プレイレポート
正義と悪の間で揺れ動く「Paradigm Paradox」プレイレポート。閉ざされた世界で生きる少女に降りかかる選択の時
アイディアファクトリーから2021年5月27日に発売されるNintendo Switch用ソフト「
Paradigm Paradox(パラダイムパラドックス)」。
公式サイトの登場人物ページを見ると,どうやら
攻略対象の男性キャラクター達が魔法少女のように変身するようだ。正義と悪に分かれて戦うヒーロー作品が大好物ということで,今回のプレイレポートの話に飛びついたのだが,登場キャラクター達の壮絶とも言えるバックボーンや,先の読めない展開。そして主人公に関わる魅惑的なサブキャラクター達。どれをとってもとても奥深く,どんどん引き込まれていった。
この良作をぜひ1人でも多くの人にプレイしてほしい! そう願い,本稿ではプレイレポートをお届けしよう。
本作に登場する人類は,隔離されたコロニーでしか生きられなくなっている。隔離されてるとはいえ,そこで暮らす主人公をはじめとした人々は,なんら不自由なく生活を送っていた。ただ1つ気になることといえば,
夜間に獣が出てきて正義の味方(ヒーロー)が戦って平和を守っているという噂話。しかし危険な話も聞かないため,主人公は親友・
東雲リーゼ(CV:折笠富美子)と一緒に通っている学園の寮で楽しく暮らしていた。
主人公は名前のみ変更可能。主人公もリーゼもとても可愛い。とにかく2人ともいい子なので,楽しそうな彼女達を見ているだけでも微笑ましい気持ちになる
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ある日主人公は,大切なものを街で落としてしまい寮を抜け出す。このコロニーでは,夜になると住人全員に外出禁止が命じられている。急げば間に合うはず…と思っていた主人公だったが,その判断により運命が大きく変わってしまう。
主人公は無事に落とし物を見つけるが,目の前に見たこともない巨大な獣が現れ襲われてしまうのだった…!
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絶体絶命のピンチを救ってくれたのは,4人の女の子達。彼女達が噂の正義の味方なんだ…とぼんやり思いつつ主人公は気を失う
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目覚めた主人公に突きつけられたのは,命を救ってくれたヒーローの仲間・
Blooms(ブルームズ)に選ばれたということ。しかも拒否権はないうえ,ヒーローとして変身して戦っているという秘密が周囲にバレたらコロニーにいられなくなるという脅しを受けてしまうのだった。
うさんくさい(?)笑顔を浮かべ,ヒーローの説明をしてくれるのは,学園の先生でもある倉守マサキ(CV:駒田 航)。主人公にはヒーローとしての適性があるとのことだが……?
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突然仲間に加わることになった主人公に対し,ヒーローの女の子達も微妙な反応
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こうして,突然非現実的な日常に放り込まれた主人公は先輩ヒーロー達と協力しながら巨大な獣――
害獣(がいじゅう)を倒すことになっていく。その中で,主人公は街を破壊し住人を襲う害獣を率いる
人型の敵がいることを知る。彼らとの出会いは何を意味するのだろうか……?
ヒーローの女の子達は,それぞれ異なる超能力を使って戦う。特性を活かした連携プレイで害獣を倒していく
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理性のない害獣とは比べものにならないほど強い3人組が立ちふさがる! 彼らの目的は一体!?
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攻略キャラクターの男の子達が可愛い女の子の姿で登場!?
物語の冒頭の紹介が終わったところで,ここからは気になる攻略対象の男性キャラクター達に注目してみよう。本作で攻略対象となるのは,8人。ヒーローから4人,敵側から3人,謎多き業者さんが1人となっている。Bloomsに所属する4人の攻略対象達は,害獣と戦う際に女の子の姿になって戦うのだが,日常と戦闘時の性格が違うのも本作の見どころだろう。
◆高遠トキオ(CV:八代 拓)
主人公と同じ学園に通う2年生。学園内の一室を借りて研究に明け暮れていることが多く,授業中は常に寝ている。生徒会長のアユムとは幼なじみ。
◆カオリ(CV:宮下早紀)
トキオが変身したときの姿。正義のヒーロー・Bloomsのリーダー的存在で,はきはきとしたタイプ。催眠(マインドオペレート)で相手の認識を書き換えることを得意とする。
いままで研究にしか興味を注げなかったトキオ。そのせいで主人公の気持ちがわからず,ケンカしてしまうこともしばしば。チームメイトになったことで,彼の心にも変化が訪れるのだろうか?
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◆栖原カムイ(CV:髙坂篤志)
つねに女子生徒に囲まれている人気者な3年生。誰にでも分け隔てなく優しく,気づかいができるため男女問わずすぐに仲良くなれる。
◆セナ(CV:結名美月)
カムイの変身後の姿。ツンデレお嬢様を気取っているが,素直で優しいためボロが出やすい。予知(ライフロット)を使って,害獣の動きなどを予測する。
学園一チャラ男という噂通り(?)主人公に対しても軟派な言葉がポンポン出てくる。手練れなのかと思いきや可愛らしい言動も多く憎めない
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◆新記ミハヤ(CV:榎木淳弥)
主人公の後輩に当たる1年生。とある事件をきっかけに,他人と距離を取るようになった。図書室で静かに本を読んで過ごしている。
◆モカ(CV:井上遥乃)
超能力を使うときのミハヤの姿。関西弁でほんわかとした話し方が特徴。相手の能力を奪い取ることができる贈物(ギフトアビリティ)を使う。
ツンとしている雰囲気が漂うミハヤ。基本的に他人とあまり関わらないが,物怖じしない主人公と過ごすうちに色々な表情を見せてくれるようになっていく
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◆間宮アユム(CV:千葉翔也)
学園女子が憧れる生徒会長で2年生。誰にでも笑顔で接するが,人が居なくなると本性が現れる。妹と幼なじみのトキオ以外には心を開かない。
◆ハルカ(CV:高橋李依)
アユムの変身後の姿。無口で淡々とクールに任務をこなす。対象を燃やし尽くす強力な塵焔(じんえん)で敵をなぎ払う。
中学生の妹に対して超過保護なアユムは,主人公に対して絶対零度の冷たさ。しかしときどき見せる笑顔がたまらない
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◆伊吹(CV:野上 翔)
主人公の前に前触れもなく,たびたび現れる謎の青年。やわらかな物腰で,主人公のことを何かと気づかってくれる。
◆モラヴィア(CV:伊藤 静)
伊吹が変身した姿。害獣を率いて主人公が暮らすコロニーへやってくる。雰囲気や言動が,どこか浮き世離れしている。
何かと不慣れな主人公のことを伊吹は優しくサポートしてくれる。なぜか主人公のことを見守ることにしたようだが…?
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◆冨司リョウ(CV:益山武明)
学園に出入りする搬入業者。レアキャラ扱いされており,正面から顔を見た者が少ないため生徒から「妖精さん」と密かに呼ばれている。
レアキャラなだけあり,冨司は神出鬼没。あまり口数も多くなく,人を寄せ付けない雰囲気は近寄り難い。しかしそれには理由があるようで…?
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◆日向(CV:ランズベリー・アーサー)
主人公がコロニーの商業エリアで出会った謎の青年。雪波と行動することが多いが,よく振り回されている。口は悪いが面倒見がいい。
強面のため近寄り難く思えるが,じつは敵陣営の中で一番頼りになる。みんなのお母さんのような役割を担っており,文句を言いながらも世話を焼いている
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◆雪波(CV:畠中 祐)
主人公が出会う謎の青年。好奇心旺盛でなんにでも興味を持つ。情緒面が幼く,無邪気に残忍なことも口にする。
コロコロと表情が変わる可愛らしい雪波だが,善悪の境目が曖昧なため唐突に牙をむくことも。無邪気すぎて主人公の心臓がもたないかも!?
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プライベートはお互いに干渉し合わないBloomsは,本編で絡むことがあまりない。しかし,エンディングを迎えたあとに見られる
「アクティビティレポート」で,そこはバッチリ補完されているのでご安心あれ。男の子同士の楽しいやり取りのほか,彼らがどんな想いをしているかなど楽しいおまけ要素がバッチリ詰め込まれている。レポートは物語を進めるとときどきGETできるので,まずは各キャラクターの物語を進めながらエンディングを目指そう。
思わず笑ってしまうようなやり取りが多いのもポイント
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個別のエンディングを見たあとに見られるおまけでは,そのキャラクターがインタビューに答えてる1シーンも。かなりキュンとするのでお楽しみに!!
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また物語中に聴いたBGMもおまけコンテンツで聴けるように。個人的にどのBGMも気分がアガるものばかりなので,ぜひたっぷり堪能してほしい
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主人公が出会うサブキャラクター達も,とてもいい味を出しているので,簡単に紹介しておこう。個人的には,祖父の前では少し子どもっぽくなるカムイが見られるので,カムイルートでのゼンジとのやり取りをオススメしたい。
栖原ゼンジ(CV:中 博史)
お茶や八つ橋が大好きなカムイの祖父。お茶目な性格で,カムイのことを優しく見守っている
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間宮リツ(CV:上田麗奈)
アユムの実妹で中等部2年生。あることがきっかけで主人公と友人になる
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護堂ヤシマ(CV:宮本 充)
廃墟になったとあるコロニーに身を寄せる男性
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正義と悪のどちらの要素が多いかで進む未来が変わってくる
本作には共通ルートのあとに
“正義共通”と
“悪の正義共通”のどちらかに進むことになる。どちらに進むかは,共通ルートで主人公がとった行動によって変わっていく。主人公のステータスに“正義”と“悪”の数値があるので,その数値の動向をよく見ながら進めよう。
正義なら左側,悪なら右側に愛キャッチが表示される
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物語の進行度はフローチャートで随時確認可能。その物語に,選択肢とバッドエンドがあるかないかも表示されているのでわかりやすい
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個別ルートは,正義共通と悪の正義共通のあとに始まる。なおエンディングは,ノーマルとハッピーのほかバッドエンドの3種類が各キャラクターに用意されている。バッドエンドは最後にたどり着く前にも別のパターンがいくつかあるので,注意しながら進めよう。
個別ルートでは“同調度”(能力使用度)と“好感度”の数値が重要となってくる。この数値がどうなっているかで進む未来が変わるのだ
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フローチャート上で主人公のステータスを設定できるので,周回プレイもラクチンな点がありがたい
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主人公に女の子の姿に変身することが秘密のため,個別ルートに入るまで男の子達と話す機会はあまりないのだが,不思議と女の子達が男の子の姿に重なって見えてくるからおもしろい。物語が進むごとに見えてくる新発見,そしてキャラクターのバックボーンが紐解かれるたびに驚きとともに彼らを救いたい! という想いが強くなる。正直な話,かなり面白かったため,筆者は仕事ということも忘れて夢中になってプレイしてしまった。
ちなみに,最後のバッドエンドにも各キャラクターにイベントCGが用意されているので,悲しみに暮れながら見てほしい。毎回最後に見てしまい絶望感にうちひしがれたので,みなさんは順番にご注意を……! また超個人的な感想としては,顔の描かれていないサブキャラクター達の声優達が“いい意味でいい演技”をしているので,攻略キャラクター達にとても感情移入しながら読み進められた。ありがとう顔なしのサブキャラクター達!
モリモリ盛りだくさんな「Paradigm Paradox」。発売をお楽しみに。
(C)2021 IDEA FACTORY