Intel，ノートPC向けの単体GPU「Intel Arc A」シリーズを正式発表。エントリー市場向けは4月，高性能モデルは2022年夏に登場

　北米時間2022年3月30日，Intelは，同社独自の「X^e-HPG」アーキテクチャを採用する単体GPU「Intel Arc A」（以下，Arc A）シリーズを正式に発表した。今回発表となったArc AシリーズはノートPC向けのGPU製品で，ラインナップの下位ブランドとなる「Intel Arc 3」（以下，Arc 3）を搭載する製品は2022年4月に，より高性能な上位ブランド「Intel Arc 7」（以下，Arc 7）および「Intel Arc 5」（以下，Arc 5）を搭載する製品は2022年夏にリリースの予定だ。

Arc Aには，大小2種類の半導体ダイが存在する

Arc 3はエントリーで，番号が大きくなるほど高性能なブランドというあたりは，Coreプロセッサの番号と同じである

　Arc Aシリーズは，開発コードネーム「Alchemist」と呼ばれていたもので，すでに第12世代Coreプロセッサなどに組み込まれた統合型グラフィックス機能（以下，統合GPU）「X^e-LP」と同じ，Intel X^eアーキテクチャを土台とする単体GPUである。
　いずれも，Microsoftの「DirectX 12 Ultimate」で規定されたリアルタイムレイトレーシング技術に対応するレイトレーシングユニットや，AI処理向け命令「XMX」に対応する演算ユニット，そして高画質なビデオコーデック「AV1」のハードウェアエンコードに対応したビデオ処理ユニット「X^e Media Engine」といった機能を備える。AI処理ユニットを活用したIntel独自の超解像技術「X^eSS」にも対応しているなど，現代のゲームグラフィックス向けGPUに必要とされる要素は，もらさずカバーしているといえよう。


　発表と同時にリリースされたArc 3は，「Intel Arc A370M」（以下，A370M）と「Intel Arc A350M」という2種類の製品があり，どちらも解像度1920×1080ドット（以下，1080p）での快適なゲームプレイを目標としたエントリー市場向けの単体GPUとなっている。基本的に数字の大きいものほど高性能と理解していい。
　そのほかに，ミドルクラス市場向けとなるArc 5には「Intel Arc A550M」，ハイエンド市場向けとなるArc 7には「Intel Arc A770M」「Intel Arc A730M」という製品がラインナップされる予定だ。

Arc Aシリーズのラインナップ

　競合他社のGPUとの性能比較をIntelが公開していないため，たとえば「GeForce RTX 30シリーズと比較して，どれくらいの性能があるのか」といったことは分からない。ただ，Intelは，既存の第12世代Coreプロセッサが搭載する統合GPUでは，1080pで60fpsのフレームレートが出せないゲームであっても，A370Mであれば60fpsを上回るフレームレートで表示できると主張している。
　さらに，比較的グラフィックス表示の処理負荷が低い「Fortnite」や「Grand Theft Auto V」「Rocket League」などでは，1080pで90fpsを上回る表示が可能であるという。

A370Mおよび「Core i7-12700H」と，「Core i7-1280P」の統合GPUでゲームのフレームレートを比較したグラフ。A370Mであれば，60fpsを上回る表示が可能となっている

こちらは比較的グラフィックス表示の処理負荷が軽いゲームでのフレームレート比較。A370Mであれば90fpsを超えた表示が可能としている

　Arc Aシリーズについての詳報は，後日レポートする予定だ。


　また，Intelは，Arc Aシリーズを搭載するデスクトップPC向けグラフィックスカードも，2022年夏にリリースする予定であることも明らかにしている。搭載GPUの製品名やスペックは明らかになっていないが，Intelがゲーマー向けに投入する単体GPUということで，ゲーマーの注目を集めることになりそうだ。

グラフィックスカード版のArc Aシリーズは2022年夏に登場予定

Intelの当該プレスリリース(英語）