかった反省から,「LOST EPIC」は多くの人の目に触れることを意識したと話していた。実際,「LOST EOIC」のプロモーション戦略は効果的で,アーリーアクセス開始時のSteamのウィッシュリスト数は5万にも上ったという。

 アーリーアクセス開始から,フルリリース版配信開始までの期間は,SNSなどに寄せられた意見や要望を参考に改善を進めていったとのこと。海外から英語や中国語で寄せられた不具合報告なども理解できる形にして共有し,修正の優先順位などを決めていたという。黒岩氏によると,かなり厳しい指摘もあったが,可能な範囲で応えた結果,かなりチューニングできたそうだ。

画像集#007のサムネイル/BitSummit「吉田修平のインディーズゲーム紹介」セッションレポート。「LOST EPIC」の開発経緯やプロモーション戦略などが語られた

 今回アーリーアクセスにチャレンジしたことについて,黒岩氏は「やってよかったとは思うが,大変だった」と答える。海外ではまずβテストを実施し,その結果を受けてチューニングしてからアーリーアクセスに入るケースが多いことを紹介して,「ユーザーはお金を払っているから,かなり厳しく指摘してくる。α版の段階で実施していいものではなかった」と振り返っていた。

 また小村氏は,「LOST EPIC」のほとんどを黒岩氏が作っているため,修正や要望の対応は優先順位を決めて,1つずつ順番にやっていくしかなかったと語る。加えて,対応が遅れたままにしておくと印象が悪くなるため,寄せられた意見などには可能な限り返信していったとのこと。ユーザーからの意見などは予想を超えて大量に寄せられるので,これからアーリーアクセスにチャレンジしようというインディーズスタジオは,スタッフの人数を含め,万全の体制を構築してから臨んだほうがいいとも話していた。

小村一生氏
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 話題は,寄せられる意見などが国や地域によって異なることにもおよんだ。鈴木氏によると,海外のユーザーはアーリーアクセス版に対して比較的寛容だが,日本のユーザーは厳しい傾向にあるそうで,「我々の認識がズレていた」と反省していた。

 アーリーアクセス開始からフルリリース版配信までに,1年以上かかった「LOST EPIC」。当初は6か月でフルリリース版を配信する予定だったそうだが,物量などの見積もりが甘く,結局倍近くの期間になってしまったという。
 また黒岩氏によると,フルリリース版配信開始後に寄せられたフィードバックへの対応は,今後のアップデートで順次対応していくとのこと。さらに,アーリーアクセス期間中に一時実装したものの,現在は削除されている機能やコンテンツなどの再実装などもやっていきたいと意気込みを見せていた。

 セッションの最後に,ワンオアエイトがオリジナルゲームタイトルを自社パブリッシングする意義を問われた小村氏は,「自分たちで面白いゲームを作りたかった。必然だった」という。
 2014年の会社設立以降,数本のオリジナルタイトルを経て「EARTH WARS」でようやく手応えを得たそうで,「技術や機会があるのに,ゲームを作らないのはもったいない。今は在庫を待たないダウンロード販売もできる。この状況で,挑戦しないほうがリスクだと思っている」と考えを述べ,今後もワンオアエイトやTeam EARTH WARSのゲームを作り続けていくと語った。加えて黒岩氏や鈴木氏も,新しいチャレンジを続けていきたいと語っていた。

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